ザワザワと騒がしく混乱の真っただ中に有る管制タワーの中で基地指令で有るロイ=バリサム大佐は目の前で戦闘指揮を執っている赤髪の下士官の後ろ姿を見ながら腕を組んでいた。
(優秀だとは思っていたが・・・まさか特務から来てたとは、それに何故彼女は降格したんだ・・・?)
新任のオペレーターが回って来ただけと思っていたバリサムが、後でもう一度その辺りの書類を確認しようと考えていると、バリサム指令!と駆け寄って来る管制官の纏め役で有るマリア曹長から声が掛かる。
「基地近くの街の住民避難ですがやはり間に合いそうに有りません・・・」
「だろうな・・・しかしスマンなマリア?雑用等させてしまって・・・」
「いえ、そんな事は有りません。どっちにしろ今私があそこに居ても役に立ちそうに無いので・・・」
そう苦笑いを浮かべるマリアの先には綿密な打ち合わせをしているアメリアと素早いタッチでキーボードを叩ているミリィの姿が有る。
(アメリアはともかくミリィも普段からあれくらいキビキビ動いてくれたら良いのにね・・・)
内心ではそう愚痴りながらも仲間に入れない事にマリアは少し自分の役立たずに対し悔しく感じてしまうので有った。
「とにかく、私は住民避難の為に地上部隊との中継役に専念しますので二人の事を頼みます。」
「分かった。慣れんかもしれんがそっちの事も重要だからな・・・あまり気負うなよマリア?」
マリアはフォローしてくれているのか、二っと笑みを浮かべて来るバリサムにキョトンとしながらもクスっと返事の代わり微笑む。
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「各機へこれよりブリーフィングを行いますので良く耳をかっぽじって聞く様にお願いします。」
口調こそ普段通りだがいつもよりピリっとした声出すアメリアからの通信に敵機へと迎撃に上がったショウ達はコクピットの中で緊張感に包まれる。
「知っての通りだとは思いますが、敵機はMS・・・所謂ジオンが開発した人型兵器で爆撃機が運びながら我がトリントン基地へと迫りつつ有ります。機数は三機、更に護衛にドップが一個小隊程ついている模様です。」
「そりゃあまた大層なゲストだな・・・それで俺達はどんな風にエスコートしたら良い?」
そう割って入るジャックの冗談にアメリアを除く全員からククっと笑い声が聞こえだす。
「そうですね・・・取り合えず、皆さんにはゲストの団体さんをダンスに上手く誘いながらも下手くそに踊って貰いましょうか?」
「んっ、どう言う事だアメリア?」
ジャックのジョークに乗っかったらしいアメリアの言い回しにイエーガーが首を首を傾げると、要はこうです。とアメリアは続ける。
「最初に一撃を加えたらすぐに離脱して下さい。絶対に交戦をしたらダメですからね!」
「おいちょっと待て!逃げるのか!?・・・ジオンの奴等は基地を狙ってるんだぞ?」
「ええ、知って居ます。・・・ですが、はっきり言ってMS相手では戦っても負けますよ。」
そう断言するアメリアになっ!?とイエーガーが言葉を失うと、じゃあ指揮官様は何か良い手でも有るのかよ!と若干ムッとしたジャックから抗議の声が上がると、勿論です。とアメリアは意地の悪い顔を浮かべる。
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「これで空は良いとして今度は地上ですね・・・地上部隊とのホットライン形成はどうですかミリィ?」
「基地守備隊とは指揮系統が別ですからねぇ・・・っと、今繋がりますぅ!」
ショウ達に自分の描いた作戦内容を伝えたアメリアから尋ねられたミリィが通信回線の解析を終えエンターキーを叩くと、イエーガーやジャックと同年代に見える銀髪を長く伸ばしたどこかチャラ臭い男性が
メインモニターに映り出す。
「基地守備隊機甲部隊の指揮官をしているタンク=ビンセント中尉です。私をお呼びとの事ですが・・・こんな時に一体どんな用でしょう?」
クセの強い物言いをするタンクと画面越しに向かい合ったアメリアは嫌いなタイプですね・・・と内心苦笑いを浮かべる。
「お初にお見えになります中尉殿。私はアメリア=アン=ウォーカー軍曹と言い、今起きている迎撃任務の作戦指揮官を務めさせて貰っていますので、以後お見知りおきを・・・」
「へえ・・・アンタが噂のかわい子ちゃんか?何で君みたいな綺麗な子が作戦指揮を執ってんのかは後で聞くとしてだ、俺に何の用なんだいアメリアちゃん?」
自分を小バカにしているのか軽々しく名前を呼んで来るタンクにアメリアからイラっとする様に舌打ちが聞こえると、先輩・・・とその様子を心配するミリィから顔を見上げてしまうので、ハッとしたアメリアはコホンと咳払いしながらニコっと微笑む。
「いえ、ちょっと中尉にお願い事が有るんですが聞いてくれますか?」
「デートのお誘いなら俺はいつも受け付けてるが・・・」
「成程・・・でしたら、お互い生き残る事が出来たらそのお約束を果たします。」
アメリアがそう答えながら微笑んだまま首を少し傾げると、思案顔を浮かべたタンクからふ~ん・・・と返事が返ると何か考える様に顎を擦り出す・・・
「そんな事を言って来るとはこの厄介な状況をどうにか出来ると言う事で宜しいのかな・・・ウォーカー軍曹?」
「ええ、ビンセント中尉・・・その打開策には中尉の部隊が必要なのです。」
アメリアは真剣な眼となったタンクを更に押すと、すぐに分かった・・・と頭をガシガシと掻くタンクから返答が返って来る。
「そこまで自信が有るんならお前に賭けてみようじゃないかウォーカー軍曹・・・俺にここまで言わせたんだから絶対に着地と住民を守ると約束しろよ?」
「それは勿論です・・・ですが、勝てる保証は無いのでその辺りは勘弁してくれると助かります。」
そう困った様に苦笑いを浮かべるアメリアにどう意味だ・・?とタンクが不思議そうな顔を浮かべてると、もうすぐ戦闘空域に入りますよぉ!と声を飛ばして来るミリィにアメリアはそれではまた後で・・・と一旦通信を切るので有った。