私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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第21話 リールと誰かの記憶

私の名前はリール。

今スカーレットを探しています。

オード君が私の身代わりになってくれたおかげで私はレヴィ学院長に事を知らせることが出来ました。

レヴィ学院長はすぐに飛んで向かってくれました。

私はその時、アンナの異変を知り、アンナの安否を確認したあとスカーレットを探しに行くことになりました。

ですがスカーレットは全然見つかりません。

今箒に乗って探しているので早く見つかると思ってたんですが…

その他にオード君も心配です。

今レヴィ学院長が向かってくれているので大丈夫だとは思いますが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレナ「…さて、まだやりますか?正義の魔法使いさん?」

オード「ぐっ…」

 

オードはエレナと戦闘していたが、一方的にやられていた。

 

オード (こいつ…魔力が強い…しかも魔法の威力も…)

エレナ「あなた」

オード「!」

エレナ「…この程度の魔力で私と戦うことを選ぶなんてね」

オード「へっ…女の子が怖がってたんだ…守るのが男の仕事だろ…」

エレナ「…私も女ですよ?なのにあなたは手を上げるんですか?」

オード「怖がらせてたのはお前だろ…」

エレナ「…そうですね。ですが、私も女ですよ?」

オード「…」

エレナ「それにあなた、ジーヴル先生から逃げろと言われていませんでしたか?大丈夫なんですか?私と対峙して」

オード「守るためだ…仕方ないだろ」

エレナ「ふぅーん。でも守るあなたがこのザマじゃねぇ?」

オード「くっ…」

エレナ「あ、ちなみになんですが、私はあなたを倒したあとこの学校を破壊しますのでそのつもりで」

オード「!!」

エレナ「あなたが守ると決めたあの子を生かしたいなら私を倒してみなさい」

オード「…言われずとも」

 

ヒュッ!

オードは杖を構えた。

 

エレナ「さ、やりましょうか。あなたがボロボロになる様を見せてくださいね」

 

 

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場所…エレナ学院 廊下

 

タッタッタッ

私は走っていた。アンナを苦しめたのは私。この落とし前はちゃんとつけないと…

 

キィン!ドゴォォン!

 

スカーレット「!!」

 

近くで大きな音が鳴った。

 

スカーレット「あそこね」

 

タッタッタッ

 

私は音が鳴った方へ走った。

 

 

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場所…エレナ学院 校庭

 

キィン!ドゴォォン!

 

スカーレット「!!」

 

私がそこに着くと、ある男子生徒と私が探していた人が戦っていた。

 

スカーレット「見つけた」

 

タッタッタッ

私はその女性のところに向かった。

 

 

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場所…エレナ学院 校庭

 

キィン!ドゴォォン!

 

オード「ぐぁっ…」

 

ドサッ…

オードは傷を負い、その場に倒れた。

 

オード「ぐっ…いてぇ…」

 

ザッザッザッ

 

オード「!」

 

エレナはオードの目の前に立った。

 

エレナ「あらあら。無様ねぇ」

オード「…」

エレナ「このままだと私がこの学校を破壊しちゃいますよ?いいんですか?」

オード「ぐっ…」

 

オードはゆっくり立ち上がった。

 

オード「はぁ…はぁ…」

エレナ「はい。よくできました。じゃあさようなら」

 

ブゥン!ドシーン!

 

オード「がああああああ!」

 

オードが立ち上がった瞬間、凄まじい圧力がオードを襲った。

疲れきっていたオードは抗うことができずにそのまま地面に叩きつけられた。

 

エレナ「あらあら。可哀想に」

 

ジジジ…バリバリバリ!

エレナは魔力を使った。

 

エレナ「さ、今すぐ楽にしてあげるわね。正義の魔法使いさん」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!

エレナの魔力はどんどん膨れ上がる。

 

エレナ「さような…」

スカーレット「雷玉(サンダラ)!」

 

ドン!ドン!ドン!

エレナが魔法を使おうとした時、スカーレットの魔法が命中した。

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

するとエレナの魔法が解除された。

 

エレナ「…?」

 

エレナは辺りを見渡す。

 

スカーレット「やっと見つけたわ…」

エレナ「!」

 

するとエレナの背後にスカーレットが立っていた。

 

スカーレット「よくもアンナを…」

エレナ「アンナ…あぁ、あの子の事ね」

スカーレット「私があなたを倒してやる…」

エレナ「…あなた、この人が見えないの?」

 

エレナはオードを指さした。

 

スカーレット「!!」

 

スカーレットはその時、オードが傷だらけで倒れているのを視認した。

 

エレナ「あなた、この人と同じ目に遭いたいの?」

スカーレット「…あなた」

エレナ「…?」

スカーレット「私のクラスメイトに…」

エレナ「…」

スカーレット「何やってるのよ!」

 

ジジジ…バリバリバリ!

スカーレットの体に電気が走る。

 

エレナ「…さっきの魔法といいその纏ってるものといい…あなたは雷属性魔法に適性があるのですね」

スカーレット「そんなの関係ないわ!今すぐあなたを倒してやる!」

エレナ「…できるものならどうぞ。ちなみに、私はあんな泥人形とは訳が違うわよ」

スカーレット「泥人形って何よ!」

エレナ「あら、ジンに教わらなかったのですか?私が作った自律戦闘型魔法泥人形のこと」

スカーレット「…」

エレナ「確かあの人の名前はジン・スカーレットじゃありませんでしたか?」

スカーレット (お父さんの名前だ…)

エレナ「あなたがスカーレットと呼ばれていたのであの人の娘さんなのかなと思ったのですが」

スカーレット「…」

エレナ「…知りませんか?」

スカーレット「…知らないわよ」

エレナ「そうですか。ならどうでもいいです。あなたも痛い目を見たいなら戦ってあげますよ」

スカーレット「痛い目見るのはあなたの方よ!」

 

スッ

スカーレットは杖を構えた。

 

スカーレット「放電(マギダラ)!」

 

 

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場所…エレナ学院 廊下

 

リール「スカーレット…どこにいるんでしょうか…」

 

リールは箒に乗ってずっと学院中を飛び回っていた。

 

リール「!!」

 

すると、1学年の教室に着いた。

 

リール「…」

 

リールは屈んで教室の中を覗いた。

すると何人か教室にいた。

 

リール「スカーレットはいない…ですね」

 

リールはスカーレットがいないことを確認すると立ち上がって箒に乗った。

 

女子「あの…」

リール「!!」

 

するとリールの背後から1学年の女子生徒が声をかけてきた。

 

女子「何か御用ですか?」

 

その子はとても静かそうな子だった。

 

リール「あ、いえ、なんでもありませんよ」

女子「そうですか。分かりました」

リール「それでは…」

 

リールが移動しようとした時…

 

女子「あ、あの!」

リール「!」

 

リールは突然止められたので驚いた。

 

リール「はい。なんですか?」

 

リールは振り返ってそう聞き返した。

 

女子「あの…先輩…ですよね…」

リール「あーえっと…学年的にはそうですが、厳密にはあなたと変わりありませんよ」

女子「え、それってどういう…」

リール「すみません!私急いでいるので!」

 

リールはその場をあとにした。

 

女子「学年的にはそうだけど、厳密には私と変わりない…どういう事なんだろ…」

 

 

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場所…エレナ学院 廊下

 

リール「ふぅ…さて、スカーレットを探さないと…」

 

ヒュゥゥゥゥゥ!

リールは箒の移動速度を上げた。

 

リール (スカーレット…スカーレット…)

 

リールはスカーレットを見落とさないようしっかり確認した。

 

リール「どこにもいない…どこ行ったんだろ…」

 

しばらく飛んでいると前から人影が見えた。

 

リール (あ!見つけた!)

 

ヒュゥゥゥゥゥ!

リールは一目散にその人影に向かった。

 

 

リール「やっと見つけましたよスカーレッ…ト…」

エレナ「あら?」

リール「!!」

 

そこにいたのは第1魔法戦闘室にいた女性だった。

 

エレナ「あら、あなたあの時の」

リール「なんで…ここに…」

エレナ「さぁ?なんででしょうね?」

リール「あの子は…オード君は…」

エレナ「あぁ。あの男の子はオードって言うのね」

リール「!!」

 

リールはついオードの名前を言ってしまった。

 

エレナ「あの子なら今怪我してますよ」

リール「!!」

エレナ「正義の魔法使いだって言ってあなたを逃がすために奮戦してましたよ」

リール「そんな…じゃあ…」

エレナ「はい。あなたの思っている通りですよ」

リール「!」

 

リールは嫌な予感がした。

 

エレナ「あ、そうそう。そういえばあの場に来たのはあの男の子だけじゃないのよ」

リール「!」

エレナ「雷属性魔法を使う…」

リール (え…それって…)

エレナ「女の子も来てたんですよ」

リール「!!」

 

リールは一瞬でスカーレットだと悟った。

 

エレナ「あの子もオードという男の子と一緒に寝てますよ。ボロボロになってね」

リール「…」

 

リールはスカーレットとオードがやられたことを確信した。

 

エレナ「さて、本来の目的を果たしましょうか」

 

コツコツコツ

エレナはリールに近づく。

 

リール「近づかないでください!」

エレナ「!」

リール「私の友人を傷つけて…許さない」

エレナ「…先に手を出したのはそちらですよ。返り討ちにあうのは仕方ないことです」

リール「私が…」

エレナ「?」

リール「私が…やっつけてやる!」

 

リールは箒から降りて杖を出した。

 

エレナ「…全く、ここの生徒は血の気が多いですね。みんな私を倒す倒すって…怖いですね」

リール「…」

エレナ「そんなにいいなら私があなたを立てなくしてあげます」

 

エレナは手を出した。

 

リール (あの人…杖を使わない…杖を使わなかったら魔法の制御ができないはず…)

エレナ「無名(ディエン)。それが私の持つ特別な力ですよ」

リール「ディ…ディエン…」

エレナ「簡単な話ですよ。名を持たない者。それが私です」

リール「…でも、名乗りました」

エレナ「…ということは私が誰なのか…あなたは知っているんですか?」

リール「…エレナ」

エレナ「!」

 

エレナは名を当てられて驚いていた。

 

エレナ「これは驚きました。私とあなたは今日が初対面のはず…なのに…ねぇ?」

リール「…」

エレナ「あなた…あの人にそっくりですね。かつて私と対極の位置にいたあの人。今は存在してるか分かりませんが」

リール (あの人…)

エレナ「さ、話は終わりです。消えてください」

 

バッ!

エレナはリールに掌を向けた。

 

エレナ「魔弾(ブラック・ベルト)

 

バンバンバン!

すると掌から多数の弾型の魔法が放たれた。

 

リール「光速(オーバー・スピード)!」

 

ビュンビュンビュン!

リールはエレナの攻撃を避ける。

 

エレナ「!!」

 

エレナはリールの魔法を見て驚いていた。

 

エレナ「まさか、こんな早く見つかるなんてね。なんて幸運なのかしら」

 

ビュンビュンビュン!

リールはエレナの魔法を避け続ける。

 

リール (なんとか隙をついて…)

 

リールはエレナの隙を伺っていた。

 

リール (ここだ!)

 

ビュン!

リールは一瞬にしてエレナの懐に入った。

 

リール「閃光(フラッシュ)!」

 

シュゥゥゥゥゥゥ!

すると瞬く間に魔法が発動した。

 

エレナ「!?」

 

エレナは突然の光に目を眩ませた。

 

エレナ「この魔法…やっぱり…」

リール「天の鎖(エルキドゥ)!」

 

キリキリキリ…ガシャン!

リールはエレナを拘束した。

 

エレナ (この魔法…あの時受けた魔法に似ている…)

リール「光玉(ライダラ)!」

 

ドン!ドン!ドン!

リールは拘束されたエレナを攻撃する。

 

エレナ (ダメージが大きい…やっぱりこの子が光属性魔法の適性者なのね)

リール「はあああああ!」

 

リールは続けて攻撃する。

 

エレナ (なら、持ち帰るならこの子ね)

 

ガシャン!ガシャン!ガシャン!…バキッ!

 

リール「!?」

 

エレナは天の鎖(エルキドゥ)を引きちぎった。

 

エレナ「さ、邪魔な拘束も解けたし、あなたを回収するだけね」

リール「私を回収って…どういう…」

エレナ「そのままの意味よ。私の目的は光属性魔法の適性者を回収すること」

リール「でもオード君とスカーレットを傷つけた!」

エレナ「傷つけたのは私だけど本来何もしてこなかったら手を出すこともしなかったわ」

リール「…」

エレナ「怪我したのはそっちのせいよ」

リール「なら…私が…スカーレットの仇をとる!」

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴゴ!

 

リール (あの本に乗ってた魔法…一度も試したことないけどやってみるしかない!)

 

シュゥゥゥゥゥゥ!

リールに光が集まる。

 

エレナ (この魔法…まさか!)

リール「光爆(エレノア)!!」

 

キィン!バゴォォン!

リールが魔法を使った瞬間、エレナの周囲が爆発した。

 

エレナ「くっ…やっぱりあの魔法ね…」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

エレナの体から煙が出ていた。

 

エレナ「二度と見ることないって思ってたけど…まさかこんなところで見ることになるなんてね…」

リール「はぁ…はぁ…」

 

リールの魔力は大幅に削られた。

 

リール (こんなんじゃ…いつまで経っても終わらない…)

エレナ「…あなた」

リール「!」

エレナ「まさか…いや…しかし…」

 

リールはよく分かっていなかった。

 

リール (まさか…今が好機じゃ…)

 

ヒュッ!

リールは杖を構えた。

 

リール「光玉(ライダラ)!!」

 

ヒュゥゥゥゥゥ!

リールの魔法がエレナに向かって一直線に飛ぶ。

 

エレナ「…まぁいいわ。回収すれば私の勝ちだもの」

 

ギュォォォォォォ!

 

リール「!?」

 

突然リールの魔法が魔法陣に吸い寄せられた。

 

リール「な…なんで…」

エレナ「私の属性魔法は闇」

リール「!!」

エレナ「あなたと対峙する力なのよ」

リール「や…闇…」

 

 

ー回想ー

 

レヴィ「光属性魔法の適性者の数だけ闇属性魔法の適性者が存在するということです」

 

ー回想終了ー

 

 

リール (こんなところに闇属性魔法の適性者…)

エレナ「私の目的のために光属性魔法が必要なのですよ」

リール「目的…」

エレナ「そう!私の目的はあの憎い…憎い…憎いあの人たちを倒すこと!1人は消え、1人は死んだ!あと1人…あの人だけ倒せない…私の力だけじゃあの人を倒すことができない!そこで考えたの。光属性魔法を得ることで完全な禍異者(マガイモノ)になればあの人を葬ることができるの!私の願いが叶うの!そして最近、この学校に光属性魔法を使う人がいると聞いたの。私はその時、封印していた鎖を引きちぎりこの場に現れた。…光属性魔法の適性者を回収するためにね」

リール「…」

エレナ「どう?私の計画に賛同する気は…」

リール「嫌です!」

エレナ「…」

リール「話を聞いてる限り私は全く関係ないじゃないですか!」

エレナ「…え?」

リール「その憎い人たちも3人のうち2人は倒して残り1人倒せないなんて…そんなの自分の力不足じゃないですか!」

エレナ「…」ピクッ

 

エレナはある言葉に反応した。

 

リール「あなたの計画に賛同?そんなのするわけないじゃないですか!やりたいなら自分の力でやって下さい!私の友達に手を出さないでください!」

エレナ「…」

 

リールはハッキリと言った。

 

エレナ「…そう。分かったわ」

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴゴ…

 

リール「!」

エレナ「あなた…ほんとにあの人そっくりねぇ。ほんと…娘かと思うくらいに…」

リール「あの人って誰のことですか!」

エレナ「…あら、あなた…最愛の人の事も忘れたんですか?」

リール「最愛の…人…」

 

リールはこの時、魔女さんを思い浮かべた。

 

エレナ「そう。あなたそっくりの最愛の人…分からない?」

リール「…」

 

リールは答えなかった。

 

エレナ「可哀想ねぇ。"母親"の顔すら知らないなんてねぇ」

リール「!!」

 

すると突然、リールの頭の中に誰かの記憶が流れ込んだ。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ー回想ー

 

???「ごめんね…レナ…あなたを巻き込みたくないの…」

リール (え…なにこれ…知らない人…)

???「ごめんね…あなたを捨てる私を許して…」

リール (捨てる…?誰を…?)

???「ごめんね…ほんとにごめんね…」

リール (この人…ずっと謝ってる…)

???「おーい!早く行くぞー!」

 

遠くから男性が呼びかける。

 

???「分かりました。すぐ行きます」

リール (誰だろ…あの人…見覚えが…ある…)

??? (レナ…強く生きて…優しい誰かに…拾ってもらってね…)

 

タッタッタッ

???はその場をあとにした。

 

リール (誰なんだろ…あの人…)

 

 

ー回想ー

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

レヴィ「…ル!リー…リール!リール!」

リール「…」

 

リールはゆっくりと目を覚ました。

 

レヴィ「リール!しっかりして!」

リール「あれ…学院長…」

レヴィ「良かった…目が覚めて」

リール「あ…あれ…私…」

 

リールは廊下で眠っていた。

 

リール「あれ…ここ…は…」

レヴィ「廊下ですよ。リールさんずっと倒れてたんですが、覚えてますか?」

リール「倒れた…え…なんで…」

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長は黙ったままだった。

 

レヴィ「リールさん。あなた…あの人と何を話したんですか」

リール「え…何を話したって…」

 

リールは必死に思い出す。だが、何も思い出せない。

 

リール「すみません…分かりません…」

レヴィ「あぁ…やっぱり…」

リール「学院長は…何故ここに…」

レヴィ「あの人がリールさんに攻撃していたので止めたんですよ」

リール「あの人…え…誰のことですか…」

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長は何も言わなかった。

 

レヴィ「リールさん」

リール「…?」

レヴィ「アンナさんとスカーレットさん、オード君は無事ですよ」

リール「…あ、はい。そうですか…」

レヴィ (反応が薄い…まぁさっきまで眠っていたので仕方ないといえば仕方ありませんが…)

リール「学院長…」

レヴィ「はい。なんですか?」

リール「ここ…どうしたんですか?」

 

リールは廊下を指さした。廊下は所々壊れていたり、天井も一部破壊されていた。

 

レヴィ「…私とあの人が戦った跡ですよ」

リール「あの人…」

レヴィ「はい。凄まじい力でしたよ。周囲への被害は尋常じゃありませんでした」

リール「あの人っていう人は…どうなったんですか…」

レヴィ「…追い出しましたよ。もう大丈夫です」

リール「あ、そうなんですね」

レヴィ「さ、リールさんも傷が深いですから保健室で休みましょうか」

リール「あ、自分で行きますね」

レヴィ「大丈夫ですか?」

リール「はい。大丈夫です。それでは」

 

するとリールは箒を出して保健室まで飛んでいった。

 

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長はリールの背中を見ていた。

 

レヴィ (良かった…あの子は大丈夫そうだ。でもあの子は…もう…)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ー数分前ー

 

エレナ「可哀想ねぇ。"母親"の顔すら知らないなんてねぇ」

リール「!!」

 

リールは異変に気づいた。

 

リール「ぐっ…がぁぁ…」

 

リールは苦しんでいた。

 

エレナ「あらあら…言っちゃった…」

リール「ぐっ…」

エレナ「()()()()()()()()()の事を思い出させちゃったかしら?」

リール「あぁぁ…がっ…」

エレナ「でもいいわぁ…この感じ…なんかゾクゾクするわねぇ…」

レヴィ「天光の槍(ホーリー・ランス)!」

 

キィン!ドゴォォン!ドゴォォン!ドゴォォン!

レヴィの魔法はエレナに当たらなかった。

 

エレナ「…あら?また誰か来たのかしら?」

レヴィ「私の生徒に何しているんですか。あなた」

エレナ「…?」

 

レヴィ学院長は怒っていた。

 

エレナ「あなた…誰?」

レヴィ「…教えません」

エレナ「名乗らない人もいるのねぇ」

レヴィ「当然ですよ」

エレナ「あら、その言葉…ある人と同じ言葉ねぇ」

レヴィ「…」

エレナ「確か、ラーフ先生だったかしら?」

レヴィ「!!」

エレナ「あの人意外だったわねぇ。氷属性魔法の適性者だなんて」

レヴィ「なるほど。ラーフはあなたがやったんですか」

エレナ「えぇそうよ。邪魔になったからね」

レヴィ「そうですか。なら…」

 

ヒュゥゥゥゥゥ…

レヴィ学院長に光が集まってきた。

 

レヴィ「私にとってあなたは邪魔者なので…今すぐ始末しますね」

エレナ「あらそう。でも残念。私はもう帰るの」

レヴィ「!!」

エレナ「目的は果たせなそうだしね」

レヴィ「目的…」

エレナ「えぇそうよ。この子を回収するっていう目的」

レヴィ「!!」

エレナ「でも無理なのよ」

レヴィ「…」

エレナ「あ、ちなみにあなたが来たからじゃないわ。あなた程度なら捻り潰せるくらいだし」

レヴィ「…」

エレナ「…もっと別の理由」

レヴィ「…」

エレナ「これを持たせたのはあなたかしら?」

レヴィ「…これって言われても分からないですね」

エレナ「…刻運命(ときさだめ)(こな)ですよ」

レヴィ「え…と…刻運命の粉…って…」

エレナ「これがあるせいでこの子に触れられない。だから回収できない」

レヴィ「…」

エレナ「正直これが無かったら私の勝ちなのに…あと一歩だったのに…惜しいわねぇ…さて」

レヴィ「!」

エレナ「ここで戦いますか?それとも私を逃がしますか?」

レヴィ「な…何言って」

エレナ「私を逃がせばあなたとその子、そしてこの学院全てに何もしないで帰ってあげる。でももし戦うと言うならばそれらを破壊してまで本気であなたを殺します」

レヴィ「…」

エレナ「さ、どうしますか?」

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長は考えた。

 

レヴィ「…帰ってください」

エレナ「…賢明な判断ですよ学院長さん。それでは」

 

ヒュッ!

エレナはその場から姿を消した。

 

レヴィ「エレナ元学院長…なぜあの人が…」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…平原

 

エレナ「あーあ…せっかくあそこまで行けたのに…最後の最後であんなものが見つかるなんてね…」

 

エレナは空を見上げた。

 

エレナ「正直、刻運命の粉が無かったら私の計画は成功だったのに…」

 

エレナは自分の手を見た。

 

エレナ「リノ。あなたのせいですか。あの刻運命の粉…あなたが作った物でしょう?まさかまだ存在していたなんてね。驚きだわ。さて、この先どうしましょうか。またあれを復活させてあの子を回収しましょうか」

 

エレナはどこかへ歩き始めた。

 

エレナ「刻運命の粉…あれを身につけているとその人との時間がズレてしまい、その人に触れることができなくなるもの。光属性魔法に反応し、効果を発揮する。実際にはその人は目の前にいるけど、刻運命の粉がある限り私があの子に触れることはできない。なら…別の方法で刻運命の粉を破壊してあの子を回収しましょうか…そうですねぇ…ドレインを使うのもありですね…ふふふっ…楽しみだわ…」




〜物語メモ〜

自律戦闘型魔法泥人形
これはスカーレットの家にある泥人形のことで、以前スカーレットとアンナ、リールが魔法の練習に使ったもの。

登場した魔法

闇属性魔法:魔弾(ブラック・ベルト)
エレナが使った魔法。
他の属性でいう雷玉や水玉、光玉みたいなもの。
魔法で作った弾を飛ばす。

光属性魔法:光爆(エレノア)
リールが使った魔法。
使えば対象者を中心に爆発を起こす魔法。
当然爆発するので周囲への被害も出る。

天光の槍(ホーリー・ランス)
レヴィ学院長が使った魔法。
光で槍を作り、相手に飛ばす魔法。
槍の数は使う魔力によって異なる。

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