不老不死系転生者による歴史観光in地球 作:ヘンダー・ベンダー
話の流れが変わる訳ではないので心配しないでください。
「そ、そろそろ終わりにしない?ちょっとだるくなってきたんだけど……」
僕が卑弥呼の部屋に入ってから一時間くらい経ったが、未だに彼女は魔法をせがんでくる。流石にやり続けてると辛いんだけど……
「ご、ごめんなさい!」
「いやまあ寝れば回復するから良いんだけどさ……」
”僕”は分身だからオリジナルに比べると魔力ちょっと少ないんだよなぁ。
たしかオリジナルの方から魔力上限を削って分身に渡してるんだっけ。
魔力を共有してるからオリジナルの魔力量が増えると分身の方にも影響があるとかないとか。
その辺は”僕”はよくわかんないや。得意な方の”僕”に任せておこう。
魔法の開発とかも任せっきりだし。
そのうち山賊とかももっと出るようになるから自衛手段は持っておきたいし、防御と足止めの魔法の開発をもっと頼もうかな。
動物くらいなら素手でもいけるんだけど、人間はまだ抵抗がね……
オリジナルもこんな気持ちだったのかな?
それはそうと、改めて卑弥呼が魔力持ちだとは思わなかったな。
いやまあ忘れてただけなんだけどさ。
結構前になるけど、磔にされた人とか海割った人とか居たしなぁ。
これからもいるんだろうなあ、そういう人。
「その、あなたって人間ですか?」
「え、どういう意味で?」
急になんだ?
「その、私はあんまり普通の人間っていうのが分からなくて、この力もあるし、自分は人間なのかなって思ってて……」
なるほど、卑弥呼は王になってから死ぬまで民の日常を見ることはないはずだ。予知能力の事もあって幼少期から普通とは縁がなかったんじゃなかろうか。
だから、似た力を持つ僕に質問したのかな。
「確かに、肉体は人間の物ではないだろうね」
「肉体…?」
「何処かで聞いたんだけど、人っていうのはその体に依存するものじゃないんだってさ」
「どういうこと?」
人が人であるという事に、確かに肉体は大事だろう。
人は人と関わりを持たないと満足に生きることはできないし、人間は自分たちと違うものを恐れ、ときに崇める。
君の場合は後者だね。
でも、外身が人だからと言って、その内が恐ろしいものだったら?
そうだとしても排他される。
逆の場合?まあ、初めは同じことになるだろうね。
そう、例え外見が違えどその内が分かり合えるものなら、いつか仲良くなれる日がくるはずさ。
人間はそうやって関わりを拡げていく生き物だ。
長く見ていたから分かる。
……とはいえ、その内が分かり合えるものじゃなかったら仲良くはなりづらいだろうね。
「…………」
「とまあ、僕はそんな意見だよ……どうかした?」
「長く見てたって、どのくらいです?見た目は大分若い気がします」
「あー。んーっと、ざっと十二万年ちょいだね」
「???それはどれくらいの数で?」
ああ、弥生時代だもんな。
「今何歳?」
「19です」
「なら、君の六千倍だな」
「六せっ…!?」
目ん玉ひんむいてる……
そうか、もう十二万年も経ってたのか。
”完全記憶”のおかげで見聞きしたことは全部覚えていられるからあんまり実感が湧かないな。
昔住んでた家とかが荒廃してたら感じるんだろうけど。
昔の記憶が薄れてたら、ああ僕も耄碌したんだなって思うかも。
「まあそんなわけで、君よりも長い時を見てきた僕が言おう。君が人間で在りたいと思う限り、君は人間でいられる」
「私が、思う限り……」
「うん、まあ欲に駆られて人を超越したいだなんて考えた日には君は人間失格だけどね」
「…………精進します」
「まあ、困ったら言いなよ。何時までかは分からないけど、定住するからね」
大和朝廷は何時ぐらいになったら成立するんだっけなあ~
「ありがとうございます……!」
まあ、今は邪馬台国を楽しもうかな。
「そんな堅苦しくしなくても良いよ、友達みたいなもんだからさ」
「友達………」
「そ。あ、僕の力は秘密ね?」
「はい!もちろんです!」
よし、じゃあ今日はこのくらいにしようかな。
カラスになって隠れ家まで戻ろう。
「あ、”
「はい!」
明日はどうなるかな……。
発動位置周辺を範囲外からは把握できなくする
出入りは自由だが発動者に位置を把握され続ける
開発者の遊び心で範囲内の飲料は全てコーヒーと化す
発動ワード:”
終了ワード:”
元ネタはフランス革命前後の社交場兼議論場だったコーヒーハウスから。
コーヒーを飲みながら難しい話をしてたとか。
魔法の発動ワードに関しては、テンプレとして保存したプログラムを一気に発動させるためのものとでも思っててください。
二話を読んでればわかると思いますが、いちいち発動させるのが面倒なんですよ。彼にとっても僕にとっても。