グビ姉vsビールバカ、南海の大決戦!   作:三流FLASH職人

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祝!お気に入り登録100人、ありがとうございます。
まぁ100人目は作者なんですけどねwww

多くの方の閲覧に感謝しつつ最終回です。


エピローグ 鳥羽美波と小谷さやか

「まだ誰も来てないかー。」

「そだね~。」

 9月末、熊元県芦方町『海野高校ていぼう部』部室。学校から自転車でやって来た部員二人、

帆高夏海と鶴木陽渚が自転車を降りつつそう嘆く。

 夏の間は手間だった部室の換気も、今の時期は涼しさも増してそれほど酷ではない。が、

それでも開錠すると二人はダッシュでサッシ窓を開き、クーラーのスイッチを入れる。

 最初に部室に着いた人が担当する仕事を終え、部屋の中が常温まで下がるのを待って

部室に入ってイスに腰かけ、カバンを下ろす。

 

「もう一か月かぁ。」

 部室の壁を眺めながら思わずこぼす夏海。陽渚もそれを見て「・・・うん。」と続く。

数々の魚拓に挟まれるようにして壁に吊ってある額縁、その中には9人の女子高生が

ポーズを取って笑顔で映る写真があった。

 

『山梨県本栖高校・野外活動サークルのみんなと』

 

 夏の思い出、遥か遠方から来て共に過ごした親友たち。

自分たちも、そして彼女たちも今はそれぞれの日常に戻っている。最初の頃はよくメールや

SNSでも話していたが、やがて日常の忙しさに塗りつぶされて疎遠になっていく。

 

「面白い人たちだったなぁ。」

「えー、私たちが、それ言う?」

 そんな会話をしてくすくす笑う二人。このていぼう部は顧問含めて個性派揃いだが、

野クルの皆も負けず劣らずのキャラクターだった。特に鳥羽先生は呑む前と後の豹変ぶりが

ウチのさやか先生をして引けを取らないぶっ飛び顧問っぷりだった。

 

「そういえば、ここんとこさやか先生見ないね。」

「そーだなー、なんか忙しそうだけど、何やってんだろ?」

 この時期海野高校は特にイベントは無い、先生方も大した用事はなさそうだが、さやかちゃんは

しばらく部室にも姿を見せず、保健室も留守にしている事が多い。

 

「うーっす。」

 部室の戸を開けて入ってきたのは黒岩だ、手にビニール袋に入った雑誌を持って指定席の

ソファーによっこらせ、と座る。

「・・・逆にユウ姉は毎日よく来るよな~。」

「せからしか~。」

 彼女は3年生という事もあり、2学期で部活は引退しているハズなんだが、それでも毎日

部室に顔を出しては釣りもせずにごろごろしている。今日もさっそく靴下を脱いで

寝っ転がって雑誌を広げる。

 

 陽渚と夏海が嫌味の一つでも言おうとして「げっ!」「えっ?」と固まる。黒岩の持つ

雑誌のタイトルを見て。

 

『るぶぶ旅・山梨県』

 

 普段釣り雑誌かバイク雑誌しか見ない黒岩が眺めているのは、いわば各県の観光地を

紹介した本の最新版、その山梨県版だった。

「ユウ姉、山梨行くの!?」

「ええっ、本当に?」

思わず目を丸くする後輩二人に、黒岩はふっふっふ、と笑って続ける。

「卒業旅行の候補の一つばい、ま~今んとこ他の候補はなかけどね~。」

 

「ユウ姉ずるい!私も行く!!」

「そうですよ、私も行きたいです、またみんなに会いたい!」

食いつく二人に黒岩は、んー、という顔で返す。

「実費でいくんやぞ、お金用意出来っと?」

 その言葉にうっ、と固まる二人。確かに彼女たちに聞いた話じゃ旅費だけで小遣い何か月分も

必要になるし、田舎の漁師町、芦方にはそうそうバイトも無く、まして部費で落とせるはずもない。

ていぼう部の活動はあくまで『海と触れ合い、付き合っていく』こと限定なのだから。

 

「うう~、思えば野クルのみんな、よくここまで来たよね~。」

 陽渚の嘆きに夏海も『だな~』と頷く。遠いその距離を縮めるには先立つ諭吉が何人も

必要になる、行きたいというモチベーションは十分なのだが、こればっかりは・・・

 

「お疲れ様です。」

「みんな揃ってる~?うん、いるわね、よしよし。」

 と、大野とさやか先生が部室に入ってくる、というか二人一緒とは珍しい。

「大野先輩・・・じゃなくって部長、お疲れ様ですー。」

「おー、さやかちゃん久々やね、今日は食べる物なかっとよ?」

黒岩のそのセリフにむっ、としてさやか先生が、私を何だと思ってるの?と返す。まぁ日頃の

行いからすれば仕方ないのだが。

 

「聞いてよ大野先輩!ユウ姉ひとりで山梨行くつもりですよ!!」

夏海が黒岩の持つ雑誌を指し、くぅ~、という顔で抗議する。その表情には決して富士山でも

日本アルプスでもブドウでもない、あの親友たちに会いに行くとうイベントを抜け駆けされた

無念さが滲んでいる。

 

 だが、そんな夏海に大野は意外にも「まぁまぁ」とたしなめるだけだった。

その横ではさやかが腕を組んだまま、んっふっふ、という表情で佇む。

なんか噛み合わない空気に陽渚が頭にハテナマークを灯した、その時だった。

 

ピリリリリリ・・・

ブーッ、ブーッ

キンコン!キンコン!

ピピピピピ・・・

 

 4人のスマホ・携帯が一斉に着信を音を鳴らす。電話じゃない、メールの類だ。

黒岩、夏海、陽渚の3人が「何だ?」という表情で、大野は「あ・・・来た♪」という顔で

その画面を見る。

 

「「え、ええええーーーーーーっ!?」」

 

 

 

 時は少し戻って、9月3日。山梨県、本栖高校の職員会議室。

 

「と、いうわけで東京旅行が中止になってしまいました。」

深刻な表情で校長がそう告げる、席に着く先生方も手元の書類を見てう~ん、と唸る。

 

 11月に予定されている2年生の修学旅行、例年は①北海道のスキー旅行、②京都、奈良観光、

そして③東京観光、その3つから生徒たちが行きたい所をチョイスして、3方向に分かれて

実施していた。

 

 が、毎年宿泊に利用している東京のホテルが、老朽化から耐震強度が既定値を下回ってしまい

大がかりな改修工事を余儀なくされたために、宿泊できなくなってしまったのだ。

過密の東京で今から大勢の生徒たちを泊める所などあるはずもなく、この方面への旅行が

不可能になってしまっていた。

 しかしそうは言っても東京旅行は生徒たちに人気だ、将来上京しようと思って下見を

計画しているいる生徒もいれば、行動範囲内にある日本一のテーマパークを楽しみにしている

生徒も多い、これを中止にするならそれ相応の代替案がないと収まらないだろう。

先生一同「どうしたものか」という顔で悩むが、名案など出てこなかった。

 

 と、手を上げたのは教頭先生だ。彼は立ち上がると穏やかにこう告げる。

「実は鳥羽先生からひとつご提案を頂いてましてね、聞いていただけるでしょうか。」

皆が一斉に、机の端っこに居る鳥羽先生に注目する、昨年から他の先生の産休の穴埋めで

配属になった新任教師の彼女は、普段こういった会議でもほぼ出しゃばることなく、

それだけにこの場面で鳥羽先生が発言するのは意外だった。

 

 席を立ち、最前列の校長と教頭の横に立ち、書類を置いて姿勢を正し、話を切り出した。

 

「私たち野外活動サークルは、この夏に得難い経験をしました。」

そう言ってスマホを取り出し、教師共通のSNSに『その場所』の資料を送信する。

 

 -そのスマホにはストラップ、頬を赤く染めてビールとカップ酒で乾杯するふたつの顔-

 

 

 この会議で急遽候補に挙がったした臼州、熊元方面への修学旅行。だが心配された

生徒たちの反応は非常に好評で、他の2方面に負けない希望者を集めることが出来た。

 それは新学期早々から、熊元旅行の思い出をクラス中に広めていた野クル+2名の

影響が大いにあった。海なし県の生徒たちは皆一様に「いいなぁ」「羨ましい」と

遠い南国の海に、そして魚料理に思いを馳せていたのだ。

 

 とはいえ問題はまだまだ山積みだ、宿泊先の確保はもちろん、回る観光地の選択から

予算の配分、計画、交通手段、現地に疎い者ではそれらをカバーするのは不可能だ。

 

「私のお知り合いに協力をお願いしてみます。」

 鳥羽先生はそう言って海野高校、小谷先生に協力を依頼した。むろん謝礼も十分に

用意していたのだが、小谷先生はそれに関係なく、快く協力を引き受けた。

 

「あの子たちもさぞ喜ぶでしょうし、たまには顧問らしいところを見せないとね。」

 釣りコンペの罰ゲームがなんと『酔った自分たちの接待』だと知った彼女としては、何とか

自分たちの株を上げたい気持ちもあった。またていぼう部も黒岩が引退して来年は3人、

新入部員を入れないと廃部の危機になる彼女たちへのカンフル剤にもなるだろう。

「(それに・・・また山梨ワイン・・・じゅるっ。)」

 

 芦方はともかく、熊元は観光地として決して他と見劣りしない県だ。阿蘇の雄大な自然に

美しい熊元城をはじめとする歴史的な価値、知らぬ者はいない程のゆるキャラ等、

修学旅行の日程を埋めるための素材は十分にあった。さやかは1月ほどでほぼ計画を煮詰め

本栖高校に送って認証されるに至ったのだ。

 

 

 

な:修学旅行で熊元に行く事になりましたっ!

千:日時は11月15日!再会楽しみにしてるぜっ!

あ:って言っても会えるんは『芦方しらぬい』でのトイレ休憩の30分くらいやけどな~

恵:お土産のお返し、たっぷり抱えていくからね~、乞うご期待!

リ:・・・バイクで走れないのは残念。

 

「「え、ええええーーーーーーっ!?」」

スマホに届いたそのメールを見て絶叫する3人。大野は部長として前々からさやか先生に

ネタバレされ、調査の手伝いもしていたので驚かなかったが。

 

「また来るんだ!あはは。」

「11月が楽しみ~」

「他にも候補あるばってん、わざわざまた熊元に来るっとか・・・そげん気に入ったんかね。」

 花が咲いたような笑顔になるていぼう部。二度と会えないかもしれない親友との邂逅が

いともあっさり成ったことに対して、彼女たちはその距離が一気に近くなったような錯覚を起こす。

 

 また、二度もこっちに来てくれるなら、私たちもただ待ってるのは無粋だろう。

黒岩だけにいい思いをさせるのも嫌だし、一緒に行くなら今から何をするべきか・・・

 陽渚と夏海は顔を見合わせ、うん。と頷いてさやか先生に向き直る。

 

「「先生!どこかアルバイト出来る所、知らないですかっ!」」

 

 

ゆるキャン△+放課後ていぼう日誌のコラボ二次創作

 

 『グビ姉vsビールバカ、南海の大決戦!』  -完-

 

 

 




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