グビ姉vsビールバカ、南海の大決戦! 作:三流FLASH職人
各自が自分のホイル焼き串を皿に乗せ、ぱりぱりとホイルを開いていく。
「おお~、切り身の塩焼きが3つ、コレ全部違う魚だ!」
夏海が引いたのはカワハギ、バリ、ヘダイの3種の切り身塩焼き。バリとヘダイはちゃんと
皮が付いた部分で、食感と香ばしさマシマシになっている。
「こっちはキュウセン丸ごと一匹、マヨネーズ焼きがタンパクな白身によく合う・・・」
大野が引いたのはいかにもな魚の丸焼き、焼けたマヨネーズのコクが白身魚とベストマッチだ。、
「あたしのは・・・これボラね、コショウが効いておいしかばい。」
脂の旨味たっぷりの身を頬張りながら満足げな黒岩、その後ろではさやかが引いた
バリの醤油と味醂の照り焼きに合う酒をクーラーボックスから物色中だ。
「ひえぇぇぇぇ・・・」
陽渚が手にしているのは・・・キスのメザシだ。5匹のキスが竹串で目を貫かれており
見た目にもかなりインパクトがすごい。
「あーハズレ枠引いてもうたなぁ、陽渚ちゃん。」
実はこれ、真面目な料理ばかりだと面白味が無いと思って仕込んだネタ枠だ。
ロクに味付けもされておらず、本人が希望すれば交換して、なでしこが味付けを
し直す算段だったんだが・・・
「それ美味しそう!ねぇ鶴木さん、私のと交換しない?」
そう提案したのはグビ姉だ。いいんですか?と言いつつ申し訳なさそうに鳥羽先生と
皿を交換し、再度ホイルオーペンッ!する。
「うわぁ・・・美味しそう!」
出てきたのはイサギ切り身のバター焼きだ、タマネギが多く添えられており食欲をそそる。
「本当にいいんですか?」
「いーのいーの、へっへっへ~、仕上げをほろうひろ~」
言いながらキスにかぶりつき、骨と頭とシッポだけにすると、その骨を再度串に絡めて
再び焚火で炙り出す。
ほどなく香ばしい匂いになったキスの骨を日本酒の中にぶち込み、くんくん匂いを嗅いで
一気に煽るグビ姉。
「ぷっはぁ~、骨酒おいち~♪」
なるほど、交換の目的はコレか、さすがグビ姉。
「あたしはアジのつみれ串だな、う~ん、中に入ってるチーズがトロトロでウマ~」
「(おお!最強無敵のバター醤油焼きゲットだ!やったぜ)」
陽渚が選んだ他の2本はなかなかに当たりだったようだ、特にリンが手にしたブダイの
バター醤油焼きは、彼女が調理時から狙っていた一品だった。陽渚ちゃんナイス!
「ウチは切り身2枚のチーズ挟み焼きや~、ええ仕事しとるなぁ。」
「私はアジの丸焼きだよっ!『丸焼きコンビ』だね真ちゃん!」
あおいの獲物はなでしこが作った薄切りの切り身でチーズを挟んだサンド焼き、その
なでしこがゲットしたのはあおい作のアジの丸焼きレモン汁添え、簡単な料理だが
素材の味が生きる点で下手に凝った料理よりもクオリティが高い。
「私は切り身焼のカレー風味、あたしが作ったやつだ・・・。」
恵那が引いたのはチヌの切り身だ、大野からチヌは少し泥臭いと聞いていたので
カレー粉をまんべんなくまぶして焼いてみたのだ。一口頬張ってにぱっ!と笑顔。
「うん、これおいしい、当たりだよ。」
「お魚にカレーって合うんですよ、ナイスです。」
大野がぐっ!と親指を立てる。
「しっかし、流石と言うかすごいね、即興で作ったとは思えないバリエーションの高さと多さ、
みんな料理めっちゃうまいじゃん!」
串焼きを平らげた夏海が感心して言う。確かに一串ひと串が違う発想で調理、味付けされており
普段の彼女たちの料理のバリエーションの多さを伺わせる。
「キャンプめしは最重要課題なのですよ、コレが楽しみでキャンプしてるんだし。」
「それはなでしこだけだ。」
リンのツッコミに、なでしこはあう!と目をバツ印にした後、えへへ~と頭を掻く。
「でも本当に美味しいです♪」
陽渚がハシで魚の切り身を口に運びながらご満悦だ。さっきまではドンブリの刺身とご飯
だっただけに、香ばしい焼き魚は口の中を飽きさせない味代わりを与えてくれる。
「まだまだ串あるから、どんどん引いてくれたまえ!」
千明が皿に残った串を指して言う、なでしこを除けば正直もうこの一本と丼で
お腹一杯なのだが、未だに明かされてないホイルの中身には興味も沸く。
夏海が、大野が、黒岩が、そしてさやかとグビ姉が、最後になでしこが2本引いて
串焼き皿は空となった。
串焼きを頬張りつつ、最後はほとんどがお茶漬けにしたドンブリをなんとか空にする。
・・・まぁドンブリ2杯目に突入しているツワモノが約1名いるのだが、そこはおいておこう。
「食べた~」
「まんぞくまんぞく・・・」
「食べ過ぎた、またダイエットしなきゃ。」
「私・・・もう・・・無理。」
なでしこと飲酒組以外のほぼ全員がお腹を押さえ、イスにもたれてギブアップ宣言。
と、串焼き(カワハギとボラの肝焼き)を手にしたグビ姉がゆらっ!と立ち上がり、
ふらふらとなでしこに近づいていく。
「・・・鳥羽先生?」
その細目を半目にしたグビ姉がにたり、と笑ってなでしこにぐぐっと顔を近づける。
「かがみひゃらは~ん、おいひ~りょーりありがとね~。ひぇんひぇ~かんろ~しちゃった~。」
「あーあ、完全に出来上がってるね。」
「ほらほらユウ姉、お相手しなきゃ。」
夏海の指摘にはいはい、と鳥羽先生の肩を掴む黒岩。酒瓶を片手に『お酌するばい座って』と
ジェスチャーで伝える。
一方の恵那は和気藹々とさやかにお酌を続けている、というか絡み酒になる前にどんどん
お酌してリアクションを起こさせない算段のようだ。黒岩も恵那にならってグビ姉に
酒を注いでいく。
周囲が空ビンで埋めつくされる頃、呑兵衛二人は机に突っ伏して高いびきと相成った。
「じゃあ、片付くっか!」
「「うっし!」」
女子高生全員が立ち上がる、片付けから入浴までの用事を済ませるのは両先生がダブルKO
している今しかない、ほどよく腹もこなれた彼女達はてきぱきと皿を片付け、数人が洗い場に
持っていって洗浄にかかり、他の者はテーブルの掃除と焚火の片づけに入る。
-かぽーん-
今日こそはゆっくり風呂に浸かれる、と食後の入浴にご満悦の9人。
「でも鳥羽先生も楽しそうだったよねー、やっぱ一緒に呑む人がいるのいいんだろうね。」
「まー、あんまり絡まれるのはアレだけどね。」
そんな会話をしている時、ふとなでしこがこう言った。
「そういやあの二人、どっちかお酒強いんだろう・・・?」
「やっぱ鳥羽先生じゃない?さやか先生ってビールメインだし。」
「でも鳥羽先生ってすぐ潰れるし、小谷先生ってすごくペース早いよ?」
「さやかちゃんもすぐ寝るけんね、起きるのも早かばってん。」
「アルコール度数で言えば鳥羽先生、呑む量で言えばさやかちゃんか・・・」
喧々囂々の会議の中、千明が湯船からざばあっ!と立ち上がり、やおら手マイクでこう叫ぶ!
「グビ姉VSビールバカ、南海の大決戦!勝つのはどっちだ!?」
「なんやそれ~・・・」
「想像したくないよそんなの~」
「はた迷惑、それ以外の言葉が浮かばん!」
陽渚とリンが絵面を想像して青い顔で否定する、逆に恵那は面白そう、と顔を綻ばせる。
そこから先は妄想合戦となった。山に潜む大怪獣『愚火姉』が南国の酒を求めて
列島を南下、それを阻止すべく秘密結社NOKURUの精鋭が立ちはだかる中、南国の海深くに
封じられていた大妖怪ビア・ザ・フールが呼応して目覚め、芦方の海岸で一大決戦!
地元の『堤防衛軍』がNOKURUと共にその怪獣二頭に立ち向かう!果たして日本の運命は!?
夏海と千明が怪獣に扮し、湯船の上で死闘を続ける2人を演ずる。が、途中で怪獣役なら
大野さんとあおいの方が適任という事でキャスト交代となる。
「(これじゃあ巨大怪獣じゃなくて巨乳怪獣だぜ・・・)」
リンが全員の代弁をする、風呂の中で裸になってみると本当にこの二人は・・・全く
羨ましい限りだぜ!
そんな馬鹿をやっている時、食堂ではテーブルのさやかがう~ん、と頭を振って目を覚ます。
潰れるのも起きるのも早い彼女は、隣で寝ている鳥羽先生を揺すって起こす。
「ん・・・う~ん、ああ、寝ちゃってましたか。」
目をこすって体を起こす美波。キャンプとはいえ少々ハメを外しすぎたかな、と心で反省。
と、二人の目の前にはコップと麦茶のペットボトル、生徒たちが用意してくれてたのだろう。
二人はふふ、と笑い合って麦茶を注ぎ、飲み干す。
「小谷先生、酔い覚ましに海岸散歩しません?」
「いいわね、行きましょう。」
連れだって千鳥足で食堂を後にする、途中イスをいくつか蹴倒したようだがささいな事だ。
「ホントに、来てよかったです。」
「でも明日にはもう帰るんでしょ~、せっかく呑み友が出来たのに、寂しいわぁ~」
年配者のさやかの方が子供っぽい発言をする。それに応じて美波はこう返した。
「生徒たちはもっとそう思うでしょうね・・・仲良くなりすぎですよ、あの娘達。」
あ、という顔で美波を見るさやか。確かに黒岩はともかく大野や帆高さん、鶴木さんは
彼女らが帰る時はきっと別れを惜しむだろう、泣く娘もいるかも知れない。
でも、それも含めて経験なのだろう、出会いと別れ、それが人生。
満天の星空の下、夜風に当たり、潮騒をBGMにして2人の教師は生徒たちのロマンチックな
邂逅に思いを馳せていた。酔った心地よさもそんな想いに拍車をかけていく。
「あれ?先生達がいない?」
風呂上りにそう言ったのは恵那だ、さっきまで潰れていた二人の姿が消えている。
「もう寝たんじゃない?」
夏海の言葉にテントをチェックするが、どこにも二人の姿はない。よく見るとテーブルの
際のイスが薙ぎ倒されており、ただ事ではなさを予感させる。
「って、アレ先生たちやないか?」
あおいが指さしたのは、海岸で大の字になって寝そべってる二つの影。あそこまで足跡が
てんてんと続いている、どうやら両先生で間違いなさそうだ。
「かくしてグビ姉とビールバカは共倒れとなり、芦方に平和が戻ったのである!」
風呂場の続きを奇麗に締めた千明であったが、このあと両先生をかついで帰るイベントが
彼女たちには追加されていた。
ちなみに千明が鳥羽先生を担いでいる最中、いきなり背中から何かキラキラしたものが
降り注いだのだが、それは詳しく語らないでおこう。
By千明
タイトル詐欺、ここに完結w