SAO 回避タンクという狂気   作:ぽつさき

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防御特化投擲ビルド

こんにちは! みなさん聞いてください。僕にパーティメンバーが出来たんですよ! 

《ミリン》というキャラネームで黒い髪のショートカットの女の子です。この世界に来て不安が多いのかハムスターみたいに丸くなっておどおどしていることが多々ある可愛らしい方です。

 

困っている時に偶々近くにいたので少しだけお力を貸してからの仲です。引っ越しクエは他とは違って特殊な要素が多く不具合や抜け道があるだろうと思ってもなかなか検証できずクエストバグの実証もできて大満足です。

 

早速お得情報として周知してもらいましたが殆どのプレイヤーが引っ越しクエを終わらせており悔しさに唸る声が沢山上がったそうです。

 

ミリンは殆ど戦った経験が無いそうなのでまず一通りの武器を使ってみて適正を調べています。

 

「ひー、ひー」

 

「次は斧行ってみますか。柄も長いので敵と距離取れますし一撃が重いので鎧破壊や部位破壊も得意ですよ」

 

「あの……まだやるんですか?」

 

「朝からなんでぼちぼち6時間くらいですか。そろそろ休憩しますか?」

 

「え……? 休憩ってことはまたその後も」

 

「そうですねーパリィの練習はしなくちゃですし1層で取れるスキルやエクストラスキルは押さえておきたいですね」

 

「ひぃ! む、無理ですぅ!」

 

「んーそうですか。すみません、僕は楽しくなるとやりすぎちゃうことありますからね」

 

始まりの街近くの平原マップに出てから6時間。武器を使ってはイノシシ型モンスターを攻撃し、武器を変えては敵を探しをやっていたらとっくに昼を過ぎていたようです。

ついつい自分のペースで進めてしまいました。楽しいゲームでやりたいことが沢山あるとなかなか止め時見つかりませんよね。

 

ミリンも疲労困憊といった様子で地面に倒れるように座っています。HPは殆ど減っていないので精神的に疲れた様子です。

 

殆ど戦ったことが無いミリンにこのペースでの活動は心労が多かったようですね。反省です。

 

「じゃあご飯にしましょうか」

 

「こんな敵も出るマップの真ん中でいいんですか?」

 

「あの大きな一本杉あるじゃないですか。あの傍には夜しか敵が出ないんです。なのでゆっくりできるんですよ」

 

「スイレンさんってほんと何でも知ってるんですね」

 

「何でもは知ってないですよ。第1層は特に念入りに遊びましたからね。人より多くマップにいただけです」

 

一本杉に移動してからお弁当を広げます。メニューは魚の串焼きとパンです。微妙な組み合わせですが第1層で食べるものの中では漁師NPCの息子から貰える串焼きが一番美味しく空腹値の回復が一番大きいパンが色々とコスパが良いです。

 

「はー」

 

「やっぱり戦いは怖いですか?」

 

「……はい、怖いです。自分が死ぬのも自分がミスをしてスイレンさんが死んでしまうのも怖いです」

 

「大丈夫ですよ。ミリンがどんなミスをしても僕が必ず守りますから」

 

「ありがとうございます。でも……」

 

ミリンのプレイスタイルを半日見ていて分かったのは彼女はとても優しい人だということです。攻撃されることよりも攻撃することに恐怖を覚え、自分の失敗で人に迷惑をかけることを極端に嫌がります。

他に遊んでいたゲームでもヒーラーであるとか支援職を好んで使っていたことから後方支援が性格的にも好きな様子です。

ソードアート・オンラインでは基本的には職業は無く全員が剣士でありどの武器を使うかという違いしかありません。

盾を使う方がタンクで他は攻撃といった感じの違いはありますが攻撃が苦手というとプレイスタイルはかなり限定されてきます。

 

「んーむ、いっそ武器持つの辞めてみます?」

 

「またスイレンさん変なこと言い出しました」

 

「いえいえ割とマジですよ。筋力重視でステータスを振りながら片手剣を装備しなければ強めで大きい盾も装備できますからね」

 

「そうしたら最前線でタンクしなきゃなのにパリィができないからボコボコにされちゃいますよ私」

 

「敵視は僕が取りますのでミリンは《投擲》でダメージディーラーになりましょう」

 

「あのナイフとか投げるやつですか? そんなの私当てられませんよ」

 

「そのために盾を持って近づいて投げればいいんですよ」

 

「毎回すごいこと考えますねスイレンさんは」

 

「よーしご飯食べたら投擲スキルの練習しましょう! 今日で熟練度どれだけ上がるかなぁ」

 

「私の物語の2ページ目はこれでいいのかなぁ」

 

ソードアート・オンラインに役職が無いのはつまり自由な発想で遊べということです。防御特化投擲ビルド、面白いと思います。

投擲は隙も少なく熟練度が上がれば重たい物も慣れられるようになるし飛距離もダメージも上がります。さらにシステムアシストもあるため苦手でもシステムがなんとかしてくれます。

投げるのは片手でいいですし投擲するものは装備ではないので筋力値も要求されません。これは名案の臭いがしますよ。

 

「さっそくイノブーとウルフィーで練習です! これは忙しくなりますよ!」

 

「こうなったらどこまでも付いてきます」

 

 

***

 

 

「こんなの当たりませんよ!」

 

「もっと肩の力を抜いて投げようとはせずにスキルシステムに乗せるイメージです」

 

「何言ってるんです?」

 

 

***

 

 

「剣を投げるってバカなんですか!?」

 

「いや筋力値要求が半減なので投げられるはずですよ。外したら拾いましょ」

 

 

***

 

 

「同時に3発投げるなんてできません! 忍者じゃないんですよ!」

 

「そうですよね、女性はくのいちって呼ぶんですよね」

 

「呼び方の問題じゃないです! もうっ、この!」

 

「あぶな! 3本投げれてるじゃないですか」

 

「避けるなこの!」

 

 

***

 

 

そんなこんなで僕はパーティでの冒険を始めました。初めは大変そうだったミリンの投擲ビルドでしたが文句を言いながらも性に合っているようで毎日マップに出ては僕が敵視を取りパリィをしながら剣やナイフを後ろから投げてます。

 

剣は投げると耐久値がゴリゴリ削れるようでここは対策が必要かもしれませんね。

僕は装備は状態異常チュートリアルで装備した麻痺短剣を使用しています。なんとこの短剣、クエスト中装備なのでなんと耐久値が無限なんです! その代わり攻撃力が最低なんですけどね。

状態異常のチュートリアルは終わるまで移動ができないんですが受注と同時に転移結晶で移動すればなんとクエスト状態を保持しながら移動することができるんです。ほんと抜け道と言えば転移結晶ですね。

 

なのでドロップ武器は全て投げつけていく方向で僕らのパーティは決まりました。

 

「もう腕が痛いです」

 

「よくできました頑張りました」

 

「スイレンさんと冒険するようになって数週間、夜は毎日ヘトヘトです」

 

「初めは起き上がれませんでしたからね。そう思ったらすごい成長ですね」

 

始まりの街へ戻ってきて夕食中。小さな食堂でご飯を食べながらミリンが腕をさすっています。今日だけで300本以上のナイフや針を投げました。さすがに疲れたんでしょう表情からも疲労がうかがえます。

 

「スイレンさんはこれからいつものです?」

 

「そうですね、日課みたいなものなので」

 

「スイレンさんって頭もおかしいですけど体力も化け物ですね」

 

「敏捷特化なのでHPは筋力ビルドよりかなり低いですよ?」

 

「その体力じゃないです」

 

もう寝るというミリンを宿まで送ってからいつもの日課、デュエル屋さんのため噴水広場へと向かいます。

 

すでにリベンジを狙う冒険者の方たちがアップをしていて待っていてくれたようです。攻略組は先日第5層を抜けたようで着実にクリアへと向かっています。残された人たちもこのでの生活に慣れそれぞれ楽しみややることを見つけているようです。始まりの街にも閉塞感が薄れているように思えます。

 

「やっときたなぁスイレン、今日こそその顔にこのハルバードぶち込んでやるぜ」

 

「ベイロンさん装備変わったんですね! わざわざ3層からいつもありがとうございます」

 

「俺も攻略組になるために頑張ってるからな。お前を倒して自信をつけたいのよ」

 

「そういうことなら手は抜けませんね。今日もよろしくお願いします」

 

デュエル屋は生きた戦闘の入門編としても扱われているようでこうして攻略組を目指したり街の外へでて戦おうと思っている人の調整や鍛錬にも使われています。

幸い僕はモンスターや対人戦の知識だけは人よりはあるので求められた方にはアドバイスなどもできるよう頑張っています。

 

現在129勝目、目指せ200勝を目標にこれからもデュエルしていきますよ。

 

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