ありふれていない『天の鎖』で世界最強   作:如月/Kisaragi

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よっし間に合った。ということで投稿します。

ハイ注意。この回は賛否両論に分かれるものになりました。主に後半です。
それでもいいよという人は最後まで見ていってください。


Ep.15

「……」

 

恐怖によって気絶しているノイントのことを抱える。勝負に俺は勝つことが出来た。

横抱きにして、このようにノイントの顔を見ると本当に綺麗で素敵な女性に見える。でも俺の近くにはこれに勝るとも劣らない美貌の持ち主がたくさんいるのだ。本当にどうなっているのだろうか。

 

というかそんなことよりもだ。俺がこうしてノイントのことをお持ち帰r……ゲフンゲフン。拉致しているのにはきちんとした理由があった。

それは偏に、ノイントも俺の中で改変したいキャラだったからである。

 

あのクソ神(エヒトルジュエ)の眷属としてこれからも戦っていくのは、何と言うか忍びない。

そしてこのまま放置していたら、奈落に落ちて劇的ビフォーアフターを遂げた魔王様にドパン!されて希望の花になってしまうので救済するとしたらここしかないと思ったのだ。

それに、この躰になった影響なのだろうか。躰はギルガメッシュの友人であり、俺も転生前はノイントのことを可哀想だと思っていたから、なんだかこうして救ってやって、普通の人間として過ごしてもらいたいと思ったのだ。意味の分からないことを言っているのは自覚しているが、俺のエゴということで目を瞑っていてほしい。

 

この子を人間とするために足りないもの。それは即ち、感情だ。

心というものがない可能性もあるが、その時はその時だろう。別にこの程度は()()()()()()()

 

というのもだ。エルキドゥというサーヴァント……というか英霊は、霊長の抑止力と星の抑止力の双方に接続できる存在なのだ。それ故に、魔力を込めれば万能の願望機――即ち聖杯と同じ働きをすることが出来るのだ。

万能の願望機としての活動ができるのであれば、願いを叶えさせることも容易いというものだ。本来であれば魔力が足りなくなることではあるものの、幸いなことにこの世界は完全に前の世界と法則が違う。ならば、願望機になって願いを叶えることなど簡単だろう。

 

簡単に魔法陣を書く。その中心部にノイントを安置し、彼女の心臓部分に手を当てるようにして魔法陣を起動する。

それと同時に《根源接続(仮)》を発動させて、力ある言葉を唱える。

 

「――我、聖杯に願う。憐れなるこの神の使徒、ノイントに心を与え、天上の神からの支配から解かれんことを。1人の心を持つヒトとして、歩んでいくことを。我、天に繋がりし天の鎖。この願い、この願望を、叶えたまえ。――"我、聖杯に願う"」

 

力ある言葉が天に溶けると、魔法陣から光が立ち昇る。朝焼けの紅い太陽の光が、純白たる白の光を鮮やかに照らしていく。

神秘的なこの様子は、生まれ変わる目の前の使徒のことを祝福しているように見えた。

光が収まっていく。ノイントは、目を閉じたまま膝をついていた。

 

「ありがとうございます、マスター。お陰様で、私も自由に生きていくことが出来そうです」

 

……うん。うん?

 

「この身は我が主(久鎖李)のためにあります。何でも命じてください。夜伽の相手は、さすがに務まらないかもしれませんが」

 

ちょっとまて。色々と言いたいことがあるんだけど。

 

百歩……いや。一万歩譲って、マスターとか我が主は許すよ。うん。

でもさ、いくらなんでも好感度おかしくない?第一可愛い女の子が夜伽なんて言葉使うんじゃない。ただでさえ雫でこっちは大変だっていうのに、ここにノイントが来たら確実にどこかで理性切れるわ。

 

「ありがとう。でも、人前でマスター呼びは控えてほしいかな」

「わかりました。……何か、やることはありませんか」

「あるかな。僕が命じるまでは、これまで通り王宮の中で情報収集していてほしい。なるべく、僕の知人たちに悪影響が出ない様に介入してくれるかい?」

「ご命令の通りに。完璧に熟して見せます」

 

頼もしすぎません?この子。もうなんていうか出来る仕事人みたいで頼もしすぎるわ。

これなら安心して任せられるわ。……なんていうか、あんまり予想だにしていない展開にはなったけど。

 

「うん。それじゃあ、頼むよ」

 

そう言うとノイントは一礼して、去っていった。

……周りに人がいないことを確認する。さっきから込み上げて生きているこの不快感を放出する場所を探す。

 

「ぐっ……かはっ!?」

 

いい感じに抉れていた地面があったので、そこに隠れると遂に限界を迎えた。

口から出てきたのは、血。鉄の香りと味が、口内を駆け巡る。

咳き込みが止まらない。予想以上に、躰に与えられていたダメージは大きかったようだ。

 

「がはっ……はあ、はあ……」

 

10分ほどむせてから、漸く躰が落ち着きを見せた。不快感と嘔吐感は止まることを知らないみたいだが、そんなことを気にしている余裕はなかった。

ギシギシと軋む躰。少し動かすだけでも、躰全体を襲う痛みによって動けなくなってしまう。限界突破や、覇潰の後に来るというリバウンドとは比べ物にならない程の痛みに、意識が切れそうになるのをぐっとこらえる。

 

原因は明白だった。生身の肉体で、サーヴァントの力を全力行使しさらにその力を倍率10倍の強化をした状態で振るったのだ。躰がボロボロになっても納得がいくだろう。鍛えてきたつもりだったが、まだまだ足りないということなのだろうか。

この世界に来てから、元のエルキドゥの素体よりも能力値は遥かに上昇したはずであった。やはり受肉しているせいなのか、俺は予想以上に弱い状態になっているらしい。

この躰に慣れていない。その事実は何よりも重く、これからの懸念となるものであった。

 

いや。これは躰の問題というよりも。

……()()()()()()()()()()()()()()()()()。俺はそう思いながら、躰を引き摺るようにして王国へと戻っていった。

 

 

 


 

 

 

それから俺は、何食わぬ顔で日々を送っていた。

なんだか地形が丸々変動していて、少し高い山が半分以上も抉れていたりクレーターがあちこちにできているという話を聞いたが、俺は何も悪くない。というか何も聞いていない。そんな私何も知りませんよという態度で日々を過ごしていた。

 

訓練場に出る。騎士剣を一本手に取り、軽く振るってみる。

何も能力に強化を入れているわけでもないというのに、それだけの行為であっても躰がズキズキ痛む。内側から肉体を破壊されて、永遠に治らない痛みの中にいると想像するのが一番わかりやすいのかもしれない。もっとわかりやすい言い方をするのであれば、男の勲章(男性器)を一秒かそれ以上の間隔で蹴られ続けている状態というのがわかりやすいと思われる。

 

因みに俺は躰は天の鎖なので、変容のスキルを使って能力値に変化を与えることができる。

基本的には敏捷と魔力を優先。場合によって筋力を強化みたいな感じで戦っている。

変容を使えば戦い方に幅を持たせて戦えるので、よく使用するスキルだ。

 

そんな解説を第四の壁の向こうに居るであろう人々にした後、俺はハジメの方に目線をやった。

そこには、小悪党組に絡まれているハジメの姿があった。珍しく今は一人になっているから狙われたのだろう。あいつらも懲りないものだな、と思いつつ俺はハジメに加勢しようと思い歩み始めた。

……しかし、その歩みはハジメの視線によって止められた。珍しくハジメが何かを決意したかのような表情を俺に向けてきていたので、その視線を受け止めて俺は一歩後ろに下がった。普通にありがたかった。躰がギシギシ言っているからである。

 

会話だけでも聞いておくか。そう思った俺は耳を傾けて、声を聞き取り始めた。

 

『……本当?それならありがたいかも。僕はあまり戦いがうまくないから、檜山君たちが相手になってくれるのなら嬉しいかな』

『お前、本気で言ってんのか?こっちは4人もいるんだぞ?』

『人数なんて所詮飾りでしょ?それに僕、戦いはうまくないとは言っても君たちよりは確実に強いよ?』

 

……あれ絶対、俺の物真似少し取り入れてるでしょ。俺というかエルキドゥのだけどさ。

さらっと毒舌混ぜて相手煽っている時点でハジメ、この状況楽しんでるだろ。

 

『っ!てめえ!』

『あ、おい待てよ檜山!』

 

あーあ、先に手を出そうとしちゃったらだめだろ檜山くぅん。

そんなことをしちゃうから無残な死に方するんだよ原作とか二次創作で。

 

『ここに焼撃を望む――"火球"っ!』

『あーもー!どうにでもなれってんだよ!ここに風撃を望む――"風球"!』

『おーらよぉ!』

『羨ましいんだよコノヤロー!』

 

もう最後の……誰だっけ。ああ思い出した、近藤に関しては嫉妬じゃないか。コワイな。

というかさすがに魔法はやりすぎだろお前ら。ハジメ大丈夫なのか?強くなったとはいえ、さすがに多対一はきついはずだけど……

 

『全く、能のない動き方をしてるね。……この程度で僕のことをやれると思っているなら、舐めすぎだよ。――"錬成"』

 

そんな心配は、一瞬にして掻き消えた。ハジメが発動した錬成が、とんでもないものであったからだ。

ハジメが錬成したのは土の人形。この場合なら、ゴーレムと呼ぶ方が正しいのかもしれない。それが四体、ノータイムで出現して守りに入ったからだ。

ハジメのことだ。土の中の鉄分を凝固してあれを鋼鉄製のゴーレムにしているに違いないんだろうな。そこらへんはオタクの性なのか、尋常じゃないほど詳しいからな……

 

『うおっ!?』

『なぁにこれぇ』

『開けろ!デトロイト市警だ!』

『アイエエエ!ゴーレム!?ゴーレムナンデ!?』

 

おい小悪党組の檜山以外のメンバー。お前たちなんでそんな台詞言っているんだよ。雰囲気台無し&圧倒的場違いだぞ?

……あ、ブーメランだこれ。俺は一人膝から崩れ落ちた。

 

『……はい、これでお終いかな?檜山君、模擬戦受けてくれてありがとう。おかげで勉強になったよ』

『クソっ、覚えてろ!?』

『おい待てよ!』

 

崩れ落ちてる間にあっちは決着がついていたようだ。あっという間に小悪党組が見事なモブムーブしてして去っていったよ。

俺?まだ心にブーメラン刺さったままですが何か?それなりにきついんだぞこっちは。外見はウルクの切れた斧だったとしても中身は一般人人間Peopleだからね?……頭悪そうな単語の並べ方してんな俺。

 

自分で自分の傷口を抉っていると登場、いつものみんな&自己肯定感半端ない系勇者(笑い)くん。

こいつは修羅場の予感がする。あと愉悦の予感。第四の壁の向こうにいるであろうみんなが一番好きなものだろうってげほぉ!?

 

……やべ、血出た。バレないうちに退散しとこ。

こういう時に限って雫とかあと影が薄いのにこういう時だけは影が薄くないアビスゲート卿とかが気付くから早めに逃げるとしよう、そうしよう。駆け足になって退散していく、これならバレへんやろ。よゆーよゆー。

 

「……久鎖李。ちょっといいかしら?」

 

この現象を説明する前に言っておくッ! おれは今 やつの特殊能力を ほんのちょっぴりだが 体験した

 

い…いや… 体験したというよりは まったく理解を 超えていたのだが……

 

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

 

「おれは 奴の前を通り抜けて何食わぬ顔でここから

逃げ出そうとしたら いつのまにか雫に回り込まれていた」

 

な… 何を言っているのか わからねーと思うが 

 

おれも 何をされたのか わからなかった…

 

頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとか

 

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ

 

もっと恐ろしいものの片鱗を 味わったぜ…

 

……はい、ポルナレフさんお疲れ様でした。というか本当に何が起きたんだこれ。ニンジャか?ニンジャか!?ニンジャなのか!ニンジャだと言ってくれ!

 

「拒否権はないから。付いてきなさい」

「いや、お断りさせてもらってm」

「つ い て き な さ い」

 

肩に力を込められてミシミシと音が鳴り始める。シャレにならんからやめていただきたい、切実に。

というか本当にやめて!このままだと俺の肩が、肩がー!

 

「……はい」

 

弱弱しくそういうと、引っ張られる形で俺は雫に連行されていった。

<(´・ω・`)出荷よー

<(´・ω・`)そんなー

って声がクラスメイト達から聞き取れたのは疲れているからかもしれない。

あとお前たち(いつものメンバー)、尻に敷かれているとか言うんじゃない!

 

 

 


 

 

 

「……で?貴方の話をまとめると。喧嘩売られたからそれを買っていつも以上の全力を使って戦って勝ったと思ったら、躰ボロボロになってた挙句の果てに女の子1人拾って来たって訳なのね?」

「……はい」

「ふーん……ふーーーん?」

 

誰か助けてください。

絶賛ベットの上で寝っ転がっているなうなのですが、雫さんが不機嫌です。般若が後ろに見えています。更に今、拘束されています。そのご自慢の胸とスタイルでもって拘束されているので、抜け出すことが出来ません。抜け出そうとしたら男として最低な行動を取ることになるのでどうしようもありません。

おいワザップ!この状況から抜け出す方法を教えてくれ!

 

簡単で

す!

 

やめろぉ!

……一人茶番って虚しいね。

 

「……まあこの際ね。あなたが無事だからどうでもいいのよ」

「?」

 

流れ変わったね?少し顔も赤いし。どうしたんだろうか。

 

「……でも、久鎖李がどこかに行っちゃうんじゃないかと思うと、不安なの。いつも遠いところを見つめてて、みんなから一歩離れたところで生活していて。このままだと、どこかに行っちゃうんじゃないかって思って、心配で……」

 

雫は僅かに声を震わせて、目尻に涙を溜めていた。……想定外だった。ここまで雫が、俺に親愛の情を向けてくれているとは思わなかった。

というかこれは言われずともわかる。雫のこれは、親愛なんてものじゃ収まらないってことには気づいている。ここに来て自覚したのは、これまでこの気持ちから目を背けてきた報い、ということだろう。

 

――彼女はきっと、俺のことが好きなのだ。

そしてまた、俺もきっと。雫のことが、好きなのだ。

 

自惚れだと笑ってくれてもいい。傲慢だと罵ってくれてもいい。

それでも俺は、この気持ちが間違いなんかじゃないということが出来る。根拠はないけど、本気で俺はそう思っているのだ。

 

「気付いているかもしれないけどね。私は貴方のことが好きよ。1人の人間として、異性として。……歪んだ人間かもしれない。こんなことを言っているなんて、私もどうかしているかもしれない。……でも、気持ちは本心からだから。……ねえ、久鎖李」

 

好きよ。

そう言った後、雫は俺の唇を奪いに来た。




ここにキマシタワーを建てよう。
告白への返事とその他もろもろは次回です。

さあ、今度こそ勉強と試験対策だぁ!
楽しい楽しい時間が俺を待っているぞぉ!嬉しいなぁ!(SAN値直葬済み)

あ、明日の英検二次を受ける方々頑張ってください。俺も一緒に頑張ります。

お前らのアクセスが止まらねぇ限り、その先に。俺はいるぞ!
――だからよ。(勉強)止まるんじゃねえぞ……

追記:投稿直後にまさかのつけるタイトルを間違えるというポカをやらかしました。すぐに直したので許してください……
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