わ、私の名前はアンナと言います…。
今、暗い場所にいます。
エレナさんは深淵と仰っていましたが、私たちは初めて見るので本当にここが深淵なのかはよく分かりません。
私たちは少し前にここに着きました。
私はディア君とノーラ君に頼まれてリールのところに来ました。
でもその時にオード君がやられてしまって…。
するとリールが何も言わずに立ち上がったんです。
しかも黄色い光を発していました。
普段のリールとは全然違うので私は少し怖かったです。
でも何を話しても何も返してくれません…。
本気で怒っているのかなって思いました。
…でも、私はリールを止めたくありません。
これは保身のためではなく、私もオード君が目の前でやられて凄く怒っているからです。
それはリールも同じです。
…なのでリールには存分に暴れて欲しいと…思っています。
ヒュォォォォォォォォォォ!
リールの周囲に光の粒が出現した。
リール「…」
リノ「…あなた、その魔力…」
アンナ「リ、リール…」
リール「…」
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場所…リールの心の中
リール「…」
???「あら、また私の力を欲しているの?あなた」
リール「…はい」
リールは???の方を見た。
???「…あなた、私を見るのは初めてね」
リール「…」
リールは頷いた。
レナ「では自己紹介から。私の名前はレナ。あなたのもうひとつの存在。そして、あなたが戦っていたリノという人物の娘よ」
リール「!?」
リールは驚いていた。
レナ「…何も驚く必要は無いわ。私これでも2度か3度はあなたの体で戦ってるから」
リール「私の…体で…」
レナ「そう。厳密には私が勝手に出てきて暴れただけなんだけどね」
リール「なんで…」
レナ「…私とあなたが全く同じ存在だからよ」
リール「…?」
レナ「あなたが思ったことは私も思っている。あなたがしたいと思っていることは私もしたいと思っている。あなたが殺したいと思っているときは私も同じように思っている。私とあなたは同じ存在。あなたが何をしようとしているのかも全て分かる。でも、あなたがすれば不都合なこともある。それを私が代わりにやっているの」
リール「私の…代わり…」
レナ「そう。あなたの代わり」
リール「な…なんで…そんなことを…」
レナ「…さぁね。分からないわ」
リール「…」
レナ「さて、自己紹介は終わったことだし…」
ヒュッ
レナはリールの背後に立った。
レナ「これからどうする?」
リール「!?」
リールは背後から声が聞こえて驚いていた。
レナ「私があの人を殺そうか?それとも、あなたが殺る?」
リール「え…」
レナ「あの人を殺さない限り地上は消えて無くなるわよ?ドレインによって」
リール「!」
レナ「しかもあの人、あなたの魔力を使ってドレインを生み出そうとしてるから」
リール「!?」
レナ「さぁ、どうする?あなたが殺る?それとも…」
リール「ちょ、ちょっと待ってください」
レナ「?」
リール「あなた…あの人の娘だって…娘が親を殺してもいいんですか…」
レナ「親?」
リール「は、はい…」
レナ「…あなたは、あれが親に見えるの?」
リール「え…でも、さっき娘って…」
レナ「うん。言った。でもあなたはあれが親に見えているの?」
リールは答えに戸惑ったが、何とか言った。
リール「え…えっと…見えて…ないです」
レナ「うん。私も見えていない。あの人は親じゃない。親の見た目をしたドレインよ。私の親…いや、あなたの親はもっと善良よ。あんなことしないわ」
リール「え…じゃあ…」
レナ「……今からあいつの中にいるドレインを倒すの。その過程で親を傷つけることは変わりないけどあとで回復させれば問題ないわ」
リール「え…」
レナ「さ、答えて。どっちが殺る?あなた?それとも私?」
リール「え…えっと…それは…」
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場所…深淵
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
突然魔力が膨れ始めた。
リノ「こ、この魔力…」
???「…ふふっ…」
アンナ「リ、リール…」
???「久しぶりねぇ。外に出たのは」
リノ「あなた…まさか…」
???「…久しぶり。
リノ「やっぱり…あなたは…レナ」
レナ「正解。よく分かったね」
リノ「そりゃ分かるわよ。私はあなたの母親よ?」
レナ「…そ、分かった。じゃあお母さん」
リノ「?」
レナ「正解したから今すぐ殺してあげる」
リノ「!!」
パチンッ!!
レナは手を叩いた。
ゴゥン!!
リノの体に突然異変が生じた。
リノ「がっ…何…これ…」
リノは突然体を締め付けられるような感覚に襲われた。
レナ「…やっぱりね」
リノ「!」
レナ「あなたはお母さんじゃない。お母さんの体を借りたただのドレインよ」
リノ「!?」
レナ「その顔とその声で話されると無性にイライラするわ。不愉快だから消えてくれない?」
リノ「レナ…あなた…母親を…」
レナ「…さっきも言ったけどあなたは母親じゃない。ドレインよ」
リノ「っ…」
レナ「この技は光属性魔法には効果がないのよ。でもあなたには効果がある。おかしな話よね。私のお母さんは光属性魔法よ。普通ならこの効果は受けない。でも違った。それが何よりの証拠よ」
リノ「でも…それでドレインって決めつけるのは…」
レナ「十分な証拠よ。現にこの技は…」
レナはリノを指さした。
レナ「あなたを炙り出すための技だもの」
リノ「!」
レナ「さ、出てきなさい。今からあなたをボコボコにしてあげるから」
リノ「くっ…」
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ー回想ー
場所…リールの心の中
リール「え…えっと…それは…」
レナ「…」
リール「っ…お願いします」
レナ「…」
リール「私の友達を…私の大事な人を…私のお母さんを…助けてください」
レナ「…ふふっ。いい答えね」
リール「っ…」
レナ「でもひとつ言っておくわ」
リール「?」
レナ「私が外にいられるのは10分だけ。それ以上はいられない」
リール「え…」
レナ「私はあなたであなたは私なの。この世界に同じ人は1人だけ。2人も存在できないの」
リール「え、でもそれが10分だけと何の関係が…」
レナ「…」
リール「あ、あの…」
レナ「…今のこの世界には私がもう既に存在しているの」
リール「…え?」
レナは後ろを振り返って歩き始めた。
レナ「そのままの意味よ。私と全く同じ存在が既にこの世界にいるの。だから10分だけ。それが限界」
リール「え、でも…あなたは私なのでは…」
レナ「…そう。あなたは私。そして、私はあなた」
リール「…」
レナ「でも、道を外した私がそこにいる。あなたも1度会ったことがあるわ」
リール「え…私が会ったことある人…」
レナ「…グラム。それが名前」
リール「グラム…」
リールは過去に学校を追い出され、魔女さんの家で住んでいたことがあった。その時、ある女性が魔女さんの家に尋ねてきた。彼女はその家を懐かしいと言っていた。リールはその人のことを思い出していた。
リール「え…まさか…あの人…」
レナ「…そう。あの人」
リール「道を外したって…」
レナ「…うん」
リール「じゃあ…」
レナ「…ごめんね。これだけは言えない。すでに君も罪を犯しているから」
リール「え…私が…」
レナ「うん。だからごめんね。言えないの」
リール「私が…どういう罪を…」
レナ「…それは未来で分かる。愚かな私と同じ道を辿っているあなたならね」
リール「えっ…」
シュゥゥゥゥゥゥゥ!
突然レナが光り出した。
リール「わっ!」
レナ「…10分よ。10分経ったら自動的に意識があなたに戻るわ。私はあなたに力を貸すだけ。それだけよ」
リール「待って!!」
レナ「…頑張りなさい。私」
ー回想ー
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場所…深淵
リノ「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ビュォォォォォォォォォォ!!
リノが大きな声を上げた瞬間、リノの体の中から黒い瘴気が出てきた。
レナ「出てきたわね」
ドレイン「アァァァァァァァァァァァァ!!」
ドレインは苦しんでいた。
ドレイン「マタ…オマエカァァァァァァ!!」
レナ「そう。また私よ」
ドレイン「フザケルナァァァァァァ!!ワタシハ!!ワタシハァァァ!」
レナ「…いい加減にしなさい。あなたのせいで時間軸が大きくズレてしまってるのよ。こんな所まで来て」
ドレイン「ワタシハオマエナンカニ…コロサレナイ!!」
レナ「…そう。でももう十分でしょ。あなたのせいで私はお母さんを失ってしまった。あなたのせいでよ」
ドレイン「ウルサイ!!オマエガワタシニハムカウカラダ!!」
レナ「…」
ジリッ…
レナはドレインに近づいた。
ドレイン「クルナァァァァァァ!!」
ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!
ドレインは自分の体を分裂させてレナを攻撃した。
レナ「邪魔よ」
バチッ!
レナは指を動かした。すると分裂していたドレインが一瞬にして消えた。
ドレイン「ガァァァァァァァ!!」
ドレインは痛みを悶えていた。
レナ「あなたは罪を犯しすぎた。もうこれ以上野放しにはできない」
ドレイン「ダマレダマレダマレェェェェ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
突然魔力がドレインに集まり始めた。
アンナ「!!」
ドレイン「コノママオマエモロトモ!!」
レナ「…」
ドレイン「ハカイシテヤル!!」
バリバリバリバリ!!
ドレインに雷が纏い始めた。
ドレイン「ガァァァァァァァ!!」
レナ「あなたはもう、終わりなのよ」
ドスッ!!
レナはドレインの胸にあるものを突き立てた。
ドレイン「コ…コレハ…」
レナ「
ドレイン「グッ…ワタシハシナナイ…ワタシハァ…」
ボロッ…
ドレインの体が崩れ始めた。
ドサッ…
ドレインは力なくその場に倒れた。
ドレイン「ワタシハ…ワタシハ…」
レナ「…知ってるよ。あなたの事も。何故ドレインがこの世に存在しているのかも。全ては私のせい。私があんなことしなければこうはならなかった」
ドレイン「ワタシハァ…」
ジュワァァァァァァァァ…
そしてドレインはその場から跡形もなく消えていった。
レナ「…」
アンナ「…」
レナはそれを無言で見ていた。
レナ「…あなたには色々な罪を着せてしまった。…全ては私の責任。せめてあなたが地獄に落ちないようにしてあげるから。あなたは安らかに眠りなさい」
カランカラン!
レナは
レナ「…実はね、これはあなたに付いている罪を祓うものなの。あなたを浄化するものって言ってごめんなさいね。そうでなきゃあなたはあなたでいられなくなる。自分を見失った誰かも分からない存在になってしまう。…それが嫌だった。あなたはあなたのまま眠ってください。最後に私の手で眠ってもらえて嬉しいわ。…アンナ」
アンナ「!!」
アンナは自分の名前が呼ばれて驚いていた。
アンナ「え…今のって…私の名前…」
レナ「…」
アンナ「え…あの…私は」
ドクンッ!!
レナ「!?」
レナの体に突然異変が生じた。
レナ (な…何…まさか…時間切れ!?)
アンナ「あ、あの!大丈夫ですか!」
レナ (まだ時間はある…何で…)
???「そこまでにしてもらえる?」
突然人の声が聞こえた。それはレナなら聞き覚えのある声だった。
レナ「あなた…まさか…」
???「…ふふっ」
レナ「…なんでここにいるのよ。グラム!!」
声の主はグラムだった。
グラム「あら、私なら分かるんじゃない?」
レナ「っ…」
アンナ「え、えっと…あなたは…」
グラム「私はグラム。目の前に立っているこの人そのものよ」
アンナ「えっ…えっ?」
アンナは混乱していた。
レナ (マズイ…時間がない…このままだとこの人を残したままあの子に変わってしまう…)
グラム「あなた、もう時間がないのでしょう?」
レナ「!!」
グラム「一刻も早く私を消したいんじゃないの?」
レナ「っ!」
グラム「でも残念。私はあなた。あなたは私。自分を殺せないことくらい知ってますよね?」
レナ「くっ…」
グラム「私はあなたと同じ存在です。故に私を殺すことは不可能。ではあなたの取るべき行動は分かりますよね」
レナ「っ…」
グラム「その答えは…あなた自身がこの時代から消えることですよ」
パチンッ!!
グラムは指を鳴らした。
ドクンッ!!
レナはさっきと同じ感覚に襲われた。
レナ「がっ…」
アンナ「リール!!」
ドサッ…
レナは膝をついた。
アンナ「リール!しっかりして!!」
レナ「はぁっ…はぁっ…ねぇ、あなた…」
アンナ「!」
レナ「頼みがあるの…聞いて」
アンナ「た…頼みって…」
レナ「私には時間が無い…もうすぐあの子と変わる…」
アンナ「あの子って…?」
レナ「私があの子に変わったら伝えて」
アンナ「な、何を…」
レナ「…"背負わせてごめん"って」
アンナ「えっ…背負うって…どういう…」
シュゥゥゥゥゥゥゥ!!
するとレナの体から光の粒が出現した。
アンナ「わわっ!!」
グラム「ふふっ…時間切れのようですね」
シュゥゥゥゥゥゥゥ!!
体から出てきた光の粒はそのまま消えてなくなってしまった。
リール「あ、あれ…私は…」
アンナ「リール!!」
ギュッ!
アンナはリールを抱きしめた。
アンナ「良かった…リール…」
リール「アンナ…」
グラム「お目覚めですか。リールさん」
リール「!!」
リールはグラムがいることに気づいた。
リール「あ、あなたは…」
グラム「少し前にお会いしましたね。お久しぶりです」
リール「っ…」
リールはレナからグラムの事を聞いていたため、少し警戒していた。
グラム「…?どうされました?」
リール「…あの」
グラム「はい」
リール「…あなたは…何者ですか」
グラム「!」
リール「レナという人物からあなたの事を聞きました。あなたはレナと同じ存在だと。あなたがいるから存在できないと…あなたは一体何者なんですか」
グラム「…」
その話をすると一瞬にしてグラムの表情が曇った。
グラム「…その話…レナから聞いたと…」
リール「…はい」
グラム「…そうですか。あの人もよく喋りますね。こんな子にまで話すなんて」
リール「っ…」
グラム「だったら仕方ありません。リノの意識がない今、代わりとなるのはあなただけです」
リール「!」
スッ…
グラムはリールに手を差し伸べた。
グラム「あなた、私と一緒にこの世界を破壊しませんか?」
〜物語メモ〜
聖遺物(ロンギヌス)
レナが持っていた物。小さな槍状のもので、相手に突き刺すことで罪を祓うことができる。ただし、祓った罪はその人から消える代わりに刺した人がその人の罪を請け負うことになる。