私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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第67話 リノとリールの戦い

私の名前はリール。

今深淵にいます。

…私は今酷く怒っています。

目の前に立っている命を粗末に扱うこの人に対して怒っています。

人であれ、動物であれ、命は1人1つ。

亡くなればそこで終わり、たとえ蘇ったとしても以前の記憶はない。

記憶が無いままこの世界に誕生する。

…まるで、初めてこの世界に生まれたかのように。

私は今までドレインをやっつけてきました。

命の点で見れば私も命を奪っていることには変わりません。

それは否定できませんが、命が続くからという理由で人を痛ぶるのは違うと思います。

強い人は弱い人を守るべきです。

弱い人は強い人に守られながら強くなるべきです。

弱かった人は強くなれば他の弱い人を守るべきです。

そういう風になればいいと思っています。

ただ強い人が弱い人を力あるまま攻撃するのは良くないです。

…そんな怖い世界はもう嫌です。

助け合いができるそんな世界に生まれたかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リール「…」

リノ「…」

 

両者睨み合う。

 

リノ「っ…」

 

ピュン!ドゴォン!

リノは魔法を放った。だがリールは無傷だった。

 

リール「…」

リノ (何故この人には魔法が効かないの…今までそんなことは無かった…何故…何故…)

リール「…光玉(ライダラ)

 

ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!

リールは光属性の弾型の魔法を放った。

 

リノ「!」

 

キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!

リノは咄嗟に結界を展開して自分を守った。

 

ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!

リールは絶え間なく魔法を放ち続ける。

 

リノ (この子…いつまで魔法を撃ち続けるの…このままだと魔力切れを起こすわよ…)

 

キィン!キィン!キィン!キィン!キィン!

リノは結界を展開し続けた。

 

ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!

リールも負けじと魔法を放ち続ける。

 

リール「…光爆(エレノア)

 

バゴォォォォォォン!!

リールは突然魔法を変えた。

 

バリィィィィン!!

するとリノの結界が粉々に砕けた。

 

リノ「!?」

リール「天の鎖(エルキドゥ)

 

ジャララララララ!ガシャン!!

リールはすかさずリノを拘束した。

 

リノ「な…この魔法は…天の鎖(エルキドゥ)…」

リール「…」

リノ「!!」

 

リノがリールの方を見るとリールが何やら魔力を溜めていた。

 

リノ (何…あの子の魔力…相当膨れ上がっているわ…)

リール「エレナさん。あなたの魔法…使わせていただきます」

 

ブゥン…ブゥン…ブゥン…ブゥン…

するとリールの周囲に結界が複数展開された。

 

リール (頭の中に流れてくる…エレナさんの魔法の全てが…)

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

すると周囲の結界たちが共鳴し始めた。

 

リール「…ラストオーダー」

 

キィン!!キィン!!キィン!!キィン!!

すると周囲の魔法陣が光り出した。

 

リール「極大魔力消滅魔法(マギ・オートマタ・ソル・ディメンション)

 

ビリビリビリビリビリビリ!!

すると周囲の魔法陣が各属性魔法の色になった。

 

リール「…チェックメイト」

 

キィン!バゴォォォォォォン!!

そしてリールは魔法を放った。

 

リノ (くっ…離れない!何故あの子が天の鎖(エルキドゥ)を使えるのよ!このままじゃ…)

 

リノがリールの方を見ると、目の前にはリールが放った魔法があった。

 

リノ「!?」

 

バゴォォォォォォン!!

リールの魔法は見事リノに命中した。

 

リール「…」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ…

辺りに煙が立ち込める。

 

バキィン!!バキィン!!バキィン!!

突然何かが引きちぎられるような音が聞こえた。

 

リノ「…よくもやってくれたわね。あなた」

 

スタスタスタ

その正体はリノが天の鎖(エルキドゥ)を破壊した音だった。

 

リノ「…あなたがあの魔法を使うなんて思ってなかったわ」

リール「…」

リノ「でももうその魔法は使えない。たった1度の魔法」

リール「…別にいいです」

リノ「…」

リール「私には他にも使える魔法があるので」

リノ「…そ。まぁ別にいいでしょう。…あと」

 

ビュン!

リノは一瞬にしてリールの目の前に立った。

 

リノ「あなたに魔法が当たらない理由が分かったわ」

 

ヒュッ!ブチッ!

リノは素早くリールの胸元に手を入れて何かを取りだした。

 

リノ「…やっぱりね」

 

リノの手には刻運命の粉が握られていた。

 

リール「!」

リノ「あなたが魔法を使う時に少し見えたのよ。この片鱗が」

リール「…」

 

ヒュッ!

リノはその場から離れた。

 

リノ「これであなたに攻撃が当たるわね」

リール「…」

 

リールは内心焦っていた。

 

リノ「ちなみにあなた。この効果は知ってる?」

リール「…」

リノ「これはね、物体を透過する効果を持つ刻運命の粉なの」

リール「!」

リノ「あらゆる魔法を受け付けなくなるような効果よ。光属性魔法に反応すれば瞬時にその効果がもたらされる。最初は分からなかったけど今ではもう脅威ではない」

 

スッ…

リノはリールに指を向けた。

 

リノ「あなたの負けよ。魔女さん」

リール「…」

リノ「降参する?それとも…死ぬ?」

リール「…まだ負けてない」

リノ「?」

リール「まだ負けてないです!!」

 

スッ!

リールはリノに杖を向けた。

 

リール「天の光(リレミト)!」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ!

するとリノの頭上に光が降り注いだ。

 

リノ「…天の光(リレミト)。私が考案した相手を浄化する魔法ね。でも残念。この魔法は同属性には効果がないのよ」

リール「!?」

 

ビュン!

リノは一瞬でその場から消えた。

 

リノ「光弾(ライト・バレット)

 

ドカン!ドカン!ドカン!ドカン!

リールは魔法に被弾した。

 

リール「がっ…」

リノ「まだよ。光の槍(ホーリー・ランス)

 

ビュン!バゴォォォォォォン!!

リノは光で槍を生成してリールに向けて放った。

 

リール「ぅっ…」

 

リールはまた魔法に被弾してしまった。

 

ドサッ…

リールは力なくその場に倒れてしまった。

 

リノ「え?まさかもう終わり?まだ2つしか魔法使ってないんだけど…」

リール「ゲホッ…ゲホッ…」

 

リールは大ダメージを負っていた。

 

リノ「まさかね。あんなに余裕そうな表情だったのに。こんなものとはね。ただ刻運命の粉が強すぎただけね」

リール「まだ…です…」

リノ「…」

リール「まだ…戦え…ます…」

 

ザッ…

リールはゆっくり立ち上がった。

 

リノ「…そんなフラフラな状態で何ができるのよ」

リール「私は…みんなを守る…って…約束しましたから」

リノ「…あらそう。残念ね。その約束は果たせなそうよ」

 

スッ…

リノはリールに掌を向けた。

 

リノ「…威光(バラノア)

 

ドゴォォォォォォォン!!

リノが魔法を使った瞬間、リールの足元が爆発した。

 

リール「ああああああああああああ!!」

 

リールは大ダメージを受けた。

 

リール「あっ…が…」

 

ドサッ…

リールはその場に倒れてしまった。

 

リノ「…」

 

リノは倒れたリールを見ていた。

 

リノ「…」

 

ザッ…ザッ…ザッ…

リノはリールの所まで歩いた。

 

ザッ…

リノはリールの近くまで来て足を止めた。

 

リノ「…あなた。まだ生きてるのね」

リール「ぅっ…ぁっ…」

 

リールは小さな声で唸っていた。

 

リノ「…流石はこの宿主の娘ね。魔力は1級品かしら?」

 

スッ…

リールはゆっくりと顔を動かした。

 

リール「まだ…負けて…ない…」

リノ「いえ、あなたは負けたのよ」

リール「まだ…です…」

 

ジリッ…

リールはゆっくりと腕と足を動かした。

 

リノ「…しつこいわね。あなた」

リール「!!」

 

その時リールは右手の薬指につけていた指輪が目に入った。

 

リール (オード…君…)

 

ジリッ…

リールはゆっくりと体を起こして地面に座った。

 

リール (スカーレット…アンナ…)

 

ギュッ…

リールは指輪を優しく握った。

 

リール「まだ…負けてないです…まだ…」

リノ「…」

 

スッ…

リールは何を思ったか、指輪を右手の薬指から中指に付け替えた。

 

リール (確か…右手の中指は…)

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ!!!

するとリールの指輪が光り出した。

 

リノ「な!」

 

バゴォォォォォォン!!

するとその瞬間、リノは強い衝撃波によって吹き飛ばされてしまった。

 

ズサァァァァァァァ!!

リノは何とか体勢を立て直した。

 

リノ「な…何…今の…」

リール「…やっぱり…。右手の中指は邪気から身を守る…だった…」

 

リールは指輪から手を離した。

 

リール (でも…こうしたところで私はもう…動けない…)

 

リールはぐったりとした。

 

リノ (…今のは何なの。初めて見た。しかもあんなのあの子の魔力じゃない…)

リール「…」

 

リールは動かなかった。

 

リノ「…ハッタリかしら」

 

シュゥゥゥゥゥゥゥ…

リノは掌に魔力を集めた。

 

リノ「…これで」

 

ビュン!

リノは溜めた魔力をリールに向けて投げつけた。

 

バゴォォォォォォン!!

リノの魔力はリールに当たったのか、爆発した。

 

リノ「…」

 

リノはじっとリールの方を見続ける。

 

リール「…」

 

やがて煙が晴れ、ぐったりしているリールが映った。

 

リノ (…ダメージを受けてない…あの魔力を防いだってこと?)

 

リール「…」

 

キィン!!バゴォォォォォォン!!

するとその瞬間、リールは全く動いてないにも関わらず、勝手にレーザーが放たれた。

 

リノ「!?」

 

バゴォォォォォォン!!

リノは何とかそのレーザーを避けることができた。

 

リノ「な…何よ…今の…」

 

リノはリールを見続けた。しかしリールには何も変化が無かった。

 

リノ「まさか…いやでも…今のあの子じゃそんなことは…」

 

リノは1つの仮説を立てた。

 

リノ「…やってみるしかない」

 

ジジジ…バリバリバリバリ!

リノは再度魔力を溜めた。

 

リノ「…これで」

 

ビュン!バゴォォォォォォン!!

リノは再度溜めた魔力を投げつけた。

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥ…バゴォォォォォォン!!

すると溜めた魔力がさっきと同じように爆発した。

 

リノ「…」

 

辺りに煙が立ち込める。

 

ビュン!バゴォォォォォォン!!

その時、煙の中から光属性魔法が放たれた。

 

リノ (やっぱり!)

 

ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!

リノは何とか光属性魔法を全て避けきった。

 

ザッ…

リノは魔法を避けたあと、地面に着地して考えた。

 

リノ (…やっぱり。あれは反射(リフレクター)ね。相手の魔法を受けた後にそれと同等の威力を持つ魔法を返す技。しかも魔法を受ければ受けるほど自身の体力が回復する優れもの。…こんなの…あの人以外に見たことない…)

リール「…」

 

リールは未だに動かない。

 

リノ「…だとすれば何もしないのが得策か…あるいは自分諸共…」

 

リノは色々と突破法を考えていたが、最終的にある考えにたどり着いた。

 

リノ (…やっぱりあれを破壊するにはあの人だけを殺さないとね)

 

リノはある作戦に出た。

 

リノ (これは自分の体力も削ってしまうけど相手には大ダメージを与えられる…もしかしたらそれであの魔法を突破できるかも…)

 

バリバリバリバリ!

リノの周囲に電気が走った。

 

リノ「うっ!!」

 

リノはダメージを受けた。

 

リノ (くっ…痛い…けど…このくらいなら…耐えられる!!)

 

バリバリバリバリバリバリ!

リノは更に魔力を上昇させた。

 

リノ「これで…鬼箱(パンドラ)!!」

 

ビュォォォォォォォォォォ!!

リノが魔法を放った瞬間、黒い煙のようなものがリールを包み込んだ。

 

リール (あれ…何これ…煙…)

 

ドクン!!

突然リールに異変が生じた。

 

リール「ゴフッ!!」

 

突然リールが吐血した。

 

リール (これ…何で…)

 

リールは胸が締め付けられるような感覚に襲われた。

 

リール (これは…声が…出ない…)

 

リールは痛みに悶えていた。

 

リール (スカーレット…アンナ…ごめん…)

 

バリィィィィン!!

すると突然リールの周囲に展開されていた反射(リフレクター)が破壊された。

 

リノ (…壊れたわね。なら…)

 

ジジジ…バリバリバリバリ!

リノは魔力を溜め始めた。

 

リノ「まだ煙があって見えないけど大体あの中心にいるわね」

 

まだリールの周囲には黒い煙のようなものが立ち込めていた。

 

リノ「死になさい」

 

バゴォォォォォォン!!

リノは溜めた魔力を放った。

 

ビュン!バゴォォォォォォン!!

リノの魔力はリールに直撃した。

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥ…

黒い煙のようなものが晴れてきた。

 

リノ「…」

 

ザッ…

リノはリールの目の前に降り立った。

 

リール「…」

 

リールは血だらけで倒れていた。

 

リノ「…あなた。大分タフね。こんなに魔法を使ったのは久しぶりよ。…でも、敵であるあなたの魔力が欲しくなったわ」

 

スッ…

リノはリールに手を伸ばした。

 

リノ「その魔法。いただくわね」

 

リノの手がリールに触れる瞬間だった。

 

???「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

一際大きな声が深淵に広がった。

 

リノ「?」

 

リノが声のした方を見ると、目の前には炎があった。

 

リノ「!?」

 

バゴォォォォォォン!!

リノはその炎に被弾した。

 

ズサァァァァァァ…

リノは何とか体勢を立て直した。辺りに煙が立ち込める。

 

リノ「…」

???「お前…俺の大事な人に何しやがる…」

 

やがて煙が晴れてきた。

 

リノ「…あなたは」

 

オード「俺の名前はオード!俺はリールの…友達だ!」




〜物語メモ〜

リールが持っていた刻運命の粉
リールが持っていた刻運命の粉は物体を透過する効果を持っている。そのため、リールには魔法の一切が効かない。しかし発動するには光属性魔法を使う必要があり、使わなければその効果も得られない。

威光(バラノア)
リノが使った魔法。使えば相手が爆発する魔法。威力は光属性魔法に由来するため、込める魔力によって威力の増減がある。

反射(リフレクター)
あらゆる魔法を全て受け切り、受けた魔法と同等の威力を持つ魔法で反撃する魔法。受けた魔法は全て回復になり、任意で解除することが可能。しかし、相手が攻撃しなければ反射(リフレクター)を発動していても意味が無い。

鬼箱(パンドラ)
リノが使った魔法。自分に傷をつけることで相手にも同じ傷を与えることが出来る魔法。つまり諸刃の剣。自分がより大きなダメージを受ければその分相手も大ダメージを受ける。
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