伏線回収が遅くなりがちです。すいません。
身体中が痛む。ワタシは、空からどんどん落ちていく。ワタシの手の中から全てが零れ落ちていく。
でも、その代わりに、ワタシはたった一つのものを手に入れた。
けれど、ワタシは決してその事実に辿り着くことはない。
ふと、誰かと目が合ったような気がして、その方向へ必死に手を伸ばした。
*
運命というものに、ずっと憧れている。衝動的に、本能的に、ずっと探し求めて、追い続けて、手を、伸ばし続けて。
そして。
スマホのアラームがけたたましく鳴って、目を覚ました。音を止めて、おもむろに体を起こすと、目から溢れた温かい雫が、右手に落ちた。
それを拭って、カーテンを開けて、まだ日の昇り始めたばかりの空を見つめた。
5時半。私にとってはいつも通りの時間。
軽いストレッチで、まだ眠気の微妙に残る体を叩き起した。
パジャマからジャージに素早く着替えて、1階に降りて、リビングに置いてあるカロリーメイトを一つだけ食べる。そのせいで乾いた口の中をジュースで満たすと、ため息が自然に漏れた。
家を出ると、私より早く起きたおばあちゃんが、庭のお花に水をやっていた。おばあちゃんはすぐに私に気づいて手を振ってきた。
私も、「いってきます」と呟きながら手を振り返して、日課のジョギングを始めた。
人気のない住宅街を通り抜けて、ポツポツと明かりのついた商店街を過ぎ、まだ花の咲ききっていない公園の桜並木のトンネルを通り抜ける。
これを面倒だとは思わない。もう何年も続けていることだから。
でも、部活の自主練という訳ではないし、そもそも体を鍛えようという目的じゃない。コースなんて、その日その日で毎回変わる。
けれど決して目的がない訳じゃない。
私の脚は、だんだん桜並木から外れて、別の場所へ向かっていく。いつものように待ちかまえているのは、並木のそれとは比べ物にならないくらい大きなしだれ桜。
その前に立ち止まると、私の目から、さっき拭ったはずの涙が再び溢れた。あごをつたって流れ落ちる水滴が、風に飛ばされてキラキラと微かな光を放ちながら見えなくなっていく。
ここに来ると、心がめちゃくちゃに壊れそうになる。
けれど、私はこの場所に通うことを辞めないんだろう。
涙は流れるままに、空を見上げた。
雲一つない空だったけれど、私の中の雨は止んでくれない。
朝日が昇ると共に消えていく星へ、そっと手を伸ばした。
待ってて。今、行くから。
*
どこまでも黒く、黒く、黒い世界が広がっている。自分がどこにいるかなんて、見当もつかない。
でも、わたしはそんな中に居ても、全く恐くなかった。
だって、空を見上げれば、いつでも、どこまでも、満天の星空が広がっているから。
空を見ていれば、いつでもあの子の存在を感じていられるから。
背中にほんのり感じる熱に向かって、心の中で呼びかけた。
ねぇ、早くこの星空に気づいて、と。
なんとなく届くような気がして、空へ向かって手を伸ばした。