私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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第16話 リールと無属性魔法

私の名前はリール。

昨日までスカーレットの家にいて今は学校にある自室にいます。

スカーレットの家に行くことで、私は様々なことを知れたと思います。

光属性魔法に関すること、ドレインのこと…そして、リノという人の存在。

私はスカーレットに頼んである小さな紙を貰いました。

その紙は最初全く読めなかったけど見ていると文字が変化して私でも読めるようになりました。

でもスカーレットやアンナは読めませんでした。

…もしかすると、私だけしか読めないのでしょうか。

少し気になりました。

さて、今日は先生が無属性魔法について教えてくれるそうです。

無属性魔法は魔女さんにも教わらなかったのでちょっと楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…教室

 

ジーヴル先生「さて、今日は無属性魔法について話をするぞ〜」

生徒「はーい」

ジーヴル先生「無属性魔法は読んで字のごとく何ものにも属さない魔法の事だ。分かりやすくいえば回復魔法。これは基本属性魔法や特殊属性魔法には属さない魔法だ。他にも移動魔法や強化魔法も無属性魔法に含まれるぞ」

男子「先生〜」

ジーヴル先生「ん?なんだ?」

男子「それってみんな使えるんですよね?」

ジーヴル先生「ん?まぁ、習えば使えると思うぞ」

男子「やったぜ」

ジーヴル先生「まぁ今回は回復魔法だけ覚えてもらう。他の魔法はまた今度だ」

男子「えー…」

ジーヴル先生「おーいそこ。文句言うなよ〜」

男子「ぶー…」

ジーヴル先生「と言っても回復魔法は体力の回復、あとは魔力の回復の2つがある。その中でも持続的に回復するものと一気に回復させる魔法がある。何使うかはみんな次第だけど、これを覚えておくといざとなった時に便利だぞ」

アンナ「リールは無属性魔法って使えるの?」

リール「いえ、無属性魔法だけは教わらなかったので」

アンナ「あ、そうなんだ」

リール「なので少し楽しみです」

アンナ「だね!」

ジーヴル先生「まずは体力の持続回復だ。これは回復力はそこまで無いが、半永久的に体力が回復する魔法だ。これを使えばいちいち回復魔法をかけずに済むようになる」

男子「でも回復力は弱いんですよね?」

ジーヴル先生「あぁ。確かに弱いが、1度かければそれ以降はかけなくてもいいくらいだ」

男子「ふーん」

ジーヴル先生「次は普通の体力回復魔法だ。これは発動者の魔力の強さによって回復量が変わる。魔力が強ければ回復量も多くなり、逆に魔力が弱ければ回復量も少なくなる。普通の回復魔法と持続的に回復する魔法の違いはここだ。普通の回復魔法は魔力に影響される。だが、持続的に回復する魔法は魔力に影響されない。つまり、魔力が強かろうが弱かろうが回復量は変わらないんだ」

男子「へぇ〜」

ジーヴル先生「だから魔力が強い人は普通の回復魔法を使って、魔力が弱い人は持続的な回復魔法を使うようになっている」

男子「あーなるほどなぁ」

ジーヴル先生「これが体力の回復魔法だ。次に魔力の回復魔法だ」

アンナ「リールは回復魔法どっち使う?」

リール「そうですね。私は普通の回復魔法ですかね」

アンナ「だよね。リールは魔力が強いからやっぱりそっちの方がいいよね」

リール「はい。ですね」

ジーヴル先生「魔力の回復は体力の回復とは違って自分の魔力を誰かに分け与えるという魔法だ。使えば当然使用者の魔力は減り、受けた人は魔力が上昇する。これに関しては1種類しかない。おまけに魔力の影響も受けないんだ」

女子「ということは分け与える魔力の量は自分で決められるんですか?」

ジーヴル先生「そうだ。分け与える量は魔力による変動ではなく、使用者のさじ加減だな」

女子「分かりました」

ジーヴル先生「このように、無属性魔法の回復魔法は色々なところで応用されている。それに、回復魔法はある属性魔法に適性がある人が使うと更に効果を上げることが出来るぞ」

男子「なんの属性魔法ですか?」

ジーヴル先生「水属性魔法だ」

男子「えー?水属性魔法?」

アンナ「!」

ジーヴル先生「そうだ。水属性魔法は本来、相手に癒しの力を与える属性魔法なんだ。その属性に適性を持つ人が回復魔法を使えば、さらに効果を跳ね上げることができる」

男子「先生ー!風属性魔法はー?」

ジーヴル先生「風属性魔法は残念ながら効果は等倍だ」

男子「えー…」

ジーヴル先生「お、まだ時間があるな。じゃあ今度は移動魔法についてだ。これは俗に言うワープと呼ばれる魔法だ」

リール「ワープってスカーレットが使ってた魔法ですよね」

アンナ「あ、そうそう。その魔法だよ」

ジーヴル先生「ワープとは、移動手段の中で最も目的地に着くのが速い魔法なんだ。なんせ一瞬でその場に着くんだからな」

男子「先生!それはどの属性魔法がいいんですか?」

ジーヴル先生「あーこれに関しては属性による効果は期待できないぞ」

男子「えー…」

ジーヴル先生「いや誰でも使えばワープできるし、ワープの効果を上げるって言っても何を上げるんだ?」

男子「確かに…」

ジーヴル先生「だからどの属性も効果は等倍だ」

男子「ぶー…」

ジーヴル先生「無属性魔法はどの属性にも属さない魔法だから汎用性が高い。物体浮遊魔法もそのひとつだ。このようにみんなそれぞれ持つ属性魔法と氷属性魔法、無属性魔法を使ってこれから生きていくことになる。その過程で魔法の改良、最適化をすることで更に魔法の幅が広がるぞ」

男子「おー!」

ジーヴル先生「さ、授業はここまでだな。時間的にもいいくらいだし終わるか」

男子「よっしゃー!」

ジーヴル先生「こらそこ。喜ぶんじゃないぞ」

男子「すんませーん」

ジーヴル先生「さ、授業は終わりだ。解散!」

 

そしてみんな順々に教室を出た。

 

アンナ「どうだった?リール」

リール「興味深い話ばっかりでしたよ。もっと知りたいとも思いましたし」

アンナ「おぉ…すごいねリール。勉強熱心だね」

リール「い、いえ…それほどでも…」

 

2人で話していると教室のドアが開いた。

 

ラーフ「失礼します」

アンナ「!」

リール「!」

 

入ってきたのはレヴィ学院長のそばにいる人だった。

 

ラーフ「こちらにリールさんはいらっしゃいますか?」

リール「あ、はい。ここにいます」

ラーフ「…レヴィ学院長がお呼びです。学院長室においでください」

リール「あ、はい。分かりました」

 

リールはラーフのところに行き、学院長室に向かった。

 

スカーレット「ねぇアンナ」

アンナ「何?」

スカーレット「何かあったの?」

アンナ「え、うーん…分からない…」

スカーレット「…そう」

 

 

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場所…学院長室

 

コンコンコン

ラーフはドアをノックした。

 

ラーフ「学院長。ラーフです」

レヴィ「あ、入ってもいいよ」

ラーフ「…失礼します」

 

ギィィィィィィ…

ラーフはドアを開けて入っていった。

リールもそれについて行った。

 

 

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レヴィ「やぁリールさん。入学ぶりですね」

リール「はい。お久しぶりです学院長」

レヴィ「あ、ここでは私のことは学院長じゃなくても大丈夫ですよ」

リール「…?」

リール「じゃあどのように呼べばいいのでしょうか?」

レヴィ「んー…気兼ねなくレヴィでいいよ」

リール「分かりました。じゃあレヴィさんで」

レヴィ「それでいいよ」

リール「それで、何か御用ですか?」

レヴィ「…何時間か前にメリーさんが私にある報告をしてきました」

リール「報告?」

レヴィ「はい。ある男性2人が魔女さんの家に行きたいと…そう言われたそうです」

リール「!」

レヴィ「…あの家を守っている私からすれば、私とメリーさん以外の人物があの家に近づくのはあまり良い気はしないのです。そこで、あなたに相談があります」

リール「…」

レヴィ「…あなたならどうしますか?」

リール「!」

レヴィ「私は正直断るつもりです。メリーさんは判断ができないために私に知らせてくれました。ですが、私とメリーさんもあの家の者ではないので私とメリーさんには決定権がありません。そこで、魔女さんがいない今、あなたがあの家の所有権 兼 決定権を所持しています。なので、最後にあなたの判断を仰ぎたいのです」

リール「…」

レヴィ「…どうされますか?」

リール「えっと…その男性2人って…」

レヴィ「箒専門店のジンさんと杖専門店のマークさんです」

リール「!」

 

リールの予想は的中した。

 

レヴィ「…面識があるのですか?」

リール「…はい。一度会ったことがあります」

レヴィ「…そうですか。それで、どうしますか?」

リール「えっと…ジンさんとマークさんは何故あの家に行きたいのかという理由は仰られましたか?」

レヴィ「私は聞いてないね。恐らくメリーさんも」

リール「…そうですか」

レヴィ「…」

リール「じゃあ目的を開示していただいてからメリーさんもしくはレヴィさんが監視している状況であるなら大丈夫です」

レヴィ「目的の開示と監視があればいいんですね?」

リール「はい。その目的が分かれば私に伝えて欲しいです。私が良いと思ったらレヴィさんかメリーさんが監視役としてジンさんとマークさんと一緒にいてくれるなら大丈夫です」

レヴィ「…分かりました。ではそのようにメリーさんに言っておきます。後日メリーさんのところに伺うとお二人が言っていたのでその時に伝えるように言っておきますね」

リール「はい」

レヴィ「あ、それと」

リール「?」

レヴィ「目的が分かり次第あなたに伝えます。後日また呼び出しますのでその時にまたこの部屋に来てください」

リール「はい。分かりました」

レヴィ「ラーフ」

ラーフ「はい」

レヴィ「リールさんを部屋まで送ってあげて」

ラーフ「…分かりました」

リール「…失礼します」

レヴィ「はい」

 

ギィィィィィィ…バタン

リールとラーフは部屋を出た。

 

レヴィ「…目的の開示と監視ね。分かりました。…ですが、そう簡単には近づけさせませんよ」

レヴィ「…轟雷(ごうらい)の使徒 サルメア。巌土(がんど)の使徒 ファラン」

 

 

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場所…リールとアンナの部屋

 

ラーフ「それではリールさん。私はこれで」

リール「あ、はい。ありがとうございます」

ラーフ「後日また伺いますのでその時は」

リール「はい。分かりました。それでは」

ラーフ「はい」

 

ギィィィィィィ…バタン

リールは部屋の扉を閉めた。

 

ラーフ「…」

 

 

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アンナ「あ、リール!」

リール「アンナ。帰ってたの?」

アンナ「うん。でもどうしたの?」

リール「あー…ちょっとね」

アンナ「?」

 

リールは一応この件については伏せることにした。

 

リール「また後日呼び出されるみたいだからまたその時も一緒に帰れないかもしれないけどいい?」

アンナ「うん!いいよ!」

リール「ありがとう。アンナ」




〜物語メモ〜


魔女さんの家
現在、家の主である魔女さんは用事のため家を空けている。
そのため、現在の家の主はリールとなっている。
だが、リールはエレナ学院にいるため、その間はメリーさんとレヴィ学院長が家の管理をしている。

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