余命一年と診断されたので今年こそチャンピオンになって有終の美を飾りたい   作:龍門岩

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ネタが思いつかなくてエタってましたので初投稿です。





第三話

 

「いけ!デデンネ!じゃれつく!」

「かわしてオーラぐるま!」

 

 スパイクタウンにあるスタジアム。そこで俺とマリィは手合わせをしていた。

 互いに使えるポケモンは一体のみ。道具は使用可能で、ダイマックスはなしだ。まぁそもそもスパイクタウンにはダイマックス出来る環境はないんだけどね。

 

「そこ!二歩後ろからのマジカルシャイン!」

 

 躱されてからの対応は常に頭に。かつて師事したことのある某金髪無敗のチャンピオンに教わった基本的なことの一つだ。

 元々『こうげき』の値は高くないデデンネのじゃれつくは、躱される前提で指示を出していた。むしろちょうど躱せる程度の速さでの攻撃を指示していたのである。そこの隙をついた。いや、つかされたとマリィが感じた時にはもう遅い。

 最小限の動きでオーラぐるまを躱し、至近距離から効果抜群であるマジカルシャインを叩き込む!

 

「モルペコ!」

「くっ……モルペコ、戦闘不能……ライカさんの勝利!」

 

 非常に悔しそうにそう宣言したのはマリィの応援団。通称『エール団』の一員である。

 

「またライの勝ちやね。悔しいわ」

「今日はデデンネとモルペコでタイプ相性も良かったし、勝てて良かったや」

「くっ……もう一戦!」

「そこまでですよ、二人とも」

 

 もう一勝負挑もうとするマリィを止めたのは、紛れもない彼女の兄で、元スパイクタウンジムリーダーであるネズだった。

 

「あ、ネズさん!お久しぶりです!」

「……っ、そうですねライカくん。いつも妹がお世話になってますね」

「んな、うるさいアニキ!!」

「そうは言っても、明日は早いんですから、ここらで打ち止めにしたらどうですか」

 

 そう。ネズの言う通り、明日からはガラルにおける一大イベントが始まるのだ。

 その名も——

 

「ジムチャレンジ開始、やもんね」

 

 ——俺の人生最後であろう、一大決戦の始まる日。もうすぐそこに迫っていた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『会場にお集まりいただいた皆さん、お待たせいたしました!開会式の始まりです!』

 

『わぁああああああああ!!!!!!!』

 

 耳を擘くかの如き大声量が、スタジアムに響き渡る。皆楽しみしていたのだから致し方ないだろう。それほどこのジムチャレンジは、ガラル地方にとって大きな催しであり、娯楽であるのだ。

 

『それでは、早速リーグ委員長の——』

「バギュア!!!」

 

 司会であろう男の声をかき消したのは、ポケモンの鳴き声だった。その声を知らぬ者はこのガラルには存在せず、大人世代であれば比喩抜きで十年間聴いてきた絶対王者の声。

 

「リザードン!空に向かってかえんほうしゃだ!」

 

 ——十年間に渡ってチャンピオンの座を死守し続けた男、ダンデの相棒リザードンである。

 昨年ついにその王座は陥落してしまったが、まだまだ彼のファンは多い。それほどにダンデという男には強さとカリスマ性が備わっているのだ。

 空に開演だと言わんばかりのかえんほうしゃを放ち、遂に地に降り立ったダンデとリザードン。ちなみにかえんほうしゃの熱量は凄まじく、遠く離れたこちらまで伝わるほどであった。

 リザードンポーズと共に会場を再び沸かせたダンデは、一息ついてマイクを持つ。

 

「ガラルのみんな、俺の名前はダンデ!リーグ委員長を務めさせてもらっている!会場に集まっている皆さんにも、テレビの前の皆さんも、お待たせしました!ガラル地方における祭典、ジムチャレンジ!遂に今日、幕を開けるぜ!」

 

 再び、轟音。叫んでない者はいないだろうこの熱量は、先ほどのかえんほうしゃにも負けていないだろう。

 

「ジムチャレンジ!それは八人のジムリーダーに勝ち、八個のジムバッジを集めた凄いポケモントレーナーのみが、ガラル最強のチャンピオンの待つチャンピオンカップに進むことができるんだ!それじゃあジムリーダーのみんな、入場を!」

 

 ……来たか、やっと。

 否が応でも緊張してしまうな。何たって、人生最後なんだから。

 

「おいおいどうしたよライ坊、ガチガチだぞ?」

「うっ……キバナさんこそ、心なしか震えてません?」

「は!オレ様のこれは武者震いだ。今年はオレ様が天辺をとるっつうな」

「そこら辺にしたまえ、二人とも」

 

 そう言い合いを宥めてきたのは、ジムリーダーの中でも最年長のカブさんだ。

 

「ライカ君はまだ若い。それに緊張は決して悪いことではないよ」

「そうね、適度な緊張は逆にいいパフォーマンスをもたらしてくれるものよ」

 

 カブさんに賛同したのは、モデル業を兼任しながらジムリーダーを務めるルリナさんだ。

 

「今年こそはライ君に勝つんだから……!!」

「って、私怨丸出しなんだな」

「あなたもよ、ヤロー!」

「ったくお前ら!早く入場するぞ!ダンデが睨んできてる!」

「はぁ……ジムリーダーともあろう皆さんがこんなに落ち着きがないなんて……」

「ビート、しっ」

 

 最後にため息と共に悪態をついたビートをマリィが叱咤し、遂に入場へと歩みを進める俺たち。

 少し時間がかかっちゃったのもあってダンデさんのこめかみがピクピクしているような気がしなくもないけど、仕方のないことだ。きっとこの自由さも彼ら彼女らの強さの一因なんだろう。

 

「まずはこの男!ファイティングファーマー、くさタイプ使いのヤロー!」

 

 ほんわかとした表情で観客へと手を振るヤローさん。バトルを楽しむため手加減をしてしまうという癖を持つ彼だが、互角かそれ以上の相手と戦うチャンピオンカップではまさに異名に恥じない強さを見せてくれる。

 

「レイジングウェイブ、みずタイプ使いのルリナ!」

 

 モデルらしく凛とした表情ながら、ファンサービスを欠かさないルリナさん。まさに流麗なバトルは非常に戦いにくい。あとお姉ちゃんと呼ばせようとしてくるのはやめてほしい。

 

「いつまでも燃える男!ほのおのベテランファイターカブ!」

 

 最年長ながら日々鍛錬を欠かさない熱い男、カブさん。その強さはジムチャレンジ最初の関門とさえ呼ばれていて、カブさんで脱落する人はかなりの数だ。

 

「ガラル空手の申し子!かくとうエキスパートのサイトウ !」

 

 次は言わずと知れたスイーツ仲間のサイトウだ。つい最近ではシンオウ地方まで鍛錬に行ったらしく、かくとうジムリーダーと手合わせしてきたのだとか。どれだけ進化してるか楽しみだね。

 

「ファンタジスタ、フェアリー使いのビート!」

 

 今年からフェアリータイプのジムリーダーを務めるビート。遂に引退してしまったポプラさんに負けない強さを持ち、伸び代しかないガラル期待の新星の一人である。

 

「エビルズマスター、あく使いのマリィ!」

 

 皆大好きマリィ。前ジムリーダーであるネズさんの地位を受け継ぎ、その強さは言わずもがな。こちらもガラル期待の新星の一人だ。今年も負けないよ。

 

「エレクトリックノヴァ、でんき使いのライカ!」

 

 そして俺!ガラル一の期待の新星!余命は一年!絶対優勝するぞ!!

 

「ドラゴンストーム!トップジムリーダー、キバナ!」

 

 最後を締め括るのはキバナさん。その強さは他地方ならチャンピオンになれるとさえ言われていて、育成の難しいドラゴンタイプを手懐けるガラル最強のジムリーダーだ。去年勝ったけどね。

 

「これが、ガラルの誇るジムリーダー達です!」

 

 再び響く声。全てが俺たちに注がれていると思うと、興奮してしまうね。

 

「ライ坊、何笑ってんだよ」

「……いつも思いますけど話しかけちゃダメですよ多分今」

「いいだろ、どうせ聞こえてねーんだし」

「ライはちょっとだけ真面目すぎるけん」

「ほら、彼女さんもこう言ってるぜ」

「んな!?か、かの……っ」

「マリィに失礼ですしやめてくださいキバナさん!」

「……」

「はっ、お前ってやつはマジで……とりあえずライ坊、ツーショ撮ろうぜ!」

「え、またですか」

「お前との写真めちゃくちゃ伸びるんだよ。カッコいいとかわいいはやっぱうけるな」

「……ちなみに俺はカッコいい枠ですよね」

「は?オレ様に決まってんだろ。はい、チーズ」

 

 結局撮られてしまったツーショットの俺の顔は、目が心なしか死んでいた。

 後日、『ライ坊にかわいい枠と伝えたときの顔とオレ様』という文面と共にSNSにアップされたその写真は、それはもう伸びに伸びて十万いいねされていた。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 ちなみにリプ欄には、

『尊い……!』

『やっぱキバライだよねうんうん異論は認めん』

『は、ライキバだろ?逆にライカちゃんが攻めるのがいいんだよ』

『いやいやダンライでしょ』

『捨てがたいけど結局ライビー。あの生意気ビート君を屈服させるライカちゃんしか勝たん』

『ルリライは?』

『おねショタ厨は帰ってどうぞ』

 

 などなど、不毛な争いが繰り広げられていたのだとか。

 

 

 





お久しぶりです申し訳ありませんでした!何でもするので許してください!

こんなお話が見たいよ、誰々と絡むライカちゃんが見たいよ、と言った要望を募集したいと思います!活動報告の方からよろしくお願いします!
個人的には掲示板回もアリかなーと思っています。

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