私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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第10話 リールと適性魔法検査

私の名前はリール。

エレナ学院に通っています。

昨日、この学院に転入しました。

ここは個性的な人たちが多く、退屈しなさそうでした。

そして、私の隣の席でありルームメイトであるアンナが私の最初のお友達です。

1学年の頃は成績が良くなかったらしいのですが、いい子だと思っています。

あと、今日は適性魔法の検査があるそうです。

私は自分の適性魔法を知っていますが、一応知らないふりをしようと思っています。

あとは、みんながどんな適性魔法を持っているのか楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…教室

 

ジーヴル先生「よーし今日は適性魔法を調べるぞー」

男子「っしゃあ!」

男子「早くやろうぜ先生!」

ジーヴル先生「まぁ待て男子諸君。色々気持ちが先走るのは分かるがちゃんと話を聞いてからだ」

男子「ブー!」

ジーヴル先生「それでだ。今から適性魔法検査をするにあたって注意事項がある。それは、魔法を人に向けないことだ」

男子「魔法を人に向けない?」

ジーヴル先生「そうだ。これから実際検査する時は魔法が出る。その魔法は無害ではない。実害のあるものだ。だから人に当たれば当然怪我をする。だから魔法の検査は一人ずつ行う」

アンナ「こ、怖いね…」

リール「大丈夫ですよ。アンナ」

アンナ「…うん」

ジーヴル先生「もし人にぶつけた場合、この学校では罰則扱いになるから注意な。分かったか?」

男子「分かったぜ先生!」

男子「早くやろうぜ!」

ジーヴル先生「お前らほんとに分かってんのか…」

男子「大丈夫だぜ!」

ジーヴル先生「はぁ…じゃあ学籍番号順にな」

男子「しゃおあらぁ!」

ジーヴル先生「やかましいぞ〜」

アンナ「わ、私…魔法使えるかな…」

リール「大丈夫ですよアンナ。魔法はこの世界では必ず1つ持ってるものですよ」

アンナ「そうなの?」

リール「はい」

アンナ「よく知ってるねリール」

リール「え!?…えーっと…誰かがそう言ってたので…」

アンナ「そうなんだ」

ジーヴル先生「じゃあ最初はアンナさん。さぁ、前に来てくれ」

アンナ「は、はい!」

 

呼ばれたアンナは立ち上がった。

 

男子「アンナは無理だろ」ヒソヒソ

男子「あいつ鈍臭いからな」ヒソヒソ

男子「おまけに学力もない。終わってんじゃん」ヒソヒソ

リール「…」

 

リールはその声をずっと聞いていた。

 

リール (アンナ…あなたなら大丈夫ですよ)

 

 

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ジーヴル先生「さ、これを持って」

アンナ「これは…」

ジーヴル先生「適性魔法を見るためのものだよ」

 

アンナはジーヴル先生からある結晶を受け取った。

 

リール (あ、あれは魔女さんも使ってた…)

 

そう。その結晶は魔女さんがリールの適性魔法を見るために使ってたものと同じものだった。

 

ジーヴル先生「これを使って火を出してみて」

アンナ「え!?火!?」

ジーヴル先生「あ、ほんとに出せって訳じゃないぞ?イメージをしてって事だよ」

アンナ「あ、なんだ…よかった…」

ジーヴル先生「さ、やってごらん」

アンナ「…」

 

アンナは火を出すイメージを持った。

すると周囲のマナがその結晶に集まり、やがて火となった。

 

アンナ「わ、わわわ…」

ジーヴル先生「じゃあそれを撃ってみて」

アンナ「撃つ?」

ジーヴル先生「それを飛ばしてみて。イメージで」

アンナ「は、はい…」

 

アンナは言われた通りにやってみた。

すると…

 

ポンッ!

結晶についていた火の玉が前方に飛んだ。

 

ジーヴル先生「ふむ…」

 

シュッ…

だがその火の玉は消えてしまった。

 

アンナ「あ…」

ジーヴル先生「あら、適性じゃなかったみたいだね」

アンナ「は、はい…」

ジーヴル先生「あ、気を落とさなくてもいいぞ。適性魔法によっては使えない魔法が存在するからな」

アンナ「はい…」

男子「なんだあれ。あれが魔法か?」

男子「弱すぎ」

男子「頭悪いと魔法も弱くなるんだな」

男子「傑作だな」

リール「…」

ジーヴル先生「おーいそこにいる男子。魔法に適性があるのは人それぞれだぞ。物によっては使えない魔法があったり弱くなる魔法も存在する。お前らも一緒だぞ?」

アンナ「…///」

ジーヴル先生「さぁアンナさん。次はこれだ」

アンナ「はい」

 

ジーヴル先生はアンナに青色の結晶を渡した。

 

ジーヴル先生「やり方は簡単だ。さっきは火をイメージしたけど今度は水をイメージしてみてくれ」

アンナ「は、はい…」

 

アンナは言われた通りにやってみた。

すると、その結晶の先に水玉が出てきた。

 

ジーヴル先生「じゃあそれを撃ってみてくれ」

アンナ「は、はい…」

 

アンナはさっきやったようにやってみた。

すると…

 

シュッ!ヒュゥゥゥゥゥゥ…ドン!

その水玉は勢いよく飛んで壁に設置された結界に当たった。

 

アンナ「ひぇぇぇぇ…」

ジーヴル先生「うん。いい魔法だ。じゃああとはその結晶にマナを集めてみてくれ」

アンナ「はい…」

 

アンナはその結晶にマナを集めてみた。

周囲のマナはそれに反応して集まった。

 

アンナ「これでいいでしょうか」

ジーヴル先生「あぁ。あとは…」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

すると、その結晶が光り始めた。

 

ジーヴル先生「おぉ!アンナさん!君の適性魔法は水だ!」

アンナ「え…私が…水…」

男子「はぁ?あいつ魔法使えてんじゃねぇか」

男子「あんなやつがか?」

リール (良かったですね。アンナ)

ジーヴル先生「えっと水属性なら…これだな」

 

ジーヴル先生は黄色の結晶を渡した。

 

アンナ「これは…」

ジーヴル先生「それは雷属性魔法の結晶だ。水属性魔法に適性がある人は雷属性魔法が使えないんだ。もしこれで雷属性が使えなかったらアンナは水属性魔法に適性があるということになる。さ、やってみて」

アンナ「は、はい…」

 

アンナは雷属性魔法の結晶を持ってマナを集めてみた。

だが…マナは集まらなかった。

 

アンナ「あれ…マナが集まらない…」

ジーヴル先生「よしっ。アンナさんの適性魔法は水属性魔法だな。良かったねアンナさん!」

アンナ「は、はい!」

ジーヴル先生「とまぁこんな感じで適性魔法を見ていくぞ!みんなはどんな属性魔法に適性があるかな?先生楽しみだぞ!」

男子「しゃおらぁ!」

男子「俺は全属性だ!」

ジーヴル先生「全属性は有り得ないぞー」

リール (え、ありえない?でも魔女さんは全属性の魔法が使えるって…)

アンナ「やったよリール!」

リール「え、アンナ」

アンナ「私水属性魔法だって!」

リール「あ、あぁ。良かったですねアンナ」

アンナ「うん!」

ジーヴル先生「じゃあ順番に来てくれー」

男子「おー!」

 

それから学籍番号順に適性魔法検査が行われた。

適正魔法は色々あった。

火、水、雷などこの教室の人たちは色々な属性魔法に適性があった。

でも…光属性魔法に適性がある人はいなかった。

そんなこんなで最後に私の番になった。

私の番になるまで何回かの授業間があって何時間もかかった。

やっとこの時かと…その時思った。

 

ジーヴル先生「さ、リールさん。君が最後だよ」

リール「はい」

 

リールは前に出た。

 

ジーヴル先生「さ、最初は火属性魔法だ」

リール「はい」

ジーヴル先生「じゃあ火をイメージして…」

 

プシュ…

リールは先生が言う前に魔法を使っていた。

そして、当然ながら火属性魔法は使えなかった。

 

ジーヴル先生「あ、ダメだったみたいだね」

男子「なんだ。あいつも魔法が使えないのか?」ヒソヒソ

男子「転入生とか言ってたからな」ヒソヒソ

男子「調子乗ってるからこうなるんだよな」ヒソヒソ

リール「…」

 

リールはその声を全部聞いていた。

 

ジーヴル先生「えーっと…火属性魔法が使えないとなると…風属性魔法の…」

リール「先生」

ジーヴル先生「ん?なんだ?」

リール「風属性魔法は結構です」

男子「!」

ジーヴル先生「なんでだ?」

リール「見ててください」

 

そう言ってリールは光属性魔法の結晶を取った。

 

ジーヴル先生「あ、待って。その結晶は光属性魔法の結晶であって雷属性魔法の結晶じゃ…」

 

キィン!ドゴォォォォォォン!

 

男子「!?」

ジーヴル先生「!?」

女子「!?」

 

ピキピキ…パリン!

リールはその結晶を持って光属性魔法を使った。

すると結界は粉々に壊れてしまった。

 

リール「はい。どうぞ」

ジーヴル先生「え…え?ひ、光属性魔法…な、なんで」

リール「あ、言い忘れてました。私、光属性魔法に適性があるんです。なので他の魔法は使えません。決して魔法が使えない訳じゃないんです」

ジーヴル先生「お、おう…」

男子「な…なんだあいつ…」ヒソヒソ

男子「光属性魔法だと!?」ヒソヒソ

男子「何かの間違いに決まってる!」ヒソヒソ

リール「あとそこの人たち」

男子「!」

リール「人を貶すのは程々にした方がいいですよ?私のように力を隠してる人もいるので」

男子「っ…」

 

そう言うとリールは自分の席に戻った。

 

リール「はぁ…全く」

アンナ「リール凄い!光属性魔法に適性があるなんて!」

リール「え、えぇ…まぁ…」

アンナ「正直水属性魔法がいいなって思ってたけど光属性魔法でもいい!」

リール「は、はぁ…」

アンナ「光属性魔法について色々教えてね!リール!」

リール「は、はい…分かりました…」

ジーヴル先生「さぁて全員終わったな。最後のリールさんのは驚いたがみんな色々な属性魔法を持ってて先生面白かったぞ」

男子「先生どうよ!俺の火属性魔法は!」

ジーヴル先生「はいはい。それはまた実技の授業で見せてくれ」

男子「分かった!俺の炎で先生を燃やしてやるぜ!」

ジーヴル先生「はっははは!できるもんならやってみな!」

 

すると、5度目のチャイムが鳴った。

今日は適性魔法を見る検査だけで授業はありませんでした。

授業は明日から。

頑張っていい魔女さんを目指そうと思います。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

レヴィ「流石あの魔女さんのお弟子さんですね」

ラーフ「学院長」

レヴィ「はい」

ラーフ「私も初めて拝見しましたが、あの魔法の威力は凄まじいものです。あれはこの学院を壊しかねな…」

レヴィ「ラーフ」

ラーフ「は、はい…」

レヴィ「大丈夫です。私がなんとかしますので」

ラーフ「…はい」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

魔法の適性検査が終わったリールはクラスの女の子たちに囲まれていた。

 

女子「凄いねリールちゃん!光属性魔法に適性があるなんて!」

女子「そうそう!」

女子「私初めて見た!光属性魔法!」

リール「は、はぁ…」

女子「リールちゃんってここに来る前ってどこの学校に通ってたの!?」

女子「あ、私もそれ気になってたの!」

リール「い、いえ…学校には通ってないです」

女子「え!?じゃあどうやって光属性魔法を!?」

リール「私のお師匠様に教わりました」

女子「お師匠様?名前はなんて言うの?」

リール「えーっと名前は…」

 

リールはここで疑問に思った。

 

リール (あれ…魔女さんの名前って…なんなんだろう…)

 

リールは今まで魔女さんの事を「魔女さん」としか呼ばなかった。

リールは今まで魔女さんの名前を一度たりとも聞いたことがなかった。

 

リール (メリーさんも魔女さんって呼んでた…魔女さんって…)

女子「リールちゃん?」

リール「へ?何ですか?」

女子「だからお師匠様の名前って何?」

リール「え、えーっと…」

スカーレット「あなたたち。もう授業は終わったわよ。早く帰りなさい」

女子「えー」

女子「もっとリールちゃんのお話聞きたいのに…」

スカーレット「なら明日聞きなさい。明日なら時間あるでしょ?」

女子「うーん…分かった…」

女子「じゃあリールちゃん!明日またお話聞かせてね!」

リール「あ、はい」

女子「それじゃあね!」

 

するとリールを囲んでいた女子たちが帰っていった。

 

リール「…ふぅ」

スカーレット「大人気ね。リールさん」

リール「えぇ…まぁ…」

スカーレット「まぁみんな光属性魔法に適性がある人を見慣れてないのよ。許してあげて」

リール「いや、まぁ…さっきの空間はその…悪くなかったなぁって思ってます…」

スカーレット「そう」

リール「あ、ねぇスカーレットさん」

スカーレット「…スカーレットでいいわよ。同じクラスなんだし」

リール「じゃあスカーレット。あなたは光属性魔法に適性がある人は見慣れてるの?」

スカーレット「見慣れてるって言うか一度見たことあるのよ。光属性魔法を使ってる人を」

リール「誰!?」

スカーレット「…分からないわ」

リール「え?」

スカーレット「顔は分からなかった。もちろん名前も。分かってるのはその人が光属性魔法を使ったことだけ。他のことは分からなかった」

リール「そうなんだ…」

スカーレット「でもその人のおかげで私は魔女を目指すようになった。あの時の私にとってその人はまさに光だったの。だから今度は私が誰かの光になろうって決めたの」

リール「いいね。その考え。ちなみにスカーレットの属性魔法は?」

スカーレット「私?私は雷よ」

リール「雷かぁ〜じゃあスカーレットはその雷で人を助けてあげてね」

スカーレット「えぇ!もちろんよ!あの人みたいになってみせるわ!」

リール「応援してるよ。スカーレット」

スカーレット「あなたもね!リールさん!」

リール「えぇ。任せて」

アンナ「あ、あのー…」

リール「?」

スカーレット「?」

 

声がした方を見るとアンナが机の角から顔を出していた。

 

スカーレット「あらアンナさん。どうしたんですか?」

アンナ「いえその…私もお二人のようになりたいな…って…」

スカーレット「なりましょう!」

アンナ「!」

スカーレット「私たち3人で力を合わせていい魔女になりましょう!」

アンナ「は、はい!」

スカーレット「リールさんも!」

リール「うん。分かったよ。任せて」

 

こうして適正魔法を知れたアンナとスカーレットはリールと3人でいい魔女を目指すよう誓ったのだった。




〜物語メモ〜


アンナの適性魔法
アンナの適性魔法は水属性魔法。
アンナの希望通りの属性魔法でアンナは喜んでいた。

スカーレットの適性魔法
スカーレットの適性魔法は雷属性魔法。
本人は光属性魔法を希望してたが、見事に外れてしまった。
一度は落ち込んだスカーレットだが、リールが光属性魔法を見せたことでリールにあの時の魔女さんと似ている部分を見つけ、雷属性魔法であの時助けてくれた魔女さんのようになろうと決めたのだった。

学院での適性検査
学院では火、水、風、雷、土、光、闇の順で検査する。
各属性魔法を使っていき、多少でも使えるなら次の属性魔法へと移る。
もし、より魔法として使えていたり、使えない魔法が出てきた場合、その属性魔法に対する属性魔法を使ってその人の属性魔法を特定する。
アンナの場合、水属性魔法を使うことが出来ていたため、水属性魔法に対する雷属性魔法を使わせた。
その結果、アンナは雷属性魔法を使えなかったため、アンナの適性魔法は水属性魔法となった。
スカーレットに関しては雷属性魔法を使うことが出来ていたため、雷属性魔法に対する土属性魔法を使わせた。
その結果、スカーレットは土属性魔法を使えなかったため、スカーレットの適性魔法は雷属性魔法となった。

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