グビ姉vsビールバカ、南海の大決戦! 作:三流FLASH職人
「野クル、ついに臼州上陸うぅぅっ!!」
「「じょーりくうぅぅぅっ!!」」
熊元県水俣駅、新幹線から下車し改札を抜け、駅から出た瞬間にポーズを取って叫ぶ
千明に続いて、あおい&なでしこ&恵那がまるで戦隊モノのようなポーズを決める。
「元気な奴らだぜ・・・」
「ホントにねぇ。」
リンと鳥羽美波先生がその様を並んで眺め、やれやれとため息をつく。
朝4時に山梨を出発、なでしこの姉の桜と、美波の妹の涼子に車2台体制で静岡駅まで
送ってもらい(二人はその後静岡観光するらしい)、そこから新幹線に乗車、新大阪駅で
乗り換えてから博多で再度乗り換え、ここ水俣駅まで都合8時間、ようやく目的地の
熊元上陸を果たしたわけである。
野クルの面々は最初は新幹線にテンション上がりっぱなしであったが、さすがに飽きが
来たらしく、到着を心待ちにしていただけにテンション再点火である。
一方、普段バイクのリンと車の美波はやや電車疲れがあるようで、ハイテンションな仲間を
眺めつつ『やっと着いたか』という表情だ。
「いやーしかし、さすが南国!日差しが眩しいぜ。」
「けど、思ってたより暑くないね。」
盆地が多い山梨はフェーン現象によりかなりの高温になる。比して海に面した熊元は
風通しが良いためにややカラッとした暑さになることが多い。
「アキのゆーとおり、紫外線強そうやねぇ。」
「まぁ臼州だしねぇ、しっかりケアしないとまずいかも。」
と、そんな会話をしている面々に、女性の声。
「こんにちわー、本栖高校の野外活動サークルの皆さんですね。」
帽子を浅めに被った20代半ばくらいのその女性、凛とした立ち姿はスポーツウーマンの
イメージを強調させる。
「あ、はい。海野高校ていぼう部の小谷先生・・ですか?」
美波の問いに、ええ、と頷くその女性、ていぼう部顧問の小谷さやか。
お互い握手して、これからよろしくお願いします、と会釈する。
「あ、なんか似てない?あの二人。」
恵那の言葉に一同うーん、と唸る。確かに年の頃はほぼ同じか、やや鳥羽先生が下に見える。
目線が細いのも似ているが、なで肩でおっとりしたイメージの鳥羽先生に比べて
小谷先生は肩幅があり、体幹も強そうで颯爽とした感が強い、一見すると似て異なるタイプだが
どこか共通した雰囲気を纏っている両者。
「ま、若い女性の先生だし、アウトドアの部活の顧問っていうのも共通だしね。」
リンの言葉に一同それもそっか、と納得。ただなでしこだけは『そーかなー?』という
感想を心の中で述べている。
さやかの案内で駐車場へ。ピックアップトラック風の車の横にはもうひとり、ラフな格好の
人物がヘルメット片手に皆を待っていた。
「おーきたきた、はるばる熊元へよーこそー、海野高校ていぼう部、部長の黒岩たい。」
その言葉に一同はおっ!という顔をする、ごく自然に出る九州弁の異国情緒が心地良い。
「どーもー、野クル部長の大垣ヅラ~。」
「無理に方言で対抗せんでええわ。」
千明の頭にチョップを入れながらあおいがツッコむ。
「あ、私犬山あおいです、よろしゅう~。」
「混ざるな関西弁!」
千明が平手でツッコミ返しをする、思わず笑いがこぼれる一同。
「あ、自己紹介はあとでええよ、ウチの皆もこん先で待っとるけん。」
「なんか楽しそう、会うの楽しみだよ~。」
荷台に全員の荷物を積み込んで、さぁ出発というタイミングで黒岩がニヤリとして
アナウンスっぽく宣言する。
「ここでイベント~。さやかちゃんの車は目一杯でも5人しか乗れませーん。」
その声に一同がええっ!?という顔をする。山梨勢は全員で6名、まさかひとりは置き去りに
されるわけでも無いとは思うが・・・
「で、残る一人はあたしと一緒にバイクでタンデム(二人乗り)してもらったい。」
バイクにかけてあったヘルメットを取り、両手でふたつのヘルメットをくるくる回して
意地悪そうな笑顔を見せる。
「ま、ジャンケンででも決めると良かったい・・・」
ダダダダ
くわっ!
びしぃっ!!
黒岩の目の前まで猛突進したリンが右手をハイル〇ットラーと言わんばかりに挙げ、座った目で
詰め寄る。
「乗る、乗ります、てか乗せやがれコノヤロウ、すいません乗せて下さいお願いします!」
その迫力に圧倒された黒岩、思わぬ食いつきにドン引きしながら何とか『あ、かまんったい』
と返す。
「あーリンちゃん、バイク成分が不足してたんだ。」
「さすがにココまで原付では来れないもんねー。」
黒岩のバイクが前を、さやかのトラックが後ろから夏の道路を走る。
「そっかー、志摩さんはバイク乗っとっとかー。」
「ええ、本当はこっちのツーリングコースとか巡りたかったんですけど・・・」
黒岩とリンが走行音に負けないよう大声で話す、同じバイク乗りともなれば意気投合するのも
早いようだ。
「時間見つけて巡るっか?ってもそぎゃん遠方は行けんっけど。」
「是非!お願いします。」
「あいよー。」
「なーんか二人乗りって面白そうだな、やってみてぇ。」
「そーだねー、なんか遊園地の乗り物みたい。」
バイクを後ろから眺めながら千明となでしこがそうこぼす。が、美波はそんな2人を嗜める。
「バイクの二人乗りは後ろの人も上手く乗らないとダメなのよ。さすが志摩さんね、
奇麗に体重移動してるわ。」
その言葉にうーん、と首をひねる千明達、皆と顔を見合わせてこう結論付ける。
「ま、今回はリンに譲るか。」
やがてバイクとトラックは道沿いにある喫茶店に入っていく。『ほだか』と書かれた
看板の先にある店は、ぶっとい主柱に三角屋根が特徴の中二階形式の建物、その様はどこか
カカシを連想させる。
カランカランと鳴るドアを開け店内に入る一行。
「「いらっしゃいませー」」
声をかけたのは店員では無かった、部屋の隅のテーブル席に座る3人の少女。
一際大きな背丈に、あおいにも負けないボリュームのバストを持った眼鏡の女性と
前髪をほうきのように縛った、真っ黒に日焼けした顔でにかっ!と笑うボーイッシュな娘。
そして薄色の髪をボブにまとめ、それでも耳の脇からクセッ毛がピンと覗いている
上目遣いでおずおずとお辞儀する女の子。
「ようこそ芦方へ、海野高校ていぼう部です!」