崩壊現象が止まってから約2ヶ月の月日が経った。その間、邪神たちが襲ってくることはなく、世界は平和に包まれていた。
オード「ディア!そっち頼む!」
ディア「おう!任せろ!」
ガラッ…ドンッ!
オード、ディア、ノーラはスペルビア王国の復興を手伝っていた。
ノーラ「てかマジで疲れる…」
オード「しゃあねぇだろ!生きるためだ!」
ディア「はぁ…いつになったらまともな生活が送れるんだよ」
現在スペルビア王国は生き残った人たちとオードたちで建物の修復等を行っている。他国とも連携し、必要な物資も送ってもらい何とか少しずつ元に戻りつつある。
だが、邪神たちが去ってからすぐにある訃報が舞い込んできた。それは十二使徒たちの死だった。彼らは深淵にいた禍異者を封印する柱として機能していた。だが、禍異者との戦いで柱が全て破壊され、それに連動して十二使徒たちの命もその時に潰えた。
葬儀はナヴィア王国、モルドレッド王国、天空殿、スペルビア王国、大獄門、冥界、サージェル王国、ブエルタ王国の8つの国の上層部が集まって行われた。そしてその中にはスカーレットも含まれていた。彼女の父であるジンも十二使徒の一人。叔父であるマークと共にこの世を去った。
亡き十二使徒(11人)
アース(業火の使徒 デメル)
ウレイ(豊水の使徒 ウロウ)
セレナ(死氷の使徒 コキトス)
ヒュー(壊風の使徒 ヴィナン)
ジン(轟雷の使徒 サルメア)
マーク(巌土の使徒 ファラン)
フレア(焦土の使徒 アバド)
メロ(冥水の使徒 モドノル)
モール(封土の使徒 アラン)
キファ(狂風の使徒 レギン)
ミィ(焼火の使徒 アステル)
唯一生き残ったのはリノ(暁光の使徒 マナエル)ただ一人。
葬儀が行われたのは十二使徒結成の約束の場所。スペルビア王国から南西に34km離れた場所にある小さな神殿。名前はルーディ神殿。十二使徒たちが禍異者を封じ込めるために力を集めた神聖な神殿。あらゆる邪気を寄せ付けない結界を展開している。
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ー2ヶ月前ー
場所…ルーディ神殿
スカーレット「…」
スカーレットは亡くなった父であるジンのために葬儀に出席していた。
アルレルト「あなたはもしやジンさんの娘さんですか?」
スカーレット「!」
スカーレットは声のした方を見た。そこにはいかにも優しそうな雰囲気を漂わせている青年がいた。
スカーレット「…あなたは」
アルレルト「申し遅れました。僕はアルレルト。亡きヒューの友人です」
スカーレット「ヒュー。…ということはあなたは…天空殿の…」
アルレルト「はい。お初にお目にかかりますスカーレットさん」
スカーレット「…」
アルレルト「生前はヒューがあなたのお父上であるジンさんにお世話になったと伺っております。ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ありません」
スカーレット「…いいのよ…もう…父はいないんだから」
アルレルト「…」
アデス「…なぁフレイ。お前がいなくなってから大獄門が忙しくなっちまったよ。閻魔も惜しい人を亡くしたってさ。…どうだフレイ…そっちの世界は楽しいか?こっちの世界よりも綺麗か?…大獄門よりも平和か?…聞かせてくれよ…なぁ、フレイ」
アースの付き人「…アース様…今までお疲れ様でした。お国のことなら私たちにお任せ下さい。必ずやあなたが掲げた手を取り合う国を目指してみせます。…どうか見守っていてください」
ウレイの執事「ウレイお嬢様。…私は寂しいですよ。こんな別れ方なんて…。あなたのお陰で私たちは今まで生きられました。それが亡き今…私たちはどうすればいいでしょうか。…私は…どうすればいいでしょうか」
モールの付き人「モール様。お役目を果たせたのですね。ご立派です。私はいつまでもあなたを思い続けますよ。私のこの命が潰えるまで。その日が来るまでずっと…ずっと…」
セレナの母「セレナ。あなたは最後まで仲間を思い続けました。あなたが懸念していた暁光の使徒は今も健在です。あなたが思い描いた結末になっているかしら。…私はあなたの母でいれたことを誇りに思います。…あなたはどうですか。こんな私の娘として生まれてきて…どうでしたか」
キファの父親「なぁキファ。お前、まだやりたいことたくさんあるって言ってなかったか?もうそれは済んだのか?全部終わらせたのか?…中途半端なまま逝ってないだろうな。…もし中途半端なら、俺が引き継いでやる。…息子が残してくれた大事な国を…俺は守り続けよう」
メロの付き人「メロ様。お役目…お疲れ様でした。冥界は死者の魂で溢れかえっていますよ。あなたに裁かれた魂があなたの死を嘆いています。…もちろん…私たちも…」
スカーレット「…お父さん…マーク叔父さん…今までありがとう。私に色々教えてくれてありがとう。私は…あなた方のおかげでここまで大きくなりました。…でも私はあなた方に何も返せてない。恩返しができてない…。…もし、聞かせてくれるなら、私はどうすればいいでしょうか…」
みんな亡くなった使徒たちに向けて言葉を送っていた。それから時間が経過し、葬儀は終わった。
スカーレットの付き人「スカーレット様」
スカーレット「…」
スカーレットの付き人「お帰りの準備が済みました。いつでもお屋敷に戻ることができます」
スカーレット「…」
スカーレットは自分の手を見た。
スカーレットの付き人「…スカーレット様?」
スカーレット「…お父さん…私…これからも頑張るから…ちゃんと見守っててね」
そう言うと、スカーレットは空を見た。空は青く、雲ひとつない晴天だった。
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場所…魔女さんの家 リールの部屋
リール「…」
リールは2ヶ月前のあの日から一度も目を覚ましていない。それは魔女さんも同じで、2人は禁忌の力を手放してから今まで受けたダメージをその身に受けてしまった。メアが回復を施したが、目覚めるには至らず、2ヶ月も経過した。
リノ「…」
リールが寝ているその傍らには母であるリノが椅子に座っていた。リノはあの事件以来、魔女さんの家に2人を運び、今まで看病をしていた。リールの父であるレギンスはリノと話し合い、魔女さんの家で一緒に暮らすことにした。
ギィッ…
レギンスが部屋に入ってきた。
レギンス「…起きないか」
リノ「…えぇ。2人ともね」
レギンス「…何か食べるか?」
リノ「…いらない」
レギンス「…でももう身が持たないだろ?」
リノ「いいのよ。私はリールを見てるから」
レギンス「…分かった。何かあったら言ってくれ」
リノ「…えぇ」
レギンスは部屋を出た。
リノ「…」
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場所…魔女さんの家 リビング
レギンス「…」
レギンスは自分に何ができるのかを考えていた。娘が眠りから醒めず、妻はそれに付きっきり。友人も起きず、憔悴しているだろう。自分にできることは何か、必死に考えていた。
ガチャ…
すると扉が開いた。
レギンス「?」
スカーレット「失礼します」
レギンス「おや、君は確か…」
スカーレット「スカーレットといいます。リールの友人です」
レギンス「…そうか。君がリールの…」
スカーレット「リールはまだ起きませんか?」
レギンス「…あぁ…起きない」
スカーレット「そうですか…あれからどれくらい経ったでしょうか」
レギンス「…分からない」
スカーレット「…見に行ってもいいですか?」
レギンス「あぁ。リノもいるから2人で話でもしてきてくれ」
スカーレット「…はい」
スタスタスタ
スカーレットはリールの部屋に向かった。
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場所…リールの部屋
コンコンコン…
リールの部屋がノックされた。
スカーレット「…入りますよ」
ギィッ…
スカーレットはリールの部屋に入った。
リノ「あら、スカーレットさんじゃない。どうしたの?」
スカーレット「…」
スカーレットはリノの顔を見て言葉が出なかった。
髪はボサボサで目の下にはクマができている。おまけに食べてないのか、以前よりも痩せているように見える。
スカーレット「…リールに会いに来ました」
リノ「そう…でもごめんね。リールはまだ起きないの」
スカーレット「…そうですか」
リノ「スペルビア王国はどう?復興は進んでる?」
スカーレット「はい。順調です」
リノ「そう…それは良かったわ」
スカーレット「…」
リノ「…ねぇ、スカーレットさん」
スカーレット「!」
リノ「…リールの事…ありがとうね」
スカーレット「?」
リノ「私はリールがどういう人生を歩んできたかは分からないけど、あなたや他の友達を見る限り、リールはとても幸せだったんだなって思ったの」
スカーレット「…」
リノ「自分にとって大切な人も見つけてたみたいだし、もう心配することはないかな」
スカーレット「…そうですね。私たちはリールに何度も助けられました。学校が襲撃されたり、みんなの為に深淵という所まで行ったり、スペルビア王国を守るためにあの大きな黒いやつに立ち向かった。リールは私たちにとって希望の光でしたよ。これ以上ない輝きを放つ太陽そのものでした」
リノ「…」
スカーレット「…でも今はその輝きすら見えない。私たちを導いてくれたリールはここにはいない。あるのはただただリールの形をしたものだけ」
リノ「…そうね。私も同じ気持ち。今目の前にあるのはリールだけどリールじゃない感じがする」
スカーレット「…」
リノ「…以前の…あなたたちと一緒にいた頃のリールに戻ってくれたら私はとても嬉しいわ」
スカーレット「…そうですね」
リノ「…ねぇ、スカーレットさん」
スカーレット「?」
リノ「…また顔を見せてあげて。今度はリールのボーイフレンドも一緒にね」
スカーレット「…はい。すぐにでも」
リノ「…」
スカーレット「…では、私はこれで…」
リノ「…えぇ。またね」
スカーレット「はい」
ギィッ…
スカーレットはリールの部屋を出た。
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場所…魔女さんの家 リビング
スタスタスタ
スカーレットはリールの部屋から出てきた。
レギンス「もう…いいのかい?」
スカーレット「はい」
レギンス「…いつか元気なリールを見せられたらなって思うよ」
スカーレット「…そうですね。いつかは」
ギィッ…
スカーレットは魔女さんの家を出た。
レギンス「…」
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それから更に1ヶ月が過ぎた。スペルビア王国の復興もあと半分という所まできていた。スカーレットはその間、一度も魔女さんの家に出向くことはなかった。
ー夜ー
場所…スカーレットの部屋
スカーレット「…」
スカーレットはみんなの集合写真を見ていた。そこにはリール、アンナ、オード、ディア、ノーラが映っていた。いつか撮った写真だろう。いつ撮ったかは覚えてないが、今は唯一みんなの顔を一度に見れるものとなった。
スカーレット「…リール…ねぇ、リール…何で目を覚まさないの?もうあれから3ヶ月も月日が経ったわ。…もうそろそろ…私たちにも笑顔を見せてくれないかな。オード君も心配してるよ」
パァァァァァァァァァッ!!
すると窓の外が突然明るくなった。
スカーレット「!?」
スカーレットは窓の外を見た。すると、空から何か2つの光が落ちてきていた。
スカーレット「何…あれ…」
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…
そしてその光はやがて、魔女さんの家に落ちた。
バンッ!
するとスカーレットの部屋に誰かが入ってきた。
オード「委員長!外に何か光が!」
入ってきたのはオードだった。
スカーレット「分かってるわ。あれは一体…」
オード「早く見に行くぞ!敵だったらマズイ!」
スカーレット「…行きましょう。落ちたのはリールがいる家よ」
オード「よしっ!行くぞお前ら!」
ディア「おう!」
ノーラ「うん!」
タッタッタッタッタッ!
スカーレット、オード、ディア、ノーラはすぐに魔女さんの家に向かった。
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場所…魔女さんの家
バンッ!
スカーレットは勢いよく扉を開けて家に入った。
スカーレット「リール!」
レギンス「お、君たちはリールの…今日は遅めだね」
スカーレット「あの!今ここに光が!」
レギンス「え?」
スカーレット「光が落ちて…その…」
オード「おじさん!空から2つの光がここに落ちたんだ!リールに変わりがないか見せてくれ!」
レギンス「あ、あぁ、それはいいが」
オード「行くぞ委員長!」
スカーレット「あ、うん」
タッタッタッタッタッ!
オードたちはすぐにリールの部屋に向かった。
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場所…リールの部屋
バンッ!
オードは勢いよく扉を開けた。
アンナ「!?」
すると中にはアンナがいた。
スカーレット「ア、アンナ…」
アンナ「どうしたの…みんな…」
オード「アンナ!今ここに光が落ちてこなかったか!?」
アンナ「え?落ちてきてないよ?」
ノーラ「今外から光がこの家に落ちたんだ。だから俺たちはリールを心配して来た!」
アンナ「え、でもリールには何も…」
オード「そういえばおばさんはどこだ?」
アンナ「今部屋で寝てもらってるよ。ずっと看病してたからね」
オード「そうか…」
スカーレット「アンナはどうもない?」
アンナ「え、うん。大丈夫だよ?」
オード「じゃああの時の光は何なんだ…」
ディア「分からん…少なくとも被害がないなら…」
???「やっと見つけたよ。星の片割れ」
???「やっと会えたね。星の片割れ」
スカーレット「!」
オード「!」
ディア「!」
ノーラ「!」
アンナ「!」
突然知らない声が聞こえた。
???「ずっと待ってたよ」
???「ずっと待ってたよ」
スカーレット「何…この声…」
ディア「声が重なって聞こえるぞ」
ノーラ「…」
???「思ってたより時間がかかっちゃった」
???「想定時間を大幅に遅らせちゃった」
オード「誰だお前!どこから話してる!」
???「今はまだ会えない。形がない」
???「でもいつか会える。2人で」
スカーレット「不思議な声…なんなの…」
???「もう目覚めるよ」
???「もう目覚めるよ」
オード「!」
???「隣で寝てるこの人も」
???「横で寝てる女性もね」
スカーレット「それって…」
???「いつか会いに来てよ。僕たちを見つけて」
???「いつか会いに来てね。私たちを見つけて」
スゥゥゥゥゥゥ…
すると小さな光がリールと魔女さんの体に入った。
リール「んっ…んんっ…」
するとリールが目を覚ました。
リール「ん…あれ…私の…部屋…」
アンナ「リール!」
スカーレット「!?」
オード「!?」
ディア「!?」
ノーラ「!?」
リールは目を開けてアンナを見た。
リール「あ…アンナ…ここって…私の部屋?」
アンナ「リール!」
ギュッ!
アンナはリールに抱きついた。
リール「うっ…アンナ…痛い…」
アンナ「よかった!目覚めた!よかった!」
リール「アンナ…」
スカーレット「…」
スカーレットはアンナの後ろに立った。
リール「あ…スカーレット…」
スカーレット「…全く…いつまで寝てるのよ寝坊助」
リール「あはは…ごめんね、どれくらい寝てたのかな」
スカーレット「ざっと3ヶ月よ。全く…こんなに遅く起きる人なんてそうそういないわよ」
リール「そっか…3ヶ月…すごく長い間…寝てたんだね…」
ディア「ノーラ。おばさんとおじさんを呼んできてくれ」
ノーラ「あぁ」
スタスタスタ
ノーラはレギンスとリノを呼びに行った。
魔女さん「っ…」
魔女さんも目を覚ました。
魔女さん「あれ…ここは…」
魔女さんは辺りを見渡した。すると、リールが起きていた。
魔女さん (よかった…目が覚めたんだね…リール…)
バンッ!
すると勢いよく扉が開いた。
リノ「リール!!」
タッタッタッタッタッ!ギュッ!!
リノは強くリールを抱きしめた。
リール「けふっ…お母…さん…」
リノ「よかった…よかったぁ…リール…」
リール「お母さん…痛い…」
レギンス「…目覚めたかい?リーナ」
魔女さん「…レギンスね。えぇ、目覚めたわ。リールも一緒みたいね」
レギンス「あぁ…2人ともよかった」
魔女さん「…あなたは行かなくてもいいの?」
レギンス「…あぁ。今はあの子たちに任せよう。今まで色々としてきたからね。こういう時は邪魔しないもんだよ」
魔女さん「…そう」
レギンス「だから僕は君の目覚めを喜ぶよ。…おはようリーナ」
魔女さん「…えぇ。おはよう…レギンス」
こうして目を覚ました2人は翌日から体を動かすためにリノやレギンスたちに頼んでマナを体の中に取り込む訓練をした。魔女さんはすぐに習得したが、リールが上手くいかず、少し手こずったがリールも最終的にはマナを取り込むことができた。
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ー9年後ー
それから9年の歳月が経った。リールも25歳となった。目覚めてからは色々とあった。スペルビア王国ではエレナ学院が再開することになり、その学院長にリールが選ばれた。それにオードはリールと、アンナはノーラと、スカーレットはディアと結ばれることとなった。学生時代から一緒だったこの6人がそれぞれパートナーとして新しい人生を歩んでいる。
リールはオードと一緒に魔女さんの家で暮らすことになった。そして、オードとリールとの間に一人の子供を授かった。男の子だ。まだ属性は分からないが、きっとオードかリールのどちらかの属性となるだろう。
産まれてくる子供の名前はオードが決めた。
名前はカグツチ。
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場所…スペルビア王国 大通り
オード「なぁリール」
リール「何?オード君」
オード「そういえば俺たちってここらへんで指輪買わなかったか?」
リール「うん。覚えてるよ。綺麗な指輪だったね」
オード「あの時は心臓バクバクだったぜ」
リール「ふふっ…でも嬉しかったよ。今でもつけてるくらいだし」
キラッ!
リールは自分の左手薬指に付けている指輪をオードに見せた。
オード「お、俺も…」
キラッ!
オードも左手薬指に付けている指輪を見せた。
リール「オード君からもらったこの指輪…いつも持ってたの。あなたがくれた大事な指輪…私はこれのおかげで生きる気力がでてきたの」
オード「う、嬉しいな…」
ノーラ「お、オードじゃん」
オード「!」
オードが声のした方を見ると、ノーラとアンナが手を繋いで歩いていた。
ノーラ「こんなところで奇遇だな」
オード「ノーラか」
アンナ「久しぶりだねリール」
リール「うん。久しぶり。アンナ」
オード「デートか?ノーラ」
ノーラ「あぁ。ラブラブだよ」
リール「よかったねアンナ」
アンナ「う…うん…」
アンナは少し照れた。
ノーラ「リールの赤ちゃんも大きくなったな」
リール「うん。毎日幸せなの」
ノーラ「そうか。それはよかった」
オード「ノーラ。お前もだぞ」
ノーラ「え?」
オード「子供を身篭ってるならあんまり無理させるなよ?」
アンナ「!」
ノーラ「あぁ。何かあったら俺が守るつもりだ」
アンナ「ノーラ君…」
オード「よしっ、じゃあノーラ。俺たちはこの辺で」
ノーラ「おう。気をつけろよな」
オード「ったりめぇよ!」
アンナ「リールも気をつけてね」
リール「アンナこそ。元気な赤ちゃん産んでね」
アンナ「うん!」
スタスタスタ
ノーラとアンナはその場をあとにした。
オード「さて、俺たちも行くか」
リール「うん!」
オードとリールは手を繋いでその場をあとにした。
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場所…エレナ学院 学院長室
それから数日後、リールは学院長の仕事が残っていて、夜遅くまで仕事をしていた。カグツチはオードが見てくれているのでリールは安心して仕事をしている。
リール「あとはこれとこれ…うーん…これは明日でもできそう。こっちはもう終わってるから明日以降に話が進みそう」
コンコンコン
すると学院長室の扉がノックされた。
リール「はい。どうぞ」
ギィッ…
学院長室の扉が開いた。
スカーレット「どう?仕事は捗ってる?」
入ってきたのはスカーレットだった。
リール「スカーレット。どうしたの?」
スカーレット「ううん。どうもしないよ。ただリールの顔を見たかっただけ」
リール「あ、そうなのね…」
リールは少し照れた。
スカーレット「あ、これ…」
スカーレットはリールの机の上にある写真立てを見た。その写真にはリール、スカーレット、オード、ディア、ノーラ、魔女さん、リノ、レギンスの8人の姿があった。
スカーレット「…懐かしいね。確かこの1番右にいる人がリールのお師匠様だったよね」
リール「…はい。魔女さんです」
スカーレット「…今、どこにいるんだろうね」
リール「…分かりません。今度ばかりは私にも知らされていません」
スカーレット「…寂しい?」
リール「寂しいですけど、今はオード君とカグツチがいるから」
スカーレット「…そう。分かったわ。さ、あなたは早く仕事を終わらせなさい。それでもってあんたの愛しの旦那さんと子供に顔を見せてやんなさい」
リール「うん。ありがとうスカーレット」
スカーレット「えぇ。じゃあまたね」
リール「うん」
ギィッ…バタン
スカーレットは学院長室を出た。
リール「…」
リールは窓の外を見た。空は星でいっぱいだった。
リール「…魔女さん…」
魔女さんは現在、この国を出て旅をしている。どこにいるかはリールには分からない。リノとレギンスはその時魔女さんと一緒に家を出た。3人はこれまで起きた災害がこの先出ないように調査すると言っていた。今どこで何をしているのか…また無茶をしていないか。リールはそれだけが心配です。
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場所…帰り道
リールはそれから早く仕事を済ませて家に帰っていた。空は変わらず星が輝いていた。
リール「綺麗…」
リールがそう言いながら歩いていると、異様な気配を感じた。
リール「…なんだろ。この気配…」
スタスタスタ
リールはその気配に向かって歩き始めた。
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場所…とある森
スタスタスタ
リールはその気配を辿ってある場所に着いた。そこは大きな木が一本だけ立っており、その周囲は草原だけの異様な空間だった。
リール「!」
そしてリールはその異様な気配の正体を知った。
???「…」
???「…」
小さな子供が2人、木を背にして座っていた。
リール「なんで…子供がここに…」
スッ…
リールはその子供の目線に合うように屈んだ。
???「…」
???「…」
一人は男の子、一人は女の子だった。2人は同じ目、同じ髪色をしており、どうやら双子のように見える。
リール「ねぇ、あなたたち、お家は?」
???「…ないよ」
???「…ないよ」
リール「!」
リールはこの時、不思議な感覚に襲われた。2つの声が同時に聞こえるこの感覚。リールは昔、同じような経験をしたことがある。
リール「そう。お家がないのね。じゃあ…」
スッ…
リールは2人に手を差し伸べた。
リール「私の家に来ない?」
???「!」
???「!」
リール「ここの近くなの。ずっとここにいるのは危険だよ」
???「…あなた、誰」
???「…あなた、誰」
リール「!」
???「何で僕たちが見えるの」
???「何で私たちが見えるの」
リール「…」
???「ねぇ、あなたは何者?」
???「ねぇ、あなたは何者?」
リール「…私はリール。光属性魔法を使う魔女です」
???「…魔女さん」
???「…魔女さん」
リール「!」
リールはその言葉に聞き馴染みがあった。
???「僕たちを助けてくれるの?」
???「私たちを助けてくれるの?」
リール「うん。助ける。大丈夫。悪いことはしないよ」
???「僕たちを傷つけたりしない?」
???「私たちを傷つけたりしない?」
リール「うん。しない。そんなことしたくない」
よく見たら2人の腕や足、体にはいくつか傷が入っていた。
リール (きっと誰かに傷つけられたんだ)
???「…分かった。信用する」
???「…分かった。信用する」
スッ…
2人の子供はリールの手を握った。
???「…約束。僕たちを傷つけないで」
???「…約束。私たちを傷つけないで」
リール「うん。約束。あなたたちを傷つけない」
ギュッ…
リールは2人を抱き寄せた。
リール「今から私はあなたたちの母親です。何かあったら私を頼ってください」
???「…うん。お母さん」
???「…うん。お母さん」
そうしてリールはかつて魔女さんがしたようにとある子供を拾った。リールは2人をルルとララと名付けた。
リール (魔女さんへ。私、魔女さんに拾われました。それからは毎日幸せな日々ばかりでした。月日が経ち、今こうして私が魔女となり、あなたと同じ立場となってこの2人の子供たちに向き合います。…かつてあなたが私にしてくれたように)
〜物語メモ〜
これにて「私、魔女さんに拾われました。」のお話が終了しました。
ここまで読んでくださった方、駄文でしたがありがとうございました。
次回は番外編として、今まで出てきたキャラクターの紹介を軽く書いたものを投稿します。
次回も目を通していただければ幸いです。
他にも色々と物語を書いているので、よければそちらもご覧下さい。
それでは、長くなりましたがありがとうございました。
また他の物語でもよろしくお願いします。