グビ姉vsビールバカ、南海の大決戦! 作:三流FLASH職人
亀ヶ浜海水浴場、AM9:30。いよいよていぼう部+野クル+2名による釣りコンペのスタートだ!
各組が思い思いの仕掛けを携え、狙ったポイントに向かう。
「ウチらは砂浜からでええん?」
「うん、あおいさんキャスティングがスゲー上手だったから、キス釣りに予定変更!」
夏海はにかっ!と笑いながら用意していた仕掛けをあおいに渡す。
「で、エサはコレね。」
「うわキモっ!」
青虫を見た瞬間に顔を青ざめさせて引きつるあおい。そんな彼女に夏海は大丈夫、すぐ
慣れるからとなだめつつ、指でちぎって針に付けていく。
「(昨日はルアーで手に臭いがつかんで助かったんやけど・・・なんで路線変更したんやろ?)」
そんなあおいの疑問の答えは、今朝の朝食時の黒岩の一言だった。
「「ごちそうさまーっ!」」
本日の朝食、ガラカブの味噌汁と唐揚げにご飯、あとサービスで漬物。
特に味噌汁は大好評で、大き目の鍋ふたつで作ったそれはあっけなく空になった。
食後、さやか先生がトイレに、鳥羽先生が歯磨きに席を立ったタイミングで、黒岩が皆に向けて
こう発した。
「さて、ここで釣りコンペの罰ゲーム発表~~」
その言葉に一同がびくっ!と硬直する。食後の余韻が緊張によって一気に吹き飛んだ。
果たして何をやらされるのか、と戦々恐々と聞き入る一同。
「最下位のチ~ムは今夜、さやかちゃんと鳥羽先生を接待たい♪」
「「え、えええーーーっ!?」」
「いや~、ホントはもっとソフトなん考えとったばってん、こっちのほうがより
ヤル気でるやろ?」
昨晩の先生方の狂態を思い出して一同ぶるぅっ!と身震いする。昨日の犠牲者である
夏海は、なんでよりキツくなるんだ!と抗議の声を上げる。
「っていうかあたしと大垣さんは昨日やったじゃん!不公平だよユウ姉!」
千明もそーだそーだ、と不服の声を上げ、その横でなでしこが逃げに入ろうとする。
「あ・・・私は昨日魚釣ったから、安全圏・・・だよね、朝ごはんになったし。」
なでしこのその提案は、大野以外の全員の『ノーカン!ノーカン!』コールで粉砕された。
この最悪な罰ゲームのルールによって、各組は一段階ギアを上げて来た。
夏海はシーバスを諦め、確実に数を見込めるキス釣りにチェンジしてきたのだ。
今のキスはかつてのチョイ投げ時よりやや大きくなり、波打ち際より多少遠くに飛ばさないと
ヒットは難しいが、昨日あおいにキャストを教えたところかなりの距離を出せるように
なっていたので大丈夫だろう、との判断だった。
他の3組は海水浴場の端っこにある堤防の先に陣取っていた。黒岩と恵那はフカセで
グレ狙い。陽渚、千明、リン組も昨日と同じカワハギの仕掛けて挑戦する。
大野となでしこは穴釣りからノベウキ釣りにスイッチしていた。大野曰く、この釣り場は
穴釣りには向いていないとの事。不安そうななでしこだったが、竿を入れた途端に
キュウセン(ベラ)の25cm級をヒットさせて自信回復、ふふんと鼻息も荒く、更なる
釣果に挑む。
陽渚チーム(陽渚、千明、リン)は堤防の先端に位置し、砂浜側、沖側、岩場側の3方向に
3人で同じ仕掛けを放って挑む。どの方向がよりヒットするかを3人がかりで探り、効率のいい側に
移動してより多くの釣果を上げる作戦だ。
「おーおー、鶴木もいろいろ工夫するようになったとねー。」
「感心してる場合じゃないと思うんだけどー・・・」
関心する黒岩の横で恵那が苦笑いを見せる。どうもあの最悪の罰ゲームを提案した割に
黒岩に焦る様子はなく、むしろ余裕すら伺わせる。何か秘策でもあるのかなぁ・・・?
「斉藤さんはどんどん竿を出すとよかよ、うちは撒き餌担当するっけん。」
そう言ってチェアーに腰かけたままくつろいでいる黒岩を見て『ええー?』と心で嘆く。
が、黒岩も別に手を抜くつもりはない、いわゆるエサ取りの小型魚が大量に沸くこの時期
仕掛けを大物まで届かせるには撒き餌を上手く使ってエサ取りを誘導する必要がある。
あとはまぁ海と魚の機嫌しだいだ、釣れる釣れないは運の要素も大きく、必死になって
釣れるなら苦労はしないのだから。
9:42、先端岩場側で釣っていた陽渚が本命のカワハギ20cm級をゲット。その場所をリンに
譲って沖側に移動するが、そこでもまた同じサイズをゲットする。
10:01、恵那に初のHIT!その引きが大物を予感させる。周囲の皆も手を止め見入る中
黒岩のタモ網が獲物を掬い上げる、見事35cm級のグレをゲット!
10:15、なでしこが根がかりを起こし、無理に引っこ抜いたせいで糸がハデにもつれる、
大野が処理しようとするが、なでしこは涙ながらにこれを拒否する。
「大野さん、私に構わず釣ってー、私の屍を超えて行けー!」
それから5分、糸は全くほどけなかったが、それに気付いた陽渚がやってきて
ものの30秒で解いてみせる。
10:22、大野が何かをヒットさせるも振り回された挙句に糸を切られる。大野自身もファイトの
最中に「これはのべ竿では無理なサイズ」と見切りをつけていたようで、ロストにも
落胆は無かった。多分先に食った小魚に何か大物が食いついたのだろう。
10:30、先端砂浜側で釣っていた千明に手ごたえあり!悪戦苦闘の末に釣りあげたのは35cmほどの
斜めに縞模様が走った、やや平べったい魚だった。
「タカノハダイですね。外道として好まれない魚ですが、キチンと処理すれば美味しいですよ。」
大野が先ほどの糸まつりのお礼にと千明に内臓処理を指導する。千明は慣れない〆作業に
百面相しながらも無事処理を終える。
「一線を・・・超えちまったぜ。」とは捌いた後の千明の談。
10:42、恵那が2匹目のグレをゲット。釣り人垂涎のこの魚を初心者の恵那が連続で釣ったのは
やはり黒岩の適切な撒き餌処理が功を奏したのだろう。
ただ、この2匹目で恵那は腕の疲労でギブアップ、黒岩と選手交代して、はふぅ、とチェアーに
満足げに座り込む。、
10:51、リンが待望のHIT!ここまで完全ボウズだった彼女はおっかなびっくりで竿と格闘。
しまいにはファイトを脳内で自主実況しだす始末である。
「(この手ごたえ・・・只者では無い、相手にとって不足はない、我の竿の初血となるがよい・・・)」
などと逃がすフラグを立てまくってはいたが、無事に25cm級のカワハギをゲットする。
10:59、収竿寸前に黒岩にHIT!終始冷静に釣り上げたのは40cm級のグレ。上がった時には
タイムアップだった皆が見守る中、ていぼう部部長の実力を見せつけた。
「結果発表~。」
調理場に戻った一同を前に、黒岩が芝居がかった声で結果を告げる。
「1位、夏海、犬山さんコンビ~、キス18匹也。」
作戦的中。いぇーい!とハイタッチする夏海とあおい。堤防で悪戦苦闘する他の組を尻目に、
2人は砂浜でばんばん釣果を上げていたのだ。
「2位、あたしと斉藤さん組~、グレ3匹たい。」
むん、と笑顔でガッツポーズする恵那。ちなみに採点方法は釣った数でも重さでもなく
「いかに食事のオカズに貢献するか」である。さすがにキス18匹には及ばなかった。
「3位~鶴木、大垣さん、志摩さんトリオ~、カワハギ3匹にタカノハ1匹。」
なんとか現時点で最下位を免れた陽渚がほっとする中、千明とリンは初の海釣りでの釣果に
うっし!と目を光らせてガッツポーズを交わす。
「んで現状最下位~、大野、各務原さんチーム、キュウセン2匹とアジ1匹~」
その結果になでしこが目を丸くしてひえぇぇぇっ!と頬に手を当てムンクの叫びのポーズ。
と、その肩に何か熱いものが添えられる。
「大丈夫、午前で今日の傾向は把握した、午後の部で絶対取り戻すから・・・」
大野が全身にゴゴゴゴゴ!と燃え盛る炎を纏ってなでしこに活を入れる。
「おお、大野先輩が燃えてる・・・本気だ!」
「こりゃ午後からヤバかばい、気合入れんと逆転されっとぞ。」
「さぁさぁ、食事の支度にかかるわよ。午後から余裕を持って行動したいでしょ?」
鳥羽先生の言葉にさやかもうんうんと頷く。昼食後は休憩の後、さやかの車で軽く
芦方観光に出る。さすがに夏の炎天下で釣りはキツいので、午後の部はPM4:00からの
スタートとなるのだ。
「はーい。」
「それじゃあ・・・」
皆が呼吸を合わせて、調理場に掛け声を響かせる。
「ていぼう部と」
「野クルの」
「「お料理、がんばるぞっ!!」」