私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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第60話 レナと第三層 臨界の間

私の名前はリール。

今第三層 臨界の間にいます。

先程からエレナさんの顔が険しく、何かに怯えているようでした。

それに不思議なことに、私とエレナさんがある人と話していると、急に意識が飛んで知らない間にある人が道を譲ってくれていました。

その間の記憶は全くないんですが、何故か少し体が重く感じます。

魔力を使ったからでしょうか。

でも私はここに来てドレイン以外に魔法は使ってませんし…。

さて、これから第三層 臨界の間を進んでから最後の第四層 深淵へと向かいます。

スカーレットやアンナが心配ですが、今の私にできることはこれくらいですので、精一杯やろうと思います。

…何も無いといいのですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所…第三層 臨界の間 転送地

 

シュッ…シュッ…

エレナとリールは第二層の転送地から第三層へと送られてきた。

 

エレナ「…」

リール「!!」

 

リールがまず最初に見たのは目に見えるほどに濃い瘴気だった。

 

リール「エレナさん…これ…」

エレナ「第三層の瘴気は第二層とは比べ物にならないわ。第二層の時よりも更に辛くなるでしょうけど、頑張って」

リール「は、はい…」

 

エレナとリールは先に進むことにした。

 

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場所…第三層 臨界の間 最深部 転送地

 

???「…来ましたか。よくぞこの階層まで」

 

???は真っ直ぐ前を見た。

 

???「…何やら別の気配もここに来ているようですね」

 

???は両手を握った。

 

???「…お待ちしておりますよ。光の子、闇の姫」

 

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場所…第三層 臨界の間 最上部

 

エレナ「相変わらず辛気臭いところね。もっと明るかったらいいのに」

リール「そうですね」

 

スタスタスタ

エレナとリールは歩を進める。

 

エレナ「…」

リール「…」

 

それから2人は何事もなく中間地点まで来た。

 

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場所…第三層 臨界の間 中間地点

 

エレナ「はぁ…ドレインはいないわ景色も変わらないわで何だか眠くなってきたわね」

リール「そうですね。でも私はドレインと戦わなくて嬉しいですよ」

エレナ「何でよ」

リール「傷つけずに済みますから」

エレナ「…」

 

2人が歩いているとエレナがある気配に気づいた。

 

エレナ「リール」

リール「はい」

エレナ「…止まって」

リール「え…」

 

エレナとリールはその場に止まった。

 

エレナ「…」

リール「エレナさん?」

エレナ「…リール」

リール「は、はい…」

エレナ「…来るわ」

リール「…え?来る?」

 

???「おやおや?なぁんでこんな所にいるのかなぁ?」

 

リール「!!」

 

リールが声のした方を見ると、そこには1人の女性がいた。その女性は空を飛んでおり、何やら嫌な気配を放っていた。

 

???「エレナ?」

エレナ「…」

リール (エレナさん?何か関係が…)

エレナ「…久しぶりに見たわね。イコイ」

 

その女性の名前はイコイと言うらしい。

 

リール (イコイ…あっ、確か第二層の転送地を守っているって言ってた人…)

イコイ「そりゃあね。私ってじっとしてられない性格だからね。見ないのも無理はないよ」

エレナ「…それで、何か用?」

イコイ「用ってそりゃあ私の許可無く第二層に入ってたしなんなら今第三層まで来てる。私許可した覚えはないけどなぁ?」

エレナ「それはあなたがいなかったのが悪いわ。私たちは悪くない」

イコイ「いや?私がいない隙を狙ったって考えられるよ?」

エレナ「私たちはそんな面倒くさいことはしないわよ。用はこれで終わり?私たちは先に進まないといけないの。それじゃあね」

 

スタスタスタ

エレナとリールはイコイを無視して歩き始めた。

 

イコイ「…フフッ…粉砕(ダクト)

 

バゴォォォォォォン!

 

エレナ「!」

リール「!?」

 

イコイが魔法を使った瞬間、地面が2つに割れた。

 

リール「わわっ!」

 

リールはバランスを崩した。

 

エレナ「リール!」

 

パシッ!

エレナはリールの手を引いて何とか脱出した。

 

リール「うわぁ…すごい…」

エレナ「全く…イコイのやつ…」

リール「え、あれあの人の魔法なんですか?」

 

ヒュゥゥゥゥ…スタッ!

エレナはリールを抱えて地面に着地した。

 

イコイ「さすがエレナだね。私の魔法をよく知ってる」

エレナ「当たり前でしょ。あんたの魔法は厄介なのよ」

イコイ「フフッ…」

リール「あの、エレナさん」

エレナ「ん?」

リール「あの方の魔法は…」

エレナ「…破壊魔法よ。無属性魔法の一種」

リール「破壊魔法!?」

 

リールは無属性魔法のことをよく知っていた。もちろん破壊魔法のことも。

 

エレナ「あいつは物や結界を破壊することができるから基本防御は意味無いわ」

リール「っ…」

 

リールは身構えた。

 

イコイ「あ、身構えなくてもいいよ。戦うつもりないし」

リール「!」

エレナ「…じゃあ何で攻撃してきたのよ」

イコイ「え、攻撃してないよ。ただ地面を割っただけだよ」

エレナ「…それでリールが怪我をするところだったわ」

イコイ「あらそう。でも関係ないから」

 

エレナ「…」

リール「…」

 

エレナとイコイは睨み合う。

 

リール「エレナさん…」

エレナ「…何もしないならここを通して」

イコイ「嫌」

エレナ「…何でよ」

イコイ「…その子 嫌な気がする」

リール「!」

エレナ「この子なら問題ないわ。あなたが問題よ」

イコイ「…ふ〜ん」

 

パキッ!

突然地面から音がした。

 

エレナ「…攻撃する気?」

イコイ「いや、あなたを始末するつもりよ」

エレナ「!」

 

バキバキバキ!!

突然地面が割れた。

 

リール「!!」

エレナ「はぁっ!」

 

バゴォォォォォォン!

エレナは魔法でイコイを遠ざけた。

 

イコイ「おっとと…」

エレナ「行くわよリール!」

リール「え!」

 

ビュュュュュュン!

エレナはリールの手を掴むと空を飛んで逃げた。

 

リール「え、エレナさん!」

エレナ「っ…」

 

エレナは後ろを振り返らずに飛んだ。

 

イコイ「あらららら…」

 

イコイはその場に取り残されてしまった。

 

イコイ「まさか攻撃してくるなんて…」

 

ゴゴゴゴゴゴ…

イコイは魔力を上昇させた。

 

イコイ「そんな悪い子には…お仕置だよ!!」

 

ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!

イコイが地面に触れると突然地面が隆起し始め、エレナたちを追いかけた。

 

イコイ「さて、どれくらい持つかな。この世界で」

 

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場所…第三層 最下層付近

 

エレナは無我夢中で空を飛んでいた。

 

リール「エレナさん…」

エレナ「っ…」

 

ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!

突然後方から音がした。

 

リール「!!」

 

リールがその音に反応して後ろを振り返ると隆起した地面が後を追って来ていた。

 

リール「エレナさん!後ろ!」

エレナ「!!」

 

リールの声に反応したエレナは後方を見て驚いていた。

 

ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!

地面は容赦なく追いかけてくる。

 

エレナ「くっ…イコイのやつ…」

リール「これもあの人の…」

 

ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!

地面は速度を落とさずに追いかけてくる。

 

ビュュュュュュン…

するとエレナの飛ぶ速度が低下した。

 

リール「!」

エレナ「な…もう…」

 

ヒュゥゥゥゥ…

するとエレナとリールは地面に落ち始めた。

 

リール「わっ!わわっ!エレナさん!!」

エレナ「くっ…」

 

エレナは空を飛ぶために魔力を使っていたが、それが悪い方向へ働き、エレナの魔力が全て深淵に吸い取られていた。

 

エレナ「リール…ごめん…もう限界…」

 

ヒュゥゥゥゥ!

徐々に地面に近づいていく。

 

リール「エレナさん!」

 

リールはエレナの手を強く握った。

 

リール「はぁっ!」

 

バゴォォォォォォン!

リールは魔法を使ってその反動で空を飛んだ。

 

ビュュュュュュン!

するとリールとエレナの飛ぶ速度が上昇した。

 

リール「これで…」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ…

しかし、リールの魔力もすでに限界が来ていた。

 

リール「な!」

 

ヒュゥゥゥゥ!!

リールとエレナはそのまま落下し始めた。

 

リール「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ズサァァァァァァァァ!!

エレナとリールはそのまま地面に転がり落ちた。

 

リール「うっ…」

エレナ「ごめん…リール…」

リール「エレナさん…」

 

ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!

イコイの魔法が追いついてきた。

 

エレナ「あぁ…これはダメね…」

リール「そんな…」

 

イコイ「みぃつけたぁ…」

 

イコイがエレナとリールを見て微笑んだ。

 

イコイ「なぁんで逃げるのかなぁ?」

 

ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!

イコイの魔法が迫り来る。

 

イコイ「捕まぁえたぁ!」

 

キィィィィイィィン!!

 

リール「!!」

エレナ「!!」

イコイ「!?」

 

イコイの魔法がエレナとリールに当たる直前で何やら結界のようなものが展開された。イコイの魔法はその結界によって完全に消失した。

 

イコイ「な…私の魔法が…」

 

コツ…コツ…コツ…

 

リール「!」

エレナ「…」

 

その時何者かの足音がした。リールたちはその音に反応した。

 

???「…」

 

そこにいたのは1人の女性だった。その女性はイコイやメイビスのような禍々しい気配を放っておらず、むしろ浄化の気配を放っていた。

 

イコイ「…メア」

メア「…」

 

リール「メア?」

エレナ「…」

 

その女性の名前はメア。白い服を着ており、何故か目を閉じていた。その人の持つ杖はその人の身長と同じくらいの長さで今までで1番長かった。

 

イコイ「…何するのよ。邪魔する気?」

メア「…お迎えに上がりました。光の子 闇の姫」

リール「!」

エレナ「!」

イコイ「ちょっとメア!話聞いてる?」

メア「お静かに」

イコイ「っ…」

 

コツ…コツ…コツ…

メアはゆっくりとリールに近づいた。

 

メア「…初めまして。私はメア。ここ第三層と第四層を繋ぐ扉を守っている者です」

リール「っ…」

メア「先程までの仲間の無礼…深くお詫び申し上げます」

 

スッ…

 

リール「!」

エレナ「!」

イコイ「!?」

 

するとメアは土下座をして深く頭を下げた。

 

リール「あ、あの…えっと…」

メア「主様より申しつかっております」

リール「主…様…?」

メア「はい。あなたのお母上 リノ様のことです」

リール「!」

エレナ「え…」

イコイ「ちょっとメア!!いい加減にして!!」

メア「イコイ。お静かに」

イコイ「っ…」

メア「長い間、あなたのお帰りをお待ちしておりました」

リール「え…それって…どういう…」

メア「リノ様がお待ちです。こちらへ…」

 

そう言ってメアは立ち上がり、第三層の最深部にある転送地を指した。

 

リール「あ、あの…」

メア「はい」

リール「あなたは…一体…」

メア「私は第三層と第四層を繋ぐ扉を守っている者です」

リール「な…何故私を待っていたんですか…」

メア「…何故でしょうね。さぁ、私が道案内をします。こちらへ…」

 

コツ…コツ…コツ…

そう言ってメアは歩き始めた。

 

リール「あの…エレナさん…」

エレナ「…行きましょう。あの人に逆らったら終わりよ」

リール「え…」

 

こうしてリールとエレナはメアについて行くことにした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…第三層 最深部 転送地

 

メア「こちらが第四層 深淵に繋がる転送地になります」

リール「っ…」

メア「…行かれないのですか?」

リール「あの…あなたは…」

メア「?」

リール「あなたは私たちを…攻撃しないのですか?」

メア「…その言い方だとイコイやメイビスがあなた方を攻撃したとお受けしますが、間違いありませんか?」

リール「…さっきの人は私たちを攻撃してきました」

メア「イコイですね。分かりました。あとでキツく注意しておきます」

リール「は、はぁ…」

メア「ほかになにかありませんか?」

リール「あ、い、いえ…」

メア「ではどうぞ。第四層 深淵に」

エレナ「…行きましょうリール」

リール「!」

エレナ「私たちの目的は深淵に行くこと。だとしたら今のこの状況は好機よ。早くしないとまたイコイが来るわ」

リール「…分かりました」

 

スタスタスタ

エレナとリールは転送地の上に乗った。

 

メア「…では、行ってらっしゃいませ」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ…

するとエレナとリールは第四層 深淵に転送された。

 

メア「…ご武運を」

 

スタッ!

イコイが転送地に降り立った。

 

イコイ「…どういうつもり メア」

メア「どういうつもり…とは」

イコイ「とぼけないで。これは裏切り行為よ」

メア「…おかしいですね。私は主様の命令に従っただけですよ」

イコイ「敵を殺さずに転送させた」

メア「…もしそれが裏切り行為と言うのでしたら、あなたは敵を殺すことができず、挙句の果てに逃げられましたね」

イコイ「!」

メア「それにあなたは守護者としての責務すら全うできていません。私は主様の命令を受けてあの方々を通しました。…でもあなたはどうですか?事前に情報を得てもなお敵を逃がしたとなると厳罰じゃ済まないかもしれませんよ」

イコイ「っ…」

メア「…言葉と身の程を弁えなさいイコイ。私に歯向かうのはその後の人生を棒に振るのと同じですよ」

イコイ「…」

メア「…持ち場に戻ってください。ここは私の管轄です」

イコイ「…後悔するよ。メア」

メア「後悔は結果の後ですよ。結果もないこの状況で後悔なんてありません」

イコイ「…」

 

ヒュゥゥゥゥ…

イコイはその場をあとにした。

 

メア「…」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…第四層 深淵

 

ついにエレナとリールは深淵にたどり着いた。

 

リール「!!」

 

そこはさっきとは打って変わって少し明るい場所だった。

 

エレナ「…ここが最下層よ」

リール「結構明るいんですね」

エレナ「えぇ。深淵って言うから暗いって思ってたかもしれないけど実際はこんな感じよ。第三層が1番暗いまであるわ」

リール「そ、そうなんですね」

エレナ「さ、行きましょ。目的の場所はもうすぐそこよ」

リール「はい」

 

スタスタスタ

エレナとリールは歩を進めた。エレナとリールは先程メアに魔力を回復させてもらっているため、今は全快の状態だった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…第四層 深淵 祭壇

 

リール「!」

 

エレナとリールは少し広い場所に着いた。

 

リール「エレナさん…ここは…」

エレナ「ここは祭壇。正真正銘最下層にある所。そして、あなたのお母さんがいる所でもある」

リール「!!」

 

ザッ…ザッ…ザッ…

誰かの足音が聞こえる。

 

リール「エレナさん…」

エレナ「…」

 

ザッ…ザッ…ザッ…

やがてその足音の正体が分かった。

 

リール「!!」

エレナ「…」

 

魔女さん「…」

 

その足音の正体は魔女さんのものだった。

 

リール「魔女さん!!」

 

タッタッタッ!

リールは一目散に魔女さんの所に走った。

 

リール「魔女さぁぁぁぁぁん!」

 

ギュッ!!

リールは勢いよく魔女さんを抱きしめた。

 

リール「魔女さん!魔女さん!魔女さん!」

 

リールは何度も魔女さんの名前を呼んだ。そして今までで1番強く抱きしめた。

 

リール「よかった…やっと会えました…魔女さん…」

魔女さん「…」

 

リールの目から涙が落ちた。リールは嬉しさと寂しさから思わず泣いてしまった。

 

リール「うっ…ひぐっ…魔女さん…」

魔女さん「…」

 

エレナ「…」

 

その様子を見ていたエレナ。

 

エレナ (何あれ。まるで人形じゃない。何も反応しないし目が虚ろだし…何も感情が無いみたい)

 

リール「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」

 

リールはとうとう大声で泣き始めた。

 

魔女さん「…」

 

リールはしばらく泣き続けた。その間、魔女さんはリールのそばから離れなかった。抱き締め返したりしなかったが、リールが満足するまで1歩も動かなかった。

 

数分後…

 

エレナ「リール」

リール「うっ…ひぐっ…」

エレナ「嬉しいのは分かるけど今の目的を忘れないでね」

リール「…はい」

 

エレナ「…」

魔女さん「…」

 

エレナと魔女さんは互いを睨み合った。

 

エレナ「…邪魔しないで」

魔女さん「…」

 

魔女さんは何も言わなかったが小さく頷いた。

 

エレナ「…リール行きましょ」

リール「魔女さんも一緒に行ってもいいですか?」

エレナ「え?」

リール「ようやく会えたので…離れたくないです…」

エレナ「…はぁ、分かったわよ」

リール「よかった…」

エレナ「行くわよ」

 

スタスタスタ

エレナ、リール、魔女さんはある場所に向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

場所…第四層 深淵 祭壇奥

 

リール「あ、あの…エレナさん…」

エレナ「何?」

リール「私たちは今どこに向かっているのでしょうか」

エレナ「祭壇奥よ。そこにあなたの母親がいる」

リール「!!」

 

リールはその言葉に反応した。

 

リール (私の…お母さん…)

 

リールはどんな人なのかが気になって仕方がなかった。

 

エレナ「…着いたわよ」

リール「!?」

 

エレナが案内した場所は少しの足場があるだけの空間だった。その空間が最も嫌な気配を放っていた。

 

リール「あの…私のお母さんは…」

エレナ「…あれよ」

リール「え…」

 

リールはエレナが指さした方を見た。するとそこには巨大な黒い何かが多数の鎖や結界によって封印されていた。

 

リール「こ…これは…」

エレナ「これが禍異者。つまり、ドレインの王様ね」

リール「禍異者…ドレインの…王…」

エレナ「あなたの母親はこの黒いやつの額にいるわ」

リール「!!」

 

リールはすぐに気づいた。その大きな黒い何かの額に人間のようなものがあった。その人はその大きな黒い何かによって取り込まれており、とても話せるような状態ではなかった。

 

リール「これが…私の…お母さん…」

エレナ「そう。あれがあなたの母親よ」

リール「そんな…でも…」

エレナ「あなたの母親も元はあなたと同じ人間よ。でも禁忌に触れた償いでこうなっている。…禍異者に体を取り込まれてね」

リール「そんな…」

魔女さん「…」

リール「…エレナさん」

エレナ「ん?」

リール「私は…どうすれば…」

エレナ「…あれを殺すのよ」

リール「!?」

エレナ「あれがいる限りこの世界は救われないわ。諸悪の根源を絶たない限りね」

リール「っ…」

魔女さん「…」

リール「…私に…お母さんを殺せと…そういうことですか」

エレナ「…そうよ」

リール「っ…」

 

リールはズキッと心にきた。

 

リール「…嫌です」

エレナ「…はぁ!?」

リール「嫌です!!」

エレナ「な、何でよ!あなた そのためにここに来たんでしょ!?」

リール「そうですけど…」

エレナ「なら早く殺らないと!」

リール「でもお母さんは殺せないです!!」

エレナ「な…」

リール「私のたった1人のお母さんを私が殺すなんて…嫌ですよ…」

エレナ (マズイ…あれを殺せるのはこの子だけ…ここでこの子が殺さないとなると…)

リール「私は殺しません。絶対に…」

エレナ (くっ…予定が狂ったわ…)

 

ガシャン!!ガシャン!!ガシャン!!

突然大きな音が響いた。

 

禍異者「アァァァァァァァァァ!!」

リール「!」

エレナ「!!」

 

リールたちが音の方を見ると、禍異者が鎖を引きちぎろうとしていた。

 

禍異者「キオッタァァァァァァァ!!マチワビタゾォォォォォォ!!ヨコセェェェェェェ!!トキサダメノコナヲヨコセェェェェェェ!!」

 

ガシャン!!ガシャン!!ガシャン!!ガシャン!!

禍異者は結界の中で暴れていた。

 

禍異者「カハハハハハハハハハハハ!!!」

 

禍異者は笑いながら鎖をちぎろうとしていた。

 

禍異者「カハハハハハ!!モウスコシダァァァァァ!!」

 

ガシャン!!ガシャン!!ガシャン!!ガシャン!!

その鎖は今にもちぎれそうになっていた。

 

リール「あっ…あ…」

エレナ「リール!!」

魔女さん「…」

エレナ「早く!!」

リール「っ!!」

 

リールは杖を取り出して魔法を使おうとした。

 

禍異者「カァァァァァァァァァァ!!」

 

バリン!バリン!バリン!ドゴン!

すると結界内の鎖がちぎれ、結界も砕けてしまった。

 

禍異者「アァァァァカカカカカカカカカカ!!」

 

リール「!!」

エレナ「!!」

魔女さん「…」

 

禍異者「カハハハハハハハハハ!!」

 

とうとう禍異者が結界の中から出てきてしまった。

 

禍異者「オォ…カミヨ…ワタシニチカラヲ…チカラヲ!!」

 

ビリビリビリビリビリビリ!!

すると禍異者の周囲に妙な気配が多数出現した。

 

エレナ「ドレインよ!」

リール「!」

 

そう。その正体はドレインだった。出てきたドレインは大きいものから小さいものまで様々で数も多かった。

 

禍異者「ヨコセェェェェェェ!!トキサダメノコナァァァァァァ!!」

 

リール「お母…さん…」

 

スッ…

 

リール「!」

 

エレナがリールの肩に触れた。

 

リール「エレナさん…」

エレナ「…殺るわよ」

リール「!」

 

エレナの顔がいつにもなく真剣だった。

 

エレナ「…容赦しないこと。ここで手を抜けば外の人たちが死ぬわ。…覚悟を決めなさい。…母親を助けたいならね」

リール「っ…」

 

リールは杖を握りしめた。

 

リール「…はい」

エレナ「さぁ、殺るわよ!」

 

こうしてエレナとリールは禍異者とドレインを倒すことにした。




〜物語メモ〜

輪邪神 メア
第三層と第四層を繋ぐ扉を守っている者。基本中立的な立場で争いを好まない。ただただ命令されたことをこなすような人。

これにて
「私、魔女さんに拾われました。 ー深淵編ー 」
が終了しました。

次回は
「私、魔女さんに拾われました。 ー決戦編ー 」
になります。

最後まで読んで頂けたら幸いです。
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