馬太郎   作:おおおユウゴ

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初恋の因果
序幕──初恋、破れたり


 

 

 

 

 なぜ星空を嫌うのかと問われたとき、ボクといういけ好かない男はわらってこう応じたのだった──「別に星空が嫌いなわけではないのだよ、タダそれを随分とすンばらしいものだと思っているバカの助どもがたんまりといて、自分もその有象無象のうちの一人だと思うのが、気色悪いね。それだけさ」

 そう、早口言葉で言い切ったのだった。

 

 すると問うてきた相手は呆れたのか、それとも気色悪いのはオマエだよ、という言葉をようやっと飲み込んでくれているばかりであったのか、何も言うことなく再び僕らの頭の上に満面に広がる、一等星はもちろん都会じゃ到底お目にかかれないような六等星にいたるまでが勢ぞろいした、満天の星空を見上げた。

 

 北海道の夜空は(きら)めく星に埋め尽くされ星雨が降り注ぐ、まさに満願成就すらも叶いそうなほどの魅力満載なものだった。あとから聞いた話だが、この夜はとある著名な流星群がくる夜で、そうだというのに空には一切の雲もなく、だからこそボクらはこのような幻想華麗な景色を存分に堪能できたというわけであった。

 

 しかしながらこのとき、かく言うボクはそんなコトはつゆも知らず、またそんな星空などよりももっと別のことで、内心すごくドキドキしていたのだった。早口になったのも、イキったクサイ言葉を吐いたのもこのせいであったのかもしれない──ゴメン嘘だわ、この頃のボクはもとよりこういう奴だった。……彼女もいなかった(今もいません)

 

 されども、このたびボクはもしやカノジョいない歴=年齢なこんな自分を打破できるのではないかという淡い期待にこのあまり筋肉のついていない胸をおどらしていたのだった。それ故に言動が多少調子にのったものになるのも致し方なかった。

 

 というのもこの時、昨晩にも深雪が降ったばかりの冬の寒々しい夜にわざわざボクともう一人の相手たるウマ娘が冴えわたるような、それでいて幾多もの宝石箱の中身を惜しみなく撒き散らしたような綺麗な星空以外には、豊か広大なる大自然ぐらいしかないド田舎なこの地域一帯に広がる畑へと繰り出し、夜空のもとへと二人赴いたのはひとえにこの北国に来て知り合ったこのウマ娘の友人の提案によるところであったからだ。

 

 嗚呼……、ボクの脳裏に思い浮かばれるは冬休みとなる終業式で互いの予定のなさを嘲笑(あざわら)いあった、クラスでモテない境遇にある愛すべき級友たちにして同志たちの、いかにも女好きのしない癖の強い顔。達者でナ、σ(゚∀゚ )オレ、オトナになります。

 

 いや、こんなさ、他になんもないし、べつに家に引きこもってもいいようなダラッダラとしてた感じだったときにイキナリ「外さ、いがねか?!」なんて意味ありげに誘われたら、ねぇ!? 

 

 も〜そういうことですよね77億7770万%!!

 

 ──数多の星の満ちる天空の下で、友人から恋人へと我らの関係が変化する……、そんな浪漫(ろうまん)チックな()()が今このときに!!

 

 いいと思います。ありだよアリよりのアリ、マジエモというやつである。

 むしろアノ、いい意味でも悪い意味でも田舎娘にして純粋純朴なこの娘がまぁよくもこんなことを思いついたもんだ、成長したなぁ……。

 

 ──まてイヤ待て、もしやホントウは彼女以外の誰かに、つまるところ要するにこの娘の間近にいる人……オバサa……、オバ様……、義母様はちと気が早すぎるかな、そう、御母堂が入れ知恵をされたのではあるまいか。

 ならば、だというのならば、それは言ってしまえば、親公認ということではあるまいか!!

 

 オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ。

 

 勝利確定コース入ったなこれ。勝ったわ風呂入ってください一生一緒に。

 

 ……そんな感じでボクは十数年の生涯の中で一二もないほどに浮かれていたのだった。

 

 ちなみに三にうかれていたのは生涯で初めて飛行機に乗ったときの、ゲート口から飛行機本体の出入り口にまで続く通路を歩いていったとき、そうして連絡路と飛行機本体の出入り口の接続部に僅かな隙間があって、ホントウに現実にそういう作りをこの建造物はしていて、自分はその中に足を踏み入れているのだと実感したときである。ナンカああいう発進シークエンスってしびれるよね。男のロマンですよ。

 

 閑話休題。

 

 ともかく、一事が万事そんな、おちゃらけていて頭の中お花畑どころかドッカンバッカン花火大会といった調子であったから……、果てには “イヤイヤここで前途有望なる、ボクという大志を抱く一人の少年を恋愛なんぞに、ひとりの異性に心許させて、人生という旅路に錨を下ろすというのは如何なものか……” なんて考えて惜しいケド、ここは涙をのんで断ろうか……なんてところまで行き着いてしまうほどだったボクであったから、未だに友人であったかのウマ娘がそのあと夜空のむこうを見据えるようにするばかりで、遂にはそのまままたもと来た家の方へと何にも言わずに戻っていってしまった時には一気に拍子抜けしてしまった。

 

 おるぇッつ!? オカピいぽぉ?

 

 σ(゚∀゚ )オレの脳内未来想定図が一切合切亡きものになってしまわれた……。幸せな家庭に、かわいい娘たちに、愛しく美しく可憐なヨメさんよ……、サヨナラ、サヨナラ……。

 ま、いいし、断る手間が省けてよかったし。べつに相手ウマ娘だから惜しいなんて思ってねーし……!!

 

 ボクは彼女の段々と小さくなってゆくその背を追いかけるのも何となくハズくて、というかなんか今更になって恥も外聞もなくすがりつくのがみっともなくて、そのまま二人で一緒に来た、星のよく見える丘の上でひとり立ち呆けていたのだった。

 





ちなみにこのときのこの主人公は小学生で、父親(元トレーナー)の実家を訪れたついでにそこで出会ったウマ娘と知り合い、あっという間に仲良くなったそうです。 そして一週間ほどして、こんな展開になったそうです(筆力不足で書けない裏設定を後書きでさらすスタイル)

 あと主人公が嫌らしい奴なのは仕様です。後でボコります(堅い決意)

 一週間ばかりしか付き合いのない娘が自分を好きになってくれてるってどうして思ったんだ……? 名前にウィークが入っているからかな?(すっとぼけ)
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