ありふれていない『天の鎖』で世界最強 作:如月/Kisaragi
そもそも見てくれている人がいるかはわかりませんけど。
ハーメルンでは初投稿なので初投稿です。
普通に生きる、とはどういうことなのだろうか。
その問いを投げかけた相手がもし一般的で普遍的な学生なのだとすれば、朝起きて、食事を摂って、学校に行って、授業を受けて、友人と話して、また食事を摂って、授業を受けて、部活や委員会、生徒会に行って活動をして、家に帰って、食事を摂って、風呂に入って、寝る。そのような答えがきっと、帰ってくるのだろう。
もし問いかけた相手が社会人だったとするのなら、授業という概念が仕事という概念に代わるだけなのだろう。
部活も委員会も生徒会もない。そこにあるのはきっと、仕事と上司に付き合わされて出席する飲み会だけ。
きっとそれが、普通に生きるということなのだろう。
その生き方が、俺にとってはとても、とても。
――羨ましいなと、そう思える。
生まれた時から、俺は病弱だった。
他の人みたいに外に出ることすら、俺には毒だった。太陽の下で陽の光を浴びることも、ただ部屋の中を歩くことも、俺には毒となった。
暫くして、俺は俺以外の『人』と会わなくなった。
それから少し経ったころには、会いに来る人は病院の先生くらいのものになっていた。
それはなぜか。理由は簡単なことだった。
あまりに病弱だった俺は、少しのウィルスで病気にかかり、あっという間に身体にガタが来るくらい病弱だったのだ。
それ故に、厳重に管理された無菌室の中に俺は入れられた。
そのような状況になってから、親は二度と俺の前に姿を現さなかった。
何でも妹が生まれたらしく、そちらに手一杯らしい。
俺みたいな病弱ではなく、手がかからない子供にするために今、親は妹を育てているらしい。
――羨ましい。
妹のことが、羨ましい。
親に目をかけてもらっている妹のことが、羨ましい。
目一杯の愛を、与えてもらっている妹のことが、羨ましい。
親と共にいることのできる妹のことが、どうしようもなく、
そう思ったころには、自分の見ている白色の世界から、色が消えていた。
俺は色のなくなった世界から逃げるかのように、様々なことを試すようになった。
テレビゲーム、勉強、ボードゲーム、読書、執筆、書道、身体に負担にならないことをたくさんさせてもらった。
そして俺の世界に、何と色が戻ったのだ。
世界に色を戻してくれたのは、アニメと小説――とりわけ‶ライトノベル"――であった。
アニメのキャラクターは、それが悪役であっても、主人公であっても、ただの脇役であっても、その全員がまぶしいほどに輝いていたのだ。
俺の心をつかんだのは、とりわけ有名な作品の『Fate/』シリーズであった。
世界中の英雄たちによって描かれる、新たなる英雄譚。
その旅路が、その末路が、その過程が、そのすべてが、美しく見えた。
俺も、このような人間になれるのだろうか。そう考える。
英雄譚の英雄たちの道が格好よく見えたその日から、俺はよく夢を見るようになった。
自らが英雄になり、輝くさまを、夢に見るようになった。
それが叶うとは、思ったこともなかった。それにあくまで、俺は本当に彼らみたいな英雄になりたかったわけではない。
俺はただ、彼らの『生き方』に憧れた。ただ、それだけだった。
輝いていた。道行が、その存在が、生き方が、理想が、全てが、輝いていた。
その輝きに。唯一無二の人の輝きに、俺は魅せられたのだ。
その中でも俺が好きだったキャラクターがいた。
ギルガメッシュ叙事詩に出てくる神々の兵器であり、叙事詩の主人公たるギルガメッシュ王の唯一無二の親友という設定で書かれた美しい緑の麗人。
その名をエルキドゥという、英雄である。
何故そのキャラが好きなのかという理由は多岐に渡る。
まずビジュアルが神。何てったってあれイケメンでしょ。それに可愛いし。
次に声が神。小林ゆうさんの男にも女にも聞こえるあの声、マジで好き。
そして能力が格好いい。武器を作って能力を臨機応変に変更できる。更に好きな人物に擬態できる上に、気配察知のスキルがめっちゃ高い。
なんだよ、最高じゃないか。俺はそう思うね。
……テンションがいろいろおかしくなったのは置いておいて。
上記の点以外にも好きなところがある。
それは何よりも、叙事詩の中でのギルガメッシュとの美しい友情であろう。
ギルガメッシュとエルキドゥが死別するあのシーンを見た時に、俺はエルキドゥの生き方を美しいものと思った。
ただそれだけ。でもそれが俺にとっては、とても重要なことであったのだ。
刻々と、命がすり減っていくのを、その身を以て感じる。
最近は特に大きな異常もなく過ごせていたのだが、昨日発作に見舞われた。
俺が子供の時から診察してくれていた先生曰く、もう残り一ヶ月も持たない、とのことらしかった。
こんな所で死んでしまうのかと思う自分と、ああ、ようやく死ぬのかと思う自分の二つが存在している。
長いようで短かった俺の人生は、無色であり続けていた。そんな代り映えのしない真っ白の景色に色を与えてくれた俺の『英雄譚』。
そのことを思い出すと、意外とこの人生も悪くはなかったなと思う。
身体から力が抜けていく。
ふわり、と何かが浮いた気がする。それは果たして自分の身体か否か。
真っ白だった景色が黒くなっていき、ついに視界は純白から漆黒へと移った。
さらば俺の人生、俺の身体。
ずっと同じような日常だったが、案外楽しかったぞ。
そんなくさいセリフを心の中で言った後、完全に意識を失った。
いや、この場合は、死んだという方が正確か。
そんなこんなで俺の人生は終焉を迎えた。
「……迎えた、筈なんだけどね」
Q.何故か死んだはずなのに目が覚めて次に自分の姿を見た時に、その姿がエルキドゥになっていた場合の正しい反応の仕方と対応について、400字詰めの原稿用紙半分から1枚の範囲にまとめて答えなさい。
A.そんなこと聞かれても困るし、そもそもそんな非科学的なことが起きた場合人は冷静な判断を下せなくなるのでそんな多い字数で反応と対応について答えることなんて出来ません。
……本当にどうしてこうなった。
誰か教えてください、ついでに助けてください。
続きません。
ということで失踪します、探さないでください。
最後までの読了、ありがとうございました。
きっと続きません。気ままにつらつら書いていくだけなので。
それではまた、会うことがありましたら。