グビ姉vsビールバカ、南海の大決戦!   作:三流FLASH職人

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第2話 芦方勢の歓迎準備

「よしよし、みんな集まってるわね。」

 夏休み終盤、臼州は熊元県芦方町の道路沿いにあるプレハブ『海野高校ていぼう部』

部室の軒下にて涼んでいる女子高生4人組にそう声をかける顧問の小谷さやか。

「なんねー。いきなり収集かけっとか。」

「そうですよ、至急集合なんてどうしたんですか?」

 部長の黒岩悠希のけだるそうな声に続いて、一年の鶴木陽渚も首を傾げつつ訪ねる。

さやかは「んっふっふ~」と上機嫌な笑顔を見せ、とある報告を部員たちに告げる。

 

「「合同合宿?」」

 さやかの説明に4人の声が奇麗にハモる。というか合宿なら半月ほど前に伍島列島で

サバイバル合宿をやったばかりで、遠征の部費など残っていないはずなんだが・・・

「あぁ、今回は行くんじゃなくて来るのよ、他県の女子高生が亀ヶ浜のキャンプ場にね。

それでその娘たちと一緒に釣りキャンプをやろうって企画なのよ~。」

なぜかウッキウキなノリで説明するさやかに、4人は何となく嫌な予感を覚える。

 

 と、部内一の長身、大野真が手を上げる。

「あの・・・釣りのコンペとかですか?」

TV番組とかでよくやる、いわゆる『釣り勝負』な企画なのかと聞きたいようだ。

「おー、面白そうじゃん!海野高校ていぼう部の実力見せてやろっ!」

 すっかり対決のノリで帆高夏海が威勢を上げる、性格的にもこういうのが好きな彼女らしい。

が、さやかはそんな彼女の意見を否定する。

「いやいや、向こうは釣り初心者だから、貴方達に教えてあげて欲しいのよ。」

 

 さやかの説明によると、彼女たちの専門は釣りではなくキャンプの方らしい。

今回はオプション的な楽しみで釣りを楽しむべく、ウチとの合同イベントとなったようだ。

「ええかもしれんね、夏海や鶴木も誰かに釣り教えっとは、来年の新入部員勧誘の

練習にもなったい。」

「キャンプのノウハウももっと教えてもらえれば、釣り遠征にも生かせますし・・・」

乗り気になって来た上級生二人。ただ陽渚だけは口を波線にしながら、うーと唸っている。

「どした陽渚?」

「うん・・・先生、来るの女子高生って言ってましたよね、キャンプ部の。」

「そーよぉ、顧問の先生も女子だから、その点は心配しないで。」

嬉しそうに話すさやかに対して、相変わらず不安げな陽渚。

 

「・・・なんかすっごくたくましい人達だったらどうしよう。」

アマゾネスの集団みたいな豪傑女学生を妄想してふるふる震える。確かにキャンプ部なら

生活力やバイタリティに溢れた人物像を想像するのは無理からぬ事だろう。

「にゃっはっは、大丈夫だって。私たちもアウトドア女子じゃん。」

陽渚の肩をばんばん叩いて笑う夏海、伍島のゆらさんもイイ人だったじゃん、と付け加えて。

「そ、そうだよね、うん、そうだねきっと。」

ようやく開き直る陽渚、だが後日彼女はその認識をひとつだけ外されることになる。

 

「で、どっから来っと、福岡?」

「ふっふっふー、それがねぇ、何とや・ま・な・し。」

 そのさやかの返しにしばし固まる一同。皆お互いに顔を見合わせたあと、全員が

すぅぅーっと息を吸い込んで・・・

 

「「やまなしいぃぃぃぃぃぃぃっ??」」

 

と一斉に絶叫する、さやかはチームワークいいわねぇ、と思わずほくそ笑む。

「何でそぎゃん遠っから!」

「山梨って関東だよね、富士山とか見えたりする・・・」

「山梨県、甲信越地方と中部地方の両方に属する県、県庁所在地は甲府市、名産はぶどうとワイン

静岡県と富士山を共有し、南アルプスもかかる山岳地帯。海には隣接していないいわゆる

『海なし県』で・・・」

驚く悠希と夏海に続いて、真がウィキのような説明を垂れ流す。語り出すと止まらない彼女に

陽渚が「大野先輩戻ってきて戻ってきて・・・」と体を揺する。

 

「それがね、たこひげやの赤井店長からの紹介なのよ。あなたたち前に亀ヶ浜で

旅行に来てたおじいさん接待しなかった・・・?」

 そのさやかの質問に一同はえ?うーん、と思案顔になり記憶を掘り起こしにかかる。

「あ、あーーーーっ!梅雨明けに来てたあのバイクじいちゃん、ほら店長と一緒に来て

日暮れまで爆釣だったあの!!」

「あーあのじいさまか、覚えちょる覚えちょる。」

「すごく『持ってる』人でしたよね・・・」

「私も思い出した・・・確かアオサギ助けた次の次の日だったよね。」

 

 梅雨が明けた6月中旬、ていぼう部は釣り糸を足に絡めたアオサギを総出で助けた事があった。

一瞬とはいえ人間に取り押さえられたその鳥はもう近寄ってこないと思っていたが

その翌日にはちゃっかりおこぼれを期待してすり寄ってきていた。

 餌付けになってはいけないと、翌日は部室際の釣り場から移動して亀ヶ浜に来たのだが

その時に店長と一緒に釣りに来たその爺さんは、名人の大野すらドン引きするほどの

釣果を上げて見せたのだ。

「店長と真逆のタイプだったよなーあのじーさん。並んで立つと対比ですっげー笑えた。」

 

「で、あのおじいさんが今度来る人達の関係なんですか?」

陽渚の質問にビンゴ!と親指を立てるさやか。

「そのキャンプ部の生徒のおじいさんらしいのよ、ここをすごく評価してくださったみたいで

ぜひお孫さん達にも、って。」

「なるほどねー、そりゃしっかり接待して芦方の株を上げんといかんったい。」

 悠希が腕組みしてニヤニヤと笑顔を見せる。陽渚にはそこにキツネの耳とシッポが

生えてるように見えた。あ、また何か企んでる・・・

 

「8月の26,27,28の二泊三日で来るらしいから、しっかり歓迎の計画立ててね。」

おーっ!うーっす、はい・・・と個別に返事するていぼう部員。と、ここっで悠希はさやかに

向き直り、ジト目のままこう続ける。

「で、さやかちゃんはトーゼン・・・呑まんでよ!?」

 残りの3人が一斉に大きくうんうん頷く。この顧問普段はいい先生なんだが、酒が入ると

酒乱で醜態を曝しまくる欠点がある。それでいて大のビール好きで、悠希からは「ビールバカ」

と呼ばれているほどだ。

 いくら自分たちが山梨勢を接待しても酒乱顧問がぶち壊しては意味がない、ここは是が非でも

しっかり釘をさしておく必要がある。

 

「はいはい、わかってるって。」

 そのさやかの返しにえっ!?となる一同。物分かりがいいのは助かるが、全くゴネずに

笑顔で了承とは意外だ。

 

 

 とりあえず部室に入ってあれやこれやと歓迎の計画を練る4人。さやかはそれを眺めながら

心の奥でほくそ笑んで、やがて来るであろう山梨県、本栖高校の『野外活動サークル』顧問

鳥羽美波との電話会談を思い出していた。

 

『あ、あの・・・それで小谷先生、ひとつ質問があるんですが・・・』

「どうしたんですか?いきなり小声になって。」

『そのキャンプ場なんですが・・・その・・・飲酒は、可能なんですか。』

不安げなその声に、さやかは普段の細い目をかっ!と見開いて口で笑顔を作る、まさに

獲物を狙う狩人の眼光!

「おおおお!鳥羽先生も結構イケる口ですか!?」

『(も)ということは・・・小谷先生も?』

電話の向こうで鳥羽先生が眼鏡を輝かせ、口をUの字にして来たるべき差しつ差されつに

思いをすっ飛ばす。

 

『「へっへっへっ、これは当日が楽しみですねぇ。」』

 

 

(そう、私から飲まなくても鳥羽先生が『おひとつどうぞ』とでも言ってくれたら

大人の礼儀として受けないわけにはいかないのよ、ああ、今から楽しみだわ、ビール・・・・)




導火線、順調に燃焼中w
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