余命一年と診断されたので今年こそチャンピオンになって有終の美を飾りたい 作:龍門岩
またこの小説では、ユウリ、マリィ、ホップ、ビートを十四歳としています。
『対岸の火事』という言葉をご存知だろうか。
簡潔に表すと、自分には全く関係の無いことだ、という意味である。この世界の誰も彼もが、この
自分にはまだまだ関係がないな、だから無視しよう。それを考えるには時期尚早だ。そんな風に気持ちを落とし込んで生活するのはとても簡単だし、安全で、圧倒的に楽だろう。
さて、何故いきなりこんなことを語り出したのか?と思われる人もいるだろう。脳内で勝手にやっているだけだから、誰にとやかく言われるなんてことは起きない訳だが。
俺――ガラル地方に住む十五歳。
「落ち着いて聞いてください、ライカさん」
まだまだ人生これからな年齢。ポケモントレーナー、ひいてはでんきタイプのジムリーダーとして名を馳せる期待の新星ライカ。
「検査をしたところ――末期の肝臓癌である、という結果が出ました」
やりたい事は沢山ある。チャンピオンになる夢はまだ果たせてないし、去年遂に玉座から引きずり降ろされたダンデさんにすら一勝も出来てない。ちっちゃい頃から一緒にいるデデンネの成長だってまだまだこれからだ。
「余命は一年、です」
――俺の人生はこれからだ。ガラル地方から出て、カントーやホウエン、シンオウにアローラなど、世界を回る旅もいつかしたい。その地方特有のポケモン――恐らく大好きなでんきタイプだらけになるだろうけど――を捕まえて、育てて。でもそれは、もっと年老いてからの話だ。
今の俺はでんきタイプのジムリーダー。齢十歳でファイナルトーナメントに進出した次の年からジムリーダーを任され、それから十五歳に至るまでの四年間、マイナーリーグに落ちることなくメジャーで獅子奮迅の活躍を続けている未来のチャンピオンだ。まだ自称だけどね。
「そう、ですか」
――余命宣告、かぁ。もっと年老いてから受けるものだと思っていたし、癌なんて病気は大人がかかるものだと決めつけていた。
「一年は確実に生きられるんでしょうか」
「……確実、とは言い難いです。長く見積もって一年でしょう。一年と宣告は致しましたが……個人の見解として元気に生活できるのは半年間が関の山ではないか、といったところです」
「なるほど、わかりました」
半年間で俺の身体は元気に生活出来なくなる。つまり、入院しなければならないということだろうか。わからない。だが最初に一年を宣告されたことから、一年間生きられる可能性もある、ということだろう。
「詳しい話は御両親と一緒の方がよろしいかと思いますので、今日のところは一旦ご帰宅して頂いても結構です。心の整理もあるでしょう。また後日こちらに――」
何やら大事な話をされているが、正直俺の耳にはあまり入ってこない。右から左に流れている。今の俺の耳は
おそらく話自体は、今なお腕の中でこちらを見つめてくるデデンネが聞いているだろうから安心だ。生まれた時から一緒のこいつなら大丈夫。ってなにがだよ。
……どうやらかなり心がやられているらしい。とりあえず今は何も考えずに寝たいな。
それから一週間が過ぎた。始めに両親と病院に向かい色々話し、心を整理すると一方的に告げた俺は、ワイルドエリアに篭っていた。でんきタイプジムが置かれているキルクスタウンには一度も帰っておらず、スマホロトムの起動もしていない。ポケモンたちとキャンプやらポケモンバトルやら何やらをしつつ過ごす日々だ。
「ンネンネ!」
「ん、どーしたぁーデデンネー」
「ンネ!ンネネン……ンネネ!」
「……そーだよなぁー」
このままじゃダメだ――。そんなのわかってる、分かってるさ。こうやってダラダラ過ごしている間にも、俺の人生のタイムリミットは迫っているのだ。
いっそこのまま、誰もいない土地に行ってひっそりと死ぬか。だなんて、柄にもない思考を巡らせてしまう。
――と、その時。誰かがキャンプに近づいてくる気配がひとつ。
「――こぎゃんところにいたんだ、ライ」
「マリィか。久しぶり」
「言うても一週間ぶりとかやけん、そげん久しぶりじゃないとよ」
いつも無表情気味なマリィに珍しく、朗らかな表情でやってきたのには少々面食らってしまった。今の俺は、上手く出来ているだろうか。この年下の女の子に不安を与えないような顔が出来ているだろうか。
「それで、何があったと」
「……っ」
普通にバレてました。こう見えて面倒見も良く、姉御肌なマリィには隠し事は無駄だということだろうか。
それでも、余命宣告されてもう一年しか生きられないんだ、だなんて言えない。言えるわけがない。俺より一つ歳下のマリィに、そんな重荷を背負わせられない。
――一つ決めた。余命宣告のことは、家族以外には内緒だ。どれだけ仲が良くっても、これは俺の問題だから。
「……マリィはさ」
「うん」
「あと一年しかガラルに居られないってなったら、どうする?」
「……何それ?遠くにお引越しでもするの」
「いや、仮の話だよ。マリィなら何をする?何を成し遂げる?」
「……そやなぁ。とりあえずあたしは今、スパイクタウンあくタイプのジムリーダーやけん。アニキから受け継いだこの重荷と、スパイクタウンを盛り上げるって使命がある」
「でもそれは一年で成し遂げられる?」
「ううん、多分無理やろね。だからあたしなら……チャンピオンを本気で目指す」
「チャンピオンを……本気で……?」
「勿論、あたしはいつだって本気。誰だってそう。でも、違う。文字通り、プライドも責任も命すら賭けて頂を手にしようと努力するんよ」
「……」
「その果てに負けたんなら負けたで認める。でもそこまでに努力した
――そうか。俺が死んでも、俺の意思、そして俺が歩み刻んだ軌跡は残り続けるんだ。
チャンピオンに向けてひたすらに、ひたむきに積み重ねた努力と成果は、絶対に人々の心の内に熱い炎を灯すだろう。
「――ありがとう、マリィ。わかった気がする」
「……うん、いい顔つきになっとうよ。さっきとは大違い」
「はは、そんなにさっきは酷かった?」
「かなりね」
「そっか……でも、もう大丈夫。もう一度言うよマリィ、ありがとう。ほんっといい女の子だ、将来はいいお嫁さんになるね」
「んな、ぅ、ら、ライのお嫁さんにならなってあげても……いいとよ」
「ん?ごめん、なんて?」
「……っ、なんでんなか!」
「う、ええ??」
明らかに心の内の靄が晴れた。そんな俺の様子を見たデデンネの笑顔が輝いてる。しかもマリィにお辞儀までしてるし……。
「ん、ユウリから返信きた。ライの居場所見っけた言うたら、すぐ来るって」
「……もしかして、一週間探してたの?」
「そそ、そげんことなか!!」
「う、ごめんて……にしてもチャンピオン暇なのかな」
「…………ほんと、ばりニブい男っちゃ」
――そしてリアルに5分以内に来たユウリとそのエースバーン、マリィとモルペコ、俺とデデンネで蹴鞠をして遊んだが、俺の運動能力の低さが露呈しただけだった。
べ、別に、球技以外ならなんでも出来るんだからね!
……それとは別に、ただ球を追うだけの時間はただ楽しくて、色んな
「それじゃあこの後は三人で……アレ、やね」
「ちょっと緊張するけど……マリィ、ライさん、リードしてくださいね」
「俺もそんなに経験は多くないから分かんないけど、任せてよ。自信はあるから!」
――この後めちゃくちゃカレー食べた。
ライカ
十五歳。白金色の髪の毛を長めに伸ばしており、レディースのウルフカットのような髪型。男らしく短く切りたいが、周りにめちゃくちゃ止められるので切れない。身長は165cmとあまり伸びていない。
顔はかなり中性的で男らしさがあまり無いのが本人にとっては不満。少しでも男らしい要素を増やすために一人称は俺。碧眼。
背番号は109(でんき)。ちょっと無理やり。
あだ名はライ。親しい者にはそう呼ばれる。
でんきタイプのジムリーダー。メロンとマクワを差し置きキルクスタウンのジムリーダーを務める。キバナへの勝率はダンデ以外ではメロンの次に高い。
メジャーリーグとマイナーリーグで争われるガラルリーグで、初就任から4年間メジャーにい続けている。
10歳のときにジムチャレンジに参加し、セミファイナルを突破。ファイナルトーナメントでは準決勝でキバナに勝利という偉業を達成し、勢いのまま優勝。その後ダンデと戦うが、結果はお互い最後の一体までもつれ込む接戦となる。
人気は美しい容姿やバトルの派手さ、緻密に計算された戦術などにより、キバナの次くらいには高い。本人もそれなりにSNSを動かすタイプというのもあってファンとの距離も近い。
男の娘。
手持ちポケモン
・デデンネ
・??????
・?????
・?????
・?????
ユウリ
ライカの大ファン。なんならリアコ。ホップからポケモントレーナーになろうと誘われていたが迷っていた。しかし彼の奇想天外でド迫力なバトルをテレビで見て心を奪われ、ジムチャレンジに参加することを決める。
ジムチャレンジで相対した時には緊張であまり喋れず後悔していたが、ファイナルトーナメント準決勝で当たり打倒した後、悔しそうに天を仰ぐ姿を見て思わず頭を撫でてしまう。それに赤面したライカの写真は高値で取引(?)されており、もちろんユウリも貰っている。
その後チャンピオンになったあとファンであると本人に告げ、ツーショットを懇願し見事承諾されると、思い切った距離の近いツーショを撮ることに成功した。スマホロトムの待ち受けになっている。
…(大ファン。好きです!人として!一生一緒にいましょう!)
マリィ
先代のネズからジムリーダーを託され、あくタイプの新米ジムリーダーを務めている。
ジムチャレンジでライカと対戦し、一番苦戦したと心の中では感じていた。また己もジムリーダーになって、ますますライカを初めとしたジムリーダーへの尊敬を深めている。歳が近いということもあり、よくライカとはお茶会兼相談という場を自ら設けている。マリィの中ではデートという認識だが、ライカとしては可愛い後輩から誘われているという認識しかない。
…(ユウリに負けんようにはよ振り向かせるけん!)
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