私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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ここでちょっとお知らせです。

本編のキャラクターである「ルル」と「ララ」は最初にルルが話してから続けてララが話している形になっています。
しかし2人が同じセリフを話す時は同時に話しているということになっています。
加えてララの語尾が変わるのは先に話すルルの語尾に合わせているからです。

お知らせは以上です。


第52話 エレナと禁忌の存在

私の名前はリール。

今ラミエ先生とエレナさんと3人である家にいます。

ラミエ先生が言うにはラミエ先生のお友達の方の家だそうです。

そこは魔女さんの家とは違って不思議な雰囲気を感じます。

まるでこの家以外に何も無いような…そんな感じがします。

私はジンさんと一緒にある人の家にお邪魔させていただいて会議というものに出席しました。

途中でエレナさんが入ってきてハチャメチャとしましたが、エレナさんがあの場から私をある場所へ連れていきました。

そこは私のお母さんとお父さんのお墓でした。

お墓に文字が書かれていましたがあれが私のお母さんとお父さんの名前なのでしょうか。

それから少しして私は突然明るい光に包まれました。

ただ包まれるなら良いんですが、その際に「やっと会えた」と誰かの声が聞こえた気がしました。

それからの記憶はありませんが、気がついたら白い空間にいました。

そこには顔が瓜二つの男性と女性がいました。

お名前はルルさんとララさんと言うそうです。

お2人は息が合ったようにお話をするので私は戸惑ってしまいました。

お2人は私をある場所へ案内してくれました。

するとそこには魔女さんがいて私は嬉しくて泣きそうになりました。

ですが魔女さんは「私は深淵に行きます」と言いました。

私はその時少なからず「まだ会えないのかな」と思ってしまいました。

魔女さんと一緒に暮らしていたあの日はいつ戻ってくるのでしょうか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…???

 

マギ「がっ…ゴホッ…ゴホッ…」

ラビ「マギ…大丈夫…」

マギ「くっ…あの野郎…」

サリエラ「相手の力を見誤ってました…まさかあれ程の力を隠していたなんて…」

マギ「このままだと俺たちは消えてしまう…」

ラビ「やだよ…私…死にたくないよ…」

マギ「くっ…」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…エレナの部屋

 

エレナ「…あら、随分暴れたようね。あの人」

 

スタスタスタ

エレナは自分の部屋に帰ってきていた。しかしエレナの部屋はことごとく破壊されており、とても部屋と言えるほどではなかった。

 

エレナ「…まさか」

 

スタスタスタ

エレナはある場所に向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…???

 

エレナ「!!」

 

エレナはある場所に着いた。そこには男性が1人と女性が2人倒れていた。

 

エレナ「…マギ…ラビ…サリエラ…」

 

そこに倒れていたのはマギとラビ、サリエラの3人だった。

 

エレナ「一体ここで何が…」

 

スタスタスタ

エレナは周囲を歩き回った。

 

エレナ (…微かに魔力が残ってる。…しかもこの魔力は…あの人の)

マギ「ぐっ…誰だ…」

 

エレナが部屋を歩き回っているとマギが起きてきた。

 

エレナ「…随分派手にやられたわね。マギ」

マギ「くっ…黙れ…弱者が…」

エレナ「あら、私 あなたよりも強いわよ?」

マギ「はっ…寝言は寝てから言え…」

エレナ「今まで弱い演技するのも辛かったしもうやめたの。今の私はあなたの何倍も強いわよ」

マギ「くっ…」

エレナ「さて、あの人はどこ?」

マギ「あの人って…誰だ…」

エレナ「誰ってリーナのことよ」

マギ「!!」

 

マギは驚いた。だがすぐに顔を戻した。

 

マギ「…知ってどうする」

エレナ「どうするって言うわけないでしょ」

マギ「…」

エレナ「あなた 自分の立場分かってる?」

マギ「…黙れ」

エレナ「…まぁいいわ。ラビもサリエラもやられてるっぽいしあとは私とグラムだけね」

マギ「…」

エレナ「今まで野放しにしてたけどもう限界ね」

マギ「…どうするつもりだ」

エレナ「決まってるじゃない。あなたたちを元に戻すのよ」

マギ「!?」

 

マギはその言葉に反応した。

 

エレナ「当たり前でしょ。もうこれ以上はごめんよ」

マギ「…そう易々と戻されてたまるか…」

エレナ「…」

 

マギはゆっくり立ち上がった。

 

マギ「っ…」

 

そして杖をエレナに向けた。

 

エレナ「…何するつもり」

マギ「…決まってんだろ…お前を殺して俺のものにしてやる…」

エレナ「はぁ…あのねマギ。ひとつ言っておいてあげるわ」

マギ「っ…」

 

エレナはマギを睨んで言葉を綴った。

 

エレナ「 "親に勝てる子供はいないのよ" マギ」

 

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場所…ラミエ先生の友人の家

 

リール「あの…ラミエ先生」

ラミエ先生「何?」

リール「ラミエ先生はrrrr…」

ラミエ先生「?」

 

リールは突然言葉を失ったかのように話し始めた。しかしそれをラミエ先生が聞き取れるはずもなかった。

 

ラミエ先生「え?もう1回お願い」

リール「ですからrrrrrr…あれ?」

 

リールも異変に気づいた。

 

リール「あれ…どうして…」

ラミエ先生「何か言いたいことでもあるの?」

リール「えっと…あるんですが言葉が上手く…」

ラミエ先生「もう1回言ってみて」

リール「rrrrrrr…」

 

リールは何度も話そうとしたが何故か話せなかった。

 

リール「あ、あれ…どうして…」

ラミエ先生「何が言いたいの?」

リール「rrrrrrとrrrrrr…あれ?」

ラミエ先生「熱でもあるのかしら」

 

スッ…

ラミエ先生はリールの額に手を触れた。しかし特に熱もなく体に異常もみられなかった。

 

ラミエ先生「熱…ではないわね」

リール「ど…どうして…」

 

リールは「ルル」と「ララ」と言いたかったが何故かそう言えなかった。

 

ラミエ先生「…もし何か話したいことがあったらあとでお願いしてもいい?」

リール「え、何かあるんですか?」

ラミエ先生「ちょっとやることがあるの。ごめんね」

リール「あ、はい」

 

スタスタスタ

ラミエ先生はその場をあとにした。

 

リール (…どうしてルルさんとララさんの名前が出てこないのでしょうか…)

エレナ「リールさん?」

リール「!」

エレナ「どうされましたか?」

 

目の前にはエレナがいた。エレナはリールが下を向いているのに気づいて心配になったようだった。

 

リール「あ、あの…」

エレナ「?」

リール「エレナさんはララさんとルルさんをご存知ですか?」

エレナ「ルルさんとララさん?」

リール「!!」

 

リールは普通にルルとララと言えていた。

 

リール「あれ…私…言えてる…」

エレナ「どうかしたんですか?」

リール「あ、いえ…」

エレナ「それでルルさんとララさんですが、私にはそのような名前の知り合いはいません。すみません」

リール「あ、いえ…大丈夫です…」

エレナ「…何か悩み事があるのでしたら何でも話してくださいね」

リール「はい…」

 

スタスタスタ

エレナはその場をあとにした。

 

リール (どうしてエレナさんにはルルさんとララさんの事が言えたのでしょうか…)

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

リールはその日は何事もなく、夜になって夕食を食べてから少しして寝る時間になった。

 

リール「ではラミエ先生 エレナさんおやすみなさい」

エレナ「はい。おやすみなさいリールさん」

ラミエ先生「しっかり休んで明日元気なあなたを見せてちょうだい」

リール「はい」

 

スタスタスタ

リールは自分の部屋に向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…ラミエ先生の友人の家 リールの部屋

 

スタスタスタ…ボフッ…

リールは自分のベッドに座った。

 

リール (今日のあれは何だったのでしょうか…)

 

リールはラミエ先生にルルとララのことを話せなかった時のことを思い出す。

 

リール (…もしまたルルさんとララさんに会う機会があれば聞いてみましょうか)

 

スッ…

リールはそのままベッドに横になって寝始めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…白い空間

 

リール「!!」

 

リールは見覚えのある白い空間に立っていた。

 

リール「あれ…ここは…」

 

ルル「やぁリール」

ララ「はぁいリール」

 

リール「!」

 

リールが後ろを振り返るとそこにはルルとララがいた。

 

リール「ルルさん…ララさん…」

 

ルル「昨日ぶりだね」

ララ「1日ぶりね」

 

リール「えっと…はい…」

 

ルル「今日はどうしたの?」

ララ「御用は何かしら?」

 

リール「…え?」

 

リールはその言葉に少し違和感があった。

 

リール「え…何も用事は…」

 

ルル「あれ?ないの?」

ララ「あら、ないのね」

 

ルル「君がここに来たのに」

ララ「あなたが現れたのに」

 

リール「?」

 

ルル「でもここにいるってことは」

ララ「でもここにいるってことは」

 

ルル「君は何か用事があるんじゃないかな?」

ララ「あなたは何か用事があるんじゃない?」

 

リール「う〜ん…」

 

リールは少し考えてみた。そして寝る直前のことを思い出す。

 

リール「あ!そうですそうです!聞きたいことがあったんです!」

 

ルル「何かな?」

ララ「何かな?」

 

リール「あの…ラミエ先生にルルさんとララさんのことを話そうと思っていたんですが、中々お2人の名前が口に出なくて…エレナさんにはしっかり話せたんですがラミエ先生だけは…どうしてでしょうか」

 

ルル「うん。当然だね」

ララ「うん。当たり前ね」

 

リール「え、何故ですか?」

 

ルル「あの人には聞き取れないからだよ」

ララ「あの人には言葉が通じないからよ」

 

リール「え、聞き取れない?通じない?どういう事でしょうか」

 

ルル「そのままの意味」

ララ「言葉通りの意味」

 

リール「?」

 

ルル「あの人には僕の名前は」

ララ「あの人には私の名前は」

 

ルル「違った音に聞こえるんだよ」

ララ「雑音にしか聞こえないのよ」

 

リール「え?どうしてでしょうか」

 

ルル「答えは簡単」

ララ「単純明快」

 

ルル「君とあの人は全く違う次元にいるから」

ララ「あなたとあの人は隔絶されているから」

 

リール「!!」

 

ルル「厳密には君だけがこの世界にいない」

ララ「あなただけ違う次元に存在している」

 

リール「私…だけ…」

 

ルル「そう」

ララ「そう」

 

ルル「だから違う次元の人とは会話ができない」

ララ「だからあの人にはあなたの声が届かない」

 

リール「え、でも今まで普通に話せてましたよ…」

 

ルル「うん。君の会話は問題ないよ」

ララ「私たちのことではないからね」

 

リール「?」

 

ルル「君は僕たちが別れる前に言ったこと覚えてる?」

ララ「この世界が崩れ始めた時に私たちが言った言葉」

 

リール「言葉?」

 

ルル「うん」

ララ「うん」

 

リール「えっと…何でしょうか…」

 

ルル「僕たちはずっと一緒ですよ」

ララ「私たちはずっと一緒ですよ」

 

ルル「そう言ったよ」

ララ「そう言ったわ」

 

リール「あ、思い出しました」

 

ルル「つまり、君と僕たちは」

ララ「つまり、あなたと私たちは」

 

ルル「同じ次元に存在している」

ララ「同じ次元に存在している」

 

ルル「だけどあの人は僕たちの次元にはいない」

ララ「でもあの人は私たちとは違う次元にいる」

 

ルル「だから僕たちの話をしても通じないんだ」

ララ「だから私たちの話はあの人には伝わらない」

 

リール「えっと…つまり私はラミエ先生と同じ次元にいるから私の会話はできるけどルルさんとララさんはラミエ先生とは違う次元にいるから話が通じないと…そういう事でしょうか」

 

ルル「その通り」

ララ「その通り」

 

ルル「淡々と話したのに理解してるのすごいね」

ララ「驚いた。あの情報量をまとめられるなんて」

 

リール「あはは…」

 

ルル「でも実際には君とあの人は違う次元にいる」

ララ「本当はあなたもあの人とは違う次元にいる」

 

ルル「それでも会話が成立するのは」

ララ「それでも会話が成立するのは」

 

ルル「会話の内容が僕たちのことじゃないから」

ララ「話題が私たちに関することじゃないから」

 

リール「!」

 

ルル「もしこの先君が友達と再会できたなら」

ララ「もしあなたが元の場所に帰れたなら」

 

ルル「話してみるといいよ。僕たちのことを」

ララ「話してみるといいよ。私たちのことを」

 

ルル「きっと相手には言葉が通じないから」

ララ「きっとあなたの言葉は届かないから」

 

リール「!」

 

ルル「さて、怖い話をしてごめんね」

ララ「暗い話をしてごめんなさいね」

 

ルル「君は根が優しいからこういう話は苦手でしょ」

ララ「あなたは心が温かいからこの話は苦手でしょ」

 

リール「そ、そうですね…」

 

ルル「では楽しい話をしましょう」

ララ「じゃあ別の話をしましょう」

 

リール「楽しい話?」

 

ルル「そう。楽しい話」

ララ「そう。あなたの話」

 

リール「あ、じゃあその前にお聞きしてもいいですか?」

 

ルル「何?」

ララ「何?」

 

リール「お2人はどういった方なのでしょうか」

 

ルル「?」

ララ「?」

 

リール「前に会った時から不思議に思っていました。今まで会ったことがなかったのに今になって私と対面しています。そしてお2人は光属性魔法の始祖と仰っていました。私は魔女さんにもあなた方のお話は聞きませんでしたが魔女さんは知っているようでした」

 

ルル「…」

ララ「…」

 

リール「お2人は一体何者なのでしょうか」

 

リールが質問を終えるとルルとララは真剣な顔になった。

 

ルル「…リール」

ララ「…リール」

 

リール「…はい」

 

ルル「それを聞くのは "禁忌" だよ」

ララ「それを聞くのは "禁忌" なのよ」

 

リール「禁…忌…」

 

ルル「そう。禁忌」

ララ「えぇ。禁忌」

 

リール「禁忌…エレナさんも同じことを言ってました」

 

ルル「…」

ララ「…」

 

リール「エレナさんはご自身を "忌み子" と言ってました。禁忌に触れたことでその日からそう呼ばれたそうです。…お聞きしますルルさんララさん」

 

ルル「…」

ララ「…」

 

リール「禁忌とは何でしょうか。この世界に存在する3つの禁忌とは何でしょうか」

 

ルル「…君は好奇心旺盛だね」

ララ「…あなたは聞きたがりね」

 

リール「あ、いえ…その…」

 

ルル「いいよ。教えてあげる」

ララ「いいわ。話してあげる」

 

リール「!!」

 

ルル「この世界に存在する3つの禁忌について」

ララ「この世界に現存する3つの禁忌について」

 

クルッ

ルルとララは180°方向を変えた。

 

ルル「リールさん。こちらへ」

ララ「ついてきて。私たちに」

 

スタスタスタ

ルルとララはある場所まで歩き始めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…白い空間 少し広い場所

 

ルル「ではリールさん。禁忌についてお話します」

ララ「じゃあそろそろ禁忌について話してあげる」

 

リール「…」

 

コンコン…

ルルとララがつま先を2回上げ下げして音を鳴らした。

 

ブゥン…ジジジ…ジジ…

するとリールの横に大きなスクリーンが映し出された。それと同時に白かったこの空間が一瞬で真っ暗となった。

 

リール「あの…ルルさん…ララさん…」

 

ルル「リールさん」

ララ「リールさん」

 

リール「は、はい…」

 

ルル「この世界には触れてはならないものがあります」

ララ「この世界には知らない方がいいものもあります」

 

ブゥン…

スクリーンが映像を切り替えた。

 

リール「!」

 

その映像にはエレナさんによく似た人と魔女さんによく似た人、そして知らない女性が1人の合計3人の女性が映し出された。

 

リール「これって…エレナさんと魔女さん…それに…知らない人」

 

ルル「この人たちが禁忌に触れた人たちです」

ララ「この人たちは忌み子と呼ばれています」

 

リール「!」

 

ブゥン…

スクリーンがまた映像を切り替えた。今度は3人の女性がある物を囲んでいる映像だった。

 

リール「これは…」

 

ルル「この人たちが囲っているものが禁忌の素です」

ララ「あの小さな結晶が禁忌の素となっているもの」

 

ルル「この人たちはどこからか禁忌の存在を知りました」

ララ「この人たちは禁忌の情報を集めて探していました」

 

ルル「あの小さな結晶は触れたものを分解させます」

ララ「あの小さな結晶は触れたものを異形にさせます」

 

ルル「エレナが忌み子と呼ばれている理由」

ララ「エレナが忌み子と呼ばれている原因」

 

ルル「これは人が触れるべきものではありません」

ララ「これは私たち属性魔法の始祖のものです」

 

ルル「あれに触れること自体が禁忌なのです」

ララ「探して見つけるのもまた禁忌なのです」

 

ルル「でもこの人たちはそれに触れてしまった」

ララ「でもこの人たちは探して見つけてしまった」

 

リール「…」

 

ブゥン…

するとまたスクリーンが映像を切り替えた。次の映像はその結晶が割れて何やら黒い靄のようなものがこの世界を覆い尽くしている映像だった。

 

リール「これは…」

 

ルル「 "黒い霧" 僕たちはそう呼んでいる」

ララ「 "黒い霧" 私たちはそう呼んでいる」

 

ルル「これが今も尚この世界を覆い尽くしている」

ララ「変わらずこの世界を黒く覆い尽くしている」

 

ルル「でも誰もその存在に気づいていない」

ララ「でも誰もその事を気にかけていない」

 

リール「…」

 

ブゥン…

またスクリーンが映像を切り替えた。今度は多数のドレインがある国を攻撃している様子だった。

 

リール「!!」

 

ルル「あれはドレイン」

ララ「諸悪の根源」

 

ルル「禁忌に触れた代償」

ララ「悪事を働いた罰」

 

ルル「ドレインが出現したことで人口激減」

ララ「ドレインが出現したことで世界滅亡」

 

ブゥン…

またスクリーンが映像を切り替えた。今度は3人の女性が手を取り合っており、協力してドレインに立ち向かっていた。

 

リール「これは…」

 

ルル「あの人たちは自分たちで解決しようとした」

ララ「あの人たちは自分たちで罪を償おうとした」

 

ブゥン…

スクリーンが映像を切り替えた。今度は空を覆い尽くすほどの大きなドレインが人々を襲っているところだった。

 

ルル「でもダメだった」

ララ「解決しなかった」

 

ルル「異常な数のドレインを相手に人間は数人」

ララ「圧倒的な数を前に戦意喪失した人は多数」

 

ルル「戦力の差から死を悟った人たちが取った行動」

ララ「最終手段 最後の切り札を使うことになった」

 

ルル「それが俗に "依代" と呼ばれているもの」

ララ「己が体を使ってドレインを封印すること」

 

リール「依代…」

 

ブゥン…

スクリーンが映像を切り替えた。今度は3人の女性のうちの1人が大きなドレインに立ち向かっている様子だった。

 

ルル「その切り札を使うために1人の女性が名乗り出た」

ララ「当時 "最後の光属性魔法" と呼ばれていた女性」

 

リール「!!」

 

リールはその言葉に聞き覚えがあった。エレナが言っていた言葉だった。

 

ルル「名前はリノ」

ララ「名前はリノ」

 

ルル「彼女は唯一光属性魔法の適性者だった」

ララ「彼女はこの世界では最高戦力だった」

 

ルル「だから "依代" に名乗り出た」

ララ「自分の罪を払拭するかのように」

 

リール「…」

 

ブゥン…

スクリーンが映像を切り替えた。今度は全てのドレインが浄化されて世界が平和になっている様子だった。

 

ルル「依代となった女性はドレインと共に姿を消した」

ララ「依代となった女性は跡形もなく消え去った」

 

ルル「世界からドレインが消滅して世界は平和になった」

ララ「諸悪の根源が絶たれたことで世界は平和になった」

 

ルル「しかし残った人はたったの14人」

ララ「でも生き残ったのはたったの14人」

 

ブゥン…

スクリーンが映像を切り替えた。今度はその日から時代が流れ、今のスペルビア王国になっていく様子だった。

 

ルル「この出来事はあるひとつの国で起こった」

ララ「魔法が発達したある国で起こった出来事」

 

ブゥン…

スクリーンは映像を切り替えた。今度は真っ黒な映像だった。

 

リール「?」

 

ルル「あれから時は経ちました」

ララ「あれから色々と変わりました」

 

ルル「しかし、ひとつだけ変わらないものがあった」

ララ「当時から何も変わらずにそこに存在している」

 

ブゥン…

スクリーンが映像を切り替えた。今度は1人の女性が大きなドレインに取り込まれている様子だった。

 

リール「!!」

 

ルル「そう。禁忌に触れた3人の女性のうちの1人」

ララ「彼女だけ当時のままの姿で存在している」

 

ルル「彼女は魔法で自分の時間を止めている」

ララ「時間を止めてドレインを封印している」

 

ルル「そのお陰でこの世界にドレインが現れない」

ララ「そのお陰で何十年もドレインが出現しない」

 

ルル「しかし、最近になってその封印が弱くなっている」

ララ「時間を止めてまでドレインを封印したけど無意味」

 

ルル「この世界が良くない方向に向かっている」

ララ「原因は柱を壊しているあの人物」

 

リール「!」

 

シュゥゥゥゥゥゥ…

スクリーンが消えていき、やがて暗い空間が白い空間に戻っていった。

 

ルル「これが禁忌に触れた人の末路」

ララ「罪を犯した人たちの末路」

 

ルル「世界が傾いている理由」

ララ「異変が起こっている理由」

 

リール「…」

 

リールは一通り話を聞いた。

 

ルル「何か質問があれば聞きますよ」

ララ「なんでも言ってちょうだい」

 

リール「え…えっと…あの黒い靄は世界中に広がったんですよね?」

 

ルル「はい」

ララ「はい」

 

リール「では何故スペルビア王国だけこのような被害が出たのでしょうか」

 

ルル「禁忌に触れた人がそこにいたからです」

ララ「禁忌に触れた人がそこにいたからです」

 

リール「!」

 

ルル「もしあの場所でなく別の場所にいたら」

ララ「もし3人が各々別の場所にいたら」

 

ルル「その場所もドレインによって壊滅していました」

ララ「その場所もドレインによって壊滅していました」

 

リール「!」

 

ルル「この程度の被害で収まったことはむしろ幸運」

ララ「そのお陰で被害は大きくならずに済んだ」

 

リール「な、なるほど…ではもうひとつ…あの禁忌に触れた人たちの名前は…」

 

ルル「1人はエレナ、1人はリーナ、1人はリノ」

ララ「1人はエレナ、1人はリーナ、1人はリノ」

 

リール「エレナ…リーナ…リノ…」

 

ルル「はい。当時の名前はそうでした」

ララ「しかし今は1人だけ名前が変わっています」

 

リール「それって…」

 

ルル「あなたが魔女さんと呼ぶ存在」

ララ「私たちがリーナと呼ぶ存在」

 

リール「!?」

 

リールは驚いていた。

 

リール「魔女さんが…禁忌に…」

 

ルル「はい」

ララ「はい」

 

リール「あ、あの…3つの禁忌とは…」

 

ルル「 "分裂" "無敵" "開闢" 」

ララ「 "分裂" "無敵" "開闢" 」

 

リール「分裂…無敵…開闢…」

 

ルル「はい」

ララ「はい」

 

リール「じゃ、じゃあ…禁忌に触れたらどうなりますか」

 

ルル「その禁忌を死ぬまで背負うことになります」

ララ「罪を償うまで一生死ぬ事が許されません」

 

リール「死ねない罪…」

 

ルル「はい」

ララ「はい」

 

リール「あの…エレナさんの禁忌は "分裂" と言ってました…。では他の2つは…」

 

ルル「リーナは "無敵" リノは "開闢" 」

ララ「リーナは "無敵" リノは "開闢" 」

 

リール「魔女さんが…無敵…」

 

ルル「はい」

ララ「はい」

 

リール「で、では…その3つの禁忌によって罪の償い方は違うのでしょうか」

 

ルル「同じです」

ララ「同じです」

 

リール「では…どのような…」

 

ルル「 "禁忌に触れたあの3人が死ぬ事" です」

ララ「 "禁忌に触れたあの3人が死ぬ事" です」

 

リール「え…でも死ねないんじゃ…」

 

ルル「はい。死ねません」

ララ「はい。死ねません」

 

リール「じゃあ…」

 

ルル「だから一生罪を背負うことになるのです」

ララ「死ぬ事で償われる罪ですが死ぬ事が許されません」

 

ルル「故にその3人は一生生き続けることになります」

ララ「老いることも死ぬことも無い不老不死として」

 

リール「そんな…」

 

パキンッ!

白い空間の中で妙な音が響いた。

 

リール「今の音は…」

 

ルル「…誰かがあなたの世界に入り込もうとしています」

ララ「…誰かがあなたを取り込もうとしています」

 

リール「え!?」

 

ルル「リールさん。今日はここまでです」

ララ「また会いに来てください」

 

リール「そんな!まだ話したいことがいっぱいあるんです!」

 

ルル「でしたらまた次の機会に」

ララ「私たちはここにいますので」

 

ドゴォン!ドゴォン!

一段と大きな音が聞こえた。

 

???「アァァァァァァァァァ!!」

リール「!?」

 

すると大きな音と共に穴が空いた場所から2本の腕と大きな顔が出てきた。出てきたそれの体はドレインのようにとても黒かったが、見た目がリールにそっくりだった。

 

リール「え…何…この人…私…」

 

ルル「リールさん」

ララ「リールさん」

 

リール「!!」

 

ルル「さようなら」

ララ「さようなら」

 

パチン!

ルルとララが指を鳴らした。

 

ヒュッ…

すると一瞬でリールの姿が消えてしまった。

 

???「アアアアアアアアアアアア!」

 

ドゴォン!ドゴォン!ドゴォン!

出てきたそいつは暴れ回っている。

 

ルル「…この場所もダメだね。ララ」

ララ「…えぇ。また場所を移しましょうか」

 

クルッ…スタスタスタ

ルルとララは歩きながらその場をあとにした。




〜物語メモ〜

禁忌の種類
この世界には3つの禁忌が存在する。
1つは分裂、1つは無敵、1つは開闢。
エレナが分裂の禁忌に、魔女さん(リーナ)が無敵の禁忌に、リノが開闢の禁忌に触れてしまった。この3人の罪は死ぬ事で償われるが、罪を償うまで死ぬことが許されない。
死ねば償えるが償うまで死ねないというループに入っているため、この3人は実質不老不死となっている。
ただし、傷を負うことは普通にある。
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