誕生日プレゼント(ヒーリアの話)   作:アラウ

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第1話

「ヒーリアさん、ご兄弟からお荷物ですにゃ。」

 

 てちてちと荷物を運んできたアイルーを見れば、その頭の上には大きな箱が二つと小さな箱が一つ、それと手紙が一通。

 

「…どっちの姉弟なんだい?」

 

 答えは分かっていたが一応尋ねる。机の空いている場所にどん、と荷物を置いたアイルーはにゃんと笑った。

 

「弟くんの方ですにゃ。」

「送り返してくれ。」

 

 一瞬で渋い顔になったヒーリアは荷物を無視して書類仕事を再開した。明日の取引に持って行く書類のチェックを終わらせて、そろそろ皆の給与を計算してーー。

 

「お姉さん宛の荷物もありますにゃ!」

 

 早く確認しなさいにゃ!と押し付けられた荷物を渋々確認する。食品、雑貨、雑貨。軽く持ち上げてみるとそこそこ重いものと見た目のわりに軽いものと小さいわりに重いもの。何が入っているのか、前は強走薬がわんさか入っていたな。口をへの字にして考え込むヒーリアに、せっかちなアイルーが一番上にあった手紙を寄こしてきた。

 

 ――飯食ってない兄貴へ、ハルシア

 

 夏の空を映した湖のような、何色かの碧色が美しい封筒に押された金色の封蝋。その下に寝ている相変わらずふにゃんとした丸っこい字にヒーリアの口端がひくりと歪む。飯は昨日食べた、玉子とハムのサンドイッチだ。内心そう言い返しながら封を切るとたった一枚の手紙に短く踊る文字の羅列。

 

 ――よぉ兄貴、元気だよな?飯食えよ、サンドイッチじゃ筋肉付かねぇぞ。美味い団子入れてあるから姉さんに送ってくれ。少しなら兄貴も食っていいよ。軽い方には姉さんに誕生日プレゼントが入ってる。ちっと早いけどな。兄貴のは筆ってやつ、小さい箱の方。俺が作ったんだぜ?喜べよな。じゃ、ちゃんと飯食って寝ろよ、荷物よろしくな。

 

 端にちょこんと描かれたガルクとアイルーの絵の下に小さく「ディールとルヴァン」と書かれている。普段のやかましさからは想像ができない可愛い絵にちょっとだけ和んだ。手紙に落書きをするなと思いながら荷物を開けると、ヒヤリとしたアイシスメタルの間に確かに団子の包みが入っていた。

 

「新大陸までどれだけ時間かかると思ってるんだ。」

 

 いくら冷やしても時間がかかっては駄目になってしまう。残念だが団子は全部こちらで食べてしまおう。姉さんは残念に思うだろうが代わりに皆から食べた感想でも集めて送ろう。笑って許してくれるはずだ。

 プレゼントの箱は軽いわりには厳重に包まれていた。そのままヒーリアが用意していたプレゼントと一緒に新大陸行の荷物にまとめる。一抱えほどの大きさになってしまったそれをアイルーが白い目で眺める。彼女に荷物を減らせと言われたのは何度目だったか。

 最後に残った小ぶりで質素な箱を開けると馴染みのない筆記用具が一式入っていた。黒と金が融け合う様な模様の筆、彫刻が入った丸く重い硯、そして一際目を惹く翡翠色の美しい文鎮。筆は手に持つとキラキラと金が輝き何の素材なのかしっとりとした手触りで柔らかい。重い硯をそっと持ち上げ山を模している蓋を開けると、陸の部分に崖をあしらい海の部分に月をあしらった見栄えのいい硯が現れた。縁で遠吠えをするジンオウガはきっとハルシアの私物とお揃いだろう。文鎮は花結びと言っていたか、三輪の花が美しく咲いている。何かしらお揃いにしてくる弟が可愛くて仕方がない。本人に行ったらむくれて開き直るだろうけど。うっすら微笑んだヒーリアは机の端に置いていたシンプルな小さい荷物をアイルーに手渡した。

 

「これを弟に届けてくれ。」

「ヒーリアさん嬉しそうですにゃぁ。」

 

 そう言われると恥ずかしくて、ニヤニヤと髭をそよがせるアイルーを押して追い払う。

 

「君、暇だからって僕を観察しないでくれるか。」

「ニャッニャッニャ、分かりましたにゃ、お届けしますにゃ。」

「あ、一ついいかい。」

 

 にゃふふ、と笑いながら部屋を出ようとしたアイルーを呼び止める。大きな荷物の下からこちらを振り返ったアイルーは楽しそうな表情をしている。

 

「…それ、渡す時に僕からのプレゼントだって言ってくれ。」

「了解ですにゃ。“いつも通り”お伝えしておきますにゃ。」

「なんだって!?いつも通りってどういう事だ!」

「そのまんまですにゃ~。」

 

 がたりと立ち上がったヒーリアがそれ以上言う前にアイルーはささっと部屋から出て行ってしまっていた。一人残され頭を抱えるしかない。

 

「いままでのも全部僕が贈ってたのはばれてたのか…?」

 

 気恥ずかしくて姉さんからだと言っていたのが全く意味がなかったとは。弟に顔を合わせずらくなる。小さくうめいたヒーリアはとりあえず団子に手を伸ばした。来年に向けて何か言い訳を考えておこう。一人そう言ちてヒーリアは小さく笑った。

 





普段の行動ガサツなのにプレゼントがオシャレなのいいよね!
ハルシアの「はい、どーぞ」が好きすぎて勢いで加筆した、悔いはない。
一番はお姉ちゃんだけど二番はなんだかんだお兄ちゃんが好きなんでしょハルシア、そういうとこ可愛いんだ。
ヒーリアも結構嬉しいけどお互いやいのやいの言い合ってる。もっとやれ。





Twitterで書いたものを気まぐれにまとめていこうかどうしようかなって思ってます。
いつも通り書いても公開しないかもしれない、そのあたりも気まぐれで。
やるやる詐欺してるのでゆ~っくり更新する可能性もあります。
Twitterで殴り書きしたものを発掘するのにも時間かかるので許してください。
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