グビ姉vsビールバカ、南海の大決戦!   作:三流FLASH職人

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ナンデ? 6/24にUAやお気に入りが爆発的に伸びてる・・・一体何があった!?



第15話 いつかまた 会う日まで

「おーい注目~みんなコレに住所と名前書いといて~。」

 朝食後のテーブルで黒岩が皆に封筒大の紙を配っていく。これは・・・宅配便の貼り付け伝票だ。

「釣ったお魚が余ってるんで、保存の効く状態にして宅配便で送りますよ。」

 大野の言葉に山梨勢がええっ!?という表情をした後、顔を見合わせて思わず笑顔になる。

自分達が釣って、そして味わった魚を家族にも堪能してもらえる、これは嬉しいお土産だ!

 

「「いゃったぁーっ!」」

「ううう~、何から何までホンマ感謝ズラ~。」

皆がバンザイする中、千明が黒岩の手を取り、滝のように涙を流しながら感謝の意を示す。

「まぁ、置いてても痛むし気にすんな!」

 にかっ、とした笑顔を見せる夏海。その隣で陽渚が「またそーゆーコトを言う・・・」と

ジト目で非難する、私の帽子を買ってくれた時も似たような失言をしてよね、と。

 

 その様を優しい目で見てるのがなでしこだ。彼女は知っている、ていぼう部の皆が最初から

私たちにお土産の魚を持たせようと奮闘してくれていた事を。

感謝と、友情と、思い出。芦方で得た数々のお土産に更に一品が加わるのだ。

 

「(私たちももっと何かしてあげたかったな・・・)」

また会えるだろうか、その時に私は、私たちは彼女たちに何をしてあげられるだろうか。

 

「じゃあ、そろそろ撤収しましょう。ちゃんとキレイにして帰る事!」

「「はーーいっ!」」

 鳥羽先生の指示のもとテントの撤収にかかる一同。シュラフを畳み、ペグを抜いて

スリーブを外し、皆でテントを折り畳んでいく。野クル+2名とていぼう部の最後の合同作業だ。

荷物をまとめてさやかの車の荷台に積み込む、調理場やテーブル周りを掃除して、最後に

皆で管理棟に移動、待ってもらっていた赤井店長にチェックアウトの手続きをする。

 

「気ぃつけて帰りなっせ、帰るまでが旅行やっけんなぁ。」

がっはっはと笑って皆にそう告げる店長、それに応えて山梨勢が一斉に頭を下げる。

「「どうも、お世話になりましたーーっ!」」

 管理人である店長に、このキャンプ場に、そして亀ヶ浜の海岸に感謝を込めて。

楽しい時間を本当にありがとう!

 

「じゃあ黒岩さん、みんなをお願いね。」

 運転席からそう伝えるさやかに「あいよー」と返す黒岩。さやかと鳥羽先生は車で、

他の生徒たちはバスで水俣駅に向かう。ていぼう部の全員も最後の見送りにと

同行する事になった。

 

 海岸線をバスが走る。幸いにも他に乗客はおらず貸し切り状態、芦方との別れと

遠方の友との最後の時間をしみじみと過ごす。

「しかし、ホンマええ所やったなぁ、芦方。」

「私、きっとまた来るよ!いつになるか分からないけど、空飛ぶテント開発して飛んでくる!」

大真面目で宣言するなでしこに皆が突っ込む。が、大野だけはその様を想像して「・・・素敵」と

感激している。いや出来ないって多分。

 

「私は元々思ってたよ、きっとまたいつかここに来る!って。」

真面目な顔でそう続いたのはリンだ。その意図を察して黒岩が問う。

「バイクで来るっと?」

 こくり頷くリン。昨日黒岩と走った木漏れ日の道、あの道をきっとまた走る、今度は自分の

バイクで・・・さすがに原付では無理だろうから、もっと大きなバイクを買って、いつか必ず!

 

「私は今度はちくわ連れてくる!お魚見た時の反応楽しみ♪」

「山梨にもいつか来てくれよな!観光地バッチリ案内するぜ!」

「いいね~、またフェリーに乗ってのんびり行きたい。」

「山梨にどうやって船で行くつもりだよ、ひな。」

 

 会話は弾む。楽しい時間が駅までの距離をあっという間に詰めていく。

 

 水俣駅、バスから降りた彼女たち、合流したさやかの車から荷物を受け取る。

とうとうお別れの時・・・そんなしんみりとした感情を台無しにする、荷台の一角の大量の酒瓶。

「芋地獄に上町ナポレオンに大魔王婆庵・・・鳥羽先生、お土産買ってたんスね。」

「そういや昨日道の駅で買った焼酎、夜に全部呑んじゃってましたもんね~。」

恵那の笑顔ツッコミに、鳥羽先生はいやぁ~という顔で頭を掻く。全くこのヒトは・・

 

「じゃあ、道中気をつけて。」

改札の前、そう切り出したのは大野だ。全員がとうとうこの時が来たか、という思いで

その言葉に反応する。

 その大野にがばっ!と抱きつくなでしこ。

「ありがとね真ちゃん・・・また会おうね、絶対だよ。」

大野の豊かな胸に顔を埋めながらそう伝えるなでしこの頭を、そっと撫でて大野が返す。

「うん・・・必ず。」

 

「今度は本格的にツーリングするばい!」

黒岩の言葉にリンは親指を立て、目をキラッと光らせてこう返す。

「静岡にツーリング仲間いるから、一緒に来る!」

 当の本人、土岐綾乃が聞いたらその距離の遠さに「勘弁して」と言いそうではあるが、

リンならそれでも引っ張ってきそうだ。

 

「今度はウチがキャンプのコツ、色々教えたるからな。」

「うん、楽しみにしてる!」

笑顔で握手を交わすあおいと夏海。おっとりした性格にプロポーション抜群のあおいと

日焼けで真っ黒な元気娘の夏海のコンビはとても対照的で、それがお互いを引き立てる。

 

「なぁ、なんかあの二人その・・・エロくないか?」

そんな二人を見て陽渚に耳打ちする千明。

「え?あおいさんはともかく、夏海はちょっと・・・」

なんでそうなるの?という顔で千明を見る。が、千明は眼鏡を曇らせたまま人差し指を立て、

小声で陽渚に力説する。

「いやいや、あーゆーのがイイっていう人はきっと多い!ちょっとロリっぽいえっちな雑誌の

表紙にぴった・・・」

 

 -がしっ!-

「大垣さ~ん、今の話、詳しく聞かせて下さいよ。」

「あー、ウチも聞きたいわソレ。」

 千明の背後から両肩と頭を鷲掴みにする2人。顔は笑っているが目は全く笑っていない。

 

 駅のホームを東に西に、逃走する千明と追いかける夏海&あおい。一同それを眺めながら

朗らかに笑う。最後なのによくやるよ、暑いのに、と。

 

「じゃ、じゃあ・・・色々あった・・・けど。」

散々追い掛け回されて息を切らせた千明が、皆の前で最後の言葉を告げる。

 

「またいつか、会う日まで!」

 

 そう言ってグーの手を皆の前に出す。「ん」と言って黒岩が拳を合わせる。

なでしこが、大野が、リンが、夏海が、あおいが、陽渚が、そして恵那が、手で作ったグーを

そこに重ねる。

 

 -また、いつかっ!-

 

 

 そこからの旅はどこか空虚なものだった。新幹線から眺める景色は変わらず美しかったが

それは風景であって人じゃない、それに心奪われていくと、ていぼう部のみんながますます

遠い思い出になっていくような気がしてあまり楽しめない。

 

 そう、それが彼女達との『距離』、景色が変わるたびにそれを実感させられる。

せめても抵抗と、彼女たちは度々スマホに収めた親友の写真を眺めていた。

 やがて静岡駅に到着し、迎えの桜と涼子の車に分乗し、県をまたいで自宅に向かう。

 

 

 旅が終わる。その宣言、それは『ただいま』の言葉。

 

「おかえり~。」

「うん、お母さんただいま、お姉ちゃんも送り迎えありがとね。」

なでしこは同乗していた皆を送って行ってからの為、最後の帰宅となった。

「そうそう、みんなも無事に帰ったかな?」

なでしこがスマホを取り出す。バイブ機能を切っていたのでいつもチャットでやっている

皆の実家到着の報告をまだ確認していない。先生の車の方ももう帰ってるかな?と。

 

 SNSチャットを開いたなでしこ、そこに見たのはずらり並んだ全員の一行レスだった!

 

千:帰宅、そしてサプライズキター!

あ:驚きや!ホンマにやってくれるなぁ~

恵:これはびっくりだねぇ

リ:なでしこが帰るまでネタバレは無しな

鳥:了解です、でもホント驚いた。

 

ほへ?という表情のなでしこ。サプライズって一体・・・

 

「おおなでしこ、お帰り。荷物届いてるぞ。」

 父の言葉にえっ!?という顔をするなでしこ。彼が手にしているのは電話帳大のダンボール、

上面には見覚えのある宅配伝票が張られている・・・これは、私が今朝書いた伝票!

 

「もう届いたんだ・・・航空便かな?」

「そうみたいね、冷凍ものだから。」

ああ、どこまでも気を遣わせたなー、との思いが込み上げる。と同時にこの旅行の自慢が

さっそく出来る事に嬉しくなる、こんなに素敵な所に行ってたんだよ、と。

 

「ふっふっふ、これはいいものなんですよ~」

父、母、姉の「なになに?」という視線の元、テープをはがしてダンボール箱の上面を

開けるなでしこ。

 

「・・・っ!」

 

 声が出ない、動けない、アクションが起こせない。そのサプライズに。

 

 箱の中にあったのは保冷効果のある発砲スチロールの白い箱だった。中身が魚なんだから

それは当然のコトなのだろうが・・・

 問題はそのフタの上に張り付けてある、小さな二つの顔。

 

 それはフェルトで作られた小さなストラップだった。各務原なでしこと大野真の二つの顔、

彼女たちがチャットで使っているアイコンそのままの表情のフェルト人形がふたつくっついて

向かい合って笑っていた。

 

「あら、いいわねぇ。」

「よく出来てるなぁ。」

「それ、向こうの子?」

 

 母の、父の、姉の感想に背中でうん、と答えてストラップを手にする。その裁縫の見事さを

見て、なでしこは察した。

「(相変わらず凄いなぁ、編み棒ソードの鶴木・・・陽渚ちゃん。)」

 

 なでしこはストラップを胸に抱き、そして鮮明に思い出す、あの芦方の夏を。

どうしてだろう、帰りの道中で写真を見た時よりもその記憶が鮮明なのは。

 

 -海野高校ていぼう部を、より身近に感じられるのは-

 




 次回 フィナーレ!
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