私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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第24話 リールとエレナとサフェ

私の名前はリール。

今オード君と一緒に教室に戻っているところです。

さっきラミエ先生の友達のリーナさんのお話を聞きました。

その時のラミエ先生は何だか寂しそうな顔をしていました。

その友達のことが好きだったんだと思います。

でも今も元気でいるそうですので良かったです。

落ち着いたら一度リーナさんに会ってみたいですね。

私によく似た人だそうです。

今度ラミエ先生にお願いしてみようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…???

 

???「で?尻尾巻いて逃げてきたのか?」

エレナ「…」

???「あぁ…なんと弱々しい」

エレナ「…」

???「それでもあの学院の元学院長か?」

エレナ「…」

???「何か言ったらどうだ。エレナ・エミュレット」

エレナ「…」

 

エレナは何も言わなかった。

 

???「沈黙とは…」

???「恥を知れ」

???「私ならもっと上手くできるなぁ」

エレナ「…」

???「ったく。面倒なことになった」

???「元々お前が立案した計画だろうが。それもあろうことかお前が最初にミスするとはな」

エレナ「…」

???「ただ回収するだけなのにねぇ?」

???「…はぁ」

 

ここで口を閉じていたエレナが口を開いた。

 

エレナ「で、ですが…」

???「あ?何か言ったか?」

エレナ「っ…」

 

だがエレナはその人の圧に負けてしまった。それでもエレナは頑張って言葉を出した。

 

エレナ「ですが!私は氷と土の適性者を回収しました!」

???「…」

 

バチバチバチ!

 

エレナ「!?」

 

エレナが言葉を出すと急に電気が走った。エレナはその電気をまともに受けてしまった。

 

エレナ「ぅっ…」

???「で?だからなんだ?それで元を取れたとでも思っているのか?」

エレナ「…」

???「むしろ損失だよねぇ」

???「あぁ」

???「何を誇らしげに物を言っている。ただ氷と土を回収しただけで光の適性者を逃した元を取れたとでも?」

エレナ「…」

???「この子…使えないねぇ」

 

ジジジ…バリバリバリ!

 

エレナ「!!」

 

すると、そのうちの一人がエレナに向かって魔法を放とうとした。

 

???「…よせ」

???「はーい」

 

すると魔法は解かれた。

 

???「チャンスは一度だ」

エレナ「!!」

???「二度もやらん」

エレナ「…」

???「これ以上の損失は看過できん」

???「だよね」

???「舐めたことしやがって」

???「…」

???「さ、次は誰が行くの?」

???「俺が行く。こいつの損失は俺が拭ってやる」

???「ほぉ…お前がそんな事言うとは…珍しいな」

???「いや、ただ見ておきたいだけだ」

???「それ言わなかったらいいのに…」

???「なんか言ったか?あ?」

???「何?」

 

ジジジ…ゴゴゴゴゴゴ…

2人は睨み合う。すると、周囲にマナが集まり始めた。

 

???「…よせ。2人とも」

???「…」

???「…」

???「ここで喧嘩しても仕方ないだろう」

???「…チッ」

???「行くなら早く行け」

???「…あぁ。分かった」

 

スタスタスタ

???は部屋を出た。

 

???「いいの?あいつに行かせて」

???「正直誰が行ってもいい。あいつが行きたいと言ったから行かせただけ」

???「ふぅん。じゃあこの子どうする?」

エレナ「…」

???「何もしない」

???「え?」

エレナ「!」

???「最後のチャンスだ。このチャンスを逃したらどうなるか…」

エレナ「…」

???「分かったな。エレナ・エミュレット」

エレナ「…はい」

 

エレナはその部屋から出て自分の部屋に戻った。

 

 

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場所…エレナの部屋

 

エレナ「…」

 

ドサッ

エレナはベッドに倒れ込んだ。

 

エレナ「…はぁ」

???「元気ないね。何かあった?」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

突然聞こえた声とともにある人物が現れた。

 

エレナ「…サフェ」

サフェ「ん?」

 

彼の名はサフェ。エレナと一緒にいる人物であり、エレナの話し相手でもある。

 

エレナ「私…また失敗しちゃった…」

サフェ「…」

エレナ「私…いつになったら成長するんだろ…」

サフェ「…」

 

ポンッ…ナデナデ

 

エレナ「!!」

 

サフェはエレナの頭を撫でた。

 

サフェ「…よく頑張りました」

エレナ「ぅっ…」

 

エレナの目から涙が出てきた。

 

サフェ「エレナはよく頑張ってるよ。ただあの人たちの求めているものが高すぎるだけだよ」

エレナ「でもそれじゃあ…私がそのレベルに達してないってことになるじゃない…」

サフェ「ううん。そうじゃない。あの人たちはあの人たちのレベルで物を言ってるだけ。エレナの事を見ずにね。だからどっちかって言うとあっちがこっちのレベルに合わせてないだけだよ」

エレナ「でも…」

サフェ「それに僕はエレナがこれ以上成長するのは嫌だな」

エレナ「…なんで?」

サフェ「今のエレナの方が良いから」

エレナ「…好きって言ってくれないのね…」

サフェ「…それは言えないよ」

エレナ「…」

サフェ「もう大丈夫?もっと愚痴聞くよ?」

エレナ「…いい」

サフェ「…そっか」

エレナ「でも…もう少しこのままでいさせて…」

サフェ「…うん。分かった」

 

 

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場所…エレナ学院

 

リール「ありがとうオード君。オード君のお陰で先生に伝えられました」

オード「いや、いい」

リール「でもそのせいでオード君が…」

オード「気にすんなって。女の子が傷つく方が俺は嫌だしな」

リール「…そうですか」

 

2人は教室に着いた。

 

オード「…2日ぶりかな」

リール「ですね」

 

2人は扉を開け、教室に入った。

 

男子「お!オード!」

女子「リールちゃん!」

 

2人が教室に入るとみんなが一斉に走ってきた。

 

男子「よぉオード!元気そうだな!」

オード「あ、あぁ…まぁな」

男子「リールさんも元気か?」

リール「はい。元気ですよ」

女子「あと2人だけだったの!でも良かったぁ!」

女子「ほんとリールちゃんがいないと寂しいからね!」

リール「あ、あはは…」

男子「よっしオード!こっち来い!色々話をするぞ!」

オード「お、おいおい…」

 

オードは男子生徒に連れていかれた。

 

女子「リールちゃんも行こ!」

リール「あ、あの…」

女子「どうしたの?」

リール「アンナとスカーレットは…」

スカーレット「私ならここよ。リール」

リール「!」

 

するとリールの目の前にスカーレットとアンナが立っていた。

 

スカーレット「オード君…元気になったのね」

リール「スカーレットー!」

 

ギュッ!

リールはスカーレットに抱きついた。

 

スカーレット「ちょ…やめなさいって!」

リール「スカーレット!」

スカーレット「分かったから離れなさいって!」

女子「あっははは!」

アンナ「リール…大丈夫?」

リール「アンナー!」

 

ギュッ!

リールはアンナに抱きついた。

 

アンナ「ひぇぇぇぇぇ…」

リール「アンナも良かったぁ治って!」

アンナ「あ、うん。ありがとう」

男子「で?どうよオード」

オード「ん?」

男子「リールと一緒にいたんだろ?どうだったよ」

オード「…うん。まぁ…ね」

男子「おいおい教えてくれよー!」

オード「うるせー!」

男子「どうだったんだよー!」

オード「こんなとこで言えるかー!」

リール「あはは…みんな自由ですね…」

スカーレット「あ、リール」

リール「はい。何ですか?」

スカーレット「アンナから聞いたの。リールもう魔法使えないのよね?」

リール「あ、使えないってわけじゃなく…」

女子「え!?リールちゃん魔法使えなくなったの!?」

リール「え…っと…」

女子「なんで!?なんで!?」

リール「ちょ…」

男子「リールの魔法強いのにか!?」

女子「魔力が無くなったの?」

リール「えーっと…」

 

リールはレヴィ学院長が言ったことをそのまま話した。

 

リール「使えない訳じゃないんです。ただ魔法が使えるのが第1魔法戦闘室に限定されただけなんです」

女子「ここでは使えないの?」

リール「はい。使えません」

男子「それ、レヴィ学院長が言ったのか?」

リール「はい」

男子「なんだよそれ…」

女子「だよね。今回みたいに誰かが学院に入ってきたら私たちだけじゃ何にもできないよ…」

男子「そういう時こそリールの魔法が必要なのにな!」

女子「そうよ!そうよ!」

リール「みなさん…」

 

ガチャ…

すると教室の扉が開いた。

 

レヴィ「みなさん。全員いますか?」

 

入ってきたのはレヴィ学院長だった。

 

男子「学院長!」

レヴィ「はい。なんですか?」

男子「リールが魔法を使うのを制限したと聞きました!なぜそんな事をするんですか!」

レヴィ「…リールさんの魔力は相当強いものです。私の結界を貫通するほどです。そのような人がポンポンと魔法を放つと敵に見つかってしまうからです」

男子「敵って誰ですか!」

レヴィ「…敵は…敵ですよ。恐ろしいこの街を軽く消し飛ばせるほどの力を持った人たちです」

男子「え…」

女子「この街を軽く消し飛ばせるほど…」

女子「でも!そんな時こそリールちゃんの魔法が必要だと思います!」

レヴィ「…」

男子「そうなった時どうするおつもりですか!」

レヴィ「…そうならない為にリールさんの魔法を制限しました」

男子「あ…」

レヴィ「私は今、エレナという人物が壊した部分を直しているところです。あの人は私を軽く捻り潰せる程の力を持っています。みなさんはそういう人が来られると困ると思います。なので私はあの人たちから身を守るためにリールさんの魔法を制限しました。リールさんの魔法は私が展開している結界を貫通します。リールさんの魔力が外界に漏れたらこの場所はすぐに特定されるでしょう。そうなるとあなたたちに残された道は死しかないのです」

男子「!」

レヴィ「私がこの学院に就いたからにはあなた方を守るのが責務となります。なので多少のルールは守っていただかないと」

男子「…」

女子「…」

リール「…分かってますよ」

女子「!!」

男子「!!」

リール「私自身も思っていました。私の魔法のせいでみんなが巻き込まれるくらいなら魔法なんて必要ないと。なのでそれでも構いませんよ」

レヴィ「…分かりました」

スカーレット「レヴィ学院長」

レヴィ「はい」

スカーレット「それ以外に何か用があるのではないでしょうか」

レヴィ「はい。あります。私がここに来たのはある事を伝えるためです」

男子「ある事…」

レヴィ「はい。このクラスの担任であるジーヴル先生はエレナという人に連れていかれました」

女子「!!」

男子「!!」

レヴィ「私の側近であるラーフも同じです」

スカーレット「じゃあこれからの授業は…」

レヴィ「別の先生にお願いしています」

スカーレット「そうですか」

レヴィ「属性別授業に関しては各先生方が授業をしてくださいます。ジーヴル先生の属性魔法の授業だけ他の先生に任せてあります」

スカーレット「そうですか」

レヴィ「みなさん。ひとつ忠告しておきます。エレナという人物がこの学院に来たことであの人の仲間がこちらに来る可能性があります。そうなっては困るのでみなさんにはより一層属性魔法に力を入れて欲しいのです」

男子「…」

レヴィ「私たち教員はあなた方を守り、敵を追い出すことに集中しますが、それでも全員守りきれる訳では無いです。なので2学年の皆さんは自分たちの身は自分たちで守って欲しいのです」

男子「俺たちだけ自分で守るってことですか!?」

レヴィ「あ、いえ。そういう訳では無いです。もちろん私たちがあなた方を守りますが、守りきれない部分がありますので、そこを自分で守って欲しいのです」

男子「あ、そういうことですか」

レヴィ「はい。こちらとも教員が何人か怪我をしています。なので授業は1週間後になりますので、みなさんはこれから1週間休学となります」

女子「え!?」

レヴィ「その間、ご自宅に帰っていただいても構いませんが、くれぐれもご注意下さい。ご自宅に帰る生徒に関しては私たちの防御を受けることができませんので最初からご自身で守っていただくことになります」

女子「な、なるほど…」

レヴィ「以上になります。それでは1週間後、またこの教室に来てください」

 

ガチャ…

レヴィ学院長は教室を出た。

 

女子「この1週間何しようか」

女子「そうね…何もやることが…」

男子「遊ぼうぜ!」

女子「でも外に出たら先生方に守って貰えない…」

男子「確かにそれもある…」

スカーレット「リール」

リール「はい。何ですか?」

スカーレット「今日はもう休みましょうか」

リール「…」

スカーレット「お互い疲れてるからね」

リール「そうですね。そうしましょう。アンナ」

アンナ「何?」

リール「部屋に戻りましょう」

アンナ「うん」

リール「それでは皆さん。私たちは先に部屋に戻りますね」

 

ガチャ…

リール、アンナ、スカーレットは教室を出て自室に戻った。その後、残りの生徒たちも自室に戻っていったのだった。

 

 

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場所…エレナ学院近くの上空

 

???「ほう。なるほどな。上手いこと隠してやがる」

???「エレナのやつ…よくこれを見つけたな」

???「魔力を感じ取ったって言ってたな」

???「なるほど…だから特定できたのか」

???「恐らくな…」

???「はぁ…」

???「で、やるのか」

???「あぁ。あの野郎がしくじったからな。俺たちで尻拭いだ」

???「なんで」

???「元より光の適性者を持ち帰らなければならない。それを奴はしなかった」

???「いや、できなかったかもしれんな」

???「だが俺たちで回収すれば俺たちはまたひとつ上がることができる」

???「それはいい話だ」

???「ここであの光の適性者を回収してこの街も破壊だ」

???「おう」




〜物語メモ〜

エレナ・エミュレット
エレナ元学院長のフルネーム。

サフェ
エレナと一緒に行動している人。
エレナの話し相手であり、良きパートナーでもある。
エレナが泣いてたりするとすぐに行動に移す。
大体膝枕で慰めている。

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