私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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ここでちょっとお知らせです。

現在、「器の欠片 (ロスト・メイン)」というお話を投稿しています。
良ければ読んでみてください。

お知らせは以上です。


第32話 リールとリノの置き手紙

私の名前はリール。

今魔女さんの家にいます。

先日レヴィ学院長に休学と言われまして、元いた家に隠れることとなりました。

あとでメリーさんが家に来てすぐに出て行っちゃいました。

その後に私がベッドで寝ていると突然玄関が開いたので様子を見に行くと、そこにはかつて学院を襲ったエレナという人がいました。

ですがその人は私を襲うことはなく、何故か私のために料理を作ってくれました。

しかもその料理はとても美味しく、全然元気じゃなかったはずなのに食べ終わるとすごく元気が出ました。

とても不思議でした。

そしてエレナという人は魔女さんの居場所も知っているそうですが、何故か教えてくれませんでした。

何やら目的があるようです。

その目的が達成できるまで会わせてくれないそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレナ「…私にも目的があるの。その目的が達成されるまでは会わせてあげられない」

リール「目的って…なんですか」

エレナ「…魔核を集める。それが私の目的よ」

リール「ま…魔核…?」

エレナ「そう。この世界に存在する12人の魔女、魔法使いが所持している物よ。ある人の動力源でもある」

リール「ど、動力源…」

エレナ「私はそれを探しているの」

リール「でも探してどうするんですか」

エレナ「…ある人を取り戻したいのよ。私の大事な人」

リール「お父さんかお母さんですか?」

エレナ「いいえ。私の友人」

リール「取り戻すってどこかに捕まってるんですか?」

エレナ「そうね。捕まってるって言うとそうなるしそうでないとも言える。曖昧よ」

リール「そ、そうですか…」

エレナ「今まで色々な人を試したわ。でも全然ダメ。1人も魔核を持ってなかった」

リール「そうですか」

エレナ「でもこれである程度誰が持っているのかは把握出来たわ。あとは回収しに行くだけね」

リール「良かったですね。目的が達成できそうで」

エレナ「でもね、1人だけ絶対回収できない人がいるの」

リール「誰なんですか?」

エレナ「…それは言えないわ」

リール「?」

エレナ「言ったらダメよ。それ以降気にしちゃうからね。でも私は友人のために回収しなくちゃならない。もう時間もないわ」

リール「時間…とは?」

エレナ「…あなた、光属性魔法の適性者よね?」

リール「はい」

エレナ「ならリノの置き手紙を読めるんじゃないかしら」

リール「リノの置き手紙?」

エレナ「あら、知らないの?」

リール「はい。知らないです」

エレナ「あの人が言うには何かの書物に挟んであって、光属性魔法の適性者にしか文字が読めないそうよ」

リール「!!」

 

リールはこの時、スカーレットの家にあった書物から小さな紙が出てきたのを思い出した。

 

リール「それって…もしかして…」

エレナ「…? 何か知ってるの?」

リール「あ、いえ…ですが私の知ってるものがその人の置き手紙なのかが気になります」

エレナ「どんなもの?」

 

カサッ…

リールは小さな紙を出した。

エレナはそのふたつ折りにされた紙を開いた。

 

エレナ「!?」

 

エレナは見てわかるくらいに驚いた顔をしていた。

 

エレナ「こ、これよ!この手紙よ!これがリノの置き手紙よ!」

リール「あ、そうなんですか」

エレナ「あなたここに書いてある文字読める!?」

リール「え、あ、はい。読めます」

エレナ「!!」

 

エレナは大きく目を見開いた。

 

エレナ「ちょ、読んでみて!読んで聞かせて!」

リール「あ、はい」

 

リールはエレナから紙を受け取った。

 

リール「えーっと…。私はリノ。あなたと同じ光属性魔法に適性を持つ者です。この文字が読めるあなたにだけある事を伝えます。現在この世界にはドレインという他者を取り込み強くなる魔物が存在します。今は表に出てきていませんが、ある場所に私が保管しています。そこは、辺り一面暗い "深淵" と呼ばれる場所です。あなたが光属性魔法に適性があるのならその場所に出向き、ドレインを全て浄化してください。それはかつて私が成し得なかったこと。光属性魔法は唯一ドレインに対抗できる魔法です。私はその力を使ってドレインを退けましたが、私一人ではどうにもなりませんでした。そこで私はある事を考えました。それは、私自身を使ってドレインを封印することです。ですが、先程記述したように私一人では限界があります。なので、これを読んでるあなたにお願いがあります。私一人ではドレインの進行は止められません。あなたがドレインを浄化して下さい。光属性魔法に適性があるあなただけが頼りです。お願いします。…ですね」

エレナ「…!?」

 

リールはその手紙に書かれた内容を全て話した。

 

エレナ「ほんとに…読めるのね…」

リール「はい。何の事かはさっぱりですが…」

エレナ「…分かったわ。ドレインがここに到達するまでまだ時間はある。それまでに魔核を12個集めてリノを取り戻せば…」

リール「あの…」

エレナ「?」

リール「その…魔核というものを集めれば、あなたの友人さんは取り戻せるんですか?」

エレナ「えぇ。取り戻せるわ」

リール「じゃあ…」

エレナ「あの人の持つ光属性魔法はね、この世界に存在するドレインという生き物を倒すことが出来るの。さっき言ってたよね」

リール「はい」

エレナ「この世界はね、実は平和じゃないの」

リール「!」

エレナ「今もリノはドレインと戦ってる。リノがドレインを外に出さないようにしている。でも限界はある。だから私がリノの助けになるの」

リール「そうですか」

エレナ「さて、その手紙の内容聞けたし魔核の場所もある程度把握出来た。あとは自分の行動だけね」

リール「が、頑張ってくださいね」

エレナ「あ、教えてくれたお礼に私も教えないとね」

リール「?」

エレナ「私の仲間に土属性魔法の適性者がいるんだけど、その人があの町に隕石落とそうとしてるわよ」

リール「!?」

エレナ「加えて私の仲間の氷属性魔法の適性者が町を氷漬けにするつもよ」

リール「な…なんで…」

エレナ「さぁ?あの人の考えはよく分からないわ」

リール「え、でもなんであなたが仲間の事を教えるんですか?それって裏切りになるんじゃ…」

エレナ「まぁ、最初から仲間でもなんでもないしね。というか死んでくれた方がいいのよ。あいつらは」

リール「…」

エレナ「さて、これからの行動は伝えたわ。どうするかはあなた次第ね」

リール「あの…」

エレナ「?」

リール「助けて…もらえないんでしょうか…」

エレナ「!」

リール「助けてもらえたら嬉しいんですが…」

エレナ「…あのね、私は仮にも敵なのよ。学院だって壊して回ったし。そんな人に助けを求めてどうするのよ」

リール「でも…」

エレナ「…自分の力でどうにかなる気がしない…そう考えてるのね」

リール「…はい」

エレナ「まぁあの2人は強いわ。でも大丈夫よ。あなたがいるんだから」

リール「!」

エレナ「あなたがいればここの人たちは死なないわよ」

リール「いえ、傷つきます」

エレナ「!!」

リール「私が懸念しているのは死ぬことではなく、誰かが傷つくことです」

エレナ「…そう。でもできないわ」

リール「…」

エレナ「私にも立場があるわ。今の立場を無くせばリノを助けられる確率も下がる。だからできない相談よ」

リール「そう…ですか…」

エレナ「…気にしないで。あなたならできるわ」

リール「…」

 

ガチャ!

リールとエレナが話しているとメリーとラミエ先生が入ってきた。

 

メリー「リールちゃん!大丈夫!?」

リール「メリーさん!」

メリー「良かった…元気そ…う…」

ラミエ先生「!」

 

メリーとラミエ先生はエレナの存在に気づいた。

 

メリー「あなた!何でここに!」

エレナ「…さぁね。何でかしら」

メリー「リールちゃんをどうするつもり!」

エレナ「どうもしないわよ。ただお邪魔しに来ただけよ」

メリー「嘘つかないで!」

エレナ「現に今から帰るつもりだったのよ」

メリー「じゃあ帰って!」

エレナ「それじゃあね。光属性魔法の適性者さん」

 

コツコツコツ

エレナは魔女さんの家を出た。

 

メリー「リールちゃん!何もされなかった!?大丈夫!?」

リール「はい。大丈夫ですよ」

メリー「あー良かった!リールちゃんいきなり目を閉じるから死んじゃったかと思ったよ!」

リール「あはは…」

ラミエ先生「!」

 

ラミエ先生はキッチンに置いてあるスープを見つけた。

 

ラミエ先生「…」

 

チョン…ペロッ…

ラミエ先生はそのスープに指を入れて舐めた。

 

ラミエ先生「!?」

ラミエ先生 (こ、これって…どうしてこんなものが…)

 

ラミエ先生はリールを見た。

 

ラミエ先生 (メリーの話ではリールは倒れているはず…でもあんなに元気になってる…まさか本当に…)

 

ラミエ先生はエレナを思い出した。

 

ラミエ先生 (まさか…あの人が作ったの…?これ…)

 

ラミエ先生はリールのところに向かった。

 

ラミエ先生「リール」

リール「あ、はい。何ですか?」

ラミエ先生「あなた…あのスープを飲んだの?」

リール「はい。飲みました」

ラミエ先生「!」

リール「えっと…何かありましたか?」

ラミエ先生「あのスープ…作ったのは誰?」

リール「エレナさんです」

ラミエ先生「!?」

 

ラミエ先生の予想は的中した。

 

ラミエ先生 (どういうこと…エレナは敵じゃないの?)

リール「あの…ラミエ先生?」

 

ラミエ先生は急に考え事をし始めた。

 

ラミエ先生 (でも敵であるリールにあんなもの飲ませる?普通。味方なら分かるけど…敵じゃん…)

リール「えっと…ラミエ先生?」

ラミエ先生 (まさか…敵はエレナじゃなくて他にいる…。エレナ以外の誰かが何かしようとしてるの?)

リール「ラミエ先生!」

ラミエ先生「え、何?」

リール「急にどうしたんですか」

ラミエ先生「あ、いえ、なんでもないわ。とにかく元気そうで良かったわ。食べ物とか買ってきたからしっかり食べなさい」

リール「はい!」

 

ラミエ先生はキッチンに戻って再度スープを見た。

 

ラミエ先生 (…回復魔法が含まれた食べ物…これを作れるのが私以外にいるなんて…エレナ…一体何者なのよ…)

 

 

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場所…草原

 

エレナ「…上手く作れて良かったわ。初めてだったけど効果は絶大ね」

 

スタスタスタ

エレナは歩を進める。

 

エレナ「しかし、リノの置き手紙を聞けるなんて、なんて幸運なのかしら。おまけに魔核の場所もある程度予想はついた。さて、回収しに行きましょうか。待っててリノ。もう少し…もう少しだけ待ってて」

 

 

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場所…エレナ学院 (学院長室)

 

アンナ「え!?リールがこの学校を出たんですか!?」

レヴィ「はい。出ましたよ」

 

現在、学院長室ではアンナたちがレヴィ学院長と話をしていた。

 

アンナ「なんで学校を出るんですか!」

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長は何も言わなかった。

 

スカーレット「学院長。何故リールは学校を出ることになったのでしょうか。理由を教えてください」

レヴィ「…この学院の生徒を守るためですよ」

オード「生徒を守るため…ですか」

レヴィ「はい。リールさんの魔力はとてつもなく強いです。私の結界では抑えきれません」

スカーレット「だからって…」

レヴィ「リールさんの魔力を嗅ぎつけてドレインが出現するかもしれません。なので私の中で1番防御力のある結界を展開しているあの家に隠れてもらってます」

スカーレット「あの家ってなんですか」

レヴィ「おや、あなた方はリールさんのご友人ですので知ってるものかと」

スカーレット「教えてください。リールはどこにいるんですか」

レヴィ「…教えられません」

アンナ「何でですか!」

レヴィ「残念ながら、立場上生徒を守るのが私の仕事です。ですのであなた方はこの学院から出ないようお願いします」

オード「あの。学院長」

レヴィ「ん?何?」

オード「リールはここの生徒じゃないんでしょうか」

レヴィ「!」

オード「なぜリールだけ生徒に含まれないのか、甚だ疑問ですね」

レヴィ「…」

スカーレット「…アンナ」

アンナ「何?スカーレット」

スカーレット「…リールを探しましょう」

アンナ「!」

スカーレット「元よりリールがいないとこの学院は更に酷くなります。今までほぼ無事でいたのはリールがいたからです。リールがいなかったら今頃全員死んでるでしょう」

レヴィ「…」

スカーレット「学院長。私たちはリールを探します。授業もしばらく止まってるのでいいですよね?」

レヴィ「…どうぞお好きに。ただし、この学院から出るとなると私たちの加護は受けられませんので、そのつもりで」

スカーレット「大丈夫です。私たちは生徒ですが、リールに教えてもらったものがあります。それを使って探します」

レヴィ「…あいつらが来たらどうするつもり?」

スカーレット「あいつらとは誰のことでしょうか」

レヴィ「君たちを攻撃した人たちですよ」

スカーレット「…」

レヴィ「君たちは6人もいて1人も倒せなかったんですよ。ましてや6人中5人は瀕死状態。今は回復して動けますが、次また来たらあなた方で身を守ることはできますか?」

スカーレット「6人中5人…残りの1人はリールですよ。リールがいたから大丈夫なんですよ私たち。ここでもしリールがいなかったら全滅でしたよ。経緯はどうあれリールが生きていた。あの人たちが撤退したという事実は変えられません」

レヴィ「では、リールさんを見つけるまでにあいつらが現れたらどうするおつもりで?」

スカーレット「知りませんよそんなこと」

レヴィ「!」

スカーレット「来る前に見つけます。私たちの友達ですので」

 

スタスタスタ…ガチャ…バタン

スカーレットたちは学院長室を出た。

 

レヴィ「…ふぅ」

ラーフ「学院長。いいんですか?」

レヴィ「やぁラーフ。君こそもう大丈夫かい?」

ラーフ「はい。もう動けます」

レヴィ「そうか。それは良かった」

ラーフ「…レヴィ学院長」

レヴィ「あぁ。分かっている。でもこうするしかなくなった。本来ならこの学院で匿うのがいいけど、明らかに被害が大きくなっている。エレナ元学院長も現れた。ドレインもね」

ラーフ「…」

レヴィ「そうなると流石に庇い切れないよ」

ラーフ「ですが…あの子たちが言っていたようにリールさんがいることであの子たちは死なずに済んでいます。最初のエレナ元学院長の襲撃でもリールさんは生き残っていました。その次の天使たちでも怪我なく生き延びた」

レヴィ「…」

ラーフ「リールさんはすごい幸運の持ち主ですよ。手放すのは私も賛成できません」

レヴィ「…あぁ。分かっている。僕が懸念しているのは天使たちの行動。ドレインは弱いからここの生徒たちでも倒せるよ」

ラーフ「なら…」

レヴィ「だけど、そうもいかない」

ラーフ「…」

レヴィ「ドレインはこの世界の人間を喰らう魔物。あれにやられたら人として生きられなくなる。その上ドレインは強くなり、やがて手に負えなくなる。そうなると少し面倒なことになる」

ラーフ「なにが…」

レヴィ「君は、あの天使たちを倒す方法を知ってるかい?」

ラーフ「天使たち…それは魔法を…」

レヴィ「でもね、並の魔法じゃ歯が立たない。天使たちの魔力は恐ろしく高い。だからそれに対抗できるだけの魔力が必要になる」

ラーフ「ではそうすれば…」

レヴィ「でもね、仮に天使たち以上の魔力をぶつけたとしても一発じゃ倒れないんだよ。天使たち以上の魔力を何発もぶつけないといけないの。そんな魔力を持つ人がこの世に何人いると思う?」

ラーフ「わ、分かりません」

レヴィ「3人だよ。たった3人」

ラーフ「さ、3人…」

レヴィ「1人は私のお師匠様。魔女さんのお師匠様でもある」

ラーフ「学院長の…お師匠様…」

レヴィ「そして2人目。2人目は魔女さんだよ」

ラーフ「え、あの人が…」

レヴィ「そう。あの人が。現に風の天使を殺ったのは魔女さんの分身体ですから」

ラーフ「分身体!?」

レヴィ「そう。魔女さんは自分の分身を作ることが出来る」

ラーフ「なんと…」

レヴィ「ラーフ。覚えておいて。分身体ってね、その人の半分の力で生成される。つまり、その分身体は魔女さんの半分程度の力しかないの」

ラーフ「半分程度…ですか」

レヴィ「そう。半分だけ。それなのに風の天使を殺った」

ラーフ「!!」

レヴィ「何が言いたいか分かる?ラーフ」

ラーフ「まさか…その魔女さんの半分程度の魔力が…あの天使たち以上の魔力だと…そう言いたいんですか?」

レヴィ「…そう。そういう事」

ラーフ「!?」

レヴィ「僕、最初に魔女さんが手紙を燃やしたと聞いてラーフに言ったこと覚えてる?」

ラーフ「言葉…」

レヴィ「あの魔女さんを怒らせたらこの国が消えかねないと…そう言いました」

ラーフ「あ、確かに言いました」

レヴィ「魔女さんは半分程度の力で天使を殺せます。なのに本体となったらその2倍です。この国なんて余裕で破壊できます」

ラーフ「そんな…」

レヴィ「過去に起きた事件。狂気の魔女と呼ばれたあの人はその時この国を破壊して回った。故にこの国は一瞬で崩壊し、今は復興が終わっていますが、それでも跡は残っています」

ラーフ「…」

レヴィ「もし今の魔女さんを本気で怒らせたら私だって体の保証はできません。一瞬で破壊されて蒸発するでしょう」

ラーフ「そんな…学院長でさえも…」

レヴィ「はい。あの人は言わば危険人物…ですがそれは魔力に限った話です。あの人は怒りさえしなければ優しい人です。ですが当時は自身の怒りのままに動いたためにこの国は一度滅びました」

ラーフ「…」

レヴィ「今回私がリールさんをあの家に戻したのはリールさんを死なせないためです」

ラーフ「!」

レヴィ「リールさんが死んだとなると、それを聞いた魔女さんはどうなると思いますか?」

ラーフ「お…怒ります…」

レヴィ「そう。怒ったらどうなるのか。その怒りの矛先はどこへ向くのか。簡単な話です。怒りの矛先は私とこの国とリールを殺した本人に向けられます」

ラーフ「そんな!でも学院長は殺してない!」

レヴィ「いえ、私は魔女さんにリールさんを守ると約束しました。魔女さんからすればその約束を破られたとなります。怒るのも当然です」

ラーフ「…」

レヴィ「リールさんは何としてでも守らなければなりません。私があの家に戻したのはあの家に結界を展開しているからです。あの結界はそうそう突破されません。リールさんの魔力も抑えられます」

ラーフ「そう…ですか…」

レヴィ「ラーフ。あなたにも1つお仕事があります」

ラーフ「な…なんでしょうか…」

レヴィ「リールさんを守るのを手伝ってください」

ラーフ「!」

レヴィ「魔女さんを怒らせたら冗談抜きで全員死にます。挙句今どこにいるのかも分かりません。離れたところから攻撃されたら私たちに打つ手はありません。何としてでもリールさんを守らなければなりません」

ラーフ「わ、分かりました」

 

スタスタスタ…ガチャ…バタン

ラーフは学院長室を出た。

 

レヴィ「…」

 

レヴィ学院長は窓の外を見ていた。

 

レヴィ (リールさん。もう少しの辛抱です。もう少しだけそこで待っていてください)




〜物語メモ〜

魔核
この世界に存在する12個の魔力の素。
これは昔、リノと関係があった人のみ所有しているもの。
エレナはその魔核を集めてリノを取り戻そうとしている。

リノの置き手紙
リノの置き手紙とは、リールがスカーレットの家に行った時に光属性魔法の書物に挟まれていた小さな手紙のこと。
その置き手紙は光属性魔法の適性者にしか読めず、スカーレットの父であるジンやスカーレットの叔父であるマークは読めずに諦めていた。
エレナも光属性魔法の適性者ではないため読めなかったが、リノの置き手紙の存在は知っていた。
今回エレナはリールが光属性魔法の適性者だと知っていたため、リノの置き手紙を読ませた。

エレナが作ったスープ
エレナがリールのために作ったスープは普通のスープとは見た目は変わらないが、飲めば魔力等を回復させることができる。
普通の人間には美味しくないが、魔法使いや魔女が飲めば、たちまち元気になる。
だがこの料理を作ることが出来るのは、回復魔法を使える人の中でもラミエ先生を含めて一握り程度。
ラミエ先生はこのスープについてよく知っているため、敵であるエレナが作ったことに驚いていた。

分身体
魔女さんが使っていた魔法の一種。
自分と全くそっくりなもう1人を作り出す魔法。
ただ、自身の半分の魔力を使って生成されるもので、強さはその人の半分程度。
作る本人が弱ければ分身体も弱くなる。
魔女さんの場合は、その半分程度の強さしかない分身体にも関わらず、マーモを余裕で消していた。

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