私の名前はリール。
今深淵にいます。
あの大きな禍異者は私が知らない間に消えていました。
何が起こっていたのかは分かりませんが、これでスカーレットやアンナのいる世界にドレインが現れることはなくなったと思います。
それから魔女さんが私のところに来てくれました。
魔女さんは何も言いませんでしたが、ずっと私の方を見ていました。
すると魔女さんが急にエレナさんの手に何かあると仰ったので私がエレナさんの手を見ると小さな光の粒がありました。
魔女さん曰く、魔粒子?というものだそうです。
私がその魔粒子を手に取るとエレナさんの過去の記憶や魔法、魔導書…そして禁忌について知ることができました。
魔女さんはエレナさんが使っていた魔法を使えるようになっていると仰ってましたが、本当なのでしょうか…。
私があのエレナさんのような魔法を使えるのでしょうか。
不安でしかありません。
それから少し話しているととてつもなく大きな気配がそこに現れました。
そこには女性が1人だけでしたが、私とは比べ物にならないくらいの魔力を持っていました。
何やら魔女さんと面識があるらしく、魔女さんはその人と何か話していました。
あまり話の内容は分からなかったんですが、何やら戦う雰囲気になっています。
もし何かあったら私も加勢できるように準備しておこうと思います。
魔女さん「っ…」
禍異者「…いきますよ」
バッ!
禍異者は魔女さんに掌を見せた。
禍異者「あなたなら何をするのか分かるはずですよ」
グッ!
すると禍異者は拳を握った。
ブゥン!ブゥン!ブゥン!
すると魔女さんの周囲に目に見えない丸い空間が出現した。
魔女さん「…」
魔女さんは周囲を警戒していた。しかし魔女さんには周囲の丸い空間は見えていなかった。
禍異者「 "圧" 」
ドシン!!
すると魔女さんの周囲にあった丸い空間が一斉に魔女さんを押し潰した。
魔女さん「がっ…」
魔女さんは突然の攻撃に驚いて反応が遅れた。魔女さんは何も出来ないまま周囲の丸い空間に押し潰されていた。
魔女さん「こ…のっ…」
魔女さんは何とか脱出しようとしたが、目に見えないためどうすればいいか分からなかった。
禍異者「あら、あなたはこの人の友人なんですよね?だったらこの魔法も知ってるはず。…なのに何故今驚いているのでしょうか」
魔女さん「あっ…がっ…」
魔女さんは周囲の圧力が強すぎて言葉が出なかった。
禍異者「…まぁいいです。この程度のことも知らなかったなんて思いもよりませんでしたが、それだと好都合ですね。これから使う魔法も全て知らなさそうですし」
スッ…
禍異者は不思議な手の形を作った。
魔女さん「!?」
魔女さんはその手の形に見覚えがあった。禍異者が作った手は薬指と親指をくっつけたものだった。両手ともに同じで右手は指先が上を向き、左手は指先が下を向いていた。
魔女さん「マズイ…」
魔女さんはその手の形に見覚えがあったからか、一瞬で危機感に襲われた。
魔女さん「今すぐここから出ないと…なんとかして…」
魔女さんは必死に脱出しようとした。しかし形を持たない空間のため、対処のしようがなかった。
禍異者「ではいきますよ」
ブゥン…
すると禍異者の手の前に魔力が溜まり始めた。
禍異者「最近知ったんですよ。この人の魔法について。どれもとてもすごい魔法ですよ。それを知ってから誰かに使ってみたいと思っていたんですよ。でも生憎体の自由がきかなかったから魔法が使えなかったんですよね」
キィン!!
魔力が溜まり終えた。
禍異者「さ、いきますよ。特大の魔法を受けてください」
シュゥゥゥゥゥゥゥ!!
魔力が急激に膨張した。
禍異者「
ドォォォォォォォォォォン!
するとその魔力が大きな気弾となって魔女さんの方へ飛んだ。
魔女さん「!!」
その間魔女さんは必死に脱出しようとしたが、魔女さんが気づいた時には禍異者の魔法が目の前にあった。
バゴォォォォォォン!!
その瞬間、とてつもない爆発と音が周囲に響いた。
ビュォォォォォォォォ!!
それと同時に爆風が周囲に広がった。
リール「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
リールはその爆風で吹き飛ばされてしまった。
ズサァァァァァァァ!!
リールは結構距離を離されてしまった。
リール「す…すごい…なんですかあの魔法は…」
禍異者「…」
禍異者は魔女さんの方を見ていた。
禍異者「…やはりあなたはすごいですね」
魔女さん「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
魔女さんは先程の魔法を受けてなお立っていた。
禍異者「あの魔法、この人の中で2番目に強い魔法なんですが、それでも耐えますか」
魔女さん「舐めないでください…これでも私は…リノの友人ですよ…」
禍異者「…そんなの知りませんよ。結局あなたがこの場に立っているとなると最大魔力をぶつけるくらいしないと死なないってことですよね」
魔女さん「はぁっ…はぁっ…いきなり魔力を大きく削る魔法を使うあたりあなたは私たちのことをよく知らないと思いますよ」
禍異者「…何を言っているのですか?」
スッ…
魔女さんはゆっくり立ち上がり、人差し指を禍異者に向けた。
禍異者「?」
魔女さん「私たちはここから動かなくてもある程度ダメージを与えることができるんですよ」
ツンツン…ツンツン…
魔女さんはその人差し指を4回突き出した。
ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!
禍異者「!?」
すると突然禍異者の腹に4発の打撃が入った。
禍異者「がっ…」
ドサッ…
禍異者は突然来た攻撃に驚いていた。しかもその攻撃が思いのほか強く、禍異者は膝を着いてしまった。
禍異者「はぁ…はぁ…何…今の…」
魔女さん「私はこれでも魔法の扱いには長けているんですよ。全属性のね」
禍異者「ぜ…全属性…」
魔女さん「全属性の魔法を使えるのはこの世界では私だけ。あなたですら不可能のはずですよ」
禍異者「っ…」
そう。魔女さんは全属性魔法に適性があった。故に使用する魔法も全て全属性魔法由来のもので各々の属性魔法を使い分けることはしない。ただし、一番得意な闇属性魔法だけは個別の属性魔法として使うことはある。
魔女さん「そして今の魔法は無属性魔法。私が使う次元魔法の1つ」
禍異者「次元…魔法…」
魔女さん「そう。この世界に存在する無属性魔法のうち、次元魔法と呼ばれるものだけ11種類も存在します。そのうち私は第1次元魔法を使います。あらゆるものに "点" を与え、あらゆるものに "線" を引く。これが私の次元魔法です。先程の打撃は私があなたに "点" を与えたために起こった現象です」
禍異者「そう…あなたってほんとつくづくチートだと思いますよ」
魔女さん「…昔から言われてますよ」
禍異者「…あなたも私と同じで最初から高威力の魔法を使うんですね。これだとどちらの体が持つか分かりませんよ」
魔女さん「…私はただ友人を救いたいだけです。そのためなら私はこの身を削りますよ」
禍異者「…人間特有の感情ですね」
魔女さん「…」
禍異者「虫唾が走ります。汚い。反吐が出ます。そういった感情があるから人間は前へ進むことが出来ない。誰かのために不完全な自分が助けになろうとするとかえって事態を悪化させる。だったら完全な自分になってから助けた方がいいですよね」
魔女さんは静かに話を聞いた。そして答えた。
魔女さん「…だからあなた方ドレインは一向に人間に勝てないんですよ」
禍異者「何…」
魔女さん「人はあなた方と違って誰にでも手を差し伸べることができます。ですがあなた方はどうでしょうか。自分が成長することを優先し、他者を蹴落とし、見捨てているのではないですか?」
禍異者「…」
魔女さん「だから今もあなたは "独り" なんですよ」
禍異者「!!」
魔女さん「いい加減気づいた方がいいですよ。成長しきったあなたが辿った末路。最終地点はただの孤独ですよ」
禍異者「うるさい!!」
魔女さん「うるさくありません。本当のことでしょう?」
禍異者「うるさい!うるさい!うるさい!!」
バリバリバリバリバリ!!
周囲に電気が走った。
リール「!?」
リールは突然のことに驚いていた。
魔女さん「…」
禍異者「だったら見せてあげましょう…。成長しきった私の末路。いや、私の得た魔力を!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
突然地面が揺れ始めた。
禍異者「私を甘く見たあなたのせいよ。死んで自分を後悔しなさい」
ジジジ…バリバリバリバリ!!
禍異者の周囲に電気が走った。
魔女さん「…だからダメなんですよ。あなたが私たちに勝てない理由は "あなたが得た知識だけを頼りに動いているから" ですよ。自分を強くしたいなら先人から学びなさい。でないとあなたは一生自分の知識に囚われてしまいますよ」
禍異者「あなたに指図される覚えはありません!!」
ジャララララララ!!ガシャン!!
禍異者「!?」
突然どこからともなく鎖が出現し、禍異者を拘束した。
禍異者「な…何これ…」
シュゥゥゥゥゥゥゥ…
するとその鎖は禍異者の魔力を吸収し始めた。
禍異者「がっ…何…」
魔女さん「それは
禍異者「な…」
魔女さん「あなたを封印していた柱がようやく起動したようですね。助かりました」
禍異者「この…私を…」
魔女さん「この魔法は一定魔力を感知することで発動する仕組みになっています。あなたが先程増幅させた魔力に反応して魔法が起動したんですよね」
禍異者「くっ…」
魔女さん「もうあなたは身動きが取れないはずです」
禍異者「この私の……この私の邪魔をするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドゴォォォォォォォォン!!
禍異者は周囲に魔力を拡散させた。
リール「わっ!!」
リールはその魔力によって少し後退させられた。
バリバリバリバリ!!
禍異者の魔力はさらに拡散する。
禍異者「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ギリギリギリギリ…
禍異者は鎖を引きちぎろうとした。
魔女さん「…」
禍異者「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
地面が激しく揺れ始めた。
リール「わわっ!」
ドシン!
リールは尻もちをついた。
禍異者「邪魔ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ギュォォォォォォォ!!
禍異者は拡散させた魔力を一気に圧縮させた。
禍異者「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
バゴォォォォォォン!
禍異者は圧縮させた魔力を解き放った。その魔力は深淵全体に響き、更に地面を揺るがす。
リール「な…何ですかこの魔力…」
リールは異次元な魔力に驚いていた。
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場所…深淵 祭壇
バゴォォォォォォン!
禍異者の魔力は祭壇にも響いてきた。
バキッ!バキバキッ!
祭壇には10本の柱があった。それは禍異者を封印するためのものだが、エレナが2つ破壊したせいで元々12本だったものが10本となっていた。そして、その柱にヒビが入ってしまった。
バキバキバキッ!!
柱にはどんどんヒビが入っていく。
バキッ!!
すると10本の柱がついに折れてしまった。同じ衝撃を同じタイミングで受けてしまったため、全て一気に破壊されてしまった。
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場所…アースの部屋
アース「…リールさん。あなたなら…きっと…」
アースは窓の外を見ていた。
ドクンッ!!
アース「!!」
すると突然アースの体に異変が生じた。
アース「な…なんだ…いま…」
ブシャッ!!
すると突然アースの胸元から血が溢れ出した。
アース「がっ…」
ドサッ!!
アースはその衝撃で地面に倒れ込んだ。
アース「な…なぜ…突然…」
アースは薄れゆく意識の中、ある事を考えた。
アース「ま…まさか…柱が…」
そうしてアースは意識を失った。
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場所…ナヴィア王国
執事「ウレイ様。例の水質問題についてなのですが」
ウレイ「はい」
執事「ウレイ様の魔法のおかげで水質は徐々に戻りつつあります」
ウレイ「そうですか。それは良かったです」
執事「これもウレイ様のおかげです。ありがとうございます」
ウレイ「いいえ。王女としてこれくらいの事はあたりま」
ドクンッ!!
ウレイ「!?」
突然ウレイの体に異変が生じた。
執事「ウレイ様?」
ウレイ「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
ウレイは肩で息をし始めた。
執事「ウレイ様?どうなされま」
ブシャッ!!
突然ウレイの胸元から血が溢れ出した。
ウレイ「ごふっ…」
ウレイは口からも血を吐いた。
ドサッ!
そしてウレイはその場に倒れ込んだ。
執事「ウレイ様!?ウレイ様!!」
執事がウレイに駆け寄る。
執事「ウレイ様!!しっかりしてください!!ウレイ様!!」
しかしウレイは目を開けなかった。
執事「誰か!!誰かいませんか!!ウレイ様が!ウレイ様がお倒れになられました!!誰か来てください!!」
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場所…モルドレッド王国
セレナ「…」
セレナは部屋で黙々と書類を仕上げていた。
セレナ (これが終わったらベッドで横になる。これが終わったらベッドで横になる。これが終わったらベッドで横になる…)
セレナはそう考えながら淡々と書類を片付けていた。
セレナ「はぁぁぁぁっ!!終わったぁぁぁぁぁぁ!!」
セレナは終わったと同時に立ち上がってベッドに向かった。
セレナ「はぁぁっ…やっぱりこの仕事は疲れる…」
ドクンッ!!
セレナ「…!」
セレナはなにか異変に気づいた。
セレナ「何…今の…」
ブシャッ!!
突然セレナの胸元から血が溢れ出した。
セレナ「かはっ…」
セレナは突然の事で驚いていた。
セレナ「なんで…血が…」
セレナは何が起こったのか分からなかった。
セレナ「この量…マズイ…誰かに連絡しないと…」
コツ…コツ…コツ…
セレナはゆっくりと自分の机に向かった。
セレナ「もう少し…もう…少…し…」
バタッ!
セレナはあと少しのところで倒れてしまった。
セレナ (お願い…誰か…来て…)
セレナはそのまま意識を失ってしまった。
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場所…スペルビア王国
ジン「マーク」
マーク「何?」
ジン「…このままだとまたドレインが来るかもしれん。だから杖と箒をある分だけ作らないか?」
マーク「!」
ジン「自分の身を守るため。誰かを助けるためにな」
マーク「…あぁ。分かった。作ろう」
ジン「よしっ…さっそく作り始め」
ドクンッ!!
ジン「!」
マーク「!」
ジンとマークは何か異変に気づいた。
ジン「…マーク。今の…」
マーク「あぁ。感じたよ。…なんだろう…今のは」
ジン「わからない…何か嫌な予感がしてき」
ブシャッ!!
ジン「!?」
マーク「!?」
すると突然ジンとマークの胸元から血が溢れ出した。
ジン「ごっ…」
マーク「ぐふっ…」
ドサッ!!
ジンとマークは膝を着いた。
ジン「これは…」
マーク「なんで…心臓が…」
ジン「…ダメだ…ここにはスカーレットたちはいない…何とか…何とかしないと…」
マーク「ジン…私はもう…ダメだ…」
バタッ…
マークはその場に倒れてしまった。
ジン「マーク…クソッ…ここまで…か…」
バタッ…
ジンもその場に倒れてしまった。
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場所…天空殿
ヒュー「なぁアルレルト。この場所にももうひとつ作らないか?」
アルレルト「作るって何を」
ヒュー「何ってそりゃあ抜け道だよ」
アルレルト「抜け道?」
ヒュー「そう。何かあった時に別の場所に逃げたり誰かにすばやく連絡できるようになったら良くない?」
アルレルト「まぁそれはそうだが…」
ヒュー「な!作ってくれよ!なぁなぁ!!」
アルレルト「はぁ…分かったよ。じゃあ一応伝えてみるよ」
ヒュー「サンキュー!」
アルレルト「はぁ全く…お前のワガママには困ったもんだぜ。少しくらいは遠慮ってものを…」
ドサッ…
突然ヒューがその場に倒れ込んだ。
アルレルト「…ヒュー?」
ヒュー「…」
アルレルト「お、おいヒュー?何してんだ?床は汚いんだから寝転ぶな…よ…」
アルレルトは冗談かと思っていたが、ヒューから血が流れていることに気づいた。
アルレルト「ヒュー!!おい!誰か来てくれ!!ヒューが!!ヒューが!!」
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場所…大獄門
フレイ「…」
アデス「なぁフレイ。少しは休んだらどうだ?22時間も立ってたらしんどいだろ?」
フレイ「…問題ない」
アデス「フレイはそうかもしれないだろうけど心配だぜ」
フレイ「…気にするな」
アデス「…そう?まぁ何かあったら言いな。俺が代わりに仕事してやっからよ」
フレイ「…そんな日はいつになっても来ないか」
ドクンッ!!
フレイ「!」
フレイは何か異変に気づいた。
フレイ (なんだ…今のは…心臓が握りつぶされるような感覚だな…)
アデス「フレイ?」
フレイ「…なんでもな」
ブシャッ!!
フレイ「!」
アデス「!?」
突然フレイの胸元から血が溢れ出した。
フレイ「がっ…」
アデス「フレイ!」
ドサッ!!
フレイはその場に倒れ込んだ。
フレイ「なんだ…これは…」
アデス「フレイ!」
アデスはすぐに駆け寄った。
アデス「フレイ!しっかりしろ!!」
フレイ「…大丈夫だ。…まだ意識はある…」
アデス「な、なんで急に…」
フレイ「分からねぇ…だが…マズイ…」
アデス「フレイ!」
フレイ「すまねぇ…アデス…仕事…頼む…」
フレイは目を閉じてしまった。
アデス「フレイ!フレイ!!」
アデスは叫んだ。しかしフレイが目を覚ますことは無かった。
アデス「クソッ…ふざけやがって…」
ピピッ!
アデスは総括者に通信した。
アデス「こちら大獄門!!フレイが胸から出血して意識不明!!至急援護を頼む!!」
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場所…サージェル王国
モール「…大地の力よ…私たちの国をお守りください…」
シュゥゥゥゥゥゥゥ…
モールは大地の力を使って国を結界で覆った。
モール「…ふぅ」
付き人「モール様。お疲れ様です」
モール「あぁ。ありがとう」
付き人「この後のご予定はございませんのでゆっくりとお休みください」
モール「ではそうさせてもらうよ。あ、あと…」
付き人「分かってますよ。お蕎麦が食べたいんですよね」
モール「…頼む」
付き人「はい。伝えておきますね」
モール「あぁ」
スタスタスタ
モールは部屋に戻った。
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場所…サージェル王国 モールの部屋
ドサッ…
モールはベッドに腰掛けた。
モール「…ふぅ」
モールは一息つくと自分の机に移動した。
モール「…」
カタッ…
そして机の上に置いてあった写真立てを手に取った。
モール「…」
その写真にはモールを含めた5人の人たちが映っていた。
モール「…懐かしい。またみんなでご飯を食べたいものです」
カタッ…
モールはその写真立てを置いた。
モール「…」
ドクンッ!!
モール「!」
モールは異変に気づいた。
モール「なんだ…今の感覚…初めて感じ」
ブシャッ!!
モール「!?」
突然モールの胸元から血が溢れ出した。
モール「な…なんで…血が…ごふっ!」
モールは口からも血を吐いた。
モール「ぐっ…なんで…なんでだ…」
モールは立ち上がって誰かに連絡を取ろうとした。
ガタッ!バタッ!!
だが机に体が引っかかってしまい、そのまま床に倒れてしまった。
モール「ぐっ…」
モールは痛みに悶えていた。
モール「クソッ…このままじゃ…意識が…」
モールはそのまま意識を失ってしまった。
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場所…大気圏
ドクンッ!!
ミィ「!」
ミィは異変に気づいた。
ミィ「何?今の」
ブシャッ!!
ミィ「かっ…」
突然ミィの胸元から血が溢れ出した。
ミィ「なんで…血が…」
ミィは突然の事で驚いていた。
ミィ「こんなこと今まで無かった…一体何が…」
ミィの意識が段々と薄れてきた。
ミィ「あ…何だか…眠く…なってきた…」
フワッ…
ミィはそのまま眠ってしまった。
ヒュゥゥゥゥゥゥ!!
するとミィの体が重力に引っ張られて地面に落ちていった。
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場所…深淵
禍異者「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
バキンッ!!バキンッ!!バキンッ!!
禍異者は鎖を引きちぎった。
禍異者「はぁ、これで邪魔なものは消えましたね」
魔女さん「っ…」
禍異者は魔女さんを睨んだ。
禍異者「…これで全力で戦えます。覚悟してくださいね」
魔女さん「くっ…」
〜物語メモ〜
光が導く最良の一手
(サーフェス・ロミオ・カタラルト)
禍異者が使った魔法。元々リノが使っていた魔法だが、禍異者はリノを取り込んでいるため、リノの魔法も使うことが出来る。この魔法は特定の手の形を作ることで大きな魔力を消費して魔法を放つことができる。魔力の消費は激しいが、その分威力は高い。
第1次元魔法
魔女さんが使う次元魔法。次元魔法は11種類存在し、リールたちが使っていた軌道変換(パラティガ)もその1つ。魔女さんの次元魔法は軌道変換(パラティガ)の他に相手に "点" を与えるのと相手に "線" を引くことができる第1次元魔法。
最初に第1次元魔法を見せたのは「第28話 リールと魔女さんの魔法」でその時はゴーラとマーモに使っていたが、今回は禍異者に使った。
第1次元魔法の効果は相手に "点" を与えることと相手に "線" を引くこと。
相手に "点" を与える方は相手に向かって指を突き出すことで打撃を与えることが出来る魔法。実際は打撃と言うよりか魔力を固めたものをぶつけているだけだがその威力が魔法特有のものでは無いことから打撃を与えているということになっている。
相手に "線" を引く方は対象物に指を向けて指を上下左右に動かすことで相手を強制的にその方向へ動かす魔法。他の魔法による妨害は一切受け付けず、一方的に魔法の効果を押し付けることが出来る。かつてゴーラがこの魔法を受けたが、ゴーラですら何も出来なかった。
柱
深淵に封印されていた禍異者は12本の柱によって動きを封じられていた。しかしエレナがそのうちの2本を破壊したことで封印の力が弱まり、禍異者がその封印を破ってしまった。しかしこの柱は一定量の魔力を感知すると魔法が発動する仕組みになっており、禍異者の魔法に反応した柱が天の鎖(エルキドゥ)を使って禍異者を拘束した。
しかしその後に禍異者が魔力を解き放ったことでその柱が全て破壊されてしまい、禍異者を封印していた力が完全に無くなってしまった。
ウレイの執事
ナヴィア王国の王女 ウレイの身の回りの世話をする者。国の運営やウレイの健康管理を担っており、何かあるとすぐに駆けつけるようになっている。しかし、今回はウレイの胸元から出血するという異例な事態が起こってしまい、執事も慌てふためいていた。
アルレルト
天空殿に住む十二使徒 ヒューの友人。物作りのエキスパートでヒューとはずっと一緒にいる。大抵ヒューのワガママで物を作っているが、作った物は全て1級品で長持ちもする。物を作るとなると大体アルレルトに任せておけば良いという風潮がある。
アデス
大獄門にいるフレイの仕事仲間。フレイと比べてフレンドリーでよく話をする。仕事は真面目にするしフレイの事も心配したりしているが、いかんせん仕事中のお話が多いせいでチャラいという印象を持たれている。だが本人は至って真面目な性格でただお話好きなだけ。
モールの付き人
モールの仕事や生活をサポートする人。モールの事をなんでも知っており、モールはこの付き人の事を有能な人と評価している。実際モールは蕎麦が好きで、何度も聞いているうちに蕎麦が食べたいタイミングが分かってしまい、モールが全て言わなくても伝わるようになった。