私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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第40話 リールとエレナの恐怖

私の名前はリール。

今エレナ学院の校庭にいます。

今目の前にエレナさんが2人います。

もうこの時点で驚きです。

なのに意識が3つだとかあと一人の私だとか言うもんですから話が混在してきました…

しかもエレナさんがドレインだって言いました。

学校を襲った人が3人もいてしかもドレインだなんて考えられないです…

ですが、何やら私たちに敵意は無いようです。

それに関しては安心しています。

あのレベルの人が敵になっちゃったら私はもう助からないでしょう。

このまま事が運べばいいんですが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレナ「私、こう見えて "ドレイン" だから」

リール「え!?」

 

リールは突然の告白に驚いた。

 

リール「え…エレナさんが…あの…ドレイン…」

エレナ「えぇ。そうよ。だから攻撃しない方がいいわよ」

リール「攻撃したら…どうなるんですか」

エレナ「あなたに感染してあなたもドレインになるわよ」

リール「ひえっ…」

エレナ「なのであまりこの子には攻撃しないでくださいね」

リール「は、はい…」

エレナ「さて、早くあれ破壊しようかしら」

エレナ「そうですね。それに、あとでマモンとレットにはキツく言っておかないといけませんから」

 

パキッ…パキッ…

2人のエレナが並んで立った。

 

エレナ「あれ、どうやって破壊しますか?」

エレナ「そうね。派手にバーンっと爆破しない?」

エレナ「それだと周りに被害が出ませんか?」

エレナ「あ、そうね。私もモルモットを壊されるのは嫌だし」

エレナ「う〜ん…困りましたねぇ」

エレナ「というかこのレットがやったこの氷。邪魔だからどうにかしない?足元悪いと魔法に影響するし」

エレナ「そうですね。焼き払いましょうか」

 

ヒュゥゥゥゥゥ…

途端に2人の周りにマナが集まってきた。

 

リール「え」

オード「あの2人…何かやったのか?」

エレナ「…」

エレナ「…」

 

ボボボッ…ボボッ…

集まったマナが紫色の炎を纏った。

 

リール「え、火?」

オード「あの人って闇じゃなかったのか?」

リール「え、そのはずですが…」

エレナ「さて、始めましょうか」

エレナ「焼き払ってください」

 

バゴォォォォォォォォォン!

炎を纏ったマナが一瞬で周囲の氷を溶かした。

 

エレナ「…」

エレナ「…」

リール「…え?」

オード「な…なんだよあれ…あれが魔法か?」

 

2人のエレナは顔色変えずに立っている。その間、炎を纏ったマナはスペルビア王国全土を駆け巡っていた。

 

オード「なぁリール」

リール「は、はい…」

オード「今の…なんだ…」

リール「えっと…火属性魔法…でしょうか…」

オード「え、俺の知ってる火属性魔法じゃねぇ…知らない魔法だ…」

リール「…え」

エレナ「ふぅ。このくらいかしら」

エレナ「随分力が弱くなってますね。レット」

エレナ「そうね。寝てる間に弱くなったのかしら」

エレナ「はぁ…サボってたんですね。修行を」

エレナ「…かもね」

 

2人のエレナは空を見た。

 

エレナ「あとはあれだけね」

エレナ「そうですね。どうしましょうか」

エレナ「あ、そうだ。ねぇあなた」

リール「は、はい!」

 

エレナはリールに質問した。

 

エレナ「あなた 守りの魔法は使える?」

リール「ま、守りの魔法?」

エレナ「そうよ。結界みたいなものよ」

リール「あ、えっと…使えますがその…」

エレナ「大きな結界が使えない感じですか?」

リール「は、はい…」

エレナ「じゃああなたは?」

 

エレナは次にオードに質問した。

 

オード「いや、俺も結界は…」

エレナ「う〜ん…」

エレナ「あ、じゃあ私が結界を展開しましょうか?」

エレナ「そうねぇ。じゃあ私があれを破壊しようかしら」

エレナ「爆破するなら派手にお願いしますね」

エレナ「あんたそんなキャラだった?」

エレナ「え?」

エレナ「まぁいいわ。それじゃあ始めましょうか」

エレナ「はい。あ、お2人は私のところに来てください」

リール「は、はい」

 

リールとオードはエレナの近くに寄った。

 

エレナ「では、始めますね」

 

ヒュゥゥゥゥゥ…

エレナの周りにマナが集まった。

 

エレナ「守りなさい」

 

ガシャン!ガシャン!ガシャン!

突然結界が展開された。その結界はスペルビア王国全てを覆えるくらい大きな結界だった。

 

リール「わ…すごい…」

オード「なんだこれ…でけぇ…」

エレナ「さて、始めましょうか」

エレナ「派手にお願いしますね。結界の方は大丈夫ですので」

エレナ「もし壊せなかったらあれだから魔法の準備してて」

エレナ「任せてください」

エレナ「それじゃ、いくわよ」

 

ヒュォォォォォォォ!

エレナの周りに紫色の光が出てきた。

 

エレナ「え、まさかその魔法って…」

エレナ「そりゃあんな大きいものを壊すんだからこれくらいしないとね」

エレナ「え!?」

エレナ「さ、いくわよ〜!」

エレナ「2人とも!伏せて下さい!」

リール「え?」

オード「え?」

エレナ「無に帰す炎(ディミア・レヴ・フレア)!」

 

バゴォォォォォォォォォン!

突然隕石が大爆発を起こした。

 

リール「えええええええええええ!?」

オード「えええええええええええ!?」

 

ヒュゥゥゥゥゥ!

大爆発によって隕石は粉々になったが、その欠片がスペルビア王国に落ちてきた。

 

エレナ「あらら…やっちゃったわ」

エレナ「もう…だから言ったじゃないですか。被害が出ませんか?って」

エレナ「あはは…でも準備してくれてるんでしょ?」

エレナ「…はぁ。2人とも もう大丈夫ですよ。あとは私がやりますので」

リール「え?」

オード「それは…どういう…」

エレナ「…」

 

バッ!

エレナは大きく手を広げた。

 

エレナ「魔弾(ブラック・ベルト)

 

ブゥン…ババババババババババババババ!

エレナの後方に魔法陣が展開され、そこから紫色の弾が何発も発射された。

 

ドカン!ドカン!バゴン!バゴン!

エレナは1発も外さずに魔弾を当てた。

 

パラパラ…パラパラ…

落ちてきた欠片が粉々に砕けた。

 

エレナ「…ふぅ。これで十分ですね」

リール「す、すごい…」

オード「あんな大きな隕石をたった2つの魔法で…」

エレナ「これが私たちの力よ」

 

リールはこの時改めてエレナの怖さを知った。これほどまでに強い人がこの世に3人も存在していると考えるとさらにゾッとした。

 

リール (この人たちは…手を出しちゃダメな人たちです…)

 

リールは震えが止まらなかった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

数分前

 

場所…スペルビア王国が見える高台

 

レット「…!!」

 

レットは異変に気づいた。

 

レット「な…なんだ…俺の氷が…溶けた」

 

レットはその様子を見ていた。

 

レット「何故だ!誰がやった!誰が俺の氷を!」

 

レットはスペルビア王国を見渡した。

 

レット「クソッ…誰だ…誰がこんなことを…な!?」

 

レットはこの時、エレナ学院の校庭にいる人物を目にした。

 

レット「な…なぜあいつが…エレナ…てめぇ…」

 

レットは氷を再展開しようとした。

 

レット「あいつ…俺の氷を…」

 

ドクン!

レットは突然体が動かなくなった。

 

レット (な…なんだ…体が…)

 

レットは焦っていた。

 

レット (!?)

 

レットはエレナ学院の校庭を見た。そこにはレットを睨んでいるエレナの姿があった。

 

レット (まさか…この距離で俺の位置が…)

 

バゴォォォォォォォォォン!

突然隕石が大爆発を起こした。

 

レット (!!)

 

レットが動けないでいるとマモンが落とした隕石が粉々になった。

 

レット (な…なんだと…)

 

ブゥン…

レットは突然体が動くようになった。

 

レット「うぉっ…動けるようになった。なんだよさっきの…」

 

レットは自分の腕を掴んだ。

 

レット「なんだよあいつ…エレナのくせに…」

 

レットは恐怖で震えていた。

 

レット「…チッ!」

 

ヒュッ…

レットはその場から立ち去った。

 

 

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場所…スペルビア王国上空

 

マモン「ふっ…これで終わりだな。流石にこれを壊せるやつはあいつ以外に…」

 

バゴォォォォォォォォォン!

 

マモン「!?」

 

響くような大きい音とともに隕石が粉々に砕けた。

 

マモン「な!嘘だろ!?俺が持ってきた隕石だぞ!?誰が壊した!」

 

マモンは目を凝らした。

 

マモン「…チッ。見えねぇ。仕方ない。降りて確認してやる。誰だよ俺の隕石を壊したやつは」

 

ビュン!

マモンは地上に降りることにした。

 

 

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場所…エレナ学院 校庭

 

エレナ「ん?」

エレナ「!」

 

2人のエレナは異様な気配を感じた。

 

エレナ「この気配…分かる?」

エレナ「そうですね。この気配はマモンだと思いますよ」

エレナ「…はぁ」

エレナ「リールさん。男の子さん」

リール「は、はい」

エレナ「私の後ろに来てください」

リール「何かあるんですか?」

エレナ「私の仲間がここに来ます。さっき隕石を落とした人が」

リール「え!?さっきのを落とした人が来るんですか!?」

エレナ「はい。ですが安心してください。私は強いので負けませんよ」

リール「は、はぁ…」

エレナ「…来るわ」

 

ドゴォォォォォン!

エレナがそう言った途端、何かが地面に落ちてきた。

 

エレナ「…」

エレナ「2人とも。絶対私から離れないでくださいね。私はここから動きませんから」

リール「は、はい!」

オード「分かりました!」

マモン「チッ…誰だよ。俺の隕石を破壊したやつは」

 

煙が晴れてきた。

 

マモン「!?」

 

マモンは目の前の光景に目を見開いた。

 

マモン「な…なんで…お前が…」

エレナ「…随分なことしてくれたわね。マモン」

エレナ「こんなことが許されると思っているんですか?マモン」

マモン「なんでお前が2人もいるんだよ!エレナ!」

エレナ「関係ないでしょ」

マモン「な…」

エレナ「言ったところでどうせ死にますので」

マモン「くっ…」

エレナ「私たちの前に現れたんだから死にたいって事よね」

マモン (チッ…なんでこんな時にこいつが…しかも2人もいるじゃねぇか…)

エレナ「さぁマモン」

マモン「!!」

エレナ「死ぬ覚悟はできましたか?」

 

2人のエレナは殺気を放っていた。

 

マモン (…すげぇ殺気…こりゃあ殺されても無理ないな。すまねぇ…マギ)

エレナ「じゃ、死んで」

 

ゴウン…ゴウン…ゴウン…

エレナは地中から闇を発生させた。

 

マモン「な…お前!」

エレナ「喋らないでください」

 

ガシャン!

エレナはマモンの手足と口を封じた。

 

エレナ「鼻は覆ってませんので呼吸はできますよ」

マモン「っ!!」

 

マモンは必死にもがいていた。

 

エレナ「あらあら。随分と滑稽ね。マモン」

エレナ「私の大事な街を破壊しようとしてたんですもの。殺されても文句はありませんよね?マモン」

マモン (クソッ!ふざけるな!レット!来い!今すぐこいつらを叩け!レット!)

 

しかし、レットからの返事はなかった。それもそのはず。レットはエレナに睨まれてあの場から逃げ出していたのだから。

 

マモン (レット!おい!レット!)

エレナ「あら、今更命乞い?」

マモン「!」

エレナ「みっともないですよ。マモン」

 

マモンは逃げようと必死になった。

 

エレナ「ねぇ、口の封印を解いて。最後に言い残すことがあるかもしれないわ」

エレナ「そうですね。解除しましょうか」

マモン「!」

 

パキン!

エレナはマモンの口の封印を解いた。

 

エレナ「さぁ、最後に言い残すことは?」

マモン「ふふっ…ははははは!」

エレナ「?」

リール「!」

オード「!」

 

マモンは突然笑いだした。

 

マモン「これが死か!なんと心苦しい!こんな心残りがあるまま死ぬとは!俺も落ちたものだ!しかもこの女に殺されるなんてなぁ!」

エレナ「…」

マモン「こうなるんだったら最初からお前を殺しておけば良かった!あの時!お前が死にそうになってたあの時だ!情けで生かしたマギは大バカ野郎だ!俺はあの時殺せと言った!だがマギはそうしなかった!」

エレナ「…」

マモン「こうなる予感はしてた!お前はこの世界で禁忌に触れたうちの1人!あと2人いるがそいつらも同じだ!お前らはもうこの世には存在しちゃならねぇんだ!ここで殺さねぇと後々面倒だ!」

エレナ「…セリフが長いですよ。端的に言ってください」

マモン「はっはははは!つまりだな!お前が俺の口の封印を解いたのが間違いだったんだ!」

 

ドゴン!ビュン!

突然地面が割れ、地脈が姿を現した。

 

エレナ「?」

マモン「さぁ斬れ!このよく分からねぇ封印を解け!」

 

パキン!パキン!パキン!

地脈はマモンの命令に従って封印を解いた。

 

エレナ「しまった!」

マモン「じゃあな忌み子!俺は先に戻ってるぜ!はーっははははははは!」

 

ビュン!

封印を解いたマモンは一目散に地脈を使って逃げた。

 

エレナ「あちゃ〜…」

エレナ「逃げられちゃいましたね」

エレナ「まぁこれでこの街には手を出さないでしょ」

エレナ「少なからず私たちがこの街にいることが分かったら手を出さないと思いますよ」

エレナ「2人とも。大丈夫?」

リール「え…あ…」

オード「お…」

エレナ「?」

 

リールとオードは言葉を出せなかった。

 

エレナ「あ、あれ解除したっけ」

エレナ「あ!忘れてました!」

 

ヒュゥゥゥゥゥ…

エレナはあるものを解除した。

 

リール「ケホッ…ケホッ…」

オード「がっ…はぁっ…はぁっ…」

エレナ「ごめんなさい2人とも!つい魔法を…」

リール「大…丈夫…です…」

オード「はぁ…死ぬかと思った…」

エレナ「でも死んでないのはすごいわね」

エレナ「確かにそうですね」

エレナ「普通なら死んでもおかしくないのに2人とも生きてた」

エレナ「不思議ですね。水属性魔法なのに」

スカーレット「リール!!」

ディア「オード!」

 

ヒュゥゥゥゥゥ!

スカーレットとアンナ、ディア、ノーラが箒に乗って校庭に来た。

 

スカーレット「2人とも大丈…」

アンナ「!!」

ディア「な…なんでお前が!」

ノーラ「しかも2人も…」

 

4人はエレナの存在に気づいた。

 

エレナ「? 私たちの事かしら」

エレナ「そのようですね」

スカーレット「あなた…またリールを傷つけに来たの…」

エレナ「え?」

アンナ「もう許さない…今度は私がリールを…」

リール「待ってくださいみなさん…」

スカーレット「リール!」

リール「はぁ…はぁ…この人たちは…悪くありません…」

スカーレット「どういう事よ…」

オード「そうだ…この2人は街を守ったんだ…何もするな…」

ディア「オード…どういう事だよ」

エレナ「…ねぇ」

エレナ「何ですか?」

エレナ「この子たち 私たちを守ろうとしてるのかしら」

エレナ「…そのようですね」

エレナ「…」

エレナ「私たちはもう行きましょうか」

エレナ「…そうね。これでマモンとレットは追い払えたわけだし」

エレナ「それではリールさん男の子さん。お元気で」

 

スタスタスタ

2人のエレナはその場から去ろうとした。

 

リール「待ってください!」

エレナ「!」

エレナ「!」

 

リールは2人のエレナを引き止めた。

 

リール「あなた方は一体…」

エレナ「私たち?」

エレナ「…う〜ん難しい質問ですね」

リール「…」

エレナ「私たちは自分の利益で動いているの。その過程で不利益になることは全て排除するの」

エレナ「なので誰が味方で誰が敵なのかは定まっていません。ただのお姉さん的なポジションですね」

リール「でも…あの人たちと何か繋がりがあるんですよね…あなたは一体…何者なんですか」

エレナ「…マモンは元々私から生まれた分身体の1人なんですよ」

リール「!」

エレナ「今回来てたレットもそうです。もちろんこの子も私の分身です」

オード「え、分身ってそんなに多く作れるものなのか?」

エレナ「普通なら無理です。体が形を保てなくなります」

リール「え…じゃあ…」

エレナ「…さっきマモンが言った "忌み子" という言葉を覚えていますか?」

リール「忌み子…」

エレナ「はい。私がそう呼ばれるようになったのは禁忌を犯したあの日から」

リール「禁忌?」

エレナ「はい。禁忌とは、この世で触れてはならないものを指します。そしてその禁忌の1つに "分裂" というものがあります。私はその禁忌に触れてしまい、忌み子と呼ばれるようになりました」

リール「どういった禁忌ですか…」

エレナ「…代償なしに分身体を増やすことができます」

リール「!」

エレナ「通常、分身体というのは自身の半分の力を使って作り出すので、1人で1つの分身しか作れないんですよ。ですが私の場合、その半分という代償を受けずにいくつもの分身体を作ることができるんです」

リール「それは…魔力が半分になるという代償も…」

エレナ「はい。受けずに行使できます」

リール「!!」

オード「でももうあんたの分身体はそこにいるのとあと1人いるんじゃないのか!」

エレナ「はい。確かにこの子とあと1人 分身体がいますが、他にも分身体がいるんですよ」

オード「な…」

エレナ「私は今もそうなんですが、闇属性魔法の適性者です。なので()()()()()()()()()は私と同じ 闇属性魔法を使うことができます。しかしながら、それ以外にも私の分身体はいます。彼らは私が集めた魔素を使って作られた分身体です」

リール「それって…」

エレナ「火属性の魔素を纏った私の分身体の名前はサリエラ。水属性の魔素を纏った分身体の名前はラビ。氷属性の魔素を纏った分身体の名前はレット。風属性の魔素を纏った分身体の名前はマーモ。雷属性の魔素を纏った分身体の名前はゴーラ。土属性の魔素を纏った分身体の名前はマモン。光属性の魔素を纏った分身体の名前はマギです。先程リールさんと男の子さんが会った人物は 土属性の魔素を纏った私の分身体なんですよ」

リール「え!?」

エレナ「私が負けないと言ったのは相手が私の分身体だったからです。分身に負けるほど本体は落ちぶれていませんよ」

オード「でもなんであんたの分身体が攻撃してきたんだよ」

エレナ「さぁ、何故でしょうね」

オード「なに…」

エレナ「私は攻撃するなと言ってあったんですが、何故か命令を無視していますね」

オード「そんな無責任な!」

エレナ「なのでこれから私はあの人たちがいる場所に向かいます。行ってあの人たちをボコボコにして来ますので」

リール「ちょっと待ってください!」

エレナ「はい」

リール「勝手で申し訳ないんですが、このままここにいてくれませんか!」

エレナ「!」

リール「私はあなたのようなすごい魔女さんがいてくれた方が安心します!私の目標になる人だと思います!なのでここに残ってください!」

エレナ「…どうする?残る?」

エレナ「…そうですねぇ。分かりました。残りますよ」

リール「え!」

エレナ「まぁどうせ攻撃することないと思うから私も残っていいと思うわ」

エレナ「じゃあ残りましょうか」

リール「え…いいんですか?私の勝手なお願いで…」

エレナ「はい。構いませんよ」

リール「や…やった…」

エレナ「さて、話は終わりましたか?」

リール「あ、えっと…」

エレナ「そろそろ私たちが消えないとみなさんが怒りますので」

リール「?」

 

するとエレナ学院の校庭にスペルビア王国の国民たちがぞろぞろと集まってきた。

 

国民「あいつだ!あいつがやったんだ!」

国民「よくも俺たちを!」

国民「殺せ!あの魔女を殺せ!」

 

ドタドタドタ!

国民たちは一斉に走ってきた。

 

リール「え…なんで…」

エレナ「どうやら私たちがやったと勘違いされてるようですね」

リール「え…」

エレナ「さ、私たちはここを離れましょうか」

エレナ「そうですね。このままだと殺されかねませんので」

リール「え、でも…誤解を解けば…」

エレナ「それは難しいですよ」

リール「な、何故でしょうか」

エレナ「私のことを犯人だと思っている人に私は善人ですと言ったところで何も変わらないからです。やるだけ無駄ですよ」

リール「そんな…」

エレナ「では私たちはこれで。また会える日を楽しみにしていますよ。リールさん」

 

ヒュォォォォォォォ…

2人のエレナはその場から姿を消した。

 

リール「そんな…エレナさん…」

国民「お前ら!大丈夫か!怪我はないか!」

スカーレット「大丈夫です!私たちは何もされていません!」

国民「兄ちゃんたちも大丈夫か!?」

オード「はい。大丈夫です」

国民「おーい!みんな無事だとよー!」

ノーラ「なんなんだ…この人たち…」

国民「よしっ。とりあえずあの魔女を追い払えた!やったな兄ちゃんたち!」

ディア「え…どういう事だ」

国民「あの魔女のせいで私たちは凍らされたんだ!それをあなたたちが追い払ってくれた!ありがとう!」

リール「え…」

国民「いやーほんと!ありがとう!」

アンナ「え…私たち…なにも…」

 

フッ…

突然目の前に人が現れた。

 

リール「!!」

レヴィ「…」

 

目の前に現れたのは レヴィ学院長だった。

 

レヴィ「…リールさん」

リール「…はい」

レヴィ「あなたを学院に復帰させます」

リール「!」

レヴィ「事の経緯は全部見ていました。その上で判断します。あなたはこの学院にいなければならない人です」

リール「…」

レヴィ「学院を追い出すマネをしてすまなかった。これからは全力で君を守ろう」

アンナ「やったねリール!」

リール「え…」

スカーレット「これでまた一緒に生活できるわね!」

リール「え…」

 

この時リールは不思議に思っていた。

 

リール (あんなに私を追い出そうとしてたのに今度は学院に復帰させるなんて…何かあるのでしょうか)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…スペルビア王国が見える高台

 

グラム「…レットがいた形跡がありますね。ここで何やってたんでしょうか」

 

グラムはエレナ学院の校庭にいるリールたちを見た。

 

グラム「…レヴィ。あなたの判断は軽率です。あの子を追い出すなんて何考えてるんですか。リーナに言われたんじゃないんですか?リールを守ってって。それを放棄することは私が許しませんよ。己が責任はしっかり果たさないと。ここで投げ出すならあなたを破門にしますよ。レヴィ」

 

グラムはそう言うとその場から立ち去った。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

場所…エレナ学院(校庭)

 

リール「!」

 

リールは不思議な気配を感じ、ある場所を見つめた。

 

リール (今…あそこに…)

アンナ「リール!」

 

ギュッ!

アンナがリールに抱きついた。

 

リール「わ!ア、アンナ…」

アンナ「やったねリール!これでみんな一緒だよ!」

リール「あ、はい!そうですね!」

オード「リール!」

リール「あ、オード君」

オード「こ、これからも…よろしくな」

リール「はい!よろしくお願いします!」

オード「…///」

 

オードは顔を赤くした。




〜物語メモ〜

無に帰す炎(ディミア・レヴ・フレア)
エレナが使った魔法。
対象物を爆破して粉々に粉砕する魔法で、対象物をロックオンするため回避は不可能。エレナは他にも魔法を覚えているが、今回この魔法を使ったのは対象物が大きいということと、もう1人のエレナが派手にお願いしますと言ったから。

エレナの分身体
エレナの分身体の数は実に9人。
マギ、ラビ、サリエラ、マモン、レット、ゴーラ、マーモ、エレナ、エレナの9人。

禁忌
この世界には禁忌と呼ばれる術が3つ存在する。
エレナはそのうちの1つである "分裂" という禁忌に触れた。
そのため、分身体を代償無しに作り出すことができる。
加えて、普通なら分身体は自身の力の半分が上限だが、エレナの分身体はエレナ本人と同等の力を持つ。
そのため、エレナ並の魔法使いや魔女が本人含めて10人存在していることになる。
しかし、マーモは魔女さんに倒されたため、現在は残り9人。

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