私の名前はリール。
今スペルビア王国の地下にいます。
先程までラミエ先生とエレナさんと一緒にいたんですが、ルルさんとララさんが私をあの家から逃がしてくれました。
ですがスペルビア王国に着いたら国中の建物が崩れてて炎が上がっている家もありました。
そんな中私は箒に乗って国中を飛び回りましたが、人が1人もいませんでした。
しばらくするとオード君が来てくれたのでこの地下に案内してもらいました。
そこはとても広く、国中の人たちが入れるくらいだそうです。
そこにはスカーレットやアンナ、ディア君やノーラ君もいました。
みんな怪我していたのに他の人たちのために食料を配っており、スカーレットに関しては私を見るとすぐに抱きついてくれました。
そんな中オード君が私にこの国で起こったことを話してくれるそうです。
オード君の顔はとても真剣でいつもとは違う雰囲気を感じました。
場所…スペルビア王国 地下
オード「リール。これからリールにこの国で起こったことを話す。それを聞いて今後どうするかはリールの勝手だが、俺たちはリールの選択を否定しない。自分がするべきだと思ったことをしてくれ」
リール「それは…どういう…」
オード「みんな。話してもいいな?」
スカーレット「私はいいわよ」
アンナ「私も」
ディア「俺もいいと思う」
ノーラ「あぁ」
みんなはオードの意見に賛成した。
リール「オード君…」
オード「リール。こっちに来てくれ。ここだと話しずらい」
リール「は、はい…」
スタスタスタ
6人は場所を変えた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…スペルビア王国 地下にある岩陰
オード「じゃあ話すぞ」
リール「はい」
オード「俺たちはな、1ヵ月前にリールがいなくなってからずっとスペルビア王国を探し回っていたんだ。あの日だ。スカーレットの父親がリールをある人の家に連れて行ったあの日。学校にドレインが出てきた日だ」
リール「あ、あの時…」
オード「そうだ。俺たちはリールを探しに行ったが見つからなかった。これでも2、3週間は探し回ったよ。でも見つからなかった。どこに行ってもリールの痕跡すら無かったんだ」
リール「…」
オード「俺たちはあの後この国に帰ることを許されてな。それから探し回ったよ。だが何の手がかりもなかった。そこでだ。俺たちはリールが庇ったあのエレナってやつ。あいつを探すことにした。でも見つからなかった。俺たちは途方に暮れていたんだ」
リール「そう…ですか…」
オード「俺たちがリールを探しているとある事件が起こった」
リール「!!」
オード「ここスペルビア王国にドレインが出現したんだ」
リール「!?」
オード「突然だった。エレナ学院から大量に湧き出てきてスペルビア王国はほぼ壊滅状態になった」
リール「…」
オード「もちろん俺たちはドレインに抵抗するため魔法を使った。だがあいつらには俺たちの魔法は効かなかった。それどころかどんどん数が増えてきて俺たちは苦戦を強いられた」
リール「…」
オード「その戦いは一日中続いた。夜明けまでな。だが陽光が射してからドレインたちは先を争うかのようにその場から逃げ出した。俺たちは何とか生き残ったが街はボロボロで住むところも食料も無かった。そんな時スカーレットの父親がこの場所にみんなを集めるように指示した。生き残ったやつは今この場所にいる人で全員だ。ドレインに殺されたやつは何人もいる。何人かは知らん。だが大半は殺られたと思う」
リール「そんな…」
オード「それから1ヵ月。俺たちはドレインが活動する夜から夜明けまでの時間でドレインたちを迎撃することにした。俺たちがやられたら本当の意味でこの国は終わりだからな」
リール「…」
オード「それから何日か経った時にある女がここを訪ねてきた。名前はエレナ。リールをあの場から連れ去ったやつだ」
リール「!」
オード「するとその女はリールを出せと言ってきた。だがあの時にはリールはいなかったから俺たちはいないと伝えた。そしたらあの女はリールが来たら教えてくれ。教えてくれたら何もしないと言った」
リール「…」
オード「その女はそれからすぐに消えたが俺たちは戦っても勝てないことくらい分かってるから余計に怖かったんだ」
リール「そうですか…」
オード「それから数日後、俺は外の見回りをしているところでリールを見つけた」
リール「!!」
オード「俺はあの女にリールがいることが知られると不都合が生じると思ったからこの場に連れてきた」
リール「なるほど…分かりました」
オード「俺たちはリールをあいつに引き渡したくない。何されるか分かったもんじゃないからな」
リール「エレナさんはなんと言っていましたか?」
アンナ「リールを渡して欲しいっていうのと渡さないとここにいる人たちをみんな殺しちゃうって…」
リール「…」
オード「目的は分からんが俺たちはリールを手離したくない」
リール「でも私が行かないとここにいるみなさんはエレナさんに殺されるんですよね」
オード「…あぁ」
リール「でしたら答えは決まってますよ」
スカーレット「リール…」
リール「私は行きます。エレナさんの所に」
オード「…やっぱりか」
リール「はい。私が行かないとここの人たちが酷い目に遭わされるのなら私が犠牲になってみなさんが安全に暮らせる方がいいと思うんですよ」
スカーレット「リール…」
リール「許してくださいスカーレット。事の発端は私にあるかもしれません。でしたら私が行くべきです」
ノーラ「それはリールの考えであって俺たちの考えではない」
リール「…どういう事でしょうか」
ノーラ「リールは自分が犠牲になればいいと考えているが、それはあくまでリール自身の考えだ。俺たちはさっきオードも言ってたけどリールを手離したくないと考えている。2つの意見があるにも関わらず自分の意見だけを通すのはよくないんじゃないか?」
リール「ではノーラ君はどうすればいいと考えてますか?」
ノーラ「っ…」
リール「私は犠牲と言いましたが身を削って行くわけではありません。交渉しに行くだけです。何も初めから戦うなんて思ってませんよ」
ノーラ「…そうか」
リール「そういう事です。ですので私は行きます。みなさんはここにいてください」
ガシッ!
リールは腕を掴まれた。
オード「…それでも俺たちはリールが大事なんだ」
リール「!!」
オードは真っ直ぐリールの顔を見た。
オード「今の俺たちがあるのはリールのお陰。俺たちはいつかリールに恩返しをしたいと思っている。だから恩返しさせてくれないか?」
リール「具体的に恩返しとはなんでしょうか」
オード「リールが望むものを贈る」
リール「…」
オード「俺たちができるのはこれくら…」
リール「でしたら私を行かせてください」
オード「!!」
リールはオードの言葉を遮って答えた。
リール「オード君は言いました。私の選択は否定しないと。私はエレナさんのところに行くと言いましたがオード君はそれを否定しています。これは一体どういう事でしょうか」
オード「いや、否定してるわけじゃ…」
リール「でしたら私を行かせてください」
オード「…」
アンナ「リール…」
リール「お願いです」
オード「…」
スッ…
オードはリールの腕を離した。
オード「…分かった。リールの好きにしてくれ。だがな、無理だけはしないでくれ。お願いだ」
リール「…はい」
スタスタスタ
リールはその場をあとにした。
ディア「…いいのか。オード」
オード「…男なら見守るのも仕事だ。あぁやって自分で決めたんだから邪魔する権利は俺たちにはない。…それに、リールなら何とかしてくれると思う」
ディア「…そうか」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…スペルビア王国 広場
リール「…」
あの後リールは広場に向かった。そこはスペルビア王国にある広場の中で最も広い広場だった。
リール「…っ」
リールはある気配を感じた。それは今までで何度も感じた異様な気配。
エレナ「あら、起きてるじゃない」
リール「…エレナさん」
エレナ「あら、覚えててくれたのね。あなた」
リール「…私をどうするつもりですか」
エレナ「どうするって…利用させてもらうのよ」
リール「…私を何に利用するつもりですか」
エレナ「もちろん深淵への鍵になってもらうのよ」
リール「鍵ですか」
エレナ「そうよ。あそこに入るには特定の条件が必要なのよ」
リール「その条件ってなんですか」
エレナ「 "あの人の血族であること" よ」
リール「…」
エレナは後ろを振り返って話を続けた。
エレナ「あの人の血族は少し特殊なのよ。それこそこの世界に数少ない光属性魔法を適性に持つ人たちばかり。でも今はその血も途絶えてあなたが最後の光属性魔法の適性者となった」
リール「…」
エレナ「私は光属性魔法の適性者じゃないからあの場所には入れない。だからあなたを探していたのよ」
リール「…ルルさんとララさんが言ってました。深淵という場所は "柱" というもので守られているそうです。ですので私はそこには行けません」
エレナ「あなた…ルルとララって…」
リール「はい。ルルさんとララさんです」
エレナ「あなた…何故その名前を…」
リール「言いません」
エレナ「ま、まぁいいわ…今あの人たちの気配は無いわけだしどうせ脅しなんでしょ」
リール「…ほんとにそう思いますか」
エレナ「!」
リールは真っ直ぐエレナの目を見ていた。その時のリールの黒目は光属性魔法のように少し薄い黄色になっていた。
エレナ「あなた…その目…」
リール「オード君から色々と聞きました。あなたは私を必要としているそうですね。そして私を出さなかったらあの人たちを殺すと…そう言ってたそうですね」
エレナ「そうね。あなたがいれば何も問題はないのよ」
リール「…ふざけないでください。命はそんな軽いものではありませんよ」
エレナ「!!」
リールの周りに光属性魔法のオーラが漂っていた。
リール「あなたの目的はなんですか。私を深淵に連れて行くとしてその後はどうするつもりですか」
エレナ「そんなのあなたなら分かってるでしょ。私の本体に会ったのなら」
リール「…」
リールはエレナ本人とその分身と会った日のことを思い出す。
リール「…ドレインを使ってこの世界をどうするつもりですか」
エレナ「そんなの簡単よ。ドレインってね、闇属性魔法に反応するのよ。私は闇属性魔法だからそのドレインを使ってこの世界の人たちを吸収するのよ」
リール「吸収してその後はどうするつもりですか」
エレナ「簡単よ。
リール「…」
エレナ「
リール「…そうですか。そのために私を利用すると…私が応じなければみなさんを殺すと…そういう事ですか」
エレナ「そうよ。当たり前じゃない」
リール「…何が当たり前ですか」
エレナ「?」
リール「何が当たり前ですか!!」
バゴォォォォォォン!
リールの周りを漂っていた光属性魔法のオーラが一瞬にして膨張した。
エレナ「!!」
リール「いい加減にしてください!人の命を何だと思ってるんですか!この世界の人たちはあなたのように不老不死ではないんです!命を軽んじる発言はやめてください!」
リールは大声で言った。
エレナ「これは…」
リールの周りに漂っている光属性魔法のオーラがリールの体から溢れていた。
リール「これ以上私の大事な人たちに何かしたら私が許しませんよ…」
リールは酷く怒っていた。
エレナ「…それで、私をどうするわけ」
リール「このまま帰らないのなら私があなたをやっつけます」
エレナ「…」
エレナは少し考えていた。
エレナ (本気でやれば勝てるでしょうね。でも相手は刻運命の粉を持ってる。しかも今のあの子の力は計り知れない…前にあった時と段違いに強くなってる…何故…)
リール「さぁ…どうしますか…」
エレナ「…分かったわ。一旦帰らせてもらうわ。でも、いつかあなたを利用させていただきます」
シュッ…
エレナはその場から立ち去った。
リール「…」
ヒュゥゥゥゥゥゥ…
リールの体から溢れていたオーラが消えていった。
リール「…みなさんのところに戻りましょうか」
ヒュゥゥゥゥゥゥ…
リールは箒に乗って地下に戻った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…現世と深淵の境界線
ラミエ先生「はぁ…はぁ…はぁ…」
ルル「…」
ララ「…」
ラミエ先生は大怪我を負っていた。
ラミエ先生「こんなに…強いなんてね…」
ルル「違うよ。君が弱いだけ」
ララ「違うわ。あなたが弱いのよ」
ラミエ先生「っ…」
エレナ「ラミエ。あなたじゃ勝てませんよ」
ラミエ先生「うるさい。ここまで来て諦められるわけないでしょ…」
エレナ「でも相手は始祖です。私でも勝てませんよ」
ルル「ラミエ…今はそんな名前なんだ」
ララ「ラミエ…前とは違う名前なのね」
ルル「前の名前は確か…」
ララ「アラミス…だったわね」
ラミエ先生「…」
ルル「回復魔法のスペシャリスト」
ララ「風属性魔法を捨てた魔女」
ルル「僕たちには勝てないよ」
ララ「私たちには勝てないわ」
ラミエ先生「…」
ラミエ先生は万事休すの状態だった。
エレナ「ラミエ!」
ラミエ先生「…ならこうするしかないわね」
ルル「何をするの?」
ララ「何かするの?」
ラミエ先生「私はね…負けそうになったら他の手を使って勝つ道を選ぶのよ」
パチン!
ラミエ先生は指を鳴らした。
ヒュゥゥゥゥゥゥ!
するとエレナの足元に魔法陣が展開された。
エレナ「まさか…ラミエ!!」
ラミエ先生「私の名前はアラミス。回復魔法に特化した魔女よ」
エレナ「ラミエ!!」
シュッ!
ラミエ先生はエレナをこの家から逃がした。
ルル「…健気だね」
ララ「いい判断ね」
ラミエ先生「はぁ…はぁ…当たり前でしょ…私は…アラミスなのよ」
ルル「そう。じゃあ満足して死んでね」
ララ「そう。じゃあ悔いのないよう死んでね」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…深淵
魔女さん「…」
瘴気に満ちた穢れた世界。そこに立つひとつの影。
魔女さん「…久しぶりですね。リノ」
リノ「…」
魔女さんは目の前の人間に話しかけた。その人は上半身は人間だが下半身は大きなドレインに侵食されていた。
魔女さん「…依代。自分の体を使ってドレインを封印する術。今は存在しない太古の呪術」
魔女さんはその人の顔を見た。その人の顔は僅かながら人の部分が見えるが、大部分がそのドレインに侵食されていた。
魔女さん「ねぇリノ。私の弟子にあなたと同じ光属性魔法の子がいます。あなたと同じように元気で言葉遣いも綺麗で他人を想いやる優しい子ですよ」
リノ「…」
魔女さん「本当にあなたにそっくりです。まるで前のあなたのようです」
リノ「…」
魔女さん「…ねぇリノ。この戦いが終わったら3人でお話しませんか?リノと私とリールの3人で。きっとあなたも気に入りますよ」
リノ「…」
魔女さん「…リノ。もう少しだけ待っていただけませんか?今私とリールがあなたのために動いています。もう少しだけ時間をください。もう少しであなたを侵食しているその
リノ「…」
魔女さんはずっと話しているが、その人からの返事は一言も返ってこなかった。
〜物語メモ〜
今回は新しい情報がないので次回ですね。