私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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ここでちょっとお知らせです。

2月14日から私情であまり投稿できなくなりますので、ご了承ください。

お知らせは以上です。


第35話 リールと無属性魔法の魔導書

私の名前はリール。

昨日、スカーレットたちが家に遊びに来てくれました。

みんな怪我も治って元気そうでとても嬉しかったです!

数日ぶりに会ったみんなの顔は何故か新鮮味を帯びていました。

その後はみんなとお話したり、一緒にご飯食べたりしました。

ラミエ先生やメリーさんも一緒にご飯食べて昨日はとても賑やかな晩御飯となりました。

今日はスカーレットたちが私のことを聞きたいそうなんですけど、自分のことを話すのはちょっと恥ずかしいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…リビング

 

アンナ「ねぇリール」

リール「はい。何ですか?」

アンナ「あの…その…」

リール「?」

アンナ「リ…リールの…」

リール「私の何ですか?」

アンナ「あの…リールの部屋…とか生活を…知りたいなって…」

オード「!!」

リール「私の生活…ですか?」

アンナ「うん…」

リール「えっと…何故でしょうか」

アンナ「その…リールって学校に来てから色々凄かったから…その…」

リール「?」

アンナ「どんな部屋でどんな勉強してたのかなって…その…気になって…」

リール「あーなるほど。私の今までの生活が知りたいんですね」

アンナ「うん…あと勉強も…」

リール「いいですよ。お話しましょうか」

オード「!!」

 

オードはその話を聞いていた。

 

リール「そうですねぇ…まず何から話しましょうか」

アンナ「あ、じゃあリールの部屋が見たい…かな」

リール「私の部屋ですか?」

アンナ「うん…」

リール「いいですよ。じゃあ私の部屋行きましょうか」

アンナ「うん!」

スカーレット「あ、じゃあ私も行こうかしら。私も気になるし」

リール「どうぞ!」

 

リール、アンナ、スカーレットはリールの部屋に向かった。

 

オード「リール!」

リール「…? はい。何ですか?」

 

リールは足を止めてオードの方に振り返った。

 

オード「その…」

リール「?」

オード「俺も…行ってもいいか…リールの部屋…」

メリー (お、大胆)

リール「いいですよ」

オード「!!」

リール「オード君も気になると思うので、来ていただいても構いませんよ」

オード (しゃあああああああ!)

 

オードは心の中で叫んだ。

 

ディア (おいおい…)

ノーラ (あからさまに喜んだな…こいつ…)

オード「よしっ!ディア!ノーラ!お前らも行くぞ!」

ディア「え?」

ノーラ「なんで俺たちも…」

オード「俺一人は流石にちょっとな…だから…」

ディア「…はぁ、分かったよ」

ノーラ「ったく…ヘタレなやつ…」

オード「すまねぇ…」

リール「ではみなさんで行きましょうか」

アンナ「うん!」

 

スタスタスタ

6人はリールの部屋に向かった。

 

メリー「…ねぇラミエ」

ラミエ先生「何?」

メリー「ふふっ…」

ラミエ先生「…何よ気持ち悪いわね…」

メリー「いやぁ…青春だな〜って思って」

ラミエ先生「はぁ…あなたって人は…」

メリー「ふふふ…」

 

 

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場所…リールの部屋

 

ガチャ…

リールは部屋のドアを開けた。

 

リール「さ、ここが私の部屋ですよ」

アンナ、オード「おおおおお!」

スカーレット「綺麗な部屋ね」

ディア、ノーラ (ここがリールの部屋…)ゴクリ

リール「これが私の机でこれが私のベッドです」

 

リールは先に机とベッドを紹介した。

 

リール「私がここに住んでた時は魔女さんから頂いた魔導書をこの机に広げて勉強していました。ちょうどここに私がその時メモしたノートがあるんですが誰か見ますか?」

アンナ、オード「見る!」

 

アンナとオードが真っ先に手を挙げた。

 

リール「はい。どうぞ」

 

リールはアンナとオードに1冊ずつノートを渡した。

 

リール「そしてこの机の横に窓があります。ここから綺麗な景色が見えますし、昼なら陽の光が、夜なら月明かりが差し込むので私のお気に入りなんです」

スカーレット「この環境…いいわね」

リール「ですよね!ですよね!」

 

リールは共感してくれて嬉しそうだった。

 

リール「あ、それで今この窓は閉まってるんですが、開けると鳥が入ってきて良い保養になりますね」

スカーレット「なるほど…」

リール「そしてベッドのこちら側には本棚があります。今私はこの家に住んでいますので、学校に持っていった分と今までここで勉強していた分の書物が入っています」

スカーレット「す、すごい…こんなにたくさん…」

 

リールの本棚は四段構造になっており、そのうち一段が学校の教科書でもう一段がリールがこれまで勉強してきたノートが置かれている。そしてそれ以外の二段は全て魔女さんの家で勉強するために魔女さんから貰った魔導書である。

 

リール「一段目が学校の教科書とかで、二段目が私のノートで、残りの段は全て魔女さんから頂いた魔導書になります」

スカーレット「ちょっと見せてもらってもいいかしら」

リール「はい。構いませんよ。スカーレットは雷属性魔法に適性があるのでこの書物をどうぞ」

 

スカーレットはリールから雷属性魔法の魔導書を受け取った。

 

スカーレット「ねぇリール」

リール「はい。何ですか?」

スカーレット「この魔導書…少し黄色くなってるのは何でかしら」

 

スカーレットがリールから受け取った魔導書は少し黄色がかっていた。

スカーレットはこの色の魔導書は見たことがないため、管理不足かと思っていた。

 

リール「あ、それは各属性魔法で色が入ってるんですよ」

スカーレット「各属性で…色?」

リール「はい。普通の魔導書だと見分けが難しいので、一目見てこの属性だと分かるように作られているんです」

スカーレット「え、でもこんな色の魔導書見たことないわよ…」

リール「元々魔女さんの魔導書でしたから、魔女さんが手を加えたのかもしれませんね」

スカーレット「あーなるほどね」

 

パラパラ…

スカーレットはリールから受け取った魔導書を読み始めた。

 

リール「ディア君とノーラ君も読んでみますか?」

ディア「え?」

ノーラ「俺たちも?」

リール「はい」

ディア、ノーラ「…」

 

ディアとノーラは互いの顔を見て結論を出した。

 

ディア「…じゃあ頼む」

ノーラ「俺も見たい…かな」

リール「分かりました。お二人はどの属性魔法ですか?」

ディア「俺は火属性魔法だ」

リール「えーっと火属性魔法は…あ!これですね」

 

リールは少し赤みがかった魔導書を取り出した。

 

リール「はい。これが火属性魔法の魔導書になります」

ディア「おぉ…」

 

ディアはリールから魔導書を受け取った。

 

ノーラ「あ、この魔導書も少し赤くなってる。これもさっき言ってたやつ?」

リール「はい。火属性魔法の魔導書は少し赤みがかってるんです」

ノーラ「なるほど…これは分かりやすい…」

リール「ノーラ君の属性魔法は何ですか?」

ノーラ「あ、俺は水属性魔法だ」

リール「分かりました。水属性魔法はこれですね」

 

ノーラはリールから魔導書を受け取った。

 

ノーラ「お、この魔導書は青みがかってる」

リール「ですね」

ノーラ「読んでもいいか?」

リール「はい。どうぞ」

 

パラパラ…

ディアとノーラは受け取った魔導書を読み始めた。

 

リール (あ、本棚整理しないと)

 

リールは本を取り出して空きができたスペースに本を詰めた。

 

リール (これでよし)

スカーレット「ねぇリール」

リール「はい。何ですか?」

スカーレット「この魔法なんだけど…」

 

スカーレットが魔導書を持って指さした。

 

スカーレット「この魔法って誰でも使えるの?」

 

スカーレットが見せてきた魔法は体に電気を纏わせて特定の場所を高速移動する魔法だった。

 

リール「雷属性魔法に適性がある人なら使えますよ」

スカーレット「そ、そうなのね…」

リール「ですが、この魔法は慣れるまで少し時間がかかりますよ。移動するスピードに自分が慣れないといけませんから要練習ですね」

スカーレット「なるほどね。ありがとう」

リール「はい」

アンナ「リールリール!」

リール「はい。何ですか?」

アンナ「これ!これ!」

 

アンナはリールのメモしたノートを見せてきた。

 

アンナ「この水属性魔法のメモってリールが書いたんだよね!?」

リール「はい。そうですよ」

アンナ「凄い字が綺麗だし、考察も的を射てる…私このノートを見て初めて水属性魔法の欠点とかその対処法分かったかも!」

リール「そうですか。力になれて良かったです」

アンナ「あれ…でもリールって光属性魔法の適性だよね?」

リール「はい。そうですよ」

アンナ「でもここに書かれてるものって全部現実味がある気がする…」

リール「現実味?」

オード「あ、俺もそう思う」

アンナ「オード君も?」

オード「あぁ。こんなに細かく魔法の事や弱点とか対処法とかを記せるなんてな…この火属性魔法のやつだってそうだ。俺でも知らないことを具体的に書いてある…これってどういう…」

アンナ「リールって火とか水の魔法って使えないはずだよね?」

リール「はい。使えませんよ」

アンナ「じゃあなんで…」

リール「まぁ、魔女さんは全属性魔法に適性がありますから」

アンナ「…あ!」

 

アンナはここで察した。

 

リール「なので魔女さんが最初から全部魔法を見せてくれたんです。各属性魔法の弱点やその対処法とかも一緒に」

アンナ「なるほど!すごい!」

オード「す…すげぇな…リールのお師匠さんって…」

リール「私の自慢のお師匠様ですよ」

スカーレット「確かにこれなら頭に残るわ…」

アンナ「スカーレット?」

スカーレット「この魔導書…一度見ただけなのにすごく頭に入るの…この魔導書の知識が私の中に吸い込まれていく感じよ…」

 

スカーレットは魔導書を抱いて身体を震わせながらそう言った。

 

ディア「オード…」

オード「ん?」

ディア「俺たちも委員長の意見に同感だ…」

オード「え!?ちょ、え!?どうしたお前ら!」

 

ディアとノーラはスカーレットと同じように魔導書を抱いて体を震わせていた。

 

ディア「この魔導書すげぇよ…バカな俺でもすげぇ頭に入る…もうこれ無しじゃ生きてけねぇよ…」

ノーラ「俺もだオード…俺もこの魔導書見て頭が掻き回されてるぜ…」

オード「ちょ、え!?大丈夫かお前ら!」

リール「すごいですよねその魔導書。私も同じように魔導書を見ただけで頭に入ってきたんですよ。あの時は驚きましたね」

オード (リールも!?)

リール「私はこの魔導書を見て今まで勉強してきましたので、ある程度の知識はありますよ」

スカーレット「なるほど…」

リール「でも分かるのはその魔導書に書かれていることだけですので、それ以外のことはよく分かりません」

アンナ「でもこのノートほんとに凄い…私もこれくらいになれたら…」

リール「アンナならなれますよ。きっと」

アンナ「そ、そうかな…」

スカーレット「ねぇリール」

リール「はい。なんですか?」

スカーレット「この一番下の段にある魔導書って何?」

リール「あ、これ全部無属性魔法の魔導書なんですよ」

スカーレット「え!?これ全部!?」

リール「はい。全部です」

 

リールの本棚は1番上に教科書等が置いており、二段目にリールのノート、三段目に各属性魔法の魔導書、そして一番下(四段目)に無属性魔法の魔導書が置かれている。

それぞれ教科書が9冊、リールのノートが12冊、各属性魔法の魔導書が8冊、無属性魔法の魔導書が9冊が置かれている。

 

スカーレット「え、無属性魔法の魔導書ってこんなにあるの…」

リール「はい。無属性魔法は属性魔法に属さない全ての魔法のことですのでこれくらいになりますよ」

スカーレット「属性魔法に属さない全ての魔法?」

リール「はい。例えばこれは…」

 

リールは一番左の魔導書を手に取った。

その魔導書は各属性魔法の魔導書と同じように少し色が着いていた。

今回リールが手に取った魔導書は薄めの緑色の魔導書だった。

 

リール「この薄い緑色の魔導書は回復魔法の魔導書になります」

スカーレット「回復魔法!?」

リール「はい。この魔導書には全ての回復魔法が記載されています」

スカーレット「す、すごいわね…」

リール「他にもありますよ。例えばこの魔導書は…」

 

リールは回復魔法の魔導書を戻し、次にその隣の薄い銀色の魔導書を手に取った。

 

リール「ほら、この魔導書は少し銀色が入ってるんですよ」

スカーレット「確かに…」

アンナ「どんな魔法なの?」

リール「これはテレポーテーションという移動系の魔法が記載されてる魔導書になります」

スカーレット「い、移動系の魔導書…初めて見た…」

リール「これを読んで勉強すれば箒に乗らなくても魔法さえ使えば一瞬で目的の場所に行くことができますよ」

オード「便利だな」

リール「はい!」

ディア「ほ、他には!他にはどんな魔導書があるんだ!?」

リール「そうですね…例えばこれは…」

 

リールは移動魔法の魔導書を戻し、その隣の薄い紫色の魔導書を手に取った。

 

リール「この魔導書は少し紫色になってますよね。これは毒に関する魔法が記載されてる魔導書なんですよ」

アンナ「毒!?」

リール「はい。毒はどの属性魔法にも属していないので無属性魔法という扱いになります」

オード「初めて聞いたぞ…毒属性魔法なんて…」

ノーラ「俺もだ…」

リール「この魔法は杖が必要ない魔法で唱えたら即座に効果が現れる魔法なんですよ」

アンナ「でも毒は怖い…」

リール「大丈夫ですよアンナ。この魔導書には毒だけでなく、色んな解毒薬の情報も載っていますよ」

アンナ「薬?」

リール「はい」

スカーレット「それは回復魔法の魔導書に無いの?」

リール「あ、回復魔法の魔導書は回復魔法魔法だけで、こちらは実際の薬草とかを調合するための魔導書になります」

オード「あ、じゃあ魔力が切れてもその魔導書の知識があればその場で薬草を作れるって訳だな」

リール「そうですオード君!そういう事です!」

オード「…」

 

オードは勝ち誇ったかのように右腕を掲げ、天を仰いだ。

 

リール「そして次はこれですね」

 

リールは毒属性魔法の魔導書を戻してその隣の深い青色の魔導書を取り出した。

 

リール「これさっきノーラ君に渡した魔導書よりも濃い青色になってますよね」

ノーラ「あ、確かに」

リール「この魔導書はデバフ…つまり、相手の耐性を下げる魔法になります」

オード「相手の耐性?」

リール「はい。本来各属性魔法に適性がある人って決まった属性魔法の効果を薄める特性を持っています。例えばオード君は火属性魔法なので風属性魔法の効果を薄める特性があります。ですが、このデバフの魔導書に書かれている魔法を使うことで、風属性魔法に対する耐性を下げて普段通りのダメージで攻撃できるようにするということです」

オード「なるほど」

スカーレット「便利な魔法ね」

リール「はい!」

アンナ「その隣にある黄色の魔導書って何?」

リール「これですか?これは…」

 

リールはデバフ魔法の魔導書を戻して、その隣にある薄い黄色の魔導書を取り出した。

 

リール「これはさっきの耐性を下げる魔法とは逆の効果を持つバフという魔法が書かれた魔導書になります」

アンナ「バフ?」

リール「はい。この魔導書には自分の魔法に対する耐性を上げる魔法が書かれています。これを使えばアンナなら雷属性魔法を受けてもダメージを抑えられます」

アンナ「へぇ!」

リール「他にもさっきの魔導書にもあるんですが、こっちの魔導書には自身の魔法攻撃力を上昇させたり、箒の飛ぶ速度とかも上昇させる魔法が書かれています。さっきの魔導書には相手の魔法攻撃力を下げる魔法や箒の飛ぶ速度を遅くする魔法が書かれています」

オード「じゃあその魔導書の内容を覚えてたら無敵じゃん!」

リール「そうそう!だからオード君の魔法があまり私に効果がなかったんですよ」

オード「うっ…頭が…」

リール「そして6冊目。これは…」

 

リールはバフ魔法の魔導書を戻し、その隣にある魔導書を手に取った。

 

リール「これは、少し本にヒビが入ってるのが見えますか?」

 

みんなはリールが指さした所を見た。

 

アンナ「確かに…」

スカーレット「ヒビが入ってるわね…」

ディア「壊れてるのか?」

リール「いいえ、違いますよ。これもその魔法の象徴となるものなんですよ」

ノーラ「なんの魔法なんだ?」

リール「これは、あらゆるものを破壊する魔法になります」

ディア「あらゆるものを破壊!?」

リール「はい。破壊します」

 

その場のリール以外の全員が驚いていた。

 

アンナ「え…破壊…」

スカーレット「す…すごい魔法ね…」

リール「はい!この魔導書には物体や実体のないものを破壊する魔法が書かれています。なので、瓶を割ったり、地面を割ったりできますよ!」

オード「す、すげぇな…」

ノーラ「お…おっかねぇ…」

リール「そして次はこれです!」

 

リールは破壊魔法の魔導書を戻し、その隣にある魔導書を手に取った。

 

リール「ほら見てください!この魔導書、全体的に見たら虹色に見えませんか?」

 

リールが手にした魔導書は少し虹色がかかった魔導書だった。

 

リール「この魔導書には幻視…つまり、幻覚を見せる魔法が書かれています」

スカーレット「幻覚…」

リール「はい!」

オード「じゃあこれを使えば相手は幻覚を見てこっちは攻撃し放題になるって訳だな」

リール「そうです!他にも自身の考えている風景を相手に見せて相手の考えてることや行動を制限できます!」

スカーレット「す、すごいわね…」

アンナ「うん…無属性魔法って弱いと思ってたけど…」

ノーラ「こうして聞くと1番強く感じるな…」

ディア「同感だ」

リール「そしてこの隣にある魔導書は…」

 

リールは幻覚魔法の魔導書を戻し、その隣の魔導書を手に取った。

その魔導書は薄いピンク色が入っていた。

 

リール「この魔導書はピンク色が見えると思うんですが、これが相手を支配する魔法が書かれた魔導書になります」

アンナ「相手を支配?」

リール「はい。相手を思い通りに動かすことが出来る魔法です」

オード (リールを…思い通りに…)

 

オードはよからぬ事を考えていた。

 

リール「この魔導書を読めば相手の行動を自分で指示できます!その名の通り、相手を支配しますので!」

アンナ「す、すごい…」

スカーレット「相手を支配ってことは自分を攻撃させることもできるの?」

リール「できますよ」

スカーレット「なるほど…それはすごいわね…」

リール「はい!そしてこれが最後の魔導書ですね」

 

リールは支配魔法の魔導書を戻し、最後の魔導書を取り出した。

 

ジャラッ…

その魔導書は鎖で縛られていた。

 

リール「これが最後の魔導書になりますね」

アンナ「え、鎖で縛られてる…」

オード「分かった!それは相手を縛る魔法だな!それを使えばどんな相手でも拘束できて行動を制限できる魔法だろ!」

リール「違いますよ」

オード「…」ズゥン…

 

オードは答えを外して落ち込んだ。

 

リール「この魔導書には次元を歪ませる魔法が書かれています」

アンナ「次元を歪ませる?」

リール「はい」

スカーレット「初めて聞いたわその魔法…どういった魔法なのかしら」

リール「これは、さっきも言ったように次元を歪ませることができる魔法が書かれた魔導書で、ここに書かれている魔法を使うことで相手の魔法の軌道を逸らせて自分に当たらないようにできます」

アンナ「へぇ!」

スカーレット「それって光属性魔法とか雷属性魔法みたいに速い魔法でも当たらないようにできるの?」

リール「はい。できますよ。空中を飛んで来る魔法全ての次元を歪ませることができます。ただし、空中を飛ばずに直接相手に効果がある魔法は防ぐことができません」

スカーレット「なるほどね…」

リール「ただしただし!」

スカーレット (ただしただし…?)

リール「直接相手に効果がある魔法は防げないと言いましたが!別の方法で防ぐことが可能です!その魔法がこの魔導書に書かれています!」

アンナ「へぇ!」

リール「その魔法を使えば自分の体を幻影状態にしてどんな魔法でも全て透過させることができます!」

オード「透過?」

リール「つまり、どんな魔法も効かなくなるってことです!オード君が言ってた無敵の魔法ですね!」

オード「すげええええええ!」

スカーレット「いやほんとにすごいわね…」

アンナ「確かに…無属性魔法ってこんなにすごいんだ…」

ノーラ「それ以外に無属性魔法って存在するのか?」

リール「一応物体浮遊の魔法とかはありますが、それは教科書とかに全部書かれていますよ。この魔導書にはあくまで実戦で使う魔法のみ書かれています」

ディア「いや、にしてもすげぇな…」

オード「ほんとだぜ…これさえ使えるようになれば俺たち無敵の魔法使いになれるぞ…」

全員「…」ゴクリ…

 

全員生唾を飲んだ。

 

全員「リール!」

リール「は、はい!何ですか!」

 

リールは突然みんなが言い寄ってきて驚いた。

 

スカーレット、アンナ「私たちに魔法教えて!」

オード、ディア、ノーラ「俺たちに魔法教えてくれ!」

リール「え、あ、えと…その…」

 

リールはみんなに迫られて心臓の鼓動が速くなっていた。

 

リール「は、はい…私でよければ…」

全員「いよっしゃあああああ!」

リール「はぁ…はぁ…」

 

リールは初めてのことでドキドキしていた。

 

リール (あぁぁ…びっくりしました…)

 

そしてみんなはリールに魔法を教えてもらうことになった。




〜物語メモ〜

リールの本棚にある無属性魔法の魔導書
リールの本棚には、魔女さんから貰った魔導書が置かれている。
その中で無属性魔法は全部で9つ置いてある。

無属性魔法
回復魔法の魔導書(色は薄い緑色)
あらゆる傷を治す魔法が書かれている魔導書で、魔法の強さによって治せる傷が変わってくる。
当然レベルの高い回復魔法を習得すれば、あらゆる傷を治すことが可能で、レベルが低くてもある程度の傷を癒すことができる。
回復魔法の魔導書を書いたのはラミエ先生。

移動魔法の魔導書(色は銀色)
目的地まで一瞬に移動ができる魔法が書かれている魔導書。
箒がない時に使うことで容易に移動が可能。
その上、箒よりも移動が速く魔力の消費も少ないため、覚えているだけで色々と節約できる。
それでもこの世界の人の移動手段が箒なのは、スカーレットたちと同じように無属性魔法=弱いという概念があり、誰も覚えようとしなかったから。

毒属性魔法の魔導書(色は薄い紫色)
あらゆる毒に関する魔法が書かれている魔導書。
弱いものから強力なものまで全て記載されており、毒の解除方法も一緒に載っている非常に便利な魔導書。
これは属性魔法に分類されてないにも関わらず、名前に属性魔法とついている異例な魔法。
ただし、毒属性魔法は自分以外の人に効果があるため、敵味方関係なしに効果が現れる。

減弱魔法の魔導書(色は濃い青色)
相手の魔法攻撃力を下げたり飛行速度を遅くするなど、相手にとって不都合な効果を与える魔法が書かれている魔導書。
他にも各属性魔法に対する耐性を下げる魔法も記載されており、これと併用することで効率よく相手にダメージを与えられる。
使うことによる代償も無いため、非常に強力な魔法。
これも無属性魔法=弱いという概念があり、誰も手をつけなかったため、存在が薄い魔法。

増強魔法の魔導書(色は薄い黄色)
自身の魔法攻撃力を上げたり飛行速度を速くするなど、自分にとって好都合な効果を与える魔法が書かれている魔導書。
他にも各属性魔法に対する耐性を上げる魔法も記載されており、これと併用することでダメージを軽減することができる。
使うことによる代償も無いため、非常に強力な魔法。
これも無属性魔法=弱いという概念があり、誰も手をつけなかったため、存在が薄い魔法。

破壊魔法の魔導書(色は無いが、ヒビが入っている)
あらゆるものを破壊する魔法が書かれている魔導書。
この魔導書には、物体だけでなく、実体のないものを破壊する魔法も記載されており、どんなものでも簡単に破壊できるようになる。
これは、相手の結界や自身にかかっているデバフ効果も破壊することができ、実質ほぼデバフ効果は意味を成さなくなる。
魔力を込める強さで破壊できる物が変わるのと、相手に直接破壊の効果を与えることができるのが特徴。

幻覚魔法の魔導書(色は虹色)
相手に幻覚を見せることで錯乱や行動制限をかける魔法が書かれている魔導書。
これは毒属性魔法とは違って任意の相手に与えることが可能で、この魔導書を読まないと解除の仕方や対処法も分からない。
一度発動すれば自身で解除するか、相手が解除しない限り効果は続く。
戦闘が終わったとしても解除されるまで幻覚魔法は続く。

支配魔法の魔導書(色はピンク色)
相手を支配し、自分の思い通りの行動をさせることができる魔法が書かれている魔導書。
対処法を知らない限り絶対受けてしまう魔法で、効果は自身で解除するか、相手が魔法を解除するまで続く。
代償は無く、自身を攻撃させるように指示すれば、相手はその指示に従って自身を攻撃し始める。

次元魔法の魔導書(色は無いが、鎖で縛られている)
あらゆる魔法の軌道を逸らせることができる魔法が書かれている魔導書。
相手の魔法攻撃を任意の方向に逸らせることで、ダメージを無効化する。
ただし、相手の魔法を消す訳では無いため、逸れた魔法はどこかに当たる。
おまけに、飛ぶ魔法以外の魔法(例えば毒属性魔法など)は軌道を逸らすことができないが、自身を幻影状態(実体がない状態)にすることで、魔法の効果を回避することができる。
ただし、実体のないものでも破壊することができる破壊魔法に関しては、この幻影状態を破壊することができるため、いくら次元魔法でも破壊魔法だけは防ぐことができない。

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