みなさん聞いてください! なんと第1層のモンスターやクエストに満足できたのでついに第2層に進出です!
第2層は牛がテーマっぽくて牛みたいな人がいたり敵にも牛型のものが多いです。
牛乳系のアイテムなんかがあって面白いクエストも沢山ありそうです!
そしてそしてなんとここではエクストラスキル《体術》を習得できるようなんです。
ソードスキルにはパッシブとアクティブがあってアクティブは攻撃系のスキルが多いですね。パッシブは補助系のものが多いです。
アクティブのスキルには硬直があるものが多いのであまり好きじゃないです。なんていうか沢山動き回りたいんですよね。せっかく元気な足があるんですからね。
なので敏捷性であるAGIに補正のはいる体術スキルは絶対に取りたいスキルですよね!
僕のキャラビルドはいわゆる極型です。それもAGI特化型と言われるもので敏捷性重視です。やっぱり速さですよね。速さは裏切らないですよ。新幹線とトラックなら新幹線の方が強そうですもんね。
なので敏捷がよく上がる短剣を使い装備も軽さ重視で敏捷が上がるものを付けています。なので防御力が低いんですけど、ボスとはまだ戦わないし攻撃に当たらなければ0ダメージですからね。
うきうきしながら第2層の街《ウルバス》を歩きます。ショップをチェックし武器屋・鍛冶屋に顔を出します。当分武器を新調する気はないので店員さんに挨拶をする程度です。
情報書を見ながらウルバスの路地裏を歩きます。ウルバスの南の小さな小屋へ着くと優しくノックをします。
情報通り誰も出てきません。小屋の裏に回ると紙が落ちてました。読むと街の地図のようです。バツ印が書いてあるのでそこへ向かうようですね。
するとクエスト開始の文字が空中に出ました。そして横には3:00の数字も浮かんでいます。
時間制限クエストです! これは腕が、足が鳴りますよ!
街の中をひたすら走ります。屋根の上を跳んだりボロボロの床を避けて壁を走ったりしながら印へと向かいます。
僕はAGI特化なのですいすいと進んでいきます。難しいクエストと聞いていたんですがなんとかなりそうです。これは情報屋さんに追加でお金を払わないといけないかもしれませんね。
たどり着いた場所に老人がいました。白いひげを蓄えたご老人でなんというかTHE達人って感じです。
「よくここまで来れたな。貴様の足には風が宿っておる」
「ありがとうございます」
「褒美に力を与えよう」
「やったー体術きた!」
所有するだけで敏捷性アップの体術スキル。使用することでさらに一定時間敏捷性を上げることのできる僕にとっては最強必須スキルですね。
スキルの説明欄を見ているとふと気づきました。
達人老人は今も木の椅子に座っています。ぼさぼさの白髪で見えませんがこちらを見ている様子です。
木の椅子の横には使い古された見事な刀が置いてあります。
クエストが終わったせいか達人老人は特に動きません。
そう、クエストが終わったのになぜかこちらを見ているのです。これは気になります。
「ご老人、どうかされましたか?」
「……」
「……」
反応はありません。が確かにこちらを見ています。
僕の鼻がクエストの臭いを嗅ぎつけました。
「違ってたらすみませんですね」
僕は初期装備の短剣を抜きます。
と同時に僕の喉目がけて目にもとまらぬ一閃が走りました。
「きたきたぁ! 対人戦!」
目の前には椅子を蹴り飛ばしいつ抜いたのか赤い刀身の刀をもつ老人の姿が。久しぶりの対人戦です! しかもこれはかなりの強敵ですよ。
短剣を逆手に構え3歩下がります。老人は居合の構えです。向こうの間合いはこちらの2倍か3倍はあります。そしてさきほどの一閃の速さはかなりものです。
しかしビビっていても仕方ありません。この戦い、命がけで楽しみましょう。
僕はボクシングのように体を丸めステップを踏みながら老人へ突っ込みます。フェイントを挟みますが老人は全く揺れることなく居合の型を崩しません。
「っ……だぁ!」
間合いに飛び込んだ瞬間居合が僕の首目がけて放たれます。それを反射でパリィ。さらに間合いを詰めます。あえてこちらから攻撃をせず老人の返した刀をさらにパリィ。
さらに老人の突き攻撃を3つ避け2つをパリィし下がります。
「ふぅー」
まず敵の初手攻撃に体を合わせます。敵も敏捷型のようで攻撃がかなり早いです。間合いは遠く速さも互角なのでこちらはかなり不利なようです。
なるほど燃える戦いです。
もう一度突っ込むと全く同じ攻撃をしてきました。次は突き攻撃をすべて避けます。その後大きな縦切りが来たのでそれをパリィ。明らかに大きな隙ができたのでがら空きの胴を2回切りつけ後ろに飛びます。
一瞬のあと頭のあった場所に剣閃が光りました。
このパターンで行けば時間をかけて倒せそうです。HPバーが見えないので分かりませんが一定量の体力減少で行動パターンが変わるに違いありません。
と思いきや老人が刀を下ろします。
「見事な剣捌き。よくぞ体術スキルをものにした。貴様の腕には雷が宿っておる」
「ん?」
「褒美にこれを授けよう」
そういってご老人が消えていきます。まさか一撃入れたらクリアってことですか? なんてもったいない!
拍子抜けな展開にぽかんとしていると空中にNEWスキルの文字が。
《見切り》を習得しました。
見切りスキル。パッシブでパリィに補正、敏捷に補正がつくようです。いやそんなことよりご老人です。もっと戦えると思ったのに!
スキルを見ているとご老人が煙のように消えてしまいました。残ったのは横たわる木の椅子のみ。
一回のみのクエストでしょうか。再戦がしたいです。
もう一度体術スキルのクエストから受けようかと思ったんですが駄目でした。第1層では人型の敵がいなかったので楽しみだったんですが……残念です。
しかし体術に見切りという敏捷型スキルを得たのはかなり大きいです。体に慣らしつつさらにクエストやモンスター調査を行わないとですね。
***
ということ始まりの街に戻ってきました。街と街は繋がっていて移動することが可能です。なのでいつでも戻ってこれるという訳ですね。
なぜこんなあまりいい思い出がない始まりの街に戻ってきたかというとあることを閃いたからです。
嫌われ者である自分への皆さんの敵意と僕の欲求を兼ね備えたその名も《デュエル屋さん》です!
ソードアート・オンラインにはデュエルというシステムがあります。プレイヤー同士が承諾すると一対一の決闘が行えるというものです。
死ぬまでか体力半分か一撃決着と色々と選ぶことができますがプレイヤー同士で文字通りの殺し合いになるのでやってるのは見たことがありません。
そこでデュエル屋さんです。買ったら賞金にしておいて参加費自由にすれば僕をボコボコにしたい人は集まってくるでしょう。僕は対人戦ができるし始まりの街の人はガス抜きになりみんなお得です。
もちろん設定は一撃決着です。そうすればHP全損のダメージを受けても死なずに決着になります。そこは確認済みです。
さぁ早速開業です。
初日から色んな方が来てくれました。こちらからは攻撃無しの時間制限2分間です。パリィや回避をするのに人を相手にするのはかなり有意義でした。フェイントの有無やその人ごとのリズムや呼吸があってどの人とのデュエルも学ぶことだらけです。
初日は全て時間切れで終わりました。
「逃げてばっかかよこの臆病者がよぉ」
「2層に逃げたとおもったらボコられに戻って来やがったな」
色んなことを言われますが僕は僕なりにこのゲーム、楽しんでいこうと思います。