ありふれていない『天の鎖』で世界最強   作:如月/Kisaragi

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こちら作者。投稿の準備が終了した。

流石だな作者。テスト期間中のブランクがあるとは思えない。

待 た せ た な !


とまあそんな茶番はさておき、本当にお待たせしました。Ep.16です。
少し短めにはなりましたが、楽しんでいただけると幸いに思います。

投稿が遅れた理由についてはいつものごとく活動報告を参照していただけると幸いです。技能募集に関しても特定の活動報告のところに書いて投稿していただければ作者が確認して採用します。リンクに関してはこちら。

主人公の技能→https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=262820&uid=350638

他キャラクターの技能→https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=262980&uid=350638

貼ってあるリンクこれで正しいよね……?もし違いましたらご指摘と正しいリンク添付お願いします(土下座)

長くなりましたが、本編どうぞ。


Ep.16

口先に触れる柔らかい感覚。

遅れてやってくるのは、甘い刺激とドロドロに溶けてしまいそうなほどに目を潤ませた雫の姿だった。

 

このままでは戻れなくなる。脳を痺れさせる刺激は、麻薬かそれ以上の中毒性を孕んでおり、俺の理性という名のタガを全力で外しに来ていた。

呼吸が苦しくなる。長い永い口付けによって意識が飛びそうになる。永遠とも、刹那ともとれる時間は俺と雫の互いのことをこれ以上ない幸福感と充足感で満たしていた。

 

魔性の女だなと思う。俺が好きになった女は、どうやら相当に乙女であり強い大和撫子でもあり。何よりも、愛が重い女性だった様だ。そう思うと、何だか嬉しくなる。これ以上にないほどに可愛く、美しい。学校の男どもや道行く人々の視線を独り占めにしていた女が、自分のことが好きだと言ってくれたことが俺はよっぽど嬉しかったのかもしれない。彼女の腰を抱き寄せて、もう一度キスをした。

 

自分も愛が重い人間だな、と思う。

前世から誰のことも好きになることはないと思っていたが、このような形で人のことを好きになるとは夢にも思っていなかった。

しかも相手は絶世の美女だ。幸せ、なんてチープな言葉だけでは表せない。表そうものなら、きっと天から罰が下るだろう。

 

二回目のキスが終わる。雫は頬を染めながら俺の上体にもたれかかってきた。

自然と俺の躰は雫の身体に下敷きにされ、顔が近くなる。雫の目に映っている俺の表情は、鉄仮面の様に硬かった。面白みのない人間だな。俺は自分自身のことをそう自嘲した。

 

「嬉しい。久鎖李の方からキスしてくれるとは思わなかった」

「それを言うなら僕もだけど。こんなにぐいぐい来るとは思ってもみなかった」

 

互いに顔を綻ばせる。幸せな時間が、ゆっくりゆっくりと過ぎていく。

無言で見つめ合う。時々俺が笑ってみれば、雫も釣られて微笑んでくる。何にも代えることのできない、二人だけの幸せな時間が過ぎていた。

 

全身に幸せの雰囲気を感じていると、何だか視界がぼやけてくるのを自覚した。

どうやらこの雰囲気に安心しきったのか、俺の躰は眠りを求めてきているらしい。目をしょぼしょぼさせていると、耳元から蠱惑的な声が聞こえてきた。

 

「……眠いのかしら?それなら安心しなさい。私も一緒にいてあげるから……ね?」

 

悪魔の囁きであった。俺にはこの攻撃を回避する手段なんてものはない。言われるがままに落ちていく意識。

ああ。なんて、幸せなのだろう。溺れるくらいの愛と優しさに俺は包まれていた。

そして、俺は――

 

 

 


 

 

 

「……すぅ……」

「…………本当に寝るなんてね」

 

体勢を変えて、久鎖李の頭を自分の膝の上に乗せる。一般的に男のロマン……と言われている膝枕をしながら、手櫛で久鎖李の頭を梳く。男なのにも関わらず、一本一本がサラサラで枝毛のない久鎖李の髪の毛を見ていると、羨ましい気持ちになってくる。久鎖李のことだ。大した手入れもなしにこの髪の毛の質を保っているのだろう。だからこそ、羨ましい。

 

「……ところで。さっきからドア越しににやにやしている香織?ちょっとこっちに来なさい?」

「…………」

「居ないのかしら?そう。なら仕方ないわね……今度渡そうと思っていた映画のチケッt」

「ごめんなさいでした!」

 

気配感知に何か引っかかっていると思ったら、やっぱり香織だった。間が悪かったわね。

映画のチケットだけで釣れるものなのか、と思ったんじゃないかしら?どこに向かって言っているかは分からないけど。まあそんな誰かに向かって答えを言うなら、これカップル限定の映画チケットなのよ。つまりはそう言うことよ。

目の前で五体投地して土下座している幼馴染の香織の姿を見る。この子も可愛いのに、南雲君は何で告白しないのかしらね。というか香織もそうだけど。いまここでプルプルしながら土下座している香織は小動物のような愛嬌と魅力がある。こんな美少女口説こうとしないなんて……もしかして南雲君ってヘタレ?それともチキン?はたまた鈍感なのかしら?

 

「……ねえ雫ちゃん。今心の中で南雲君の事ぼろくそに言ったでしょ?」

「さあ?何のことかしら。隙間から見ていた覗き魔さん?」

「うぐっ……」

 

背筋がヒヤッとしたのを感じつつ動揺を表に出さないように努めて言い返してみれば、場の会話の流れは完全に流れていった。さすがに追及されるとボロが出そうだしね。私は生憎久鎖李みたいに会話が得意という訳ではないのよね。

 

「それにしてもいいなぁ……膝枕。私も南雲君にこういうことしてあげたいんだけどね」

「あら?それなら私みたいに告ってしまえばいいんじゃない?」

「む、無理だよそんなこと!あんな積極的に行くことなんてできないよ……」

 

まさか最初から見ていたのかしらね……?

だとしたら少しばかり、やることが出来てしまったみたいね。

ゆっくりと起こさないように、久鎖李の頭を降ろす。そして私は"縮地"を使って香織の目の前に現れる。

 

「……雫ちゃん?」

「最初から見られていたとは思わなかったわよ、香織……!」

「ちょ、ちょっと待って!目が怖いから!覚悟が決まったみたいな目になってるから!」

「どうしたのよ香織、私は怖くないわ。だから安心して私に身を委ねなさい」

「ま、待っ――」

 

そこから私たちの戦いは始まった。

何があったかはここでは詳しく言えないが……結果として私たちは本気で怒っている久鎖李の姿を目に焼き付けることとなったのである。

そしてそれから、私たちの間で囁かれる暗黙のルールの中に、『ぐっすりと寝ている久鎖李のことを起こさないようにする』という新しいルールが決まったのである。

 

怖かった……

 

 

 


 

 

 

そして翌日の訓練の最中。()()は唐突に告げられた。

 

「……え?雫、久鎖李と付き合い始めたの?」

 

始まりは、恵理と雫が小声で話し始めたところから始まった。

俺はそのころハジメと実戦形式での試合をしていたので、その会話を横で聞き流すことしかできなかったのだが。

 

「そうよ。……何も言わないのね」

「まあ納得しているし……それに昔からそんなことだろうなとは思ってた」

「……悪いことをしたかしらね?」

「ううん。全然平気」

 

最初は問題なんてなかった。平和で争いなんて起こる筈もない、ただのおしゃべりであったはずなのだ。

……そう、()()()()()()()()()()

 

「……ハッ!ネタの気配がする!者ども行くぞ!」

「Yes,ma'am!」

「敵の潜水艦を発見!」

「「「駄目だ!」」」

「大和魂を見せてやる!」

「止まるんじゃねえぞ……」

 

皆さんは覚えているであろうか。ここにキマシタワーを建てよう、なんてほざいていやがりましたあの女子たち(同人誌のネタに飢えた狂戦士)のことを。

案の定彼女たちはパパラッチ属性も持っていた。そしてそれをさらに後押しする形で持っている属性はおしゃべり好きで話すなと言われたことを容赦なく拡散していく近所のおばさん属性だ。此処まで言えば聡明な皆様方(どこの誰に向かって言っているかはまったくもってわからないが)ならわかってしまったのではないか。

 

案の定クラス全体に広まりましたよコノヤロー。

 

お陰でさっきから天之川の視線がくそうぜえ。そしてさらに言うならその嫉妬の感情の大きさがあまりにおかしすぎて意味が分からない。これ勇者君魔人族に魂売るルートになんて入らないよね?大丈夫だよね?

そんな可能性にビクビクしながら、俺は取り敢えずこのストレスをハジメとの模擬戦で発散させることにした。

 

「さあ、どこを切り落とそうか」

「本気!?まって、待つんだ久鎖李。ここでそんな発言をしたら彼女たち(同人誌のネタに飢えた狂戦士)たちの絶好の的だ!今すぐに正気に戻るんだ!」

「安心してくれハジメ。僕の機能に異常は見られないから」

「ちょ、それ絶対まずいやつ……あーーーーっ!?」

 

因みにこの後、俺もハジメも仲良く筋肉痛になりました。まだハジメの方はダメージが少ないのにこっちなんてもう立ち上がれないくらい痛くなりましたよ。

自業自得すぎて自虐することすらできねえ……はーつら、マヂムリ、ねよ。

 

「……ぐおお……恨むよ、久鎖李……」

「ステータス上がったんだから許してくれよ……僕はしばらく話しかけても反応できないから。お休み」

「そんな自由が許されるとでも!?」

「……( ˘ω˘)スヤァ」

「ほんとに寝てるし……」

 

そんなことがあったりしたが、俺は元気ではありません。躰痛い……ああ、眠るのは最高だよ……。

 

 

 


 

 

 

そして次の日の訓練に、久鎖李はいなかった。

全身筋肉痛とどれだけ話しかけて起こそうとしても起きなかったためである。

 

ハジメはいつも通りの訓練を終え、いつものメンバーで帰ろうとした。

しかし何と言うことか、メルド団長が「伝えたいことがある」と言って全員を引き留めたのである。

 

ハジメは眉を顰めつつ、一体何が言い渡されるのかということを全力で思考していた。ここに頼りになる久鎖李はいない。今はとにかく自らで考えて予測し、筋道を立てて行動していかなければならない。いつまでも久鎖李に頼ってばかりではいられない。ハジメは思考し、やがて一つの結論に至った。

 

――オルクス大迷宮。ハイリヒ王国にほど近く、実戦訓練にはうってつけのダンジョン。我々をそこに連れていくつもりではないかと、ハジメは気付いた。

 

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」

 

そしてその考えは見事に的中した。

ハジメは心の中で言うことだけ言って去っていったメルド団長に恨みがましい視線を向けつつ、本当に前途多難だなと息を吐いた。

 

 

 


 

 

 

「……ふふふ。中々に面白いことになってきたではないか、規格外(イレギュラー)。それだからこそ、面白いというものだ。

――さて、貴様はどの様な結果を作ってくれるのかな?」

 

何処かもわからないその空間に、愉悦に満ちた嗤い声が響き渡る。

その目線の先には、様々なヒト(舞台装置)が鎮座していた。

 

皆が皆目から生気を失っており、焦点が定まっていない。

しかしひとたび命令を下せばその目に生気は戻り、己の心行くままに愉しむ兵器が簡単に出来上がるのだ。

 

「ふふふ、あっはっはっは!そうだ、これならさらに面白いことになる!素晴らしいではないか!そうと決まれば早速準備に取り掛かるとしよう。そうだろう?」

 

――――。そして―――――。

その声は、虚空に向かって消えていった。

 

「……」

「……」

 

そしてここに、呼ばれし2人は反応を返していない。

 

 




読了ありがとうございます。

次の更新もいつになるかわかりません。よって、皆さまの中で小説の投稿がいつになるか気になるんだが!?という方がいらっしゃいましたら基本的には活動報告に投稿する旨を報告するので、それを見ていただけると幸いです。

あと、最新の活動報告に質問を投げたので回答できる人はしていただけると幸いです。
乞食みたいだなと思った人がいたら心の中で言いつつ、回答してくれると嬉しいです。ご協力お願いします。

それではまた。
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