私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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第13話 リールと刻運命の粉

私の名前はリール。

今スカーレットの家にお邪魔しています。

スカーレットのお父さんや叔父さんに箒と杖を見せるとお二人はすごい褒めてくれました。

そして何やらスカーレットのお父さんからお話があるそうです。

私も魔女さんの事でお話したいことがあるのでマークさんにもお話を聞いてもらおうと思っています。

そして、今日は初めてのお泊まりなので少し楽しみです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私とスカーレットとアンナはスカーレットの部屋にいます。

スカーレットの部屋はとても広く、ベッドもとても広いです。

スカーレットのお父さんが言うには3人で川の字で寝られるほどだそうです。

お金持ちってすごいなぁ…

 

スカーレット「さ、荷物はここに置いて今は…6時ね。ということはもうそろそろ夕食ね」

アンナ「す、すごいね…リール」

リール「だ、だね…」

スカーレット「どうしたのよ2人とも」

アンナ「いや、あの…こんな広いお部屋…まだ慣れてなくて…」

スカーレット「じゃあ私の部屋で慣れるといいわ。怖かったら一緒に寝てあげるから」

アンナ「よ、よろしくお願いします…」

 

そうして話していると…

 

???「お嬢様」

リール「!?」

 

リールの真横に荷物を持っていった人が現れた。

 

スカーレット「何?」

???「お食事の用意ができたそうですよ」

スカーレット「そう。分かったわ。ありがとう」

???「…では」

 

シュッ…

その人は一瞬にして姿を消した。

 

リール「はぁ…びっくりしたぁ…」

スカーレット「仕方ないわ。私も最初は慣れなかったわ。でもやっぱ慣れてくるものね」

アンナ「さっきの人ってボディガードって言ってたけど…」

スカーレット「まぁ私の監視役ってところよ。何かあったらすぐに駆けつけてくれる頼りになる人たちよ」

アンナ (す、すごいなぁ…スカーレットは…)

スカーレット「さ、行きましょ!案内するわ!」

 

私とスカーレットとアンナはリビングに向かった。

 

 

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場所…リビング

 

スカーレット「ここでいつも食べてるの。席は3人並んで食べるわね」

リール「こ、ここも広い…」

アンナ「すごいねリール」

リール「えぇ…そうですね…」

???「さ、御三方の席はこちらに」

 

するとまたしても現れた。

相変わらず神出鬼没だなと思いました。

私たちが席に着くと色んな人がこの部屋に入ってきた。

どうやら一緒に食べるらしいです。

なので量もすごいです。

食べられるかなぁ…

 

???「それではどうぞ」

全員「頂きます」

 

みんなが目の前の料理を食べ始めた。

なので私も頂くことにしました。

 

リール「あ、美味しい…」

スカーレット「でしょ?」

アンナ「ほんと…初めて食べた」

スカーレット「ここのシェフは腕がいいからね。信用してもいいわよ」

 

食事の時間は進む。

その間、色々な話が飛び交う。

近況報告や魔法、杖や箒など…あ、あと昔話も

聞いてて面白く、私は興味が湧きました。

 

???「そういえばジン」

ジン「なんだい?」

???「君の箒はどうだい?何か新しいものはできそうか?」

ジン「そうだなぁ…今のところはまだかな」

???「そうかそうか!だがまぁ、ジンの作る箒は質がいいからなぁ…俺も愛用させてもらってるよ!」

ジン「嬉しいこと言ってくれるね」

???「あら、私もよ?あの箒全然壊れないの!作ってる人が良いからかねぇ?」

ジン「お褒めの言葉、ありがとうございます」

???「そういえはマークさん。あなたの杖もどうですか?」

マーク「そうですね。私は最近ある杖を見かけましてね。それがまたすごい杖でして」

リール「!」

リール (私の杖だ)

???「ほう。どういったものですか?」

マーク「あれは夢なので分かりませんが、唯一分かったことと言えば触っただけで他と全然違うということですね」

???「違う?それはどういうところがですか?」

マーク「私が夢で見たその杖は先の闇を照らす明るい杖。それは何者にも染まらない白い光だった。その杖を触った時、その杖には魔力が込められていた。本来持つはずの無い魔力をその杖は持っていた。私は今、その杖を作ろうと考えています」

???「神秘的な話ね」

???「でも夢なんだろ?」

???「夢があっていいですね!」

???「だから夢の話だと言ってるのに…」

???「あ、そうでしたね」

マーク「でも今の私には作るのは不可能ですね」

???「ほぉ…君でもか」

マーク「えぇ。あの杖はすごいです。私が一生かけても作れないでしょうね」

???「そんなに…」

マーク「えぇ。でもまぁ、夢ができて良かったです。これでより一層精進できますね」

???「研究熱心ですね」

マーク「いえ、それ程でも」

???「君ら2人はいつもお互いを高めあってるからな。良い兄弟だ」

ジン「ありがとうございます」

???「そういえば昔…」

スカーレット「いつもこんな感じなんだ。みんなが集まると決まって近況報告だったり昔話だったりで」

リール「いいですね。私は静かな食事よりこのように会話がある食事の方が好きですよ」

アンナ「わ、私も」

スカーレット「そう。気に障らなくて良かったわ」

 

その後、食事は続いた。

私たちはお腹がいっぱいになって大満足!

ご飯の後は少し時間を置いてからお風呂になるらしいです。

スカーレット曰く、浴場も広いんだとか…

この家は広いところが多くて迷いそうです。

でも、たくさんの人が家に入れるなら、私もそんな家に住みたいなと…そう思いました。

 

 

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場所…浴場

 

スカーレット「さ、入りましょ」

リール「は、はい…」

 

私たちは今、浴場にいます。

そこは、私が想像してたよりも遥かに広いです。

 

リール「うわぁ…すごい…」

スカーレット「さ、髪や体はここで洗うわよ」

 

私たちは湯に浸かる前に体を綺麗にした。

ザバァン

私たちは湯に浸かった。

 

リール「っはぁ…」

 

温度はちょうど良かったです。

熱すぎず、ぬる過ぎず。

 

アンナ「あぁ…気持ちいい…」

 

アンナも気に入ったようです。

 

スカーレット「お風呂に上がったら私の部屋で映画見ましょうか。勿論3人で」

リール「あ、でも私は」

スカーレット「分かってるわよ。だから3人集まったら見るの。明日は休みだから今日はゆっくりできるわよ」

リール「うん!」

アンナ「映画?スカーレットの部屋にテレビってあったっけ?」

スカーレット「勿論あるわよ!私の部屋はもうひとつあるの!」

アンナ「ひえぇ…」

リール「つくづくあなたの家の事情が目に浮かびます…それに…その体も…」

スカーレット「?」

 

スカーレットは2人と比べてスタイルが良かった。

胸は大きく、お腹は細く、足もスラーっとしてる。

私は…

リールは自分の胸を触った。

 

リール (うっ…発育の暴力…)

 

リールはスタイルのいいスカーレットを羨ましがった。

 

 

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数分後…

 

アンナ「気持ちよかったねリール」

リール「え、あ、はい」

アンナ「どうかしたの?」

リール「え、いや…なんでもないです…」

 

リールはアンナの体を見た。

アンナはスカーレットと比べてスタイルがいい訳じゃないが、リールよりかは胸があった。

 

リール「くっ…」

 

リールは自分より胸の大きな2人を妬ましい目で見た。

 

リール (いつか胸を小さくする魔法を作ってみせます…)

 

そう心の中で思ったリールだった。

 

 

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場所…ジンの部屋

 

あれから少し時間が経った。

私はジンさんの部屋に来ています。

 

ジン「じゃあ話そうかな」

リール「はい」

ジン「これは私の友人の話です。彼女は私と同い年の女性で唯一光属性魔法に適性を持っていた人物です。彼女は一人でいることが多く、私たちが言わないと一緒に行動しませんでした。これに関してはあの時お話しましたね」

リール「はい」

ジン「私たちは仲間との楽しい時間を過ごしていました。ですが、その時間が続くことはありませんでした」

リール「…」

ジン「突如として現れたドレインという生き物。あいつらによって私たちは生きる希望を失いました。彼らはより魔力を持つ者に吸い寄せられる性質を持ち、数多くの魔法使いや魔女がそいつらに食われてしまった…もちろんその人たちだけでなく、国中の人たちも全て」

リール「…」

ジン「被害の大きさを考え、私の友人はあることを決断しました。それは…」

ジン「"刻を戻して無かったことにしよう"」

ジン「と、いうことでした」

リール「と、刻を…戻す…」

ジン「はい。刻を戻し、過去を変えることはこの世界の理に反します。ですが、彼女にとってそれよりも失った人の方が大事だったのでしょう。彼女は迷いなくその力に手を伸ばしました」

リール「じゃあ…時間が…」

ジン「…はい。私たちの記憶はそのままで周りの時間だけが元に戻りました」

リール「そんな事…」

ジン「光属性魔法なら可能です」

リール「!」

ジン「光属性魔法は神からの恩寵なのです。対する闇属性魔法は悪魔からの恩寵…互いに効果を持つこの2つはそれ以降、特殊属性魔法として分類されました」

リール「でもなぜ…刻を戻せるんですか…」

ジン「…力を与えた神の中に時間を司る神がいたからです」

リール「時間を…司る…」

ジン「はい。その神の力を得ることで時間を戻したり飛ばしたりできます。あの時彼女がやった刻を戻す魔法…あれを使うことができます」

リール「使うとどうなるのですか…」

ジン「先程言いましたが、使用者以外の時間だけが変わります。私たちは何も変化しません。そして、戻した時間は二度と元には戻せません。飛ばした時間も同様です」

リール「でもなぜそのお話を…」

ジン「…あなたが光属性魔法を使う人だからです」

リール「!」

ジン「あの人と同じ光属性魔法…同じ過ちを繰り返さないために私はあなたにこのお話をしました」

リール「そうですか…え、過ち?」

ジン「…」

リール「過ち…ってなんですか…」

ジン「…時間を戻した彼女を待っていたのは…」

ジン「"生きても死んでもない時間"です」

リール「生きても死んでもない時間…不老不死という事ですか?」

ジン「いえ、 不老不死ではないです。ですが死んでいません。そして、生きてもいません」

リール「え…どういう…」

ジン「混乱するのも無理はありません。今の私たちでも分からないのですから」

リール「そ、そうですか…」

ジン「それである物をあなたに…」

 

ジンは引き出しからある物を取り出した。

 

ジン「…これです」

マーク「…」

 

コトッ

ジンは取り出したものを机に置いた。

 

リール「これは…粉?」

ジン「はい。刻運命(ときさだめ)(こな)です」

リール「刻…運命?」

ジン「…これは私の友人が時間を戻す際に使ったものです。これに魔力を込め、刻運命を発動することで時間を戻したり飛ばしたりできます」

リール「でも…何故これを私に…」

ジン「…この粉は光属性魔法にしか反応しないからです」

リール「でも…」

ジン「…彼女がこれを残す時、ある言葉も一緒に残しました」

リール「…?」

ジン「"私と同じ光属性魔法を使う人にこれを渡して。そして、私が成し得なかったことを私の代わりにやってほしい"と」

リール「成し得なかったこと…」

ジン「それに関しては分かりません。彼女はそう言葉を残してこの世から隔絶されました」

リール「…」

ジン「でもあなたならこれを正しく使い、彼女が成し得なかったことをやり遂げるはずです」

リール「…これって使い道はそれだけですか?」

ジン「…分からないのです。それを作り出し、使ったのは彼女だけ。それを知るのは彼女だけなのです。光属性魔法に適性がない私たちにはどうすることも…」

リール「…これ、手に取っても良いですか?」

ジン「あ、あぁ。どうぞ」

 

リールは刻運命の粉を手に取った。

ピッ

 

リール「!」

 

リールがそれを手に取った瞬間、頭の中にある映像が流れた。

 

 

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???「こうするしかない。これ以上の被害は看過できない」

リール (被害?看過?…ここは一体…)

???「みんな聞いて」

ジン「なんだい?」

マーク「何か策でも思いついた!?」

???「…いいえ。有力な策は思いつきません」

マーク「そんな…」

???「しかし、この状況を打破できる策はあります」

マーク「お!じゃあ教えてくれ!」

???「…無かったことにしましょう」

マーク「…え?」

???「…」

ジン「どういう事?」

???「…そのままの意味。今起きてるこれを無かったことにしましょう」

???「でもそんなこと無理くね?」

???「そうだよ。もうたくさんの人が死んだ。仲間もみんな。それを無かったことにするって」

???「…できます」

???「じゃあ教えて。何するつもりなの」

???「…」

 

コトッ

???は刻運命の粉を机に置いた。

 

???「何?これ」

???「粉?」

???「…そう。これは刻運命の粉」

ジン「刻運命?」

???「そう。私が作ったもの。これを使えば時間を容易に操ることが出来る」

???「時間を!?」

マーク「まさか…それを使って時間を巻き戻すんじゃ…」

???「…そう。その通り」

???「待て!時間を戻しても起こる事象は変わらない!ただこれが起こる前まで時間を戻しても結局俺たちの仲間は死ぬことになる!」

???「…だから無かったことにするのよ」

???「何…言ってんだよ…」

???「分からない?無かったことにするのよ。これは元から起こらなかったという事にするのよ」

???「分からない。ちゃんと教えて」

???「この世界を書き換えるの。ドレインはいなかった。みんな仲良く暮らしていた。誰一人死ぬことなんてなかったって」

???「それって…どうなるの」

???「もちろんドレインは消えるよ。()()()()()()()

ジン「…含みのある言い方だね」

???「うん。そういう風に言ったから」

マーク「ドレインはどうなるんだ。この世界から消えたドレインは…」

???「さぁ、分からない。どこの世界に現れるのか。もしくは二度と現れないのか」

???「それは勝手すぎないか?」

???「…?」

???「この世界に現れたドレインを別の世界のやつに擦り付けるってことだろ?そんなの…身勝手だと思わないのか?」

???「…じゃあ聞くね。あなたは今までドレインに対して有効な攻撃ができなかった。できるのは私だけ。あなたはどうしたの?」

???「…!」

???「ドレインの始末を全て私に擦り付けてなかった?」

???「っ…」

???「あなたが先にやったのになぜ私が色々と言われないとダメなの?しかも自分のことを棚に上げて。ねぇ?なんで?」

???「…」

???「身勝手?言葉は選んだ方がいいよ。私しかドレインを倒せないの。私一人だけが。でも私一人だと限界があるの。現にここにいる12人以外の人間はみんな死んじゃった。分かる?私一人だと限界があるの。あなた私が限界なの知ってた?私は顔にも出さなかったけどしんどかったの。でもあなたはそんな私を働かせてたよね?ドレインを倒させてたよね?ねぇ?」

???「くっ…」

ジン「待って」

???「うるさい。ジンは黙ってて。他のみんなも。今私はこの人と話してるの。次会話を邪魔したら…どうなるんだろうね」

ジン「…」

???「で、どうなの。あなたは気づいてたの?」

???「…」

 

その人は何も言えなかった。

 

???「何も言えないよね。当然だよね。あなたは特に私に色々命令してたもんね。ねぇ、人って面白いの。今まで便利だったものが動かなくなると急にしおらしくなるの。腫れ物を扱うように優しくなるの。何故かわかる?」

???「…」

???「答えは簡単。動いてる時はその大事さを知らないの。失ってからいかに自分が今の状況で生きていたのかを痛感するの。自分が今の生活をできているのは私が動けていたからなの。でもこんな感じに私が急に動かなくなった。ドレインに対して唯一有効な攻撃ができる私が」

???「…」

???「そうなると焦るよね。当然だよね。あなたはドレインに対して全く効果のない攻撃しかできないからね。私がいなかったらあなたは今頃死んでるよ?ねぇ分かる?理解できる?今あなたが生きてるのは私のおかげだよ?そんな私に身勝手だろって…あなた何様なの?何も出来ないのに上から目線で言葉を発するのはやめてくれない?私の気持ちひとつであなたの生死は決まるの。分かる?」

???「…」

???「で、何か言うことないの?」

???「…すまない」

???「…随分乾いた謝罪だね。生かしてもらってる自覚を持った方がいいよ」

???「…すみませんでした」

???「分かればいいの」

???「…」

ジン「話は済んだかい?」

???「えぇ。もういいわ。それで、私の意見に賛成な人…いる?」

 

???がそう言うとみんなが手を挙げた。

 

???「そ。良かった。これでみんなが仲良く生きていけるよ」

マーク「ねぇ、待って…」

???「何?」

マーク「君は…君はどうなるの…」

???「私?…そうだね。離れたところから君たちを見ていることにしようかな」

マーク「!?」

???「待って!それってまさか…」

???「うん。まぁ、当然だよね」

???「やだ!絶対やだ!」

???「何言ってるの?君も賛成したよね?今更変えるの?」

???「だって…あなたも一緒に…」

???「いいの。私は元々ひとりが良かったし」

???「でも…」

???「もう決まったことだよ。私の意見を通して。これ以上ここの誰かがドレインに殺されるのを見ると今度こそ私は暴れると思う。ドレインだけじゃなくこの世界を破壊すると思う」

???「!!」

???「…私はこの世界の核を知っている。その核を叩けばこの世界が壊れることも知っている。でもあなたたちはそれを知らない。あなたたちの中で誰か一人でも死んだら私は核を叩きに行くの。死ぬ時はみんな一緒。生きるなら私を置いてみんなで生きて」

???「…」

ジン「…分かった。君の意見を通そう」

???「ジン!」

ジン「…彼女は色々な決断をして今この場に立っている。実際、私たちは彼女がいないと何も出来なかった。彼女のおかげで私たちが生きていけた。でも彼女は私たちと生きていく中で苦しんでいた。彼女が自分なりに楽になれるという提案をしているのなら。彼女のおかげで生きていけた私たちがその意見を受け入れてあげるのが筋じゃないかな」

マーク「…」

???「…いいよ。私もそう思うから」

???「…ありがとう。2人とも」

???「…分かった…私も…」

???「ありがとう」

マーク「なぁ…」

???「何?」

マーク「その意見…受け入れるけどその代わり、ひとつだけ頼めないかな」

???「…何を?」

マーク「…君が生きていた証を…僕たちに残してくれないかな」

???「生きていた…証…」

マーク「うん」

???「…常に一人でいた私。あなたたちとあまり関わらなかった私に何を残せと。私の生きた証を…あなたたちに残してどうするの?」

マーク「あなたへの感謝を忘れないようにしたい」

???「!」

マーク「今まで一人でいたあなたを意味のある人生にした僕たちを…そしてこれから先、あなたの意味のある行動を伝えていきたい。だからお願い。あなたのことを忘れたくないんだ」

???「…何もしてない私をあなたたちの心に残せるなら…それもまたいいですね」

 

???は首から下げた結晶を12個に分けた。

 

???「…みなさん。これを」

 

みんなはそれを受け取った。

 

???「それを持っていてください。何かあったら私が助けます。これでいいですか?マーク」

マーク「…あぁ。ありがとう」

???「あ、それともうひとつ…皆さんに伝えたいことがあります」

ジン「ん?なんだい?」

???「…もし、私の娘があなたたちを訪れたら…色々助けてあげてください。私の一人娘を…」

ジン「…あぁ。分かったよ」

???「ありがとう…ちなみに私の娘の名前は…」

 

ジジジ…

 

リール (!?)

 

突然、リールの周りに黒い煙が出てきた。

 

リール (な、なにこれ…)

 

コォォォォォォ…

その黒い煙はリールを包み込んだ。

 

リール (な、やめて!離して!)

 

シュゥゥゥゥゥ…

 

リール (やめて!離して!やめ…)

 

 

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ジン「リールさん!リールさん!リールさん!」

リール「…」

 

リールはいつの間にか眠っていた。

 

リール「あれ…私…」

ジン「良かった。急に倒れたから心配したよ」

リール「え、倒れたって…」

マーク「何があったの?」

リール「わ、分かりません…」

ジン「…じゃあ今日はこの辺で終わりましょうか」

リール「え…」

ジン「リールさんもお疲れのようですし。リールさんのお話は明日聞かせてください」

リール「あ、はい…」

 

リールは立ち上がってドアに向かった。

 

リール「それでは…」

ジン「はい。お休みなさい」

 

パタン

リールはドアを閉め、スカーレットの部屋に向かった。

 

マーク「…やっぱりあの子だったんだね」

ジン「あぁ。まさかこんなに早く見つかるなんてね」

マーク「今頃リノは喜んでるかな」

ジン「さぁ、どうだろうね」

 

 

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場所…スカーレットの部屋

 

ガチャ…

リールはドアを開けて入った。

 

スカーレット「あ、話終わったの?」

リール「え、あ、はい。終わりましたよ」

アンナ「…どうしたの?リール」

リール「ううん。なんでもないですよ」

スカーレット「じゃあ気分を変えて映画でも見ましょうか」

リール「うん。そうだね」

 

その後、スカーレットとアンナとリールは映画を見てから一緒に寝たのだった。

 

 

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場所…???

 

ジン「ねぇリノ。やっと君の娘さんに会えたよ。あれからすごい時間が経ったね」

???「…」

マーク「君が残したあの子を君が僕たちを守ってくれたように僕たちにも守らせて」

???「…」

ジン「…それじゃあねリノ」

マーク「ずっと僕たちを見守ってて」

???「…」




〜物語メモ〜


刻運命の粉
魔力を込めて使う粉。
魔道具の中で唯一マナを使わない物で、使えば時間を戻したり飛ばしたりできる。
過去に一度だけ、最後の光属性魔法の人が使用した。

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