私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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第51話 エレナと白い空間

私の名前はエレナです。

今リールさんをある場所まで運んだところです。

お墓での出来事は予想出来てませんでした。

あれは恐らく過去に亡くなられた光属性魔法の適性者たちの念でしょう。

それがリールさんに作用してリールさんの口から言葉を発していたのでしょう。

…こうなるとは思いませんでした。

私はリールさんに自分の両親について知っていただけたらと思ってましたが、やはり過去に犯した私の罪は拭えないほどですね。

あの念は恐ろしく強いものでした。

今はリールさんは眠っていますが、今後どうなるかは分かりません。

…私の独断でこのような事になってしまったのは私の失態ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…アースの家

 

スカーレット「え!?リールがエレナって人とどこかに行ったの!?」

ジン「あぁ。ほんの少し前にな」

スカーレット「なんで…なんでなのお父さん!!」

アンナ「リール…」

ジン「エレナが言うにはこの後のドレインに備えてだそうだ」

スカーレット「そんな…リール…」

アンナ「あ、あの…」

ジン「?」

アンナ「リールがどこに行ったかは…」

ジン「すまない。場所は分からないんだ。だからリールさんが帰ってくまで私たちは会えない」

アンナ「そんな…」

スカーレット「なんで…なんでリールだけ…」

 

タッタッタッ!

スカーレットはその場をあとにした。

 

アンナ「スカーレット!!」

 

タッタッタッ!

アンナはスカーレットの後を追った。

 

ジン「…すまない。スカーレット」

 

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場所…アースの家 とある一室

 

バンッ!

スカーレットは勢いよく扉を開けた。

 

オード「うおっ…どうしたよ委員長…」

スカーレット「リールがいなくなったの!!エレナって人に連れ去られたわ!」

オード「何!?」

 

オードとディア、ノーラは一斉に立ち上がった。

 

スカーレット「場所は分からないわ…でもこの世界のどこかにいるはず!!」

オード「魔女さんの家じゃないか?」

スカーレット「その可能性も考えたけど違うかもしれないわ」

ノーラ「てかここどこだよ。少なくともスペルビア王国ではないだろ」

スカーレット「えぇ。お父さんの仲間の家だそうよ。スペルビア王国から離れてるわ」

ディア「じゃああの家に行くことすら難しいと」

アンナ「リール…」

オード「…くっ」

スカーレット「ねぇオード君」

オード「?」

スカーレット「…私たちで探しに行きましょう」

オード「!!」

アンナ「スカーレット…」

スカーレット「私たちはリールがいないと何も出来ないわ。それなのに無断でリールを連れ去るなんて…」

オード「…俺もその意見に賛成だ」

スカーレット「じゃあオード君も手伝っ…」

 

ジン「ダメだ。スカーレット」

 

スカーレット「!!」

 

スカーレットの後ろにジンがいた。

 

オード「…誰」

スカーレット「…私のお父さん…」

ジン「…行かせないよ」

スカーレット「なんで!リールは私たちの友達よ!連れ去られたなら助けに行くのが友達でしょ!」

ジン「ダメだ。相手はエレナだ。君たちはエレナに勝ったことある?」

スカーレット「!」

 

みんなはエレナが学院に侵入した時のことを思い出した。

 

スカーレット「…で…でも…」

ジン「私たちは不本意ながらもエレナの意見に賛成した。あの人ならやってくれるんじゃないかって」

スカーレット「でも…」

ジン「…心配なのは分かる。私たちも心配だ。だが現状私たちではどうにもならないのも事実。ならここはあの人に任せるしかない」

スカーレット「…リール…」

 

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場所…???

 

エレナ「…」

 

ドサッ…

エレナはリールをある場所まで運んだ。

 

エレナ「…これでいいんですよね。…ねぇ、ラミエ」

ラミエ先生「…えぇ。これでいいわ」

 

そこにいたのはエレナ学院の保健室の先生であるラミエ先生だった。

 

エレナ「…私は勧めないわよ」

ラミエ先生「仕方ないわ。あの人の命令だから」

エレナ「…」

ラミエ先生「…もしあなたもこの子に思い入れがあるなら今すぐ記憶を消してあげるわ。どうする?」

エレナ「…」

 

エレナは少しだけ考えて答えを出した。

 

エレナ「…遠慮しておきます」

ラミエ先生「…そう。じゃあ始めるわね」

エレナ「…」

ラミエ先生「あなたが得た時間を私にちょうだい」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ…

ラミエ先生はリールの胸に手を当てて魔法を使った。

 

ラミエ先生「…さぁ」

 

バチッ!!

 

ラミエ先生「!?」

エレナ「!!」

 

突然ラミエ先生の手が払い除けられた。

 

ラミエ先生「…何…今の」

エレナ「…私も同じ目に遭ったわ」

ラミエ先生「!」

エレナ「…今のリールさんには何もしない方がいいと思いますよ」

ラミエ先生「くっ…あと少しなのに…」

 

スタスタスタ

ラミエ先生はその場をあとにした。

 

エレナ「…」

リール「…」

エレナ「…ごめんなさい。リールさん」

 

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場所…白い空間

 

リール (…あれ、ここは)

 

???「お目覚めですか?」

???「起きましたか?」

 

リール「!!」

 

リールの目の前に2人の人物がいた。男性と女性1人ずつだが顔が瓜二つ。服装も全く同じだった。

 

リール「あ…あなたは…」

 

ルル「僕はルル」

ララ「私はララ」

 

リール「…」

 

ルルとララと呼ばれる2人は同時に名前を明かした。息ピッタリだった。

 

ルル「それであなたは?」

ララ「あなたの名前は?」

 

リール「え…えっと…リールです」

 

ルル「リール」

ララ「リール」

 

ルル「聞いたことある名前」

ララ「誰かから聞いた名前」

 

ルル「不思議。あの人そっくり」

ララ「私たちの友人にそっくり」

 

ルル「でも名前は違う」

ララ「声と顔は似てる」

 

ルル「あの人の娘かな」

ララ「あの人の子供ね」

 

ルル「よろしくね。リール」

ララ「よろしくね。リール」

 

リール「は、はい…」

 

ルルとララは淡々と会話し始めた。不思議な話し方だなとリールは思った。ルルという人物が言葉を発してからすぐにララという人物が言葉を重ねる。今までこのような話し方をした人はいなかった。リールにとって初めて見る人たちだった。

 

ルル「リール」

ララ「リール」

 

リール「は、はい…」

 

ルル「僕たちについてきて」

ララ「いい所に案内するわ」

 

クルッ…スタスタスタ

ルルとララは同時に方向を変えて歩き始めた。

 

リール「あ、待ってください!」

 

タッタッタッ!

リールはルルとララについて行くことにした。

 

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場所…白い空間 階段

 

リール「あ、あの…」

 

ルル「何?」

ララ「何?」

 

リール「えっと…その話し方…疲れませんか?」

 

ルル「疲れないよ」

ララ「慣れてるわ」

 

リール「ど…どうしてその話し方なんですか?」

 

ルル「なんでだろうね」

ララ「どうしてでしょう」

 

ルル「僕はルルでもありララでもある」

ララ「私はララでもありルルでもある」

 

リール「?」

 

リールは頭が混乱してきた。

 

ルル「つまり僕たちは」

ララ「姿は違えど同じ存在」

 

リール「えっと…」

 

ルル「君にはいないの?」

ララ「あなたと同じ存在」

 

リール「い…いませんよ…」

 

ルル「残念」

ララ「不服」

 

ルル「僕たちと同じだと思ってたよ」

ララ「私たちと同じだと思ってたわ」

 

リール「えっと…すみません」

 

ルル「謝る必要は無いよ」

ララ「あなたに非はない」

 

リール「…」

 

ルル「さ、もうすぐ着くよ」

ララ「あなたに会いたい人」

 

リール「?」

 

リールとルル、ララは長い階段を上がると少し広い空間に出た。

 

リール「…こ、ここは?」

 

ルル「あそこ」

ララ「あの人」

 

リール「!!」

 

そこに立っていたのは魔女さんだった。

 

リール「ま…魔女さん!!」

 

タッタッタッ!

リールは魔女さんに向かって走った。

 

ルル「魔女さん」

ララ「リーナ」

 

ルル「姿は同じだけど名前が違う」

ララ「私たちは姿と名前が違う」

 

ルル「でも似た者同士」

ララ「でも似た者同士」

 

スタスタスタ

ルルとララも魔女さんの所へ向かった。

 

リール「魔女さん!」

 

ギュッ!

リールは魔女さんに抱きついた。

 

リール「魔女さん!!」

魔女さん「…」

リール「やっと会えた!お帰りなさい!」

魔女さん「…リール」

リール「はい!何でしょうか!」

魔女さん「…よく聞いて」

リール「?」

 

魔女さんは真剣な顔で話していた。

 

魔女さん「…私の友人が危険な目に遭っています」

リール「!」

魔女さん「私は今から深淵に行きます。そうなるともう二度と会えないかもしれません」

リール「え…」

魔女さん「だから最後にこれだけ聞いて。お願い」

リール「…」

 

リールは魔女さんの言葉に驚きを隠せなかった。

 

魔女さん「…あなたは」

 

魔女さんはリールにあることを話した。

 

リール「!!」

魔女さん「…リノに頼まれたんです。伝えておくようにと」

リール「え…でも…私は…」

魔女さん「…ルル ララ」

 

ルル「何?」

ララ「何?」

 

魔女さん「…リールをお願いしますね」

 

ルル「いいよ」

ララ「任せて」

 

魔女さん「…」

 

スタスタスタ

魔女さんはその場から去ろうとした。

 

リール「魔女さん!!」

魔女さん「!」

 

だがリールがそれを引き止めた。

 

リール「…なんで…今…その事を…」

魔女さん「…友人の頼みだからです」

 

スタスタスタ

魔女さんはその場から姿を消した。

 

リール「魔女…さん…」

 

ルル「…」

ララ「…」

 

ルルとララは何も言わずにその場に立っていた。

 

リール「…ルルさん…ララさん」

 

ルル「はい」

ララ「はい」

 

リール「…私は…どうすれば…」

 

ルル「それは君の自由だよ」

ララ「全てはあなたの判断」

 

リール「…」

 

ルル「ねぇリール。君は知ってるかい」

ララ「ドレインという生き物について」

 

リール「ドレイン…」

 

ルル「うん。ドレイン」

ララ「異形な生き物」

 

ルル「ドレインは元々は人間だよ」

ララ「自然に生まれた訳では無い」

 

リール「!」

 

ルル「ではどうして生まれるのか」

ララ「どうして増え続けるのか」

 

ルル「答えは簡単」

ララ「至極単純」

 

ルル「深淵があるからだよ」

ララ「必要ない世界のせい」

 

リール「深…淵…」

 

ルル「あれはある一人の女性が生み出した世界」

ララ「過去にもこの世には無かった異質な空間」

 

ルル「突如として現れた穢れた世界」

ララ「浄化の光しか通さない裏世界」

 

ルル「光属性魔法しか効かない理由」

ララ「他属性では歯が立たない理由」

 

ルル「君が深淵に対しての有効打を持っている」

ララ「あなたがこの世界を救う鍵となっている」

 

ルル「君はどうしたい?」

ララ「あなたはどうする?」

 

リール「わ…私は…」

 

ルル「もし君がアレを倒すなら」

ララ「諸悪の根源を絶つのなら」

 

ルル「僕たちを使いなさい」

ララ「私たちを使いなさい」

 

ルルとララは淡々と言葉を並べる。

 

リール「え…ルルさんとララさんを…使う?」

 

ルル「はい」

ララ「はい」

 

リール「でも使うって…」

 

ルル「あなたはまだ光属性魔法を知らない」

ララ「光属性魔法の本当の力を知らない」

 

リール「本当の…力…」

 

ルル「僕はずっと君と共にある」

ララ「私はずっとあなたと一緒」

 

ルル「僕たちは」

ララ「私たちは」

 

ルル「光属性魔法の始祖である」

ララ「光属性魔法の始祖である」

 

リール「…?」

 

ルル「故に君の前に立っている」

ララ「あなたの目に映っている」

 

ルル「あなたは世界を導く存在」

ララ「あなたは世界を律する調停者」

 

ルル「取るべき行動はただ一つ」

ララ「諸悪の根源を絶つのです」

 

リール「わ…私が…」

 

ルル「…僕たちはずっとここにいます」

ララ「この空間から1歩も動きません」

 

ルル「助けが必要なら呼びなさい」

ララ「始祖たる私たちを呼びなさい」

 

リール「ちょちょっと待ってください!」

 

ルル「?」

ララ「?」

 

リールは2人の話を止めた。

 

リール「えっと…話が入ってこないんですが…」

 

ルル「これは失態」

ララ「これは失敗」

 

ルル「すみません。淡々と話しました」

ララ「すみません。配慮不足です」

 

リール「えっと…私から質問いいですか」

 

ルル「どうぞ」

ララ「どうぞ」

 

リール「私が今いるここはどこですか」

 

ルル「ここは僕たちの空間」

ララ「ここは私たちの空間」

 

ルル「実体を拒絶し精神の世界とした」

ララ「つまるところあなたの精神世界」

 

リール「精神…世界…?」

 

ルル「あなたの心の中です」

ララ「あなたの心の中です」

 

リール「じゃあ…私のこの体は…」

 

ルル「僕たちが投影した結果です」

ララ「私たちが見せている虚像」

 

リール「そ、そうですか…」

 

ルル「他に何か質問はある?」

ララ「聞きたいことはない?」

 

リール「あ、では先程の魔女さんは…」

 

ルル「あれは実体」

ララ「異例な事態」

 

リール「え!?じゃあ…本物…」

 

ルル「そう」

ララ「そう」

 

ルル「ここはあなたの精神世界」

ララ「誰も立ち入れない世界」

 

ルル「でも実体として存在していた」

ララ「これは異質 異常 異例な事態」

 

ルル「あなたの精神世界に入れるほどの実力者」

ララ「侮るなかれ。彼女は世界を滅ぼす力を持つ」

 

リール「す…すごい…魔女さん」

 

ルル「彼女は強い」

ララ「誰も勝てない」

 

リール「あ、あの!」

 

ルル「?」

ララ「?」

 

リールは二人の会話を遮った。

 

リール「い、今この世界では一体何が…」

 

ルル「今この世界は汚染されている」

ララ「深淵の封印が解かれつつある」

 

リール「深淵の封印って…」

 

ルル「あなたが持っている手紙の主」

ララ「大事に持っているその手紙」

 

リール「!」

 

ガサゴソ…

リールはポケットからリノの置き手紙を出した。

 

リール「これ…ですか」

 

ルル「そう。それ」

ララ「それのこと」

 

リール「これが一体…」

 

ルル「その手紙の主が深淵の封印の鍵」

ララ「その人が深淵を封印し続けてる」

 

リール (やっぱり…)

 

ルル「今この人を支えている柱が壊れている」

ララ「その数2本。全部で12本存在している」

 

リール「え…」

 

ルル「2本壊れただけでこの始末」

ララ「全部壊れたらどうなるかな」

 

リール「!」

 

ルル「その柱を壊している人がいる」

ララ「ご丁寧に1本ずつ壊している」

 

ルル「叩くならその人」

ララ「ドレインではない」

 

リール「その人って…」

 

ルル「その人はかつてある街を破壊した元凶を作った人」

ララ「その正体はこの世界で同じ姿で3人存在している」

 

リール「まさか…」

 

ルル「名前はエレナ」

ララ「名前はエレナ」

 

リール「!!」

 

ルル「あなたをあの12人から遠ざけたあの人」

ララ「あなたを1人にするために連れ去った人」

 

リール「そんな…エレナさん…」

 

ルル「…」

ララ「…」

 

リール「…ルルさんララさん」

 

ルル「はい」

ララ「はい」

 

リール「…私は今どこにいるんでしょうか」

 

ルル「君がいるのはある建物のある一室」

ララ「そこには回復魔法に長けた人がいる」

 

リール「!」

 

ルル「その近くにはエレナ」

ララ「危険人物がいる」

 

リール「…」

 

ルル「…」

ララ「…」

 

リール「ルルさんララさん」

 

ルル「はい」

ララ「はい」

 

リール「…私がドレインを全部やっつけるって言ったらどうしますか?」

 

ルル「支持します」

ララ「支援します」

 

リール「…それがこの世界を滅ぼすきっかけになってもですか」

 

ルル「はい。そのつもりです」

ララ「はい。そのつもりです」

 

リール「…」

 

ルル「僕たちは光属性魔法の始祖」

ララ「私たちは光属性魔法の始祖」

 

ルル「後にも先にもそれは変わりません」

ララ「後にも先にもそれは変わりません」

 

リール「…」

 

ルル「…しかし」

ララ「…しかし」

 

リール「!!」

 

ルル「あなたが人を救うと言うのなら」

ララ「あなたが人を守ると言うのなら」

 

ルル「僕はあなたの願いを叶えます」

ララ「私はあなたの願いを叶えます」

 

リール「ルルさん…ララさん…」

 

パリン!パキパキ…パリン!

突然白い空間の壁が割れ始めた。

 

グラグラグラグラ…

それと同時に地面が揺れ始めた。

 

リール「な…一体何が起こったんですか!」

 

ルル「あなたの世界に入り込もうとする人がいます」

ララ「あなたの世界を覗き見ようとする人がいます」

 

パリン!

空間がどんどん崩れていく。

 

リール「ルルさん!ララさん!」

 

ルル「安心してください」

ララ「心配しないでください」

 

ルル「僕たちはいつでも会えますよ」

ララ「私たちはいつでも会えますよ」

 

リール「ルルさん!ララさん!」

 

パリン!

やがてリールの視界が崩れていった。

 

ルル「また会いましょうリールさん」

ララ「また会いましょうリールさん」

 

リール「!!」

 

ルル「あなたの時間が尽きるまで」

ララ「あなたの想いが尽きるまで」

 

ルル「僕たちはずっと一緒ですよ」

ララ「私たちはずっと一緒ですよ」

 

リール「ルルさん!ララさん!」

 

パリン!ドゴォン!

リールの足場が崩れた。リールは足を取られてそのまま落ちていった。

 

リール「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…とある建物のとある一室

 

ラミエ先生「!!」

エレナ「!!」

 

寝ているはずのリールがゆっくりと目を開けた。

 

リール「…ここは」

エレナ「リールさん!!」

 

ギュッ!

エレナはリールに抱きついた。

 

エレナ「良かったです…もう起きないかと思いましたよ…」

リール「エレナさん…」

ラミエ先生「…体調はどう?」

リール「ラミエ先生!!」

ラミエ先生「…学校が大変だって聞いたよ。ごめんね。こういう時に限って学校にいないから」

リール「そ…そうですか…」

 

エレナはリールから手を離した。

 

エレナ「でもリールさん本当に何ともありませんか?」

リール「は、はい…何とも…」

エレナ「痛みとかは?」

リール「無いです」

エレナ「お腹空いてない?」

リール「空いてな…」

 

グゥゥゥゥ…

リールのお腹が鳴った。

 

リール「…」

 

リールは恥ずかしくて言葉が出なかった。

 

エレナ「お腹…空いてるみたいですね」

リール「は、はい…」

エレナ「今からご飯しますね。少し待っててください」

リール「は、はい…」

 

スタスタスタ

エレナはその場をあとにした。

 

リール「…あの、ラミエ先生」

ラミエ先生「何?」

リール「…ここは」

ラミエ先生「…ここは私の友人の家よ」

リール「友人の…家…魔女さんの家ですか?」

ラミエ先生「違うわ。また別の人の家よ」

リール「あ、そうですか…」

ラミエ先生「…ねぇリール」

リール「はい」

ラミエ先生「…生きてて良かったわ」

リール「…はい」




〜物語メモ〜

ルル
リールの精神世界に存在する人。ララと2人で白い空間に存在しており、いつも2人で過ごしている。自分たちを「光属性魔法の始祖」と名乗っている。

ララ
リールの精神世界に存在する人。ルルと2人で白い空間に存在しており、いつも2人で過ごしている。自分たちを「光属性魔法の始祖」と名乗っている。

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