SAO 回避タンクという狂気   作:ぽつさき

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彼の名前はスイレン

ソードアート・オンラインというゲームを知ってますか?

もはや説明の必要もないほど有名なゲームです。

フルダイブという仮想現実の中へ自らの意識と体を持って飛び込むことができあらゆる非現実を体験することのできる新世代のゲームです。

その中でもソードアート・オンラインというゲームはベータテストの時点でかなりの注目がされており、製品版の初期ロット1万本も一瞬で売り切れという発売前からの圧倒的人気を誇っていました。

 

発売後ソードアート・オンラインはさらに有名となります。

超人気ゲームがデスゲームとなったのです。ゲームの参加者がゲームオーバーになると現実の体も死んでしまうのです。ナーヴギアと呼ばれるソードアート・オンラインを遊ぶためのVRマシンを外しても同様に脳に電磁波が流れ死んでしまうという恐ろしい仕掛けにたちまち世界中でニュースとなりました。

 

助ける方法もなくある日ゲーム参加者が死んでいくゲーム【ソードアート・オンライン】そんな遊びの枠を超えた死のゲーム、そこに幸か不幸か彼は居ました。

 

彼の名前は【スイレン】

 

ゲームが大好きでちょっぴり個性的な彼が仮想現実の中で戦っていく、そんな物語です。

 

 

***

 

 

ここは始まりの街。あの日このゲームの開発者茅場晶彦(かやばあきひこ)によってこのゲームの真実が告げられてから1ヶ月。第1層が攻略され、そして第2層も攻略された。

死のゲームの恐怖に心が崩れてしまった人達の殆どはその活躍を始まりの街で見守っていた。

 

《攻略組》と呼ばれる彼らはこの街を旅出て行った。より強い装備品、より高い経験値を求め今も第3層を戦っているのだろう。今この街には戦おうとする人はいない。

もし敵に攻撃されたら? 回復が間に合わなかったら? 少しのミスで本当に死んでしまうと思うとチュートリアルで戦うような敵とでさえ彼らは立ち向かうことができなかった。

 

そんな彼らのすることといえば配布される新聞などで攻略組の進捗をみたり愚痴を言い合うことくらいだった。

 

「もうすぐ第3層がクリアされるらしいな」

 

「あぁ、1層で1ヶ月かかったのにそこから早かったな」

 

「これならいつか俺たちも現実に帰れるのかな」

 

「俺たちは安全な場所で待ってればいいのさ。あとは勝手に奴らが頑張ってくれるって、この街のみんなそう思ってるぜ」

 

「そうだな。あいつ以外はな」

 

そう言って街の噴水にもたれ掛かりながら無気力な様子で二人の剣士が話していた。彼らはこのゲームと戦うことを放棄したリタイア組だ。敵の入ってこない安全な街でクリアを待っている。

この街にはそんな人が大勢いる。死の恐怖に負けて自ら命を投げ出すものさえいた。そんなリタイア組がひしめく街の中、キラキラとした瞳で街を歩く異様な少年がそこにはいた。

 

そう彼こそが主人公、スイレンだった。

 

 

 

***

 

 

 

どうもこんにちは。スイレンです。このゲーム、ソードアート・オンラインが始まってから1ヶ月が経ちました。攻略組というさくさくプレイの人たちは街を出てどんどん階層を登っているそうです。

僕はじっくりプレイなので第1層を隅々まで探索中です。

 

なんていうんでしょうか、全部のクエストが終わってないのに次へ行くっていうのが苦手なんですよね。旨味のないクエストだって誰かが頑張って考えて用意したものだしNPCとはいえ困っている人がいるわけですからね。その人達を助けると気持ちいいじゃないですか。

 

しかもこのゲーム、モンスターごとにキチンと攻略の仕方が用意されつつ個体差もあるんですよね。人懐っこいのから好戦的なのまで様々です。となると当然対応の仕方や攻撃の癖なんかを知りたくなってきますよね。

モンスター一体につき3日以上張り付いて行動パターンや攻撃方法を逐一調べてたらもう何にも進みませんよね。

 

しかもクエストは日にちによって変わったりNPCの行動によって発生したりクエストをクリアしたことで発生するクエストもあったりしてもうやること沢山でわくわくです。

 

そんな僕のことを始まりの街の人達が《臆病者》とか《雑魚狩り》って言いますけども僕は僕なりにゲームを楽しんでいるので問題無しです!

 

さぁ今日はオオカミ型モンスター《ウルフィー》の攻撃頻度、個体差による攻撃速度の検証に向かいますよ! 勿論ソロですけどね。

 

 

***

 

 

街を出てウルフィーと対峙する。僕の武器は短剣。あらゆるスキルの硬直が少ないので気に入ってます。なんか忍者! って感じがしますよね。

 

エンカウントしたウルフィーが噛みつき攻撃をしてきました。一歩後ろに下がってから左に逸れます。それだけでウルフィーの基本攻撃の8割は躱すことができます。

まだ一層だからでしょうか。この辺りのモンスターは攻撃し始めた時点のプレイヤーのいた場所を攻撃するようです。その傾向があると頭に入れておくだけでかなり戦いやすくなりますね。

 

ウルフィーが爪攻撃をしてきました。ウルフィーはみんな左利きなのか必ず左の前足で攻撃してきます。爪攻撃の前には必ずグルル……とうなってから攻撃してくるのでかなりわかりやすいです。そしてこの攻撃はパリィをすることでウルフィーにかなりの隙を作ることができます。チュートリアルって感じですよね。

 

パリィとはソードスキルの一つで敵の攻撃を弾く技です。パリィのスキルを使いながら敵に攻撃を弾くと隙を作ることができます。これがかなり楽しいです。

 

んー、この子は攻撃頻度が高いですね。さっきの子は2回攻撃すると距離を取ってました。メスの方が攻撃頻度が高いんでしょうか? でも昨日の子はメスでも距離を取りましたね。

 

ウルフィーの攻撃を回避しながら考えていると遠くに小さなウルフィーを見つけました。

 

「君はお母さんだったんだ。 なるほどだね」

 

モンスターにも家族構成があったようです。その関係性によって個体能力に変動があるようですね。これは大収穫です。

 

もしやと思いウルフィーから離れてみるとお母さんウルフィーは逃げていきました。

 

「んーモンスター達にも愛はあるんだねぇ」

 

もしかしたら仲良くなれるモンスターとかもあるのかもしれませんね! これからが楽しみです。

 

ひとしきりウルフィーと戯れつつ回避やパリィの練習をし日が沈んできたので街に帰って来ました。

元気に動き回ってるのはNPCくらいでプレイヤー達は項垂れているかトボトボと歩いているかです。

 

こんな死のゲーム不安で仕方ないに決まってます。しかも自分の現実の体がどうなってるかも分かりません。

不安な気持ちが溜まった人達はよく僕に攻撃をしてきます。街の中ではダメージが入らず衝撃がある程度です。ただ向けられた悪意は心にダメージを与えます。

 

「おいおい、チキン野郎が帰ってきたぜ」

 

「また雑魚モンスターと遊んできたのかよ!」

 

「街から出ねー俺たちのことバカにしてんだろ?」

 

いつものように街に帰ってきた僕に野次を飛ばす人達。投げられた石が体に当たって落ちます。悲しいし辛いけど街でやらなきゃいけないクエストもあるので挨拶だけ返し街を進みます。

 

NPCの引っ越しのクエストが再発生していたので行います。一緒におばあちゃんのお使いクエストと迷子猫クエストが同時進行しやすいので残しておくと楽ですね。どちらも3日に1度受けられるので小銭稼ぎにぴったしです。

 

それを行いつつ商店で冒険者ブックの確認。

これはプレイヤーが作っているアイテムで攻略に必要な情報などが毎日更新される最強アイテムです。今回は第3層のクエストの話ばかりなので1層のものは無いですね。とはいってもここ数日1層の情報なんて出て無いんですけどね。

 

クエストも何度もやることで変化したり新しいものが出たりクリアの仕方で変化を起こさせたりやりたいことがいっぱいです。

 

このゲームを作った人は天才で頭おかしいと思います。最低のゲームだけどゲームとしては最高だと思います。死んでしまうかもしれないけど、ゲームとして最後まで自分らしく遊んでいきたいと思います。

 

そんな僕も頭がおかしいのかもしれませんね。

 

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