私、魔女さんに拾われました。   作:バスタオル

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第7話 魔女さんと過去

私の名前はリール。

ある魔女さんと一緒に暮らしています。

手紙の一件から何故かエレナ学院の学院長さんが家に来ました。

魔女さんの事を知ってる様子でした。

メリーさんの事も知ってるようでした。

明日また来るそうです。

でも、できればあんなに大勢で来て欲しくないなと思いました。

 

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魔女さん「実は、エレナ学院から入学希望届という手紙を受け取りました」

 

???「!?」

 

その人はとても驚いていた。

 

魔女さん「驚くのも無理はないです」

 

???「…なぜ今になって」

 

魔女さん「ひとつ…お話があります。少し前に会ったある女の子とのお話です」

 

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ー回想ー

 

ザッザッザッ

私は私情のため、ある場所に出かけていました。内容は言えませんが、危険なものではありません。私があの子に会ったのは、その用事が終わって帰宅している時でした。

 

魔女さん「ふぅ…これでようやく新しい材料が手に入りますね」

 

ザッザッザッ

私は暗い森の中を歩いていました。

 

魔女さん「!」

 

すると、ある木の下で横たわっている女の子がいました。私はその女の子に駆け寄り、意識があるかを確認しました。

 

魔女さん「ねぇあなた…こんな所で何してるの?」

 

???「…」

 

その女の子は気を失っているのか、返事がありませんでした。

 

魔女さん「返事がない…気を失ってるのかしら…」

 

暗い森の危険さは十分承知しているので私はその女の子を保護し、家に向かいました。

 

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場所…魔女さんの家

 

ガチャ…

私は一人暮らしのため、家の扉を開けてくれる人は存在せず、私は女の子を抱えながら扉を開け、家に入りました。

 

魔女さん「えっと…ソファは…」

 

私は家に着いたと同時にその女の子をソファに寝かせました。

 

???「…」

 

その女の子は気を失ってるのか未だに起きない。

 

魔女さん「なんであの森の中に…」

 

私はその疑問を抱えつつ疲れていたため、そのまま眠ってしまった。そしてその翌日、私は陽の光が目に当たり、目を覚ましました。

 

魔女さん「あれ…私…眠ってしまったのかしら…」

 

昨日の記憶がぼんやりと頭の中に残っている。

 

魔女さん「あ…あの子…」

 

私は昨日の女の子を思い出し、ソファに目をやりました。その女の子はまだ起きていませんでした。

 

魔女さん「まだ…気を失ってるのでしょうか」

 

そして私はある魔法を使ってその女の子の生命反応を確認しました。すると、ただスリープ状態になっているだけで外傷などはなく、健康だった。

 

魔女さん (一体この子に…何があったのでしょうか…)

 

私がそう考えていると女の子から声がしました。

 

???「ん…んん…」

 

魔女さん「!」

 

私は耳がいいので聞き間違いだとは思いませんでした。

 

???「ん…」

 

私はその女の子の近くに行き、起きるのを待ちました。すると、その女の子はすぐに起きました。

 

???「あ…あ…」

 

その女の子は起きて早々声を発しました。言葉ではなく単語でしたが、ハッキリと声を出しました。

 

魔女さん「ねぇあなた…大丈夫?」

 

???「?」

 

私が話しかけると私の存在に気づいたのかその女の子は私の方を見ました。

 

???「えっと…あなた…は…」

 

魔女さん「私はこの家に住んでいる人です。あなたが森で倒れていたので連れてきました」

 

???「森…そうですか…」

 

その女の子は自分の身に起こったことを覚えておらず、私の家を物珍しく見渡しました。

 

???「ここは…」

 

魔女さん「私の家ですよ」

 

???「そうですか…あなたは?」

 

魔女さん「!」

 

その女の子はさっきと同じ質問をしました。

 

魔女さん「私はこの家に住んでいる人ですよ」

 

???「…そうですか。それで、ここは…」

 

その子はまた同じ質問をしました。

 

魔女さん (記憶の定着ができていない…何かのショックを受けたのでしょうか…)

 

コツン

私はその子の頭に自分のおでこを当てた。

 

???「!」

 

その子は少し驚いていた。

それを見て私はその子の頭の状況を読み取った。

 

魔女さん「…」

 

ですが、何も異常はありませんでした。頭に損傷があるわけでも何かの魔法を受けたわけでもありませんでした。記憶の定着ができていない原因は分かりませんでしたが、とりあえずこの子の名前を聞きました。

 

魔女さん「ねぇあなた…名前は?」

 

???「…知らない」

 

当然の答えでした。

 

魔女さん「じゃあ私があなたに名前をつけてもいいですか?」

 

???「…うん」

 

魔女さん「そうですねぇ…じゃあリールで」

 

リール「リー…ル…」

 

魔女さん「そうです。リールです」

 

リール「…」

 

その女の子は小さく頷きました。

 

魔女さん「リール。あなたを歓迎します。あなたは私の弟子です」

 

リール「?」

 

そして私はその女の子にリールと名付け、その子と一緒に暮らしました。

 

ー回想終了ー

 

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魔女さん「…と、言うことです」

 

???「なるほど。それから今に至るまで時が流れて、今は言葉も話せる子になったんですね」

 

魔女さん「はい」

 

???「微笑ましい限りです。是非一度会ってみたいものですね」

 

魔女さん「いつか来てくださればその時に…」

 

???「分かりました。いつかあなたの家に行きましょう」

 

魔女さん「はい」

 

???「それで、そのエレナ学院には入学するのですか?」

 

魔女さん「…決めかねています」

 

???「…無理もないですね」

 

魔女さん「はい。あの子のことを思えば入学させるべきでしょうが、私はあの子に私と同じようになって欲しくないのです。ですが、私が教えるのにも限界があります。あそこへ通えばリールはもっと魔法を学ぶことができます」

 

???「…そうですね。かつて最高峰と言われたエレナ学院ですもの。入学させられればその子はもっと先へ進めると思います。ですが…」

 

魔女さん「…はい」

 

???「…あなたの事もありますね」

 

魔女さん「…」

 

???「…私があなたの話を聞く限り、あなたにとってその子はとても大事な子なんですね」

 

魔女さん「はい」

 

???「…故にあなたのようになって欲しくない…と」

 

魔女さん「…はい」

 

???「…私もそう思いますよ」

 

魔女さん「!」

 

???「私もあなたに教えていた時代にはあなたと同じことを考えていましたよ。あなたとレヴィをあの学院に入学させるかどうか…悩んだ結果、私はあなたたち2人を入学させず、私の手で育てました」

 

魔女さん「!」

 

???「私はその選択をした後悔はありませんでした。私がその選択をしたおかげであなたたちとの時間を取る事ができました。私は満足でした」

 

するとその人の顔は一瞬にして暗くなった。

 

???「…ですが、その選択をしたせいであなたを失う結果になりました」

 

魔女さん「…」

 

???「本来あの町に生まれた子供はあの学校に通うのが決まりです。もちろんあなたとレヴィはあの町の子供じゃないので通う意味はありません。ですが、あの時の学院長が言うには私たちが住んでいたあの場所はその国の領土となっていたそうです。ですから、あなたたちもあの町の子供としてカウントされ、その決まりを破ったとされた私の元からあなたが連れ去られることとなりました」

 

魔女さん「…」

 

???「私はあなたを失ったショックで悲しくなりましたよ。私の大事なあなたを連れ去ったあの学校を粉微塵に破壊しようかとも思いました。ですが、そうするとあなたとレヴィに何らかの制限がつくと思ったのでやめました。それから2年、ある事件とともにあなたが私たちの元に帰ってきた」

 

魔女さん「…」

 

???「それが、"狂った魔女がある国を滅ぼした" という事件だった」

 

魔女さん「…」

 

???「私はもう…その悲しみを繰り返してほしくないです。あなたの言った通り、その子はあなたのようになって欲しくないですし、あなたは私のようになって欲しくない」

 

魔女さん「分かりました。でしたら…」

 

???「ですが…その願いも届かないものですね」

 

その人は私の発言を遮ってまで言葉を放った。

 

魔女さん「どういう…事でしょうか…」

 

???「…悪い知らせです。最近、ある噂を耳にするようになりました」

 

魔女さん「…噂」

 

???「はい。それは、"ある国と共に滅びた魔女が蘇った" というものです」

 

魔女さん「!」

 

???「あなたならよく知っているでしょう?」

 

魔女さん「…私が…殺した人…」

 

???「…そうです。その人がどこかの国で蘇ったと…そういう噂を耳にしました。ですが、あくまで噂です。詳細はよく分かりません」

 

魔女さん「あの人…」

 

???「そうなるとあなたのところに行くのは必然です。あなたがあの子を守りたいのであればエレナ学院に通わせることをオススメします」

 

魔女さん「…リール」

 

私はここで迷った。かつて私が殺した魔女が蘇った。その魔女は恐らく私のところに来るでしょう。そうなるとリールが危険な目に遭います。ですが、あそこに通わせれば私と同じようになってしまう。リールの危険を回避するために学院に通わせ、私と同じ道を歩ませるか、それとも危険を承知で私と一緒に暮らし、あの魔女と敵対するか。私は…選択できなかった。

 

魔女さん「…お師匠様」

 

???「なんですか?」

 

魔女さん「…あの子に…決めさせてもよろしいでしょうか」

 

???「…いいんじゃないでしょうか?」

 

魔女さん「!」

 

???「今のあなたには迷いが見えます。あの子の意見を聞いて決めるのもいいと思いますよ」

 

魔女さん「分かり…ました」

 

そして私は家に帰ってこの事をリールに話そうと思った。

 

魔女さん「あ、そろそろ時間ですね」

 

???「あ、そうですか。短かったですね」

 

魔女さん「ですね。それでは私はこれで」

 

???「待ってください」

 

魔女さん「?」

 

???「あなたは…その子をどうしたいのですか?」

 

魔女さん「…あの子には…元気に育って欲しいと思っています」

 

コツコツコツ

そして私はお師匠様の元を離れました。

 

???「…悲しい思い出ですね。あなたの隠せない罪…拭いきれない血…取り返せない過去。あなたはもう…十分辛い人生を送りましたよ」

 

???「…リーナ」

 

その後、お師匠様の元を離れた私は家に帰りました。

 

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場所…魔女さんの家

 

ガチャ

家の扉が開いた。

 

魔女さん「ただいま帰りましたよ。リール」

 

リール「おかえりなさい!」

 

ギュッ…

リールは魔女さんに抱きついた。

 

メリー「おかえり」

 

魔女さん「ありがとうメリー。今日一日」

 

メリー「いやぁ構わないよ。リールちゃんのおかげでまた新しい魔法道具が完成しそうだし」

 

魔女さん「そうなんですか?」

 

メリー「そうよ。リールちゃんの助言がなかったらまた失敗するところだったよ」

 

魔女さん「そう。リール。良かったですね」

 

リール「はい!」

 

魔女さん「今日はどうでしたか?」

 

メリー「…今日はエレナ学院の学院長が来たよ」

 

魔女さん「!」

 

メリー「明日また来るって言ってたよ。今度はあなたとリールちゃんと一緒に話がしたいそうだよ」

 

魔女さん「…思ったより行動が早いですね」

 

メリー「そうかな。でも手紙が届いた日から結構経ったよ」

 

魔女さん「…そうですね。分かりました。明日は用事は無いので私が迎えます」

 

メリー「分かった」

 

魔女さん「あ、そうだ。お夕飯作りますけど食べますか?」

 

メリー「いやいいよ。頭に残ってるうちに完成させたいしね」

 

魔女さん「そうですか。分かりました」

 

メリー「それじゃあね」

 

魔女さん「はい。それではまた」

 

メリー「リールちゃん!今日はありがと!リールちゃんのおかげで新しい魔法道具が作れるよ!」

 

リール「いいえ…そんな…」

 

メリー「完成したら持ってくるね!」

 

リール「は、はい!」

 

メリー「じゃあね」

 

ガチャ…バタン

そしてメリーは家に帰っていった。

 

魔女さん「それじゃあお夕飯作りましょうか。リール」

 

リール「はい!」

 

そして私はお夕飯を食べ、いつものように過ごし就寝した。

 

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ー翌日ー

 

場所…エレナ学院

 

レヴィ「それじゃあ行ってくるね」

 

ラーフ「はい。行ってらっしゃいませ」

 

レヴィ「今日は私一人で行くから。ラーフは学院の管理お願いね」

 

ラーフ「はい。お任せ下さい」

 

コツコツコツ

レヴィは魔女さんの家に向かった。

 

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場所…魔女さんの家

 

魔女さん (エレナ学院長…何しに来るのでしょうか)

 

リール「おはようございます…」

 

魔女さん「あらリール。おはようございます」

 

リール「魔女さん…今日は…」

 

魔女さん「えぇ。大丈夫ですよ。私がいますので」

 

ギュッ…

するといきなりリールが抱きついてきた。

 

魔女さん「リール?」

 

リール「魔女さん…今日一日だけ…魔女さんの隣にいてもいいですか?」

 

魔女さん「!」

 

プルプル…プルプル…

リールの手は震えていた。

 

魔女さん「…」

 

スッ…

私はリールの手に自分の手を乗せた。

 

リール「!」

 

魔女さん「えぇ。構いませんよ」

 

リール「…良かったです」

 

コンコン

ドアがノックされたと同時にリールはビクッと震えた。

 

魔女さん「…リール」

 

リール「はい」

 

魔女さん「私の後ろにいてくださいね」

 

リール「…はい」

 

スタスタスタスタ

そして私とリールはドアへ向かった。

 

ガチャ…

私がドアを開けると、そこには見覚えのある顔があった。

 

レヴィ「…魔女さん…ですね」

 

魔女さん「…」

 

魔女さんはその人の顔を見ていた。

 

魔女さん「…レヴィなのね」

 

レヴィ「…はい」

 

魔女さん「…何の用ですか」

 

レヴィ「実は、話したいことがあります」

 

魔女さん「…入って」

 

レヴィ「お邪魔します」

 

コツコツコツ

そしてレヴィは魔女さんの家に入った。

 

魔女さん「…それで、話って何?」

 

レヴィ「その子を学院に通わせたい…という話です」

 

魔女さん「…」

リール「!」

 

魔女さんは目の前の男の人を睨んでいた。

 

魔女さん「…何故ですか?」

 

レヴィ「この子は才ある魔法使いです。これから色々な魔法を学べば更によい魔法使いになれると思っているからです」

 

魔女さん「それはあなたの主観的意見であってそうなるとは限りません」

 

レヴィ「ですがこのまま才ある子を手放すと大きな損失になりますよ」

 

魔女さん「損失とはなんですか?」

 

レヴィ「…国を維持するための力です」

 

魔女さん「この子は物じゃありません。人を物のように扱うなら通わせません」

 

レヴィ「いいえ違います!」

 

魔女さん「違わないでしょう。さっきあなたが言ったじゃないですか」

 

レヴィ「…ひとつ、話があります」

 

魔女さん「…なんですか」

 

レヴィ「最近、ある噂を耳にしました」

 

魔女さん「!」

 

レヴィ「かつて存在した魔女がある国で蘇ったと」

 

魔女さん「…何故あなたがそれを」

 

レヴィ「私はこれでも学院長です。重要な情報は全て聞きます」

 

魔女さん「…ということは復活したのは本当なんですね?」

 

レヴィ「…恐らく。だからこの子を私の学院で保護しようと思っています」

 

魔女さん「…その話、お師匠様からも聞かされました」

 

レヴィ「!」

 

魔女さん「お師匠様は学院に通わせるべきだと言いました。この子の安全を考えればですが」

 

レヴィ「じゃあ」

 

魔女さん「ですが、それだと私と同じ目に遭います。私はあの悲劇を繰り返したくないです」

 

レヴィ「大丈夫です。今は私が学院長となって動いています。姉さんのようにはさせません」

 

魔女さん「…あなたがエレナ学院の学院長…ですか」

 

レヴィ「…はい」

 

魔女さん「リール」

 

リール「なんですか?」

 

魔女さん「リールはどうしたい?ここで魔法を学びたい?それとも学院に通って魔法を学びたい?」

 

リール「えっと…私は…」

 

リールは少し考えた。

 

リール「私は…魔女さんに…魔法を教わりたいです…」

 

魔女さん「…だそうです」

 

レヴィ「そうですか…それは残念です」

 

魔女「どうしますか?」

 

レヴィ「…ここは大人しくそれに従います。ですが、ひとつ言ってもいいですか?」

 

魔女さん「…何でしょうか」

 

レヴィ「私はあなた方の味方です。なのでいつでも頼ってください。お願いします」

 

魔女さん「…分かりました」

 

レヴィ「…それでは、私はこれで失礼します」

 

魔女さん「はい」

 

コツコツコツ…ガチャ…バタン

レヴィはその場をあとにした。

 

魔女さん「…リール」

 

リール「はい」

 

魔女さん「あなたは私が守ります。何かあったらそれを使ってくださいね」

 

リール「…はい」




〜物語メモ〜

??? (魔女さんのお師匠様)
彼女は魔女さんとレヴィ学院長のお師匠様。
魔法は現在の魔女さんよりも遥かに上で魔女さんはお師匠様のことを慕っている。
魔女さんとレヴィ学院長の過去を知る人物で今はひっそりと暮らしている。
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