私の名前はリール。
今学院長室にいます。
隕石が落ちてきたあの日から何日か経ちました。
私はレヴィ学院長に呼ばれたので、今学院長室にいます。
何やらお話があるようです。
あ、ここ何日かで魔女さんの家から私物を寮に移しました。
魔女さんの家に戻ったのにすぐここに戻ってくることになるとは思いもしませんでしたよ…
それで今回は何故かメリーさんとラミエ先生とラーフ先生とレヴィ学院長が学院長室にいます。
ピリピリとした嫌な空気の中、私は変な汗をかきながらお話を聞くことになりました。
場所…エレナ学院 学院長室
メリー「…で、今更リールちゃんを戻すってどういうことです?学院長」
レヴィ「…それについては今から話します」
メリー「まさか、今回の件でリールちゃんが必要になったから自分勝手に戻したんじゃないですよね?」
レヴィ「…ちゃんと理由はあります」
メリー「納得のいかない理由だったらビンタしますから」
ラミエ先生「メリー…」
レヴィ「……先日、私の知人からある話を聞きました。それは、エレナがブエルタ王国を襲ったという話でした」
ラミエ先生「ブエルタ王国が?あそこは風属性魔法の適性者しか入れないはず…闇属性魔法の適性者であるエレナがなぜ…」
レヴィ「それに関しては分かりません。しかし、ブエルタ王国の王 キファが重傷で治療を受けているそうです」
ラーフ「なんと…」
レヴィ「この事から、エレナは十二使徒たちを襲うくらいの活動量となった事が分かります」
メリー「…それで?」
レヴィ「…リールさんもいずれ彼女に狙われるだろうと考え、私たちの監視の下、厳重な警戒態勢で臨もうと考えたわけです」
メリー「…今更ね。レヴィ学院長」
レヴィ「…」
メリー「最初からリールちゃんを追い出さなければこうはならなかったでしょ。少しは考えたらどうです?今回はリールちゃんじゃないかもしれないけど、それでもリールちゃんのお陰で助かった命は数多くあります。あなたはそれくらい大きな存在を手放したんですよ。分かります?」
レヴィ「…えぇ。重々承知しています」
メリー「これに懲りたら二度とリールちゃんを追い出さないで」
レヴィ「…はい」
ラミエ先生「それで?他の十二使徒は大丈夫なの?」
レヴィ「はい。今のところは」
ラミエ先生「そう。分かったわ」
レヴィ「…リールさん」
リール「は、はい!」
レヴィ「…今回のことはすまなかった。私のせいであなたを危険な目に遭わせてしまった。反省している」
リール「あ、えっと…大丈夫ですよ。私は今もこうピンピンしてますので」
レヴィ「…すまない」
メリー「ほんと、いい迷惑よね」
ラミエ先生「メリー やめなさい」
メリー「嫌よ。リールちゃん死にかけてたもん。これくらい言っても足りないくらいよ」
ラミエ先生「はぁ…」
リール「メリーさん。私は大丈夫ですよ。何ともないですから」
メリー「ダメだよ!そんなこと言ってたらいつ体を壊すか分からないよ!?」
リール「大丈夫ですよ」
メリー「むぅ…」
リール「学院長。先程言いましたが、私はもう大丈夫です。ですのでお気になさらず」
レヴィ「…すまない」
ラミエ先生「さ、これで終わりね。仕事に戻るわ」
メリー「私もそうする」
ラーフ「リールさんは自室にお戻りください。もしご予定がありましたらそちらの方へ」
リール「はい。では、失礼します」
ラミエ先生、メリー、リールは部屋を出た。
レヴィ「…」
ラーフ「…レヴィ学院長」
レヴィ「ラーフ」
ラーフ「…はい」
レヴィ「…私はなんと愚かな事をしてしまったのでしょう。あれだけ守ると言って魔女さんの家を訪れたにも関わらずそれを放棄してしまいました」
ラーフ「…」
レヴィ「これでは学院長失格ですね」
ラーフ「…」
レヴィ「すみませんリールさん。私のせいで…」
ラーフ「…」
ラーフは何も言わず、ただ聞くだけだった。
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場所…アースの部屋
側近「アース様!!緊急事態です!!」
アース「どうした!」
側近「先程 メロ様が統治されている冥界から連絡がありました!」
アース「冥界から?どういう連絡だ」
側近「現在冥界はエレナによって壊滅状態にあるという連絡です!」
アース「な…なんだと…」
側近「加えて 先程スペルビア王国のジン様とマーク様から無事だと報告がありました」
アース「よかった…とりあえずジンとマークは無事なんだな」
側近「ですがここでひとつ不可解なことが…」
アース「不可解なこと?それはなんだ」
側近「…あの時、アース様のご命令通り、他の十二使徒の方々をスペルビア王国に向かわせましたが、十二使徒の方々が着く頃には事件が解決されていたんです」
アース「何?」
側近「というのも、向かっている途中で突然スペルビア王国の上空で大爆発が起こったということです」
アース「爆発だと?氷漬けにされたんじゃないのか!!」
側近「はい。後に聞いたところによると、何者かがスペルビア王国全土を氷漬けにして隕石で破壊しようとしていたそうなんです」
アース「な…」
側近「しかし、大爆発によって隕石は防がれ、氷も全て溶けたということです」
アース「そうか…とにかくジンたちが無事ならよかった」
側近「…アース様」
アース「なんだ」
側近「…スペルビア王国で起こったこの一連の事件はある人物によって解決されました」
アース「ほう。誰だ」
側近「それが…」
アース「?」
アースの側近は口に出そうとしなかった。
アース「…どうした。誰が解決したんだ」
側近「…えっと…解決したのは…」
側近は1度深呼吸して答えた。
側近「…現在 警戒対象に指定されている…エレナ…です」
アース「…なに…エレナだと…」
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場所…リールとアンナの部屋
リール「ふぅ…やっと帰ってこれました…」
リールが学院長室から帰ってきた。
アンナ「あ、リール。どうだった?」
リール「なんか…学院長に謝罪されました…」
アンナ「へぇ」
リール「他にもラミエ先生やメリーさん、ラーフ先生までも学院長室に来てましたよ」
アンナ「け、結構いたんだね…」
リール「はい。しかも空気がピリピリしててずっと緊張してましたよ…」
アンナ「あはは…お疲れ様」
リール「はい…」
アンナ「あ、そうだ」
リール「?」
アンナ「これ、食べる?」
アンナはクッキーを出した。
リール「これは?」
アンナ「クッキーっていう名前のお菓子だよ」
リール「クッキー…」
パクッ
リールは手に取って食べた。
リール「あ、美味しい…」
アンナ「ほんと?よかったぁ…」
リール「これ、アンナが?」
アンナ「うん。元々リールのために作った物なの。家に戻っちゃったから少しでも元気を取り戻して欲しいって思って…」
リール「…ありがとうございます。アンナ」
アンナ「…うん!」
リール「もっと食べてもいいですか?」
アンナ「うん!どうぞ!」
その後、リールはアンナの作ったクッキーを食べながらアンナと話をしたのだった。
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場所…冥界
メロ「ケホッ…ケホッ…」
エレナ「あらあら…あなたも滑稽ね」
メロ「なんで…あなたが…」
エレナ「何でって 魔核を集めるためよ」
メロ「な…何故それを…」
エレナ「さぁ?それは教えないわ」
メロ「…あれは私たち十二使徒のもの…あなたには渡さない…」
エレナ「あらそう。確かブエルタ王国の…」
メロ「!」
エレナ「あ、そうそう。キファだったかしら?そっちの名前は覚えてないわ。狂風の使徒 レギンね。あの人も同じことを言ってたわ」
メロ「なぜ…その名前も…」
エレナ「あの人にも同じことを言ったけど、私 十二使徒の名前 全員知ってるわよ?」
メロ「!!」
エレナ「あなたの名前は 冥水の使徒 モドノル。豊水の使徒 ウロウを生の水とするならあなたは死の水といったところかしら?」
メロ「…」
エレナ「さぁモドノル。あなたの魔核を渡しなさい。渡せばこのまま何もせずに帰るわ」
メロ「…嫌」
エレナ「…」
メロ「渡さない…あれは…リノからもらった大事なもの…」
エレナ「…レギンも同じことを言ってたわね。大事なものだって。でもね、渡さないとあなたが死ぬわよ」
メロ「構わない…それで魔核が守れるなら…」
エレナ「…そう」
ギギギギギギギギ!
エレナはメロを睨んだ。その瞬間、メロは全身を押し潰されたような感覚に襲われた。
メロ「がぁぁ…うっ…ぁぁぁ…」
エレナ「…」
エレナは攻撃をやめようとしなかった。
メロ「うぅぅ…がっ…」
エレナ「さ、渡しなさい。今度はこんなんじゃないわよ」
メロ「はぁ…はぁ…はぁ…」
メロは体力を大幅に削られた。
エレナ「さぁ。早く」
メロ「はぁ…はぁ…わ…渡さ…ない…絶…対に…」
エレナ「…そう。なら手段はひとつね」
ボウン…
エレナは紫色の玉を出現させた。
メロ「はぁ…はぁ…」
エレナ「じゃ、さようなら。冥水の使徒 モドノル」
ギュォォォォ…
その玉はメロの体に吸い込まれるようにして入った。
メロ「はぁ…はぁ…一体…なに…っ!!」
ドクン!
メロは突然心臓を握られた感覚に襲われた。
メロ「がっ…ごっ…」
メロは痛みにもがいていた。
エレナ「あなたが選んだ道よ。渡せば死なずに済んだのに」
メロ「がっ…ア…アース…ごめん…」
エレナ「!」
メロ「リノ…ごめんね…守れな…かっ…た…」
ブシャッ!
メロは口から吐血した。
メロ「がっ…」
ドサッ…
その後メロは力なくその場に倒れた。
エレナ「…はぁ。だから言ったのに。渡せば死なずに済んだのにね」
スタスタスタ
エレナはメロの所まで歩いた。
エレナ「恨むなら自分の選択を恨みなさい。あなたが選んだ結果よ」
スッ…ドスッ!
エレナはメロの心臓部分に手を突き刺した。
エレナ「…あったわ」
エレナはそのまま手を戻した。エレナの手には魔核が握られていた。
エレナ「…これで水属性の魔核をもらったわ。水属性の魔核はあとひとつ。全属性全部合わせて残りの10個ね」
スタスタスタ
エレナは魔核を持ってその場を後にした。
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場所…リールとアンナの部屋
コンコン
突然ドアがノックされた。
リール「はーい」
ガチャ
リールはドアを開けた。
リール「はい。どなたですか?」
スカーレット「私よ。リール」
リール「あれ?スカーレット?どうしたんですか?」
スカーレット「実はあなたに渡したいものがあるの」
リール「渡したいもの?」
スカーレット「えぇ。入ってもいいかしら?」
リール「あ、どうぞどうぞ」
スカーレットはリールとアンナの部屋に入った。
リール「それで、渡したいものって?」
スカーレット「…これよ」
コトッ…
スカーレットはあるものを机の上に置いた。
リール「…これは?」
それは、小さな瓶のようなものだった。
スカーレット「これは魔力瓶。自分の魔力をこの瓶に詰めておくことで、戦闘中に魔力切れになってもこれを使って戦うことができるのよ」
リール「へぇ…すごいですね…」
スカーレット「私たちは魔力切れにこそならなかったけど、これから先 エレナという人物と戦うことになるかもしれないわ」
アンナ「え!?」
スカーレット「そうなったら長期戦になるのは必須。ならなくても莫大な魔力を消費することになるわ。だからその時のために今からこれに魔力を詰めておくの」
リール「これ、詰めた後は…」
スカーレット「詰めたら開けるまで魔力が漏れてくることはないわ。使う時は瓶の蓋を開けるの」
リール「あれ…これって…」
リールはこの瓶に見覚えがあった。
リール「なにか見覚えが…」
スカーレット「え?そうなの?」
リール「はい…確か…メリーさんが作っていたような…」
スカーレット「あ、そうよ。これメリー魔法店の店主からお父さんが受け取って私たちにくれたのよ」
リール「あ!やっぱり!」
リールは過去に魔女さんが家を空ける時があった。その際にはメリーが家に来て色々としてくれていたが、その中でメリーはある物を制作することを検討していた。それが、この魔力瓶である。最初はマナを入れておく用の瓶だったが、その時リールが「マナを持っていても魔力がなかったら結局魔法が使えないのでは?」という発言からマナを入れておく瓶から魔力を入れておく瓶にシフトしていた。そしてメリーはそれを完成させていた。
(題名 魔女さんとレヴィ学院長 より)
リール「だから見覚えがあったんですね!」
スカーレット「あ、あとこんな事も言ってたらしいわよ」
リール「?」
スカーレット「リールちゃんのお陰でまた新しい魔道具ができたわ。感謝しかないわねって」
リール「メリーさん…」
リールは嬉しくなった。
スカーレット「さ、早速始めましょう。使い方は簡単よ。蓋を開けて魔力を送るだけ。すると魔力はしばらく停滞するから、その間に蓋をする。どう?簡単でしょ?」
リール「スカーレットはもうしたんですか?」
スカーレット「してるわ。これよ」
コトッ…
スカーレットは自分の魔力瓶を机の上に置いた。
リール「え、こうなるんですか?」
スカーレットの瓶はリールとアンナの瓶とは少し違っていた。瓶の形状は同じだが、色が少し違っていた。
スカーレット「そうよ。私の場合は雷属性魔法だから魔力を送ったら少し黄色く光るのよ」
スカーレットの魔力瓶は瓶の中心が電気を帯びており、常に電気が発生していた。その事もあってスカーレットの瓶は少し黄色く光っていた。
スカーレット「リールの場合は光属性魔法だから私の瓶よりも薄い黄色かまた違った色になるのかもね。アンナは水属性魔法だから青色か薄い青色かな」
アンナ「へぇ!」
リール「アンナ!早速やってみましょう!」
アンナ「うん!」
リールとアンナは魔力瓶の蓋を開けた。
スカーレット「そうそう。それで自分の魔力をその瓶に注ぐの」
リール「…」
アンナ「…」
リールとアンナは集中して自分の魔力を瓶に移した。するとアンナの瓶は青色に光り、リールの瓶は白く光った。
リール「わ!すごい!」
アンナ「綺麗…」
スカーレット「2人とも上出来ね。これで魔力瓶の完成よ」
リール「綺麗な色ですね」
アンナ「うん!」
スカーレット「あ、早く閉めないと魔力が漏れちゃうわよ?」
リール「あ!そうでした!」
リールとアンナは慌てて蓋を閉めた。
リール「ふぅ…これでよし!ですね!」
アンナ「これって持ってた方がいいのかな」
スカーレット「そうね。持ってたら便利だからそうしておく方がいいわよ」
アンナ「分かった」
リール「ありがとうございます。スカーレット」
スカーレット「いいわよ別に。でも、今後これが必要になるかもしれないからね。何かあったら使いなさいよ」
リール「はい!」
アンナ「ねぇスカーレット」
スカーレット「何?」
アンナ「これって魔力を使ったらまた入れられるの?」
スカーレット「えぇ。何度でも使えるわよ」
リール「へぇ!便利ですね!」
スカーレット「そうよ。便利だからなくしちゃダメよ」
アンナ「うん!」
リール「あ、そうだスカーレット」
スカーレット「何?」
リール「オード君たち知りませんか?」
スカーレット「あの3人?知らないわね」
リール「そうですか…」
スカーレット「何か用事?」
リール「はい。探したんですが、見つからなくて…」
スカーレット「3人だけ?」
リール「あ、いえ、ここにいるスカーレットとアンナも同じです」
アンナ「え?」
スカーレット「私たちも?」
リール「はい」
スカーレット「え、なにか用事があったかしら…」
アンナ「私も…ちょっと分からないかな…」
リール「え?2人とも忘れたんですか?あの時約束したじゃないですか。無属性魔法を教えますって」
スカーレット「!」
アンナ「あ!そう言えば…」
リール「だからオード君たちを探していたんですが…」
スカーレット「分かったわ。私が見つけて伝えておくわ」
リール「ありがとうございます。スカーレット」
スカーレット「いいわよ。じゃ、私はそろそろ行くね」
リール「はい。お気をつけて」
アンナ「また来て!スカーレット!」
スカーレット「えぇ。また来るわ」
スカーレットはリールとアンナの部屋を出た。
リール「それにしてもこれ綺麗ですね」
アンナ「確かに!リールのは…白?かな」
リール「恐らく白…かと」
アンナ「純白の色だね!」
リール「純白…あ、なるほど…」
アンナ「リールらしい色だよ!」
リール「そ、そうですか?照れますね。でもそういうアンナもアンナらしい色ですよ」
アンナ「え!?そう!?」
リール「はい。澄み渡る青い色ですよ」
アンナ「えへへ…嬉しいなぁ…」
こうしてリールとアンナはスカーレットからもらった魔力瓶を常に持つことになったのだった。
〜物語メモ〜
使徒名
十二使徒たちは本名のみならず、使徒名という二つ名を持っている。
今回登場した名前は3つ。
狂風の使徒 レギン、冥水の使徒 モドノル、豊水の使徒 ウロウ。
それぞれ
狂風の使徒 レギン→キファ(ブエルタ王国 国王)
冥水の使徒 モドノル→メロ(冥界の最高責任者)
豊水の使徒 ウロウ→ウレイ(ナヴィア王国 王女)
他の十二使徒のメンバーもそれぞれ使徒名を持っており、彼らの使徒名を知っている人物は数少ない。
魔力瓶
メリーが作った魔力を保管するための瓶。最初はマナを保管するために作ったが、魔力が切れるとマナが使えなくなるというリールの指摘があり、マナを保管する瓶から魔力を保管する瓶に変更して作った。
これがあれば魔力が切れても瓶の中にある魔力を使って魔法を使用することができる。
しかし、使えるのは瓶に入っている魔力分だけで、それ以上は使えない。加えて、瓶も小さいので入ってる魔力の量もそこまで多くない。