私の名前はリール。
今はエレナ学院にいます。
前回は無属性魔法について勉強しました。
ある程度の魔法は魔女さんに教わってるので聞いたことのある魔法ばっかりでしたが、興味深かったです。
私は光属性魔法に適性があるので回復はちょっと難しいですが、頑張って練習します!
さて、今日は何やら面白いイベントが始まるそうです。
先生の顔が笑顔なのできっと面白いんだろうなと思っています!
ある日…
ジーヴル先生「よぉーしみんなー!席につけー!」
ジーヴル先生は大きな箱を持ってきた。
男子「先生〜その大きな箱は何ですか?」
ジーヴル先生「今から説明するからちょっと待ってくれ〜い」
男子「はいよ〜」
リール (友達かな?)
ジーヴル先生は大きな箱を1つと小さな箱を1つ教卓の上に置いた。
ジーヴル先生「じゃあ説明するぞ〜。これはな、みんなが2学年になってから注文していた杖だ。これから実技の授業が入ってくるからその時に使うためにな」
男子「キタァァァァァ!」
ジーヴル先生「おーいそこー。うるさいぞー」
男子「先生!早く配ってくれよ!」
ジーヴル先生「あーダメだ」
男子「え!?なんで!?」
ジーヴル先生「杖はその人に合わせて作られているからだ。属性魔法が違う人の杖を使っても魔法は発動しないからな。ここは慎重にならないといけない」
男子「えー…」
ジーヴル先生「今から名前呼ぶから呼ばれたら来てくれ。出席番号関係ないから呼ばれるまでは来るなよ」
全員「はーい」
するとジーヴル先生は一人一人生徒の名前を呼んでいった。
その間、スカーレットやアンナも呼ばれ、全員が杖を持つことになった。
当然、リールの名前は呼ばれなかった。
ジーヴル先生「よしっ。これで全員分だな」
男子「え?」
ジーヴル先生「え?」
女子「先生ー!リールさんの杖は無いんですか?」
ジーヴル先生「え?無いも何もリールさんは杖持ってますよね?」
リール「!」
女子「え?どういう事?」
女子「最初から持ってたってこと?」
女子「そういえば適性魔法を見る時も手つきが慣れていたような…」
ジーヴル先生「学院長からは杖の注文はいらないと聞いていたので発注しなかったんですが、リールさんは杖持ってませんか?」
リール「あ、いえ。持ってます」
そう言ってリールは杖を取り出した。
女子「わ、ほんとだ…」
男子「自分の杖?」
リール「はい。そうです」
女子「綺麗な形だね」
リール「ありがとうございます」
ジーヴル先生「よしっ。リールさんも杖を持っている事だし、みんなにはもう1つ話がある」
ジーヴル先生は黒板に文字を書き始めた。
リール (模…擬…試…合…模擬試合!?)
そう。
ジーヴル先生が書いたのは模擬試合という文字だった。
ジーヴル先生「さて、もう1つの話…それは、模擬試合についてだ」
男子「模擬試合!?」
男子「戦えるのか!?」
ジーヴル先生「そう。杖を持った生徒の最初のイベント。それが模擬試合だ」
女子「それって魔法の試合なんですか?」
ジーヴル先生「そうだ。各々の適性魔法を使って相手と対戦するというものだ」
アンナ「ねぇリール」ヒソヒソ
リール「なんですか?」ヒソヒソ
アンナ「なんか、スカーレットの家でやった気がするんだけど」ヒソヒソ
リール「奇遇ですね。私もそう思ってました」ヒソヒソ
スカーレット「…」
ジーヴル先生「今から細かい説明するからしっかり聞いとけよ」
全員「はーい」
するとジーヴル先生は模擬試合の詳細を説明し始めた。
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詳細を聞いて分かったこと
1.使う魔法は自分の適正魔法のみ
(氷属性魔法、無属性魔法の使用は禁止)
2.勝敗は相手の降参あるいは戦闘不能のみ
3.試合形式は 1VS1
4.属性魔法の有利、不利は関係ない
(戦う相手や属性魔法はランダム)
5.生徒同士での戦闘
6.不正は魔法以外の攻撃、適正魔法以外の魔法攻撃のみ
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リール (意外にルールが多いですね)
ジーヴル先生「とまぁ詳細はここまでだ。なにか質問あるやつはいるか?」
女子「先生。それはいつ始まりますか?」
ジーヴル先生「1週間後だ。その間、宿題や授業は全て杖の慣れの時間になる」
男子「じゃあ授業は無いわけだ!」
ジーヴル先生「そうだな」
男子「しゃあ!」
ジーヴル先生「あ、それともう1つ。この模擬試合で仮に負けたとしても成績が落ちるとかは無いから安心してくれ。この模擬試合は魔法と杖の慣れのために行うものだからな」
男子「勝ったぜ!」
ジーヴル先生「傷を負っても先生方が回復させてくれるからみんなは思う存分戦ってくれ」
女子「先生。場所はどこでやるんですか?」
ジーヴル先生「場所はあそこだ。第1魔法戦闘室だ」
女子「それってこの校舎の隣にあるあれですか?」
ジーヴル先生「そう。そこが第1魔法戦闘室だ。だがまぁ、模擬試合を始める前に一旦ここに来てもらうからそこから先生がみんなを連れていくよ」
女子「分かりました」
ジーヴル先生「他に質問あるやついるかー?」
誰も手を挙げなかった。
ジーヴル先生「よしっ。じゃあこれで終わりな。各々しっかり魔法と杖の練習をしておくこと。分かったか?」
全員「はーい!」
ジーヴル先生「じゃあ解散!」
男子「よぉーし!早速練習行くぞ!」
男子「任せろ!けちょんけちょんにしてやるぜ!」
男子「俺も行くぜ!」
ジーヴル先生「おーい!魔法は校舎内では使うなよー!禁止だからなー!使うなら第1魔法戦闘室に行けよー!」
男子「分かったぜ先生!」
男子「行くぞお前ら!目的地は第1魔法戦闘室だ!」
男子「ラジャー!」
男子「ラジャー!」
タッタッタッタッタッ!
元気のいい男子たちはそのまま第1魔法戦闘室に向かった。
リール (この際練習するのもありですね)
アンナ「あの、リール…」
リール「どうしましたか?」
アンナ「一緒に練習しない?」
リール「構いませんよ」
スカーレット「私も参加するわ」
リール「あ、スカーレット」
スカーレット「ようやく振り切って来れたわ」
リール「振り切る?」
スカーレット「そう。みんな私と練習したがってたけど私はリールたちとがいいの。だから振り切ってきたの」
リール「そっか…ありがとう」
スカーレット「いいわよ。それよりも私たちも早く練習しましょ!」
アンナ「はい!よろしくお願いします!」
それからリールたちも練習をし始めた。
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リール (光の使い方…そのまま一直線に飛ばすのもありですね。弾道速度はどの属性魔法よりも速い。そこを活かさないと…)
アンナ「ねぇ2人とも」
スカーレット「何?」
リール「何ですか?」
アンナ「水って触ると濡れるよね?」
スカーレット「そ、そうね」
リール「まぁ、当然ですよね」
アンナ「でも掴むことってできるかな」
スカーレット「掴むこと…ね」
アンナ「うん」
リール「少しは掴めるかと思いますが、全部は無理ですね」
アンナ「だよね!良かった!」
リール「何かするの?」
アンナ「えっと…うん」
リール「どんな事をするんですか?」
アンナ「えっと…内緒!」
スカーレット「教えてくれないの?」
アンナ「うん!その時のお楽しみ!」
リール「分かりました。楽しみにしておきますね」
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それからリールたちは1週間、自分の属性魔法について勉強、実技、思考を繰り返した。
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そして模擬試合当日…
ジーヴル先生「よぉしみんな。ちゃんと練習してきたか?」
男子「バッチリだぜ先生!」
男子「早くやろうぜ!」
ジーヴル先生「まぁ待て。先走る気持ちは分かるが準備があるからな」
男子「準備?」
ジーヴル先生「そう。魔力が外に漏れないように結界を展開しているところだ。もう少ししたら行くぞ」
男子「先生!」
ジーヴル先生「ん?なんだ?」
男子「対戦相手はいつ分かるんですか?」
ジーヴル先生「あーじゃあ今やっとくか。どうせ待たなきゃだし」
男子「しゃあ!誰でもかかってこいや!」
アンナ「ねぇリール」
リール「なんですか?」
アンナ「頑張ろうね」
リール「…はい」
そして対戦相手が順々に発表された。
リールは7戦目、アンナは5戦目、スカーレットは2戦目だった。
アンナ「良かった…リールやスカーレットが相手じゃなかった」
リール「3人の中ではスカーレットが1番早いですね」
アンナ「その次は私で最後はリールだね」
リール「ですね」
ジーヴル先生「さて、発表も終わったことだし行こうか」
男子「しゃあ!行くぜ!」
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対戦相手
2戦目 スカーレットVSサラン(男)
5戦目 アンナVSエル(女)
7戦目 リールVSオード(男)
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場所…第1魔法戦闘室
ジーヴル先生「さぁて、1戦目と2戦目の人はここに残ってくれ。残りの人はこの上に観客席があるからそこに行くように。座る場所はどこでもいいぞ」
男子「よし!俺は1番見えるところに座るぜ!」
男子「何!?俺が座るぜ!」
ジーヴル先生 (相変わらず元気だな。あいつらは)
リール「スカーレット!」
スカーレット「!」
リール「…頑張って!」
スカーレット「…任せて」
リールとアンナも観客席に向かった。
スカーレット (こんな所で負けてられないわ。いつかあなたと対等に戦えるくらいに強くなるの。見ててリール、アンナ。勝ってみせるから)
ジーヴル先生「さ、1戦目と2戦目のメンバーはそれぞれこっちとあっちに扉があるからそこで待機していてくれ。どちらの扉に待機するかはここに書いてあるから見るように」
スカーレットはそこに書かれている内容を見た。
スカーレット (…私は右ね)
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戦闘準備が整い、1戦目が開始された。
1戦目の様子は2戦目の人たち含め、全員見ることができるようになっている。
1戦目の組み合わせは土属性魔法と火属性魔法だった。
両者1歩も引かず、各々の属性魔法を相手にぶつけた。
地脈を操る土属性魔法と炎を操る火属性魔法では、地脈によるバフがある土属性魔法の方が少し強かった。
火属性魔法の人が弱いと言うより、土属性魔法を使ってる人が地脈のバフを使いこなせていたため、この勝負は土属性魔法の人の勝利だった。
そして、スカーレットの順番が来た。
ジーヴル先生「さて、第2戦目。2人とも舞台に上がってきて」
ギィィィィィィ…
扉が開き、スカーレットとその対戦相手が舞台に上がった。
リール「スカーレット!頑張って!」
アンナ「スカーレットなら行けるよ!」
スカーレット「…」
サラン「…」
スカーレットの対戦相手はサランという男子生徒だった。
彼は物静かで割と知的な人物だった。
スカーレット「…」
サラン「まさか君と戦うことになるなんてね。委員長」
スカーレット「!」
サラン「手加減はなしだよ。僕はここで負けたくないからね」
スカーレット「…私だってこんな所であなたに負けたくないわ」
サラン「…さて、やろうか」
ジーヴル先生「戦闘開始!」
ジーヴル先生が開始の合図を出した。
スカーレット「
ジジジ…バリバリバリ!
スカーレットは電気を纏った。
サラン「雷…か…」
スカーレット「そうよ。さ、あなたも魔法を使ってみたらどう?」
サラン「…そうさせてもらうよ」
サランは魔法を使った。
スカーレット「!」
サラン「…」
サランが使う魔法は水属性魔法だった。
スカーレット「あなた…水属性魔法の適性者なのね」
サラン「そうだよ」
リール「雷属性魔法のスカーレットに対し、あの人は水属性魔法…相性的にはスカーレットが上だけど…」
アンナ「私と同じ属性魔法なんだ…あの人…」
スカーレット「手加減はなし…そう言ったわよね?忘れてないわよね?」
サラン「大丈夫。忘れてないよ」
スカーレット「じゃあ…さっさと終わらせましょうか」
サラン「…できるものなら」
ドゴォン!
スカーレットは雷で作った玉を飛ばした。
サラン「はっ!」
サランも負けじと水で作った玉を飛ばす。
スカーレット「その程度の魔法で…」
ビュン!ビュン!ビュン!
スカーレットは高速で攻撃を回避した。
スカーレット「私に当てられるとでも?」
ゴロゴロゴロ…
サラン「!」
スカーレットは舞台を黒い雲で覆った。
その黒い雲は雷を纏っていた。
サラン「まさか…」
スカーレット「
ゴロゴロゴロ…ピカッ!ドゴォォォォン!
スカーレットが唱えた魔法が発動し、舞台全体を攻撃した。
シュゥゥゥゥゥゥゥゥ……
辺りに煙が立ち込める。
スカーレット「…!!」
サラン「…」
リール「!」
アンナ「!」
サランは無傷だった。
スカーレット「な、なぜ…」
サラン「…電気が水を伝うのは誰でも知っていること。じゃあなぜ水属性魔法が雷属性魔法に弱いとされているのか。理由はそこにある。だから僕は考えた。どうやって不利属性を克服しようかと」
スカーレット「…」
サラン「そこで考えた。魔法を使ってる時は杖から魔力が送られているため、常に杖から水が出ている。故に電気が体を伝い、ダメージを負う。なら、杖から切り離せばいいと…そう考えたんだ」
スカーレット「!!」
スカーレットはサランの頭上に板状に形作られた水を見た。
そして、その板状の水から1本水が伸びていることもわかった。
サラン「…こうすることで頭上からの攻撃を防ぎ、雷属性魔法であるならその電気を外へ流すことができる。無傷で済むんだ」
スカーレット「くっ…」
サラン「僕は不利属性のことを考えた。君は僕の適性魔法が水だと知ってから勝ちを確信したでしょ」
スカーレット「!!」
サラン「そこが僕の勝ち筋。現にほら、足元見てないから気づいてないでしょ?」
スカーレット「!!」
スカーレットの足には水の塊がくっついていた。
スカーレット「何よこれ」
スカーレットは足を動かそうとするが、全く動かなかった。
サラン「水ってね。軽く見られがちだけど、集まれば凄まじい力と重さを得ることができる。だから君の足は動かない」
スカーレット「くっ…」
スカーレットはサランに杖を向けた。
スカーレット「
ドンドンドン!
スカーレットは雷玉を飛ばした。
サラン「無駄だよ。さっきの話聞いてた?」
シュゥゥゥゥゥゥゥゥ…
サランは水の壁と電気を逃がすための通路を作った。
ジジジ!
スカーレットの雷はその通路を通ったため、サランに直撃しなかった。
スカーレット「くっ…」
サラン「どう?勝ち目…ある?」
スカーレット「…」
スカーレットは考えを巡らせていた。
リール「スカーレット!」
スカーレット「!」
サラン「?」
リール「負けないで!勝って!」
スカーレット「リール…」
サラン「リールさんですか…あの人の魔法も凄いですよね。光属性魔法だなんて。興味深い」
スカーレット「当たり前じゃない。リールは凄いのよ。私よりも遥かにね!」
スカーレットはサランに杖を向けた。
スカーレット「
ジジジ…ドゴォォォォン!
スカーレットの杖から雷のレーザーが放たれた。
サラン「な…」
サランは間一髪でその攻撃を避けた。
スタッ…ジジジ…
サラン「?」
サランは足元に違和感があったため、足元を見た。
サラン「!?」
スカーレット「…かかったわね。
ジジジ…バリバリバリ!
足元にあったそれは勢いよく弾け、周囲に雷を放散した。
サラン「ぐあっ…がああああああ!」
サランはその攻撃をまともに受けてしまった。
ピチョン!
するとスカーレットの足元にあった水の塊が消えた。
スカーレット「ふぅ…これでやっと動けるようになったわ」
サラン「ぐっ…やるね」
スカーレット「生憎、私たちは先に戦闘を経験してるのよ。あれに比べたらマシだわ」
サラン「だったら!」
サランは杖を上に向けた。
サラン「
ヒュゥゥゥゥゥゥ!
スカーレット「!?」
すると、天井から水の刃が降り注いだ。
スカーレット「くっ!」
スカーレットは杖を構えた。
だが、雷属性魔法には防御系の魔法は存在しなかった。
スカーレット「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
ドン!ドン!ドン!
スカーレットは雷玉を撃って水の刃と相殺させた。
だが、雷玉を撃つ度に魔力を消費しているスカーレットに対し、アメノミハシラの魔力分しか消費していないサランだと圧倒的にサランの方が有利だった。
スカーレット「ぐっ…はぁぁぁぁぁぁ!」
スカーレットの魔力が無くなりかけていた。
サラン「まだまだ続くよ。さぁ、どうする?」
スカーレットは考えていた。
雷玉だと一発ずつ撃つ上に一発分の魔力がどんどん消費されていく。
ここで一気に周囲を攻撃できる魔法を考えたが、この攻撃を掻い潜って別の魔法を撃つのはリスクがあった。
そしてアメノミハシラは攻撃をやめない。
スカーレット「こうなったら…」
サラン「お、何かするのかい?」
スカーレット「
キィン!ドゴォォォォン!
スカーレットは
サラン「な!」
ドゴォォォォン!
サランはその魔法に被弾した。
それと同時に
スカーレット「ふぅ…ようやく収まったわね」
サラン「…やるね委員長」
スカーレット「それはどうも」
シュッシュッシュッ…
スカーレット「!」
サランの足元に渦が5つ出現した。
サラン「さぁ…出ておいで
ドバァン!
その渦から水で作られた龍が5体出てきた。
サラン「はぁっ!」
サランはそれを操り、スカーレットにぶつけた。
スカーレット「ぐあっ…がっ…」
スカーレットはそれに被弾する。
スカーレット「ぐっ…」
スカーレットの体力は限界だった。
スカーレット「はぁ…はぁ…」
サラン「まだまだ!」
サランは更に攻撃を重ねた。
スカーレット「ぐっ…」
リール「スカーレット!」
アンナ「スカーレット!」
スカーレットはよろめいていた。
スカーレットの体力は0になりかけだった。
スカーレット (このままじゃ…負ける…このままじゃ…リールに勝てない…)
スカーレット「くっ!」
スカーレットは体勢を立て直した。
スカーレット「…」
スカーレットはサランをじっと見つめる。
サラン「…もう最後かい?」
スカーレット (最後の一撃…これにかける!)
ー回想ー
スカーレット「お父さん」
ジン「なんだいスカーレット」
スカーレット「お父さんも雷属性魔法に適性があったよね」
ジン「うん。あるよ」
スカーレット「ならお父さんのとっておきの魔法を教えて」
ジン「お父さんのとっておき?」
スカーレット「うん。来週魔法の模擬試合があるの。私はまだまだだから負けるかもしれない。だから教えてお父さん。負けそうになった時、それを覆すことが出来るとっておきの魔法を」
ジン「…いいよ。でも、ちゃんと使いこなせる?使いこなせなかったら自分にダメージが来るけど」
スカーレット「それでも使いこなせたら逆転できるのね?」
ジン「あぁ。確実にできるよ」
スカーレット「分かったわ。練習するから教えてお父さん」
ジン「…あぁ」
ー回想終了ー
スカーレット (お父さん。お父さんのとっておきの魔法…ここで使わせてもらうね)
ジジジ…
スカーレットの周囲に磁場が発生した。
サラン「!」
サランは異変に気づいた。
バリバリバリバリバリ!
スカーレットの体に再度電気が走った。
フワフワ…フワフワ…
するとスカーレットは宙に浮き始めた。
サラン「な…浮いた!?」
リール「凄いスカーレット!」
アンナ「初めて見た…」
スカーレット「…」
スッ…
スカーレットは第1魔法戦闘室の天井の中央まで浮き、杖を上に向けた。
ジジジ…ゴロゴロゴロ…
すると、スカーレットの杖に雷が集まり始めた。
サラン「!!」
サランは危機感を覚え、5体の水龍を集めた。
サラン「はぁっ!」
サランは集めた水龍たちをスカーレットに向けて飛ばした。
スカーレット「…」
スッ…
スカーレットは杖を下に向けて魔法を放った。
スカーレット「…
キィン!ドォォォォォン!
すると、スカーレットの杖に集まった雷が舞台に向かって真っ逆さまに落ちていった。
その速度は速く、
そしてスカーレットが唱えた魔法は舞台に落ち、瞬く間に周囲に影響を及ぼした。
…スカーレットを含め。
ドゴォォォォン!
サラン「がぁぁぁぁぁぁぁ!」
その魔法は円状に広がり、サランは大ダメージを受けた。
ジジジ…バリバリバリ!
スカーレット「うっ…くっ…」
スカーレットもまた、自傷ダメージを負ってしまった。
スカーレット「…」
スカーレットは魔力を消費し切ってしまい、おまけに体力も0となった。
ヒュゥゥゥゥゥゥ!
力を失ったスカーレットはそのまま舞台に落ちていった。
リール「スカーレット!」
アンナ「スカーレット!」
ジーヴル先生「!!」
スカーレットはピクリとも動かず、そのまま重力に従い、落ちていった。
観客席にいる生徒やジーヴル先生ではスカーレットを受け止めるには間に合わない。
みんなが何かしらの行動を起こした次の瞬間…
???「…全く…無茶をしますね。委員長」
ザバァァァン!
突然舞台中央から水が噴き出し、スカーレットを包み込んだ。
ポヨンポヨン…
スカーレットを包んだ水はスカーレットの落下の衝撃を吸収し、地面に落ちた。
サラン「…ふぅ」
サランが最後の力を振り絞ってスカーレットを助けたのだった。
パチン!
するとスカーレットを包んでいた水が破裂し、スカーレットは舞台に横になった。
リール「スカーレット!」
リールとアンナがスカーレットのところに向かった。
リール「スカーレット!スカーレット!」
スカーレットは少しだけ目を開けた。
リール「良かった…気がついた…」
スカーレット「…リール」
ジーヴル先生「この試合、サランの勝利!」
男子「うぉぉぉぉ!」
女子「凄かったね今の試合!」
女子「だよね!不利属性に勝ったサランくんも凄いけど最後の委員長の攻撃も凄かったよね!」
女子「だよね!」
スカーレット「…負けちゃった」
リール「スカーレット…」
スカーレット「もう少し…頑張ったら良かったなぁ…」
リール「十分ですよ。よく頑張りました」
スカーレット「…」
サラン「委員長」
リール「!」
スカーレット「!」
アンナ「!」
サランが立ち上がってスカーレットのところに来ていた。
スカーレット「…何?」
サラン「…やっぱり委員長はすごいよ。いい試合だった」
スカーレット「…そう。ありがとう…」
こうしてスカーレットVSサランの試合はサランの勝利で終わった。
〜物語メモ〜
第1魔法戦闘室
これは校舎の隣にある建物の名前で、俗に言う体育館みたいなところ。
魔法の戦闘は基本ここで行われる。
少し前まで校舎でも魔法の使用は許可されていたが、最近になって魔法の使用が禁止された。
模擬試合
2学年最初のイベント。
互いの属性魔法を使って試合をする。
勝ち負けによる成績の昇降は無い。
サラン
スカーレットの対戦相手の男子。
いつも物静かでやかましい男子とは正反対の人物。
授業は真面目に聞くほど。
今回スカーレットが相手だと知ってから模擬試合が始まるまでに雷属性魔法に対する対策をずっと考え、実践していた。
新しく出てきた魔法
水属性魔法:落つる刃(アメノミハシラ)
サランが使った魔法。
使えば頭上から水の刃が降ってくる広範囲魔法。
魔力の消費はアメノミハシラ発動分のみのため、魔力の消費が少ない。
おまけに任意で解除するまで延々と続く。
水属性魔法:水龍(ルーディン)
サランが使った魔法。
足元に5つの渦を出現させ、そこから水で作った龍を出し、相手にぶつける魔法。
ただの水ではなく、龍の形をしているため、攻撃範囲が少し広い。
おまけに操作が可能。
雷属性魔法:踊雷針 (サンダー・カーニバル)
スカーレットが使った魔法。
雷雲を作り、地面に向かって雷を落とす魔法。
地面に落ちた雷は地面を跳ね、周囲に走る。
これもアメノミハシラ同様、魔力の消費はサンダー・カーニバル発動分のみ。
雷属性魔法:地雷 (コーディ)
スカーレットが使った魔法。
本来サンダー・カーニバルは地面を跳ねた後に跡形もなく消えてしまうが、地雷を使うことでその場に留まり、相手がそれを踏むまで存在し続けることができる。
踏めば雷が周囲に放散し、近くに地雷があれば更に連鎖して雷を放散する。
雷属性魔法:インドラの矢(サディエライト・アーツ)
スカーレットが使った魔法。
この魔法は元々スカーレットのお父さんであるジンが作った魔法。
空を飛び、雷を集めたあと、その雷を地面に落とす魔法。
地面に落ちた雷は瞬く間に周囲に広がり、範囲内にいる人は大ダメージを受ける。
破壊力は抜群だが、失敗すれば自分への大ダメージとなる。
ジンはこの魔法の制御に1ヶ月近くかかった。