グビ姉vsビールバカ、南海の大決戦!   作:三流FLASH職人

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作者痛恨の大ポカ・・・両作品の時間軸を合わせたら陽渚は高1、なでしこは高2だったorz(修正済)



第7話 グビ姉vsビールバカ、ROUND 1

「あー、あんららひ~、あやはったはへ~」

「へっへっへ、おかえり~、先にやってるわよ~」

 

「・・・遅かった。」

 がっくりと首を垂れる黒岩の横で、陽渚、夏海、大野が『あーあ』という顔をする。

鳥羽先生とさやかちゃんはテーブルに居並んで座り、お互い肩を組んでコップ片手に

真っ赤な顔で上機嫌、速攻で出来上がってしまっているようだ。

 

「ぷっ!あははははは・・・なんかそっくりー。」

 いきなり笑い出したのはなでしこだ。この二人が出会った時からなんとなく

似てると思ったら、酔って肩を組んだその様にパズルのピースがかっちりとハマった思いだ。

「確かにそうだなー」

千明が笑って続く。あおいも恵那もつられて笑う、思えばキャンプに先生を付き合わせても

一緒に呑んであげることは出来ないだけに、今回は格好のご相伴がいて楽しそうだ。

 

 ただ、リンだけは嫌な予感を察知し、ていぼう部の面々同様に心中冷や汗をかく。

 

「あーあ・・・せっかくの燻製がほとんど無くなっちゃってるよ、今夜のウリだったのに~」

夏海が渋い顔でテーブルの上の惨状を嘆く。今夜のサプライズ的に用意していた

さやか先生特製のシシ肉とシカ肉の燻製は、呑兵衛二人によって速攻でツマミにされてしまった。

 というか、わな狩猟免許を持っているさやか先生の提供のこのジビエ料理、せっかく彼女の

株を上げ、遠征組に尊敬される題材だったのに自分で消費してどーすんだよ・・・

「いーのいーの、みなみちゃんには美味しく食べてもらったし、ゲフー。」

「おいひかったあよ~、しゅごいわよね~、かりするんあって、かり~」

お互いを絶賛しながら、缶ビールとカップ酒をカツンと合わせ、ごっごっごっ!と煽る二人。

 

「・・・さやか先生が二人になった。」

 ジト目で両先生を見やる陽渚。っていうか二人の周囲や足元には空になった酒瓶やビール缶が

これでもかと散乱している、目で追うたびにそれら一つ一つが\イヨウ/とか\オッス/とか

語りかけてる気がするのはその数と銘柄の多さのせいだろうか・・・

 

「こうしていてもしょうがないし、私たちも夕食にしましょう。」

大野の提案に『だな』と頷くていぼう部。さやかちゃんの本当のご乱交はもう少し後なんだが

それが収まるまで山梨勢を待たせるわけにもいかない、暴れ出したら全力で阻止するしかなさそうだ。

 

 調理場に移動する面々。と、山梨勢も付いて来て『手伝いますよ』と進言。

本来お客様なんだしゆっくり、と言いたいところだが、あっちにいてさやかちゃんの毒牙に

かけるわけにもいかない、仕方ないから手伝ってもらう事になった。

 とはいえ仕込みは済んでいる、すでに調理した魚の切り身をクーラーボックスの

フリーザーパックから出し、氷水にぶち込んでシメてから皿に盛り付けていく。

 飯盒でご飯を炊き、別のクーラーから出した魚のアラや切り身、味付けした野菜を鍋に

ぶち込んで煮込んでいく。

「おー!飯盒でご飯炊いてる、私たちよりキャンプしてるねぇ。」

「ウチらはだいたいパックご飯やしなぁ。」

 

「これ、お刺身で頂けるんですか?」

そのリンの問いに大野が、ええ、と頷くと、山梨勢が一斉に沸き立ち、踊り出す。

「おっさしみっ!おっさしみっ!!おっさしみっ!!!」

海なし県の彼女たちにとって、地産の生魚を刺身で頂けるというのは垂涎のご馳走だろう、

レストランで食べるのとは一味違う、同世代の友人が釣った魚を一緒に食べるイベントに

心が躍らないはずもない。リンまで珍しく大垣たちと一緒に踊っているほどだ。

 

「(ま、喜んでもらえそうでよかったたい。)」

黒岩がそんな様を見て安堵する。考えてみれば彼女たちは山の女子達だ、ジビエよりも

むしろ単純な魚料理の方が喜んでもらえるのかも知れない。

・・・ただ、明日の朝昼夜も明後日の朝も魚料理確定なんだが、まぁそれはおいておこう。

 

 本日の夕食メニュー。

・バリをメインに、ブダイ、アジを加えた3種お刺身。

・上記のアラにカワハギ、ベラ、ガラガブの切り身、アジのつみれと野菜を加えた海鮮鍋。

・キスの骨せんべい。

・酢ダコ

・飯盒で炊いたご飯。

 

 -いっただっきまーっす!-

 

「うまっ!刺身うまっ!!」

「(白身にわずかに血合いの赤が鮮やかなその身、クチの中で爽やかな弾力を感じさせる

噛みごたえ、そして噛むほどに溢れる甘味、うまい・・・魚、ありがとう。)」

「お鍋、お出汁がすっごく美味しい!体に染みわたる美味さだよ~。」

「暑い夏に、汗かきながら食べるお鍋もええなぁ。」

 

「骨あるから気をつけてねー。」

「このお刺身の魚、今けっこう沸いてるから釣れるかも、トゲに毒あるんだけどね。」

「おかわりあるから・・・」

「ワサビいる人おる~?」

 

 和気藹々で進む夕食、普段縁のない漁師飯に大いに舌鼓を打つ山梨勢。ただ時期が

時期だけに、麦茶の消費量もかなりのペースだ。

と、さやかがテーブルの端から声をかける。

「おーい、私とみなみちゃんにも麦茶おねがーい。」

はいはい、と席を立つ夏海を大垣が止める。

「あ、私持っていくよ、お酒呑むときは水分取るべきだっていうし。」

「ありがと、んじゃあたしはお刺身持ってくよ、鳥羽先生まだ食べて無いでしょ。」」

千明がペットボトルの麦茶を、夏海が紙コップと刺身を取った皿を持って先生方の所に向かう。

 

 はいどーぞ、と呑んだくれ二人の左右から千明と夏海が、麦茶と刺身皿を置いたその時!

 

 さやかが千明を、鳥羽先生が夏海を、がしっ!とヘッドロック風にとっ捕まえる。

「っわぁ!」

「・・・ななな何ですか小谷先生!?」

「さやかちゃんでいいわよ~、千明ちゃん、野クルの部長さんでしょ~。ちょっとお酌がてら

色々話聞かせてよ~。」

「は、はいぃぃぃ・・・」

肉食獣に確保された小鹿のようにだらだら汗を流しながら、さやかの隣に着席させられる千明。

 

「夏海ひゃんまっくろれかわひ~わねぇ~、やまなひはあっついのにやけにゃくてへ~」

「鳥羽先生、呑み過ぎですよ・・・いいんですか?生徒の皆の前で。」

教師と言う立場を自覚させるべく、野クルの面々をダシにして逃れようとする夏海だったが・・・

「いーのいーの、いつものことらから~」

その鳥羽の言葉に山梨勢もうんうんと頷く、夏海は嗚呼、さやかちゃんと同類だ、と

心中で滝の涙を流す。

 

「でも今日の鳥羽先生、なんか酔い方違うね。」

「せやな~、普段はあんなに絡むタイプでもないんやけど・・・?」

いつもは単独で泥酔する鳥羽先生だが、なんか今日は妙に絡み酒モード入ってるようで

夏海の肩に手を回したまま上機嫌で話し続ける。ロレツが回ってないので何言ってるのか

夏海にはさっぱりだが。

 

「酒屋さんでバイト!?いいなぁ、ビール飲み放題じゃーん!」

「あ、まぁ・・・さやか先生はビールしか飲まないんですか?」

半分涙目の千明が振った話題がますますさやかを喰いつかせてしまう。彼女曰く酒飲みは

ビールに始まりビールに終わるのよ!など聞いたこともないたわ言をほざいている。

「そーだ、千明ちゃんが私と結婚すれば!私は毎日ビールのみほーだい!」

「ぎゃああぁぁぁーーっ!それはあかんヅラーーッ!!」

さやかが千明の顔面にタコみたいに口を伸ばしてキスしようと迫る、思わず絶叫しながら

身を反らして回避しようとする千明。

 

「あーもう、ええ加減にせんね!」

 ガタッ!と立ち上がってさやかに向かおうとする黒岩に、恵那が手をかけて止める。

「まぁまぁ黒岩さん、面白いからもうちょっとこのままで。」

そう言いながら嬉々としてスマホでその狂態を撮影し続ける恵那。黒岩は「よ、よかと?」と

冷や汗を流して固まる。さっきの髪いじりといい、この娘本当に度胸あったいね~、と。

 

「なつみひゃ~ん、うひのいもーとになんなはいよ~、りょ~こはもぉかわいけなくって~」

今度は鳥羽先生が夏海にキスを迫っている、夏海はやっぱ同じだぁ~と半泣きになりつつ

身をよじって懸命の抵抗を見せる。

「ちょ、ちょっと先生、やりすぎ・・・」

あわあわおろおろするなでしこの横で、リンがジト目で解説を始める。

「どうやら鳥羽先生、小谷先生とシンクロ酔いしてるみたい・・・。」

「そないなことがあるん?」

あおいの問いにこくりと頷いて続けるリン。

「おじいちゃんから聞いたことある、酔っちゃうとイイ気分になるけど、それをどう

表現していいか最初は良く分からないんだって。そんな時周囲に見本がいると

『自分もいいか』って感じで同じような行動を起こすって聞いたことがある・・・」

 それを隣で聞いていた陽渚が、冷や汗を一筋流しながら頬をかいて謝る。

「・・・なんか色々すいません。」

 

 結局、千明と夏海という尊い犠牲の元、二匹の泥酔怪獣は居並んで高イビキと相成った。

犠牲者が精神的ダメージを抜いている間、他の面々は二匹をテントに押し込み、食事の後片付けに

取り掛かる。もっとも一番手間なのが大量の酒瓶や空き缶の回収後始末なのだが・・・。

 

 合宿初日の夜はそんな感じで更けていく。さすがに遠距離移動からの釣り体験ほかで

くたくたの山梨勢は夜更かしすることも無く、テントに撤収した途端に深い眠りに落ちていく。

 

 

 明け方、なでしこはスマホのアラームで目を覚ます。んー、と眠そうな目をこすり

スマホを手に取ってアラームを止める、デジタル表示は朝の5時。

隣のリンはまだ寝息を立てていて起きる気配は無い、自分のアラームで起こさなかった

ことにほっとしつつ、シュラフから這い出てテントをそっと抜け出る。

 

 彼女のキャンプの楽しみの一つが、夜明けの景色と空気を感じる事。徐々に明るく

なってくる風景を眺めながら、朝の静謐な空気に身を浸すのが気持ちいいのだ、

折角臼州まで来たんだし、ここの朝を楽しまないのは勿体ない。

 

 管理棟の方に歩いていく彼女は、その先に複数の人の気配を感じ取った。

漏れ聞こえる会話を耳を澄まして拾うなでしこ。

 

 

「んじゃ、朝マズメ狙い行くっとぞ」

既に釣り準備万端のていぼう部の面々、ただ、さやか先生だけは頭を押さえて億劫そうだ。

「あーもう頭痛い、さすがに呑み過ぎた~」

「自業自得ですよ、ったく、ヒドイ目に遭った。」

「それより、野クルの皆が起き出す前に釣って戻らないと・・・」

陽渚の提案に大野がうんうんと頷く。

 

「ま、さすがに釣果無かったからって、食事が米だけってワケにもいかないもんね。」

「せっかく山梨から来てくれたたい、イイ思いして帰ってもらわんば。」

「最低限の食材はしっかり確保しておきましょう、もし彼女たちも釣れたら私らのは

お土産にすればいいし・・・」

「今から釣るついでに撒き餌もしておけば、みんなが釣る頃にも魚来てるしね。」

「うっし、行くぞ!」

 

 ばたばたと海に駆け出すていぼう部の面々、目標は今日の昼と夜のおかずの『保険』、

あわよくば彼女たちが帰る時に渡す『お土産』だ。

朝食の準備の時間までに戻る必要がある短期決戦、時間を無駄には出来ない。

 

 

 

 -臼州、芦方の夜が明ける-

 

 なでしこは少しづつ明るくなる景色をゆったりと眺めながら、別の晴れやかさを、

嬉しさと申し訳なさを混ぜ込んだ感動をじっくりと、そしてじんわりと味わっていた。

 

「・・・来て、よかった。」

 




千明「米だけ?私は全然OKだぞ~!バリバリバリ!」
あおい「ちょ、アキ何やっとるん、生米なんかかじったら体に悪いで!」

千明「米じゃ~、 米が(コメント) コメ(かんそう)が欲しいんじゃ~~~!!」

あおい「初めて使う振り仮名機能がソレかい!」
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