ありふれていない『天の鎖』で世界最強   作:如月/Kisaragi

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Ep.12

Ep.12です。前回の話の感想返しをしようとしたら運対コメントが多すぎて面食らってしまいました。

作者は基本的に夜中遅くまで起きていないので、いくつかのコメントの内容が確認できずに運対になった場合、答えられないことが多々ありますことをご了承ください。

 

というわけでほんへです、どうぞ。

 

一富士

ニ鷹

三森すずこ

四条大橋

五条悟

六道仙人

七聖抜刀

八 王 子

 

……もちろん本編とは関係ありません。八王子を見たり聞いたりしたときにいの一番にこういうことを考えたくなる人はいると思います。これは私なりの八王子までのプロセスです。

 

 

 


 

 

 

あれこれを決めた後、俺たちは保護してくれるという王国へと向かうことになった。

ハイリヒ王国という国らしい。俺の場合らしいではなくだと言うのが適切かもしれない。何故なら俺はこの世界に起こる出来事をある程度は覚えているからだ。

 

戦争参加については皆迷っている中であるのに王国は保護してくれるのだなと思いながら、今いる【神山】の様子を眺める。此処は神代魔法の一つが収められている場所だ。いずれ、ここに再び来ることになるだろうなと思い、この山の構造について目を凝らして細かいところを見つめていく。

それにしてもこの教会……というか世界はすごいところだと再認識する。教会は雲海のさらに上に存在しておりながらも、それを知覚できないほどに息苦しさを感じられない場なのだ。化学に馴染みの深い現代人にとっては納得できない部分もあるかもしれないが、クラスメイト達はそんなことを気にも留めずに目を輝かせていた。

 

案内している教皇はどこか満足げな表情を浮かべながら、俺たちをとある場所へと案内した。

そこには柵に囲まれた円形の台座が存在していた。台座に乗ると、そこには大きな魔法陣が刻まれていた。柵の向こう側は雲海である。しかしクラスメイト達は気になっているのか、柵から身体を乗り出さないようにしてキョロキョロと周りを見つめていると教皇が詠唱を始めた。

 

「彼の者へと至る道、信仰とともに開かれん――"天道"」

 

それを唱え終わった途端、足元の魔法陣が燦然と輝きだした。そして台座はロープウェイの如く動き出し、滑らかに地上へ向かって進み始めた。丁度よい角度でゆっくりと下ってゆく台座の上でクラスメイト達は大騒ぎだ。初めて見る"魔法"という概念がさぞ楽しいものに見えたのだろう。

 

しかし俺はこれ以上に凄い物を大量に知っているので何も感じなかった。星の聖剣(エクスカリバー)世界の創世から世界を見つめ続けてきた剣(乖離剣・エア)、天と地とを繋いだ鎖――俺自身の事ではあるが――などを見たことがある俺は、何だか感慨を受けるようなこともなかったのだ。

無論、実物を見たことなどない。しかし見ることが出来たのならば、それはきっとこれよりも素晴らしく、英雄としてのこれ以上ないほどの唯一無二の輝きがあるのだろうと。そう思えてしまうからこそ、このような魔法を見たところで思うことなどはあまりなかった。寧ろこのパフォーマンスは、何と言うか皮肉なものに見えてならない。

 

神の意志を疑うことのないこの世界は戦前の日本に似ていると思いながら、思考をめぐらす。

もし、この世界を英雄王(ギルガメッシュ)が見た時に。彼はこの世界をどう裁くのだろうか、と。

 

何だか言葉では言い表せない感情を抱きながら、台座は遂にハイリヒ王国へと辿り着いた。

ここから、物語が本当の意味で始まっていく。何度目になるかはわからないその事実を確認してから、俺は一歩を踏み出した。

 

 

 


 

 

 

玉座の間へと案内されていく。

道中の装飾にクラスメイト達は見惚れながらも、脇道にそれることなく彼らは進んでいた。

すれ違っていく騎士やメイド、使用人たちの様子を見ていると、喜びや畏敬などの感情を感じ取ることが出来た。皆一様に、我々の到着を歓迎しているように見えた。

やはり【神の使徒】効果は素晴らしい物なのだろう。周りからの視線を独り占めにしつつ歩いていると、一際豪華な造りの扉の前へと辿り着いた。

 

堂々たる扉を兵士が開けると、そこには大きな広間が広がっていた。中央にはレッドカーペットが敷かれており、王者の進む道であるかのようにそれがそこに存在していた。イシュタルは堂々と中に踏み入る。クラスメイト達は萎縮したような面持ちで後をついて行った。

 

玉座を見据えると、やはり王はそこに直立して待っていた。これを見たハジメや他数名の生徒たちは、この空間の違和感を感じ取れていたようだ。現に俺の隣にいる雫は眉をひそめてその光景を見つめている。

その隣には王妃と思われる女性、その更に隣には十歳前後の金髪碧眼の美少年、十四、五歳の同じく金髪碧眼の美少女が控えていた。更に、レッドカーペットの両サイドには左側に甲冑や軍服らしき衣装を纏った者達が、右側には文官らしき者達がざっと三十人以上並んで佇んでいる。

 

教皇は俺たちを留め置くと王の隣へと進んでいき、そしておもむろに手を差し出した。

それを恭しく手に取った王は、教皇の手の甲に軽く触れない程度のキスをしていた。俺やハジメ達はそれを見てこう思った。

 

――気持ちが悪い、と。

 

そも、国王より教会の権威が高いこともその光景を見て気持ち悪くなった要因である。男同士のキスなんて見るのも、するのも趣味ではない。それも理由の一つ……というか俺が気持ち悪いと思った理由の大半なのであった。

 

そこからは自己紹介が始まった。王国側の主要な人物たちの紹介が入った。国王、王妃、王子、王女。そして宰相と騎士団長、各大臣の紹介がなされたのち、【神の使徒】の代表者として天之川、愛子先生、そして俺が王国側に自己紹介をすることになった。教皇や天之川に痛いほどの視線を刺されながら自己紹介を終わらせた俺は中々にこの世界に毒されているのかもしれないな。独りそう自嘲しながら、俺は笑っていた。

 

自己紹介が終わった後は流れで晩餐会と相成った。見た目はともかくとして味は地球と変わらない食事に舌鼓を打ちつつ、俺はこれからの行動について考えることにした。この世界における主人公の南雲ハジメのことは、実は少しだけではあるが修正を入れている。修正というよりは強化といった方が正しいのかもしれないが。

因みに王子殿――ランデル閣下――は香織にアプローチを仕掛けてあえなく玉砕していた。この世界の香織さんは病み崎さんではなく白崎さんなのである。これも俺と雫の努力の成果なのだ。因みにハジメの強化よりもこっちのほうが大変であったことをここに記しておく。

 

因みに天蓋ベットには俺も驚いた。知識があるからこうなることは知っていたが、まさか本当に天蓋付きのベットで寝られるとは夢にも思っていなかったからである。まるで夢心地だな、と思いつつ呆けた顔をしているルームメイトのハジメの頭をぺしん、と叩いて俺は横になった。……ふかふかなのでよく眠れそう、だ……スヤァ……

 

 

 


 

 

 

翌日から早速訓練と座学が始まった。

結局戦争には全員が参加することになったらしい。良くも悪くも周りに流されやすい日本人の性質で、皆が参加するから俺も私も、という流れになったらしい。らしい、というのは俺はその時現場に居合わせていなかったからだ。

 

逃げ道を作ったのになぜ誰もそこに行かなかったのかと考えながら、俺は手に持つ銀色のプレートをしげしげと見つめる。クラスメイト達はこの配られたプレートを不思議そうに見つめていた。

全員にプレートが行き渡ったのを確認して、騎士団長のメルド・ロギンスさんがプレートについて説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

彼は豪放磊落な性格で、配下の騎士たちからの信頼も厚い漢である。

また、「これから戦友になろうってのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいであった。

気楽に接することができるというのはやはり素晴らしいことだ。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

「アーティファクト?」

 

聞きなれない単語に光輝が質問をする。

アーティファクト……人工物、工芸品などの意味を持つ単語であるが、この場合のアーティファクトというのは一種の古代の遺物を指す言葉になる。よくゲームの中で出てくるあれである。

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

 

概ね俺の言っていることと団長の言っていることが一致しているので、これで正しい説明になっているだろう。誰に説明しているのかはわからないが。

これが所謂第四の壁、というやつなのだろうか。全くわからないものではあるが。

……しかしそう考えると俺は第四の壁を越えて、演劇に入り込んだ異物である。全くもって面白い存在だな、と自分のことを評価して俺は魔法陣の上に血を垂らした。

 

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天臥久鎖李 男 レベル:???

天職:天の鎖(エルキドゥ)

筋力:???(技能によって変動)

体力:???(技能によって変動)

耐性:???(技能によって変動)

敏捷:???(技能によって変動)

魔力:???(技能によって変動)

魔耐:???(技能によって変動)

技能:完全なる形・変容・対魔力・宝具[+民の叡智(エイジ・オブ・バビロン)][+人よ、神を繋ぎとめよう(エヌマ・エリシュ)]・剣術・気配遮断・気配感知・魔力操作[+魔力放出][+魔力収束][+魔力圧縮]・全状態異常耐性・投影魔術・ルーン魔術・強化魔術・言語理解、回帰する泥の人形・天の鎖の影・星の執行者・根源接続(仮)・情報更新・他多数*1

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回帰する泥の人形:己が理性を破棄し、原初の姿へと回帰する。条件設定、そして終了設定をすることが可能。

天の鎖の影:遥か遠き神話の歴史にて、泥人形は冥府の底から帰ることが出来なかった。その際に、生まれ落ちしが天の鎖の影。自身と能力が全く同じな躰を一つ、作り上げる。しかし本来の影は宿主について回るもの。同時に自らと影を動かせば、それだけ動きも鈍る。

星の執行者:神話の時代、天の鎖は神の意志によって作られた。その躰は星の触覚であり、また星の意志の代弁者でもある。根源から力を借り受け、自らの能力を限界まで高める。

情報更新:並行世界より躰に入りし魂だからこそ持つことが出来た技能。同軸の全く同じ時空を進む自らの並行世界の存在と情報を共有し、取り込み、学習することができる。

 

……チートやん、これ。そんな感想しか浮かばないほどに、能力値がとんでもないものになっていた。

元よりサーヴァントなのでとんでもないポテンシャルがあるとはいえ、さすがにこのレベルになると冷汗しかかけないレベルで強くなっている。

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

レベルに関しては、ここにいるメンバーの中の殆どが人間の出せる潜在能力をさらに超越して強くなることになる。それは俺もそうだろう。既にレベル表記がバグっているので人間を辞めているどころかバグキャラの域に至っているだろう。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

宝物庫、という単語を聞いたクラスメイト達が目を輝かせる。

……俺から言わせてもらえば、型月の英雄王並みに資産を持っていないと宝物庫なんて作れないんじゃないかと思ってしまう。

 

「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

俺の天職は天の鎖(エルキドゥ)か。最早まんまだな。

というかこの天職、下手したらあのクソ神(エヒトルジュエ)の依り代になってしまうんじゃないか?俺はそう思ってしまった。

それは何故か。理由として考えたのは、元々この躰はエルキドゥ……つまり神話の時代に人と神とを結び、その関係性を離れさせないように作られた言わば錨。人類と神を結ぶべく作られた存在なのだ。生まれの元を考えてから改めてこの天職をみると、完全に適合しやすい素体になってしまっているように思えて仕方ないのだ。

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

そしてこの言葉を聞いた瞬間、横目で様子を見守っていたハジメが挙動不審に陥るのを俺は目撃した。

……いやまさか、全ステータスが10なんてことはないよね。あり得るはずないよね。

この世界のハジメは並々ならぬ努力によって素の能力が高い。だからきっと、ステータスだって10なはずがない。俺は少なくともそう信じている!

 

心の中でそう俺が叫んでいると、雫が静かに近づいて来ていた。

 

「……どうだったのかしら?」

「……逆にどうだったと思う?」

「あなたのことだから、高いステータスと技能を持っていたんじゃないかしら?」

 

図星ですよ雫さん。なんていうかこういう時は途轍もなく鋭いよね。心を見透かされている気持ちになるから、俺としては少しだけ恐ろしくもある。

 

「ご明察。確かに僕はステータスも高かったし技能も大量だったよ。雫はどうだい?」

「私?それは少し待っていてくれるかしら?」

「……?まあいいけど」

 

この感じ、何かを隠しているみたいだな。

なんか少しだけいつもと違う感じがする。何が違うかはわからないが、何だか違和感があるのだ。

 

まあ気にするほどの事でもないか、と再考して俺はハジメの方に近寄ることにした。

 

 

 


 

 

 

ここで一旦切るって珍しいんじゃないかなと思います。

でもこれ以上続けて書くと量が半端じゃなくなるのでここでいったん終わります。

 

次回はハジメのステータスと雫のステータス開示、あと他いろいろを予定しています。それではまた。

 

追記:コメントにて、感想欄にて意見を聞くのがアンケートに分類されて規約に抵触する可能性があるとご指摘いただきました。当該部分についての修正を行い、活動報告にそれ専用の意見集約活動報告の欄を作ることにいたしました。ご指摘して頂いた方、ありがとうございました。

*1
他にも大量に技能があるのですが、作者の確認時間が足りず入っていない技能が多数あります。こいつならこれ持ってるだろ、という技能がありましたらどんどん活動報告にコメントしてください。お願いします。

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