私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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第12話 リールとスカーレットの父と叔父さん

私の名前はリール。

エレナ学院に通っています。

前回は私の持つ杖と箒を友達のアンナとスカーレットに見せました。

2人ともこの箒と杖を褒めていました。

私からすると普通の物だと思ったんですが、2人から見れば違うそうです。

今日は学校が終わったら3人でスカーレットのお父さんのところに行くつもりです。

スカーレットが私の箒と杖をお父さんに見せたいそうです。

そして、スカーレットの家に行った私はある写真を目にします。

見慣れた人物の写真。

私は写真に写るその人についてスカーレットのお父さんに聞こうと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジーヴル先生「さて、次は杖についてだ。これは魔法使いや魔女になる上で1番必要になるものだ」

 

ジーヴル先生は懐から自分の杖を出した。

 

ジーヴル先生「これが先生の杖だ」

男子「おぉ!」

ジーヴル先生「今までみんなはまともに魔法を使ったことないだろう?使ったとしても手でやったと思う。でも、これからは自分の杖を持って魔法を使っていきましょう」

男子「先生。杖って貰えるんですか?」

ジーヴル先生「あーそれに関しては自分で買ったんじゃないか?2学年になる前に」

男子「あ、あの予約してたやつ?」

ジーヴル先生「あーそうそう」

男子「あれっていつ届くんですか?」

ジーヴル先生「それは分からないな。でも届き次第こちらに運ばれるそうだ」

男子「早く魔法使いてぇー」

男子「だよな!」

ジーヴル先生「あ、それに関してひとつ話があるぞ」

男子「?」

ジーヴル先生「この学校では、実技以外の魔法の使用は禁止されているからな」

男子「え!?」

女子「え!?」

男子「なんでですか!」

女子「折角魔法が使えると思ってたのに…」

ジーヴル先生「一応理由はある。みんなはこの学校に結界が展開されているのは知ってるだろ?」

男子「あーあの綺麗なやつね」

ジーヴル先生「あぁ。だが、あれは最近まで無かったものなんだ」

女子「無かったもの?」

ジーヴル先生「そうだ。この学校の学校長さんが最近結界を展開されてな。何故かは仰らなかったが解決するまで続くそうだ。それに伴って普段は魔法が使えていたが、今では禁止となった」

女子「魔法を使うと何かあるんですか?」

ジーヴル先生「分からない。だが、あの方がお決めになったことだからな。みんなも注意してくれ。この学校にいる間…いや、この結界が解除されるまでは学校内で魔法を使わないでくれ。実技の時は使っても構わないからな」

生徒「はーい」

リール (…恐らく魔女さんが言ってたこと…()()()()()()()…その人に気づかれないようにする為なんだ…)

ジーヴル先生「さて、杖について続きを話すぞ。杖っていうのはな…」

 

その後、授業はいつも通り進行した。

リールは結界を展開している理由についてずっと引っかかっていた。

そして、魔女さんとその蘇った人がどういう関係なのかを今日ずっと考えていた。

 

 

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スカーレット「リール…リール!ねぇ!リール!」

リール「!」

 

私はスカーレットに名前を呼ばれていることに気づいた。

 

リール「え…なんですか…」

スカーレット「何って…もう授業は終わったわよ?」

リール「え、授業って…」

 

私は周りを見渡した。

この教室にいたのは私とスカーレットとアンナの3人だけだった。

 

リール「あれ、みんなは?」

スカーレット「みんなはとっくに帰ったわよ。どうしたのよ。何回も呼んだのに全然返事しないなんて」

リール「…」

アンナ「リール?」

リール「へ…」

アンナ「大丈夫?」

リール「え、うん」

スカーレット「じゃあこの後どうする?」

リール「え、この後って?」

スカーレット「何言ってるのよ。私の家に行くって言ってたじゃない」

リール「あ、あの話…」

スカーレット「あなた…ほんとに大丈夫?」

リール「え、はい」

アンナ「疲れたの?」

リール「え、ううん。なんでもないよ」

スカーレット「明日は休みだから今日私の家に泊まっていきなさい。お父さんには私から言っておくから」

リール「え、大丈夫なの?」

スカーレット「えぇ。大丈夫よ」

アンナ「色々と準備しないと」

スカーレット「そうね。準備が出来たら私の部屋に来て。その時に家に行きましょう」

リール「わ、分かった」

スカーレット「じゃ、なるべく早くね」

 

スタスタスタ

スカーレットはそのまま教室を出た。

 

アンナ「リール…大丈夫?」

リール「え、うん。大丈夫だよ。さ、私たちも準備しないと」

アンナ「そうだね!じゃあ行こ!」

 

そして私とアンナは部屋に戻って泊まる準備をした。

幸い明日は休みだそうでじっくり休息を取ろうと思いました。

そして、準備を終えた私とアンナはスカーレットの部屋に来ていた。

 

 

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場所…スカーレットの部屋

 

コンコン

私は部屋のドアをノックする。

 

スカーレット「いいわよ。入って」

 

そう言われたので私たちは部屋に入っていった。

 

スカーレット「良かったわ。帰る準備は出来てるわよ」

リール「結構綺麗ですね」

スカーレット「当たり前じゃない!」

 

スカーレットは褒められて嬉しかったのか、笑顔になった。

でも実際に部屋はきれかった。

 

スカーレット「さ、ここよ」

 

私たちはその部屋のさらに奥に入っていった。

 

リール「おぉ…」

アンナ「!」

 

そこには緑色の魔法陣が展開されていた。

 

スカーレット「これが転移魔法。通称テレポーテーションね」

アンナ「初めて見た…」

リール (魔女さんのと少し違う…)

スカーレット「リール?」

リール「ねぇスカーレット」

スカーレット「何?」

リール「これって何故緑色なんですか?」

スカーレット「え、何故?」

リール「はい。私も同じものを少し前に見ました。でも、それとこれは少し違って見えます。色も当然違いますしこの魔法陣に書かれている文字も…」

アンナ「?」

スカーレット「何故って言われても…これが基本よ?」

リール「え?」

スカーレット「これが本来使われる転移魔法よ。色もこれ。書かれている文字もこれよ」

リール「そうなの?」

スカーレット「そうよ」

アンナ「うん…私も教科書で見たよ。これが基本の転移魔法だって書いてあったよ」

リール (…?)

 

私はここでまたひとつ違いを見た。

魔女さんの使う魔法とみんなが使う魔法…

そしてさらに魔女さんへの疑問が増えた。

 

スカーレット「さ、そんなことより行きましょ。ここに立って」

 

私はスカーレットに言われた通りに立った。

 

スカーレット「さ、行くわよ」

 

コンコン

スカーレットは足のつま先を使ってコンコンと音を立てた。

 

シュゥゥゥゥゥ…

 

リール「!」

アンナ「!」

 

すると、私たちの周囲に緑色の小さな光が漂い、私たちに付着した。

 

リール「?」

 

するとその瞬間、場所が変わった。

さっきまでスカーレットの部屋にいたはずなのに一瞬で辺りの風景が変わった。

周囲には木造の壁。

目の前にはドアがある。

 

スカーレット「さ、ここは地下室だから上に行くわよ」

 

私とアンナはスカーレットに案内されて地下室から出た。

 

 

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場所…スカーレット家の廊下

 

アンナ「わ…すごい…」

 

地下室から出た私たちはスカーレットの家が結構お金持ちだとこの時悟った。

 

リール「す、すごいね…スカーレット」

スカーレット「そう?」

リール「うん…廊下がこんなに広いなんて…」

スカーレット「私はこれが普通だと思ってたわよ。あなたもそうでしょ?」

リール「?」

スカーレット「魔法。私たちからすればあなたはすごいけど、あなたからすれば普通だと思ってたんじゃない?」

リール「あ、確かに」

スカーレット「それと同じよ」

リール「…なるほど」

スカーレット「さ、お父さんの部屋はこっちよ。ついてきて」

リール「うん」

スカーレット「あ、その前に…」

リール「?」

 

スカーレットは立ち止まって手を叩いた。

スッ!

 

リール「!?」

アンナ「!?」

 

すると、上から人が降ってきた。

 

???「…お呼びでしょうか」

スカーレット「私とこの2人の荷物を私の部屋に運んでもらってもいいかしら。ちょっとお父さんにお話があるの」

???「…かしこまりました」

 

スッ!スッ!

 

リール「!」

アンナ「!」

 

さらに上から2人降りてきた。

 

???「…それではお荷物を」

リール「あ、はい」

アンナ「よろしくお願いします」

???「…それではお気をつけて」

 

スッ…

するとその3人は姿を消した。

 

リール「スカーレット…さっきの人は?」

スカーレット「私の付き人。まぁボディガードみたいなものよ」

リール「女性がボディガード?」

スカーレット「あら、女性のボディガードって珍しくないわよ?」

リール「へ、へぇ…」

スカーレット「さ、行きましょう。お父さんにあなたとアンナの事を紹介したいの!」

 

スタスタスタ

そして私とアンナとスカーレットはスカーレットのお父さんがいる部屋に向かったのだった。

 

 

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場所…スカーレット父の部屋

 

コンコン

スカーレットはノックする。

 

???「はい」

スカーレット「お父さん。私よ」

???「スカーレットかい?入っていいよ」

 

ガチャ…

スカーレットはドアを開けて入った。

 

???「やぁスカーレット」

スカーレット「ただいま」

???「今日はどうしたんだい?」

スカーレット「今日は私の友達を…って叔父さん!?」

???「やぁスカーレットちゃん。久しぶりだね」

スカーレット「ちょうど良かった!叔父さんにも見てもらいたいの!」

???「見てもらいたい?」

スカーレット「リール!アンナ!入って!」

 

私たちはスカーレットに呼ばれたので部屋に入った。

 

リール「お、お邪魔します…」

アンナ「お邪魔します」

???「やぁ。君たちは?」

リール「私はリールと言います」

アンナ「わ、私はア、アンナと言います」

スカーレット「私の友達なの!」

???「そうかいそうかい。じゃあ私たちも自己紹介を」

 

ガタッ

スカーレットの父と叔父さんは立ち上がった。

 

ジン「私はジン。スカーレットの父です。この国でみなさんが使う箒を作っています」

リール「あ、よろしくお願いします」

アンナ「よろしくお願いします」

ジン「そしてこっちが私の弟の…」

マーク「マークと言います。私は杖を作っています」

スカーレット「今日はお父さんと叔父さんにある物を見てもらいたいの!」

ジン「ある物ってなんだい?」

スカーレット「リール!箒を出して!」

リール「あ、うん」

 

シュゥゥゥゥゥ…ポンッ!

リールは箒を出した。

 

ジン「箒だね」

スカーレット「そう!この箒すごいの!お父さん見て!叔父さんも!」

 

ジンとマークはリールのところに行った。

 

ジン「…見てもいいかい?」

リール「あ、はい。いいですよ」

 

ジンはリールから箒を受け取った。

 

ジン「…」

 

ジンはあらゆる方向から箒を見た。

 

ジン「…綺麗だ」

スカーレット「でしょ!すごい綺麗でしょ!」

ジン「あぁ。これはすごい。真っ直ぐに伸びている。おまけに損傷がない。魔力も通っているし魔力の漏洩も無い。これは私でも作るのが難しいね」

スカーレット「やっぱりすごいよね!」

ジン「あぁ。恐らくこの先もこんな綺麗な箒を見ることは無いだろう…えっとリールさん…でしたっけ」

リール「はい」

ジン「ここまで綺麗に作られた箒はこの箒を除いてこの世界にはひとつとして存在しない。記念に写真を撮ってもいいかな?」

リール「あ、はい。構いませんよ」

ジン「ありがとうございます」

 

するとジンは引き出しからカメラを取りだし、箒を色んな方向から撮った。

 

スカーレット「あ、そうだ!今度は叔父さん!」

マーク「え、なんだい?」

スカーレット「リール!次は杖を!」

リール「あ、分かりました」

 

スッ…

リールは杖を取り出した。

 

リール「はい」

マーク「おぉ…」

スカーレット「この杖もすごいの!叔父さんに貰ったあの本に書かれてなかった杖なの!私も初めて見た!」

マーク「…ちょっと見せてもらってもいいかい?」

リール「はい」

 

マークはリールから杖を受け取った。

 

マーク「!」

 

マークはリールの杖に触れた瞬間、何かを感じた。

 

マーク「この杖…凄まじい魔力を持っている」

スカーレット「魔力?」

マーク「そう。杖って本来は魔力を持たないんだ。持ち主の魔力を外界に放出するのが杖の役目だからね。でもこの杖は違う…触ってすぐ分かった。この杖は魔力を所持している…それもとてつもない魔力を…」

スカーレット「そうなの?」

マーク「あぁ。これはすごい。さっきの箒にも驚いたけどこの杖もすごい…ここまで綺麗に魔力を所持して尚この形を保っているなんて…」

スカーレット「え、どういう事なの?」

マーク「杖は魔力を所持できないんだ。所持するとちょっとの弾みで杖が壊れるからね。でもこの杖はここまで凄まじい魔力を持ってても壊れてない。ヒビも見られない。そしてこの均一な形…シンプルな形だがそれがこの杖が壊れない理由なのかもしれない」

リール「…?」

アンナ「…?」

マーク「あ、や、すまないね。杖を作ってるとこういう時色々言葉が出ちゃうんだ」

リール「あ、いえ、大丈夫ですよ」

マーク「リールさん。ひとつ聞きたいことがあります」

リール「はい。なんですか?」

マーク「…この杖はどこで誰が作ったものですか?」

リール「え」

マーク「私を含め、杖を作ってる人はこのような杖を見るのは初めてだと思います。実際、このような杖は存在しませんから。なので、私の知らない杖職人の方がいるのであれば、私はその人に作り方を学びたいと…そう思います」

リール「え…っと…」

ジン「私も同じだよ」

リール「!」

ジン「このような箒は全然見ない。私もこの箒を作った人を知りたい。そして、その作り方を学びたい」

リール「え…っと…その…」

ジン「?」

マーク「?」

リール「実はそれ…ある人から貰ったものなんです…」

ジン「あ、そうなんですか」

マーク「ということはその人に聞けば分かるのでは」

スカーレット「その杖と箒はリールのお師匠さんがリールに渡したそうなの」

ジン「お師匠さん?」

マーク「魔法のかい?」

スカーレット「そう。リールってすごいの!私たちは学校で勉強してるけどリールは今まで学校に行かずにエレナ学院に転入してきたの!しかも魔法の事を知っていてリールの適性魔法もすごかったの!」

マーク「適性魔法…」

ジン「差し支えなければ教えて貰えませんか?」

リール「えっと…光属性魔法…です」

ジン「!?」

マーク「!?」

 

2人は驚いていた。

 

スカーレット「ね!すごいでしょ!」

ジン「これは驚いた…」

マーク「あぁ…この世界に光属性魔法に適性がある人がまだ存在していたなんて…」

リール「え、それってどういう…」

マーク「ジン。確か君の部屋に…あ、あれだよ」

ジン「?」

 

マークはある物を指さした。

 

ジン「あ、あれね」

 

ジンはそれを取りに行った。

 

ジン「はい。リールさん」

 

リールはそれを受け取った。

 

リール「これは…写真?」

ジン「そうです。私とマークとその仲間の集合写真です」

リール「何故これを?」

ジン「その写真の真ん中からひとつ左にいる女の人…分かるかな?」

リール「はい。分かります」

ジン「その人がこの世界で最後の光属性魔法の適性を持つ人だったんだ」

リール「!」

マーク「懐かしいな」

ジン「あぁ」

リール「え…光属性魔法って存在しなかったんですか?」

ジン「あぁ。君が光属性魔法の適性を持つまではね」

リール (え…でも魔女さんは全属性って…)

マーク「その人はね、光属性魔法とは相反する人柄の持ち主でね。いつも一人でいようとしてたんだ。その集合写真も無理を言って一緒に写ってもらったんだ」

ジン「でもその人はある時にはみんなを守るように立ち回った」

リール「ある時?」

ジン「はい。今は存在してないけど、私たちが学生だった頃にこの世界に突然ドレインと呼ばれる魔物が出現した」

リール「ドレイン…」

ジン「ドレインは人の命を吸い取り我がものとする魔物でね。私たちは己が命を吸い取られないようにするために魔法を行使しました。ですが、日が経つにつれてドレインは数を増やし、我々は数を減らしていった」

リール「…」

ジン「それが何日も続き、私たちは全滅寸前まで追い込まれた。数多くの同胞を失い、数多くの人の命が奪われた。生き残ったのはその写真に写っている12人だけ。それ以外の私たちの同胞は全員亡くなった。亡骸も残さずにね」

リール「全世界の人たちが亡くなったんですか?」

ジン「他の国は分からない。でも、この国で生き残ったのはこの12人だけ。あとは壊れた建物や何かが燃えた匂いだけが残った」

リール「そう…ですか…」

マーク「…なぜ私たちの同胞が亡くなったのか。それはそのドレインの性質に問題があったからなんだ」

リール「問題?」

マーク「ドレインに有効な手段はひとつだけ。何か分かるかい?」

リール「…分かりません」

マーク「…光属性魔法なんだ」

リール「!」

マーク「真ん中のひとつ左にいるその人は光属性魔法を使うことができた。だから生き残ることができた。私たちはその人に守ってもらったから生き残った。守ってもらえなかった人たちは無惨に散っていった」

ジン「まぁ一人で国中の人間を守れというのは難しい話なんだ。それに、光属性魔法を使えたのは当時その人だけだった」

リール「!」

ジン「だからいくら国中の人を守っても誰もドレインに対して有効な手段が無いから守っても意味が無い。ただドレインの攻撃を受けるだけだといつまで経っても終わらないと考えた。そこでその人は守る人を限局して自分が前線で戦うことを決断した。その結果、そこに写っている12人を残して他の人たちを失うことになった」

マーク「…」

リール「そう…ですか…」

ジン「だから君をあの時のあの人と重ねてしまった。でもこれだけは言える。君は…あの時のあの人そっくりだ」

リール「そうなんですか?」

ジン「あぁ」

マーク「その目元や声、あとはその目の色。あの人と全く同じだ」

ジン「…君ならいい魔女さんになれると思うよ」

マーク「私もそう思います」

リール「ありがとうございます」

ジン「スカーレット。この人たちは今日ここに泊まるんだよね?」

スカーレット「え、うん。そうだよ」

ジン「リールさん」

リール「はい」

リール「あなたにもうひとつだけお話があります。マークともこの話はしています。なので次はリールさんと2人だけでお話したいのです。夕食を終え、お風呂に入ったらまたここに来てください。そのお話と当時その人が持っていた()()()をお渡しします。これから先、きっとあなたのお力になりますよ」

リール「はい。分かりました」

ジン「さ、みんな今日はスカーレットのお部屋で睡眠をとってくださいね。ベッドに関しては3人で川の字で寝られるほどに大きなベッドをご用意していますので」

スカーレット「ありがとうお父さん」

リール「ありがとうございます」

アンナ「ありがとうございます」

ジン「さ、リールさん。箒、ありがとうございました」

マーク「あ、私も杖、ありがとうございました」

リール「はい。お役に立てたなら光栄です」

ジン「さ、恐らく荷物は部屋にあるのでみなさんは自由に過ごしてくださいね」

スカーレット「分かったわ」

アンナ「はい」

 

そして3人はジンの部屋を出ようとした。

だが、リールだけ動かなかった。

 

ジン「リールさん?」

リール「あの…」

ジン「?」

リール「今晩、私からもお話があります。これは、マークさんにも聞いて欲しいお話です」

マーク「私にもかい?」

リール「はい。私をここまで育ててくれたお師匠様…いえ、魔女さんのお話です」

マーク「分かりました」

ジン「是非ともお聞かせください。ですが、今は休息をとってください。お話はその後で」

リール「はい」

 

そしてスカーレット、アンナ、リールはジンの部屋を出た。

 

ジン「…世は巡り…か」

マーク「あぁ。こんな事もあるもんだね」

ジン「久しく会った気分になったよ」

マーク「奇遇だね。俺もだよ」

ジン「…あの人は今頃、何をしているのだろうか」

マーク「…昔と変わらず、元気でいるだろうか」

ジン「この願いが叶うなら…」

マーク「…また会ってみたいものだ」

ジン (リノ…)

マーク (リノ…)




〜物語メモ〜


ジン (スカーレットの父)
ジンは箒を作る仕事をしている。
彼の作る箒は性能が良く、親しまれている。
今は一人娘にスカーレットがいて、奥さんもいる。
かつて存在した最後の光属性魔法の適正を持つ人と接点を持っている。



マーク (スカーレットの父の弟)
マークは杖を作る仕事をしている。
杖の事なら彼に聞けば大抵解決する。
一応彼にも家内や子供はいる。
そして、ジンと同じく最後の光属性魔法の適正を持つ人と接点があった。

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