Fate/GRAND Zi-Order ーRemnant of Chronicleー   作:アナザーコゴエンベエ

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夢の舞台2017/B

 

 

 

 しんとした聖堂。廃墟に姿を変えてしまった教会の中で眠るように、メルトリリスが椅子に腰かけ、目を瞑っている。一時的なスリープをしての思考整理。

 だが何度自身を精査してもバグはない。彼女の中には、パッションリップ相手に出力が落ちた理由が見つからない。

 

 そうして何度かこの作業を行っている彼女が、ふと目を開いた。

 

「……休息はどうしたのかしら。休まないと身が持たないわよ、物理的に」

「うん。でもちょっとメルトと話したいなって思って」

 

 目を向ければ、2階から降りてきた立香の姿。

 彼女はそのままメルトの隣にまでやってきて、腰を下ろした。

 

 一度取って返してきた以上、休息は行わなければならない。

 外での活動時間を回復させるにはそれしかない。

 こうしている間にも、徐々にタイムリミットは迫ってくる。

 

 今後の活動方針は散策。

 リップとプロテアという障害を突破するため、手を探すしかない。

 慌てても仕方ない。少しずつ進んでいくしかない。

 

 焦りたくなる場面であるが、そこはまあ経験値か。

 焦るよりは気を抜いた方がどうにかなる。

 

「ひとつ訊いていい?」

「……答えるとは限らないけれど、それでいいならお好きにどうぞ」

 

 メルトはそういって顔を逸らす。

 質問の内容は分かっている、とでも言いたげに。

 ならば遠慮することでもないと、彼女はごく普通に問いかけた。

 

「メルトってさ、ソウゴのこと何か知ってるんだよね?」

「―――――」

 

 沈黙。間を置いた返答、ということもなく完全な沈黙。

 言葉で返す気はない、ということなのだろう。

 それを理解して、こちらは好き勝手に言わせてもらうことにする。

 

「メルトってさ、ちょっとソウゴと似てるよね」

「―――どこが、と言い返したいところだけれど。少しなら自覚はあるわ」

 

 続く一言。

 それだけで黙り切れなくって、少女は呆れたような声をあげる。

 

 孤独に輝く星、自分だけしか立てない独り舞台。

 AIとしてそういう風に成立した彼女と、そんな人間になってしまったソウゴ。

 そんなものであったのに、そこにいるだけではいられなくなったもの。

 

 彼女はいつか恋をして、ただの孤高のプリマドンナではいられなくなった。他者は全て溶かして喰らうだけ。他人という存在を必要としない、存在するべきなのは世界の全てを溶かして吸収した自分だけ。そんな精神性のAI(かいぶつ)のくせに、人間みたいに恋をして―――怪物の献身と人間の恋。彼女はその噛み合わない矛盾を抱えたまま突き進み、手酷くフラれて、そうして一つの区切りを得た。そうした先に、それでも彼女は彼女のままだった。

 

 彼は全てを救うことを夢に見て、その自分で定めた覇道に余人を必要としなかった。彼は自分が世界を変えることだけ見て、他者に干渉することをしなかった。世界という大きなものごしにしか、他人に触れることをしなかった。そんな彼は友を、仲間を得て、黄昏の覇道には乗るまいともがき続けている。彼がこの先どうなるかは分からない。

 

 AIであるメルトリリスにとってはバグだが、人間であるソウゴはそうなる方が普通だろう。だが、そもそもそんなことになったのが自分の意志では仕方ない。

 

「――――ええ、だってしょうがないでしょう? それが必要なことでなくとも、むしろ不必要だと思ったことでも。それでも、そのエラーみたいな行動を夢に見たんだもの」

 

 苦笑しながらついそんなことを口にした。

 

 おかしな行動だったが、後悔はない。

 だってやりたかったんだもの。だって、そうして欲しかったんだもの。

 自分の(エゴ)を超越して、やりたかったんだから仕方ない。

 彼女の行動は、彼の選択は、ただそれだけのことだった。

 

 そんな風に言葉をこぼしたメルトに対し、立香はもうひとつ問いかける。

 

「ちなみに、私のサーヴァントになりにきてくれたのもソウゴと何か関係ある、ってことでいいんだよね?」

「さあ? どうかしらね」

 

 そう言って悪戯に、曖昧にぼかすような返しをするメルト。

 

「でもよく私に協力してくれる気になったね。私のことはあの時初めて知ったんでしょ?」

 

 だが誤魔化しの言葉に返すものとは思えぬほどにきっぱりと。

 疑う余地もないとして、続けて問いかけてくる立香。

 その様子に溜め息まじり、メルトは今度は素直に返すことにした。

 

「―――共感、かしら。とてもおかしな話なのだけど」

「……舞台に立ってるメルトリリスも、ソウゴが見ていた夢も、ひとりぼっちだから?」

「ええ、そう」

 

 詳しく説明したわけでもないのに、理解している立香。

 あっさりと看破された事実に、メルトリリスは呆れ顔で肯定を返した。

 

「ひとりぼっちで十分だと思っていたのに。何よりも高いステージで、孤高の星でいるのが私という存在の正しい在り方なのに、欲しいと思ってしまった」

 

 彼女の翼はその重みに耐えきれず、地に墜ちた。

 だって彼女には自身の生き方は変えられない。変えてしまったらメルトリリスではない。

 変えられないのに、変えなきゃ手に入らない夢を見たから翼を失った。

 

 ―――だが彼は変える。自分の生き方を。より良く、最高最善を目指して。

 

 ああ、これが人間だ。自分たちAIと人間を別つ、絶対の違い。

 意図された設計思想がないからこそ、自分のまま自分でないものに変われる。

 それはいつか彼女たちが憧れたもの。

 しかし怪物である彼女たちには手に入らないと納得したもの。

 

 空の舞台から落ちた彼女という白鳥は砕け散った。

 だが、彼という人間は落ちた後にも泥の中でもがき続けている。

 彼女たちの元の生き方を考えれば、無様にもほどがある。

 だからこそ、見どころが感じられたのだろうが。

 

 ふと気付けば、目を伏せていたメルトを覗き込む立香の顔。

 

「……なにか言いたげね」

「ライバルなんだね。どっちが自分の舞台で輝けるか、みたいな?」

「―――――」

 

 落ちたのは一緒だ。

 孤独で、孤高で、ライトに照らされ、光り輝いている、ひとりぼっちで立つ寂しい舞台。

 それは自分の意志で、確固たる意志でそこに立った後の話。

 恋慕、友情、不必要な情動で、二人は揃って転げ落ちた。

 

 二人ともその末路に対する考えは同じだ。共にそれは自分にとって、どんな成功より掛け替えのない失態だったと思っている。その経験の果てにメルトリリスは今のメルトリリスになり、常磐ソウゴは今の常磐ソウゴになった。

 

 メルトリリスはそんな経験を積もうが自分を変えず、また同じように生きるだろう。

 常磐ソウゴはそう感じた自分の先に、新たな自分を積み重ねていくだろう。

 どっちがいい、とかそういう話ではなくて。

 

 これが自分の生き方だ、と誇りたいだけ。

 そうやって胸を張る相手として、正反対の彼はちょうどいい相手だった。

 

 マスターからの声に一度瞑目し、その言葉を反芻する。

 

「―――そう、だったのかもしれないわね」

 

 そこまで口にして、数秒黙り。

 彼女は立ち上りながら、再び口を開いた。

 

「私への尋問もこれくらいでもういいでしょう、そろそろ素直に休みなさい」

「うん、そうする。ソウゴのこと、必ず助けよう」

「―――――」

 

 踵を返して教会の外に向かうメルトリリス。

 そんな彼女の背中にかけた声に対し、答えは返ってこなかった。

 

 

 

 

 

 疾走する影。両の脚、二足歩行で生み出すとは思えぬ速度と軌道。

 それを生み出す翠の獣が片手にぶら下げた少女をちらりを見る。

 

「せめてしがみついてくれないか。これでは弓も握れん」

「まあ、嫁入り前の女にしがみつけなどと。破廉恥ですよ」

「汝は……」

 

 お前が言う事か、と。

 手にぶら下げた角のある和装少女を見て、獣耳の女狩人は変なものを見る目をした。

 そんなやり取りの最中、異音を聞き取った獣の耳がぴくりと跳ねる。

 同時に床を蹴り飛ばして跳ぶ二人の体。

 

 その直後に空間が歪み、そこから突き出してくる巨人の腕。

 大きさ相応の鈍さで、しかし単純な大質量に伴う破壊力。

 巨腕が直近まで通るつもりだったルートに叩き付けられ、床を盛大に砕いていく。

 

 悪魔のような、竜のような、巨大な怪物の腕。

 その威容を見て、狩人は軽く舌打ち。

 

(そのままティアマト神のアナザーライダー、というわけではない……が、どちらにせよまともにやって倒せる相手ではないな。もっとも、ケイオスタイドが無い上に時々腕を出すだけ。これだけならば、さほど脅威でもないが)

 

 着地と同時に再び床を蹴り、更に跳ぶ。

 続いて彼女が立っていた場所に襲来するのは、雷鳴のような歌声(ソニックブーム)

 その一撃が床を削り飛ばすのを離れた位置で見届けて、発生源へと視線を向けた。

 

「あら、鬼ごっこはもう終わり?」

 

 床に叩き付けられた悪魔の腕の上に降り立つ、蝙蝠のような竜の翼。

 

 ステップはステージに躍るアイドルのように軽快に。

 手にした(やり)で足場の腕を叩けば、恐る恐る空へと持ち上がる。

 虚空から生えた空中ステージからの視界を存分に味わって、少女は嗜虐的な笑みを浮かべた。

 

「―――じゃあ歌うわ! この海全てに響かせて、全部まとめてこのステージごと盛大にぶち殺してあげる!!」

 

 広がる翼。展開する監獄城チェイテ。

 血が飛沫くように髪を振り乱し、少女は手にした槍を怪物の腕へと叩き付ける。

 少し驚いたのか、その腕がぴくりと揺れた。

 

 そうして彼女―――エリザベート=バートリーのステージが完成する前に、狩人は手にしていた竜の角を持つ少女を全力でぶん投げた。

 ぎょっとした顔で飛んでくる和装の少女、バーサーカーのサーヴァントである清姫を見る。彼女は飛びながら大きく息を吸い、一気に吐き出した。

 

 迸る青い炎のドラゴンブレス。

 だが一瞬虚を突かれた程度で今のエリザベートが負けるはずもない。

 彼女はすぐさま小さく息を吸い、圧縮した風のドラゴンブレスで対抗した。

 

 出力差は決定的。

 並みのサーヴァントでしかない清姫と、衛士(センチネル)であるエリザベート。

 そこで勝負など成立するはずなどなく、炎は風に引き裂かれて。

 

 ―――ブレスの激突を目晦ましに、女狩人は跳んでいた。獣の如き身のこなしは、ギリシャに名立たるアタランテが繰り出すもの。

 彼女はその跳躍で清姫を再び掴み取りつつ、激突するブレスを飛び越えていた。渦巻く炎と風の嵐がエリザベートの視界を潰しているうちに、アタランテはエリザの頭上を越えて彼女の背後、アナザーディケイドの手に着地。その勢いのまま、全力で脚を振り抜く。

 

「ぷえ―――っ!?」

 

 背中に獣の脚力が炸裂する。背骨を粉砕する勢い。

 だがそんな威力でさえも、彼女は吹き飛ぶだけで傷を負うほどではない。

 手の上から蹴り出され、炎渦巻く風の中に放り込まれるエリザ。

 自分の腕に乗られたことに反応し、振り払おうとするアナザーディケイド。

 

 深追いせず、アタランテは腕のスイングに合わせて離脱した。

 危うげなく着地する彼女に振り回されながら、清姫が口元を押さえる。

 

「いくら必要とはいえ、もう少し気を遣って欲しいのですけれど……(わたくし)、あなたほど頑丈ではないのです」

「仕方あるまい。汝ではあれから逃れられないだろう?」

 

 エリザベートはまだしも、アナザーディケイドはどうしようもない。

 清姫の戦闘速度ではあっさりぺちゃんこだ。

 アタランテに抱えてもらい、とにかく攻撃範囲から逃げる以外に手段がない。

 それが分かっているから、彼女もこうして手提げ清姫に甘んじているのだ。

 

 時間稼ぎだけなら幾らでもできるが、どうにも。

 アタランテはそう思いつつ息を吐こうとして、

 

「―――むむむ! 清姫れぇだぁに感ありです!

 間違いありません、これはマスターの気配です!!」

 

 しゃー! と蛇の如き清姫のセンサーが駆動する。

 

 何を言っているんだ、こいつは。

 ノータイムでそう言おうとしたアタランテはしかし、直後に獣の耳をぴくりと動かす。

 遠い位置から迫ってくる複数人が駆ける音。確かに聞き覚えのある足音だ。

 

(どうやって私より先に察知したのだ、こいつは)

 

 森の狩人よりセンサー感度が高いなどと、それこそ野生動物くらいなものだろうに。

 野性に回帰した蛇を抱えつつ、アタランテが音の方へと視線を向ける。

 

 そちらから飛来するのは、銀の弾頭を持つ菫色の弾丸。

 すれ違うように直進していったそれを見て、アタランテは軽く眉を上げた。

 

(速いな)

 

 激突して、アナザーディケイドの腕が浮く。

 その威力にむっとしたように拳を握る巨人の腕。

 腕はすぐさま掌を開き、更にもう一本の腕を虚空から生やす。

 

 反動で弾かれたメルトが床を滑り減速しつつ、巨人の腕を見上げた。

 

「出てくる気ね、プロテア」

「半分、だけ、です!」

 

 空間を引っ掴み、無理やりに歪みを広げ、悪魔の如き巨体が上半身を晒す。

 腰から上だけ、姿を現すアナザーディケイド。

 圧倒的な威容を見せつけながら、彼女は大きく腕を振るう。

 巻き起こされる突風にコートをはためかせながら、メルトが軽く鼻で笑った。

 

「中身ばかりじゃなくて外見まで随分と怪物的になったわね。アナタの異常性はサイズだったけど、今はデザインまで十二分に怪物よ」

「か、怪獣です! 怪獣なんだからこう……見た目トゲトゲしてて、怖い感じでも別にいいと思いまーす! ……わ、私だってどうせ怪獣ならもっと可愛い姿の方がよかったけど……でも、お母さまがこれなら一応外に出れるし大丈夫って……」

 

 アナザーディケイドが少し不満げに手を遊ばせる。

 怪物化したことよりも、怪物にしてももっとファンシーなデザインが良かった、と。

 それでもある程度自由に動けるのが楽しいのか、さほど不満げでもない様子で。

 そんな子供のような態度を見て、メルトが目を細めた。

 

(―――プロテアの精神がある程度安定してる? 何を吹き込んだの、BB)

 

 渇愛のアルターエゴであるキングプロテアの行動目標は愛の探求だ。行動が愛を手に入れることに繋がらない限り、親機であるBBの指示にだって従わない。

 

 だとしたらBBはプロテアに何を言ったのだ、という話。とりあえず出てきて、相手の邪魔をするようなもぐら叩き。これが愛に繋がる行動なのだ、という説得が上手くいっているからこうなっているのだろう。そうでなければ彼女はこんな仕事はしない。

 

「お久しぶりです、ま・す・た・ぁ!」

「うん、久しぶり。悪いけど協力して!」

「はい、挙式の準備ですね! 運が良いことに結婚式場(ちゃあち)もそこに!」

「余を式場扱いするか! ダメだぞ、あれは余の専用である!」

 

 蛇のようにするりとアタランテの手から逃れ、立香に突撃する清姫。彼女はすぐさま巻き付くように、立香の腰へと抱き着いた。

 さっきは破廉恥とかなんとか言ってた気がするが、と胡乱げな眼差しを向けるアタランテ。

 

「まったく、いつも通りではあるが……」

「やっぱり同じような奴らが集まった集団なのね、カルデア」

 

 アタランテの呟きを聞き取り、自身も呟くメルトリリス。

 そんな彼女にアタランテが何とも言えない視線を向けた。

 

 そしてマスターとサーヴァントの間で打てば響くような言葉のやり取り。

 ネロも反応を挟めば、ローマ焼き討ち大鐘楼。

 まったく内容は意味不明だが、彼女たちは戦闘の準備を完了していた。

 

(とにかく、プロテアは今はいいわ。それより―――)

 

 弾き飛ばされて床に叩き付けられていた少女が体を起こす。

 頭痛を堪えるように頭を押さえながら、表情を歪めた様子での復帰。

 より深くなった憎しみに、少女は酷く目を吊り上げた。

 

「ああ……! 頭が痛い、頭が痛くておかしくなりそうなの……! 罰だっていうの? でも違う、違う、(アタシ)は悪いことなんてしてない……知らなかったの、知らなかったのよ。だって誰も……ここは狭いの、ここは暗いの……! いや、いや……! 出たい、出たい、出たいの! お願いだから出してよ、出して、ここは嫌――――ッ!!」

「エリザベート……!?」

 

 竜の翼が広がる。悲鳴のように吐き出され、拡大する雷の如き咆哮。音圧が物理的な破壊力を伴い、周囲を薙ぎ払っていく。

 すぐさま立香の前へ出て炎のブレスを吐き出す清姫。それに合わせ飛び出たシャルルが、竜巻を纏った剣を振るう。炎が渦巻き、ソニックブレスに対する壁となる。

 

「―――――」

 

 激突する音波と熱風。

 その衝撃を前にしながら、メルトリリスが目を眇めた。

 

「清姫、あの子は……」

「―――最初から狂っていました。いいえ、そもそもあの子の場合狂っていない状態の方がおかしいのでしょうけど。原因は分かりませんが、とにかくあれは正しく()()()()()()()()()()()なのでしょう」

 

 衛士(センチネル)になったから狂ったのではなく、狂っていたから衛士に選ばれた。

 相殺されて届かなかったブレスを見て、エリザベートは髪を振り乱し叫ぶ。

 

「なんで、なんでよ! なんで私の歌を聞かないのよ!? いいから聞きなさいよ! こっちが必死に、咽喉が枯れるまで叫んでるっていうのに……! 無視しないでよ! 私はここよ!? ここにいるんだから――――!!!」

「疑似勇士、召喚―――!」

 

 悲鳴がそのまま音波となり、こちらを爆撃する波動となる。

 それに対してシャルルが輝剣を並べ、防ぐことに注力し始めた。

 彼に並び、ガウェインもまた防衛線に。

 

 プロテアの動向に注意しつつ、メルトが背後のマスターを窺う。

 

(天体室のマスターの声。コフィンの中から二度と出られないマスターの悲鳴と同調しすぎたのね、エリザベート=バートリー。その上でKP(カルマファージ)まで投与された。完全に手遅れ、狂い死ぬしかないでしょう)

 

 暗くて、狭くて、光の届かない、誰にも声が届かない。

 そんな監獄の中から放たれた断末魔が、エリザベートを狂わせた。

 外的要因ではなく、彼女自身がそういうサーヴァントだから狂ったのだ。

 

 立香と清姫の様子から言って、前は味方に近しい存在だったのだろうが。

 理性など期待しようもない。もうどうしようもないだろう。

 

「砕くわよ、マスター」

 

 あれは敵だ。KPを持っているならなおさらの話。

 KPは全てで5つ。既に回収されたメルトが与えられていたもの。後はリップ、鈴鹿、エリザ、あとはまだ正体不明の誰か。プロテアが持っている様子はない。

 とにかく最終的には全て砕く必要がある以上、ここで確実に一つは砕かせてもらう。

 

 ―――敵はエリザベートとアナザーディケイド・キングプロテア。こちらは教会の護衛にはフィンを残してきたため、メルトリリス、シャルルマーニュ、ガウェイン、ネロ。そこに合流したアタランテと清姫。

 

「―――お願い、メルトリリス」

 

 メルトリリスの体が沈む。加速の前兆。

 それを理解して、即座にアナザーディケイドがその腕を振り上げた。

 少し迷った彼女は、メルトを追い切れないと素直に判断してマスターを狙う。

 

「アタランテ! 私をお願い!」

「了解した」

 

 立香と、ついでに彼女にくっついている清姫。二人の少女を抱えたまま、何ともない様子でアタランテが疾走体勢に入る。

 メルトリリスにアタランテ。プロテアの戦闘速度では追い切れない二人。それを目の前にして、キングプロテアは即座に判断を変えた。

 

「うぅー! ガオーッ!!」

 

 両手を振り上げ、やたらめったらに振り回す攻撃。狙いをつけても意味が無いなら、特に狙いをつけずに大質量を活かした乱暴なだけの戦法を。

 素直にそう割り切った彼女に対して、アタランテの腕の中で立香が叫ぶ。

 

「シャルル! ガウェイン! 何とか隙を作って!!」

「応とも!」

「了解しました!」

 

 下された指令に対して、二人の騎士が顔を見合わせる。そうして互いが意志を通じさせ、選ぶ方法はただひとつ。

 対するのは乱雑に振り回される腕。そのサイズと頑強さだけで絶対となっている、嵐のように吹き荒れる打撃の乱舞。

 

 二人は眼光鋭くその攻撃の軌道を確かに見極め、揃って割り込んで。

 正面から、その拳を打ち返す。

 

「オォオオオオオオオオオオオ――――ッ!!!」

 

 唖然とするほどの力業に対して、愕然とするくらいに力業で返す。

 ぶんぶん振り回される腕に突っ込んで、それを剣で殴り飛ばすという暴挙染みた行動。

 

 だが体のサイズという唯一にして絶対の強みだけで戦うプロテアが相手ならば通せる、と。二人の騎士はそう確信してタイミングを計って確かな瞬間に激突していた。

 

「ひゃ、わ、わ……っ!?」

 

 下半身は虚数の海の中。常に立ち泳ぎしているようなものだ。

 踏み止まる、なんて行為ができるわけもない。

 上半身まるごと振り回すような状態にあったアナザーディケイド。

 激突の勢いのまま、その巨体が激烈な勢いで押し返されてひっくり返る。

 

 ぶつかりに行った騎士二人も受ける衝撃の強さは同じだ。何とか相殺したものの、やはり無理があったのだろう。共に反動で壮絶な速度で弾き飛ばされていくシャルルとガウェインの体。

 あの二人を揃え、全力で激突させて、それでちょっと態勢を崩すのがやっと。すぐに立て直されるだろう。

 

 だから、彼らに指示したマスターとして―――その前にもう一手。

 

「ネロ、少しの間でいいから邪魔できないようにして!」

「言われると思って準備しておいたとも! しかしあのサイズ、本当に数秒だぞ! 暴れられたらすぐに崩壊する!」

 

 それ以前に相手がアナザーディケイドである以上、隔離という手段は効果が薄いだろう。だが相手は虚数空間に常駐し、そこからこちらに体を出している状態。一度虚数空間に戻り、またこっちに出直すという手間を強要できればそれでいい。数秒拘束できるならば十分だ。

 メルトリリスならばそれで決められる。

 

 そうなんでしょう、という視線に不敵に口元を吊り上げるメルトリリス。

 

 二人の間で一瞬だけ視線を行き来させ、ネロはうむ! と強く頷いた。

 振り上げられる白く染まった隕鉄の鞴、“原初の火(アエスティス エストゥス)”。

 呼応するように高まっていく魔力の渦。

 

「開け、黄金の式場よ! “招き蕩う黄金式場(ヌプティアエ・ドムス・アウレア)”!!」

 

 駆け抜ける白い花嫁衣裳。プロテアの効果範囲に入れるや、即座にネロが宝具を解放する。

 白く燃える剣の閃きに合わせ舞い散る薔薇の花弁。

 それが吹き抜けた先に現れる、豪華絢爛なるローマの誇り。

 

 それこそネロ・クラウディウスの生涯。

 劇場(ドムス・アウレア)に聴衆を閉じ込めた彼女の逸話が昇華したもの。

 

 更に劇場の現況は二転三転。気分によって改装に改装を重ね、劇場より式場へ。

 今ここに建築の極みは花嫁舞台に改装され、キングプロテアを一時隔離した。

 

 彼女にできるのは後、できる限り逃げられるまでの時間を稼ぐことであり―――

 

 と、そこで。ネロは衝撃に一時ふらついていたプロテアが、体勢を立て直してから逃げるでもなく、周囲をただ見回しているのを理解した。

 

「……む?」

「……ふぁー。いいなぁ、結婚式場だぁ……いつか、私もこんな場所で……でもここ、ちょっと私には狭いかな……」

 

 周囲は煌びやかな白と金に彩られた荘厳の式場。そこに囚われたキングプロテアは、アナザーディケイドのギラギラした緑の眼を、きらきらと夢見る少女のように輝かせ、周囲の風景へと馳せていた。

 天井が近い。外に体の半分しか出していない今のプロテアですら窮屈な空間。全身を出してしまったら、体育座りでもしてなければ天井を破ってしまうだろう。外に出た場合はid_esで成長して、より巨大になってしまうのでなおさらだ。

 

 それでも彼女はこの光景を、輝かしいものを見る憧れの目で眺めていた。

 

「―――ふっ、何を言うかと思えば。ここは余が造り上げた余の我儘の粋、黄金式場だぞ? サイズくらいそれなりに自由であるとも!」

 

 ここでならば、プロテアは何だか足を止めてくれるらしい。

 しかも彼女の式場を嬉しそうに眺めている、ときた。

 

 その事実に喜色満面な笑みを浮かべ、ネロは手にした剣は床に突き立てる。とりあえずできる限り、魔力を宝具へと割く。より広く、より美しく、より煌びやかに。彼女の意志で拡張していく花嫁空間。最高傑作に対するあの憧れの視線! 歓待せねばローマ皇帝の名が廃るというものだ。

 

 そうして、ギリギリ。ギリギリ自分でも入れるんじゃないか、というくらいにまで大きくなった式場。その光景を見て、プロテアは手を組んで嬉しそうに声を上げた。

 

「ふわぁああ……っ!」

 

 

 

 

 

 プロテアがネロに隔離された。この一瞬のうちにスタートを切る。

 目指すのは一直線、エリザベートを目掛けて。

 

「まずはひとつ……!」

 

 いかにKPで強化されていようとも、今のメルト全力の一撃なら砕くことは可能。

 プロテアという加速するのに邪魔な存在がいなくなったのなら、間違いなく一撃必殺だ。

 

 槍を握っていたエリザベートがその弾丸の飛来に目を見開き、息を吐き出そうとする。

 仮に音波が放たれたとして、その程度なら貫通してしまえる。

 この状況に入った時点でエリザベートは既に終わりだ。

 KPを与えられた衛士である以上、絶対に逃がすつもりもない。

 

「LAAaaaaaa――――!!」

 

 反撃のソニックブレス。

 周囲を揺らす破壊の振動は、しかしメルトに対してさざなみ程度の話。

 関係無しに彼女は加速しながら突き抜けて―――

 

 ガチリ、と。まるで時間が止まったように、疾走していたメルトリリスが固まった。

 ただの停止ではない。空間ごと凝結するような、しかし停止したメルト自身には意志が残っているというような、異常な状況が展開される。

 

「っ、タイムジャッカー……!?」

「―――“クラックアイス”……!? ヴァイオレット!」

 

 その行為に対し、立香とメルトリリスから違う者の名前が挙がる。

 果たして正しい答えは、メルトが口にした者の名であった。

 

 エリザベートの背後に、いつの間にか出現している長身長髪の女性。

 彼女は僅かに眉を顰めつつ、軽く眼鏡の位置を直す。あまり長居するつもりもないのか、更なるもうひとりに向ける口調は事務的ながら急かすような声。

 

「カズラ、手早く済ませてください。抑えきれませんので」

「はいはい、わかってますよー」

 

 声に応え、長身の女性に隠れるようにしていた幼い子供が姿を見せる。

 その姿を見た瞬間、メルトリリスの表情が酷く険しく歪んだ。

 メルトの反応を知ってか知らずか、幼女は微笑みながらするりと、事態についていけなかったエリザベートの背後に忍び寄り―――その後頭部へと、小さな腕を突き入れた。

 

「ぐげええぇ―――っ!?」

 

 おおよそ年若い少女が挙げるものとも思えぬ悲鳴。

 突っ込んで半秒、カズラドロップの腕が何かを掴んだ状態で引き抜かれる。

 手の中には何かの結晶。どこか禍々しさすら感じる力の塊。

 それを見た立香たちは、直感的にそれがKP(カルマファージ)であると理解した。

 

 引き抜かれたエリザベートは泡を吹き、そのまま床にずべたーんと倒れ込む。

 

「カズラドロップ……!」

「ごきげんよう、メルトリリス。相変わらず乱暴ですね、せっかく5つ揃って完璧なものであるKPを欠けさせようとするだなんて。やることなすこと感情的で考え無しの無鉄砲、AIにあるまじき行動原理です」

 

 嫌らしく、ニヤリと笑うカズラドロップ。

 それに対し、空中で固定されながらもメルトリリスが言い返す。

 

「同型機からのご高説、痛み入るわね。でもお生憎様、私という存在は私が望んだ完璧な在り方です。自分の出来不出来くらい、どこかの誰かが決めた正しいAIの在り方なんかじゃなく、私の美意識の中で決めさせてもらうわ―――!」

 

 空間が軋む。人型に圧縮された水の器とは思えぬ大質量。

 それを固定化しているヴァイオレットが、舌打ちを堪えるように口元を歪めた。

 

「カズラ」

「ふん、プロテア! ……どうしたのです、プロテア?

 ……ちょっと!? いったい何をしているのですか、キングプロテアっ!!」

 

 呼びかけても応えないサクラファイブ最大の魔人。その事実をもって、余裕綽々とばかりに表情を緩めていたカズラドロップの顔に、徐々に焦りが浮かび出してくる。

 このまま彼女が戻ってくる前に“クラックアイス”が容量オーバーしたら一巻の終わりだ。カズラドロップとヴァイオレットではメルトリリスと戦えない。

 彼女が虫空間を展開したところで、今のメルトリリスはそこに収まり切らない。ダムの放水をバケツひとつで受け止めるくらいの難易度。つまり物理的に不可能な話だ。

 

 当然、メルトリリスが動けるようになったら一直線にカズラに向かってくる。

 KPのこと、私怨のこと、理由には事欠かない。

 それを心底理解しているカズラのこめかみが引き攣った。

 

「はやく来なさい、キングプロテア―――っ!?!?」

 

 “クラックアイス”の拘束を水圧で捩じ切るような、空間の異音。

 ヴァイオレットが負荷に眼を細め、唇を噛み締めた。

 

 そろそろ本当にヤバい、という幼女の悲鳴。

 

 そうなってからやっと、巨人の腕がこちらの空間に戻ってくる。

 カズラとヴァイオレットを掴み取り、虚数空間へと引きずり込む巨大な腕。

 

 タイムリミットスレスレ。

 口元を引き攣らせたカズラと、呼吸を整えているヴァイオレット。

 二人を掴んだプロテアの腕が空間の狭間に消えていく。

 それと同時に消える時間停止の影響。

 

 空中で拘束されていた状態から解放されたメルト。彼女が華麗に着地しつつ、舌打ちを噛み殺す。ヴァイオレットの介入があると分かっていれば、津波にでもなって視界に収まり切らない侵略を仕掛けたものを、と彼女は口惜しげに眉を上げる。

 

 ―――“クラックアイス”。

 それこそが純潔のアルターエゴ、ヴァイオレットのid_es(イデス)。魔眼を発展させたチートスキルであるそれは、彼女の視界空間内の事象を全てを麻痺させる、一種の時間停止と言えるようなスキル。彼女が姿を消し、視線が消えたことによりその影響も消えたのだ。

 

 宝具の展開を止めて、通常空間に帰還するネロ。流石にプロテアが入り切る式場の維持は困難だったのか、魔力消費に息を荒くしている。

 

「む、ぅ……退いたか、うむ。外見はあれだが、あれでなかなか愛い奴であったな!」

 

 あの怪物の体で少女趣味を発露されるのはなかなか反応に困った。

 それはそれとして可愛い奴であったと。

 ローマ皇帝はそのように納得して、鷹揚に頷いてみせる。

 

 弾き飛ばされていたシャルルとガウェインもまた、こちらに帰還した。

 流石に正面からアナザーディケイド・キングプロテアとの殴り合いは堪えたのか、珍しく二人揃って僅かばかりダメージを表情に見せている。

 しかし気丈にも胸を張り、ガウェインはその一合で得た情報を語りだす。

 

「……やはり、ウルクで見たものよりは随分と能力は低いようですね。とはいえ、サーヴァント一騎や二騎でどうにかなる相手でもないですが」

 

 剣を握っていた腕を確かめつつ、そう口にするガウェイン。かつてのティアマト、ビーストⅡ、アナザーディケイド激情態と同等だったとすれば、二人とも更に無事では済んでいない。ウルクで会敵したあれは、いちサーヴァントに抗し得るものではない。

 だが今回のアナザーディケイドはそこまでではない。もちろん楽な相手でもないが、どうしようもないほどの存在ではないと言える。分かり切っていたことではあるが、改めて。

 

 そう口にした彼に対して、小さく頷いて口許に手を当てる立香。悩もうとした彼女はしかし、すぐに気付いた様子で倒れたままのエリザを見た。

 その反応を見て、名残惜しげに立香から離れた清姫が歩み寄っていく。

 

 うつ伏せに転がった少女をしげしげと見つめ、小首を傾げる清姫。

 

「清姫、エリザベートは……」

「―――生きてはいますけれど……もしもし、エリザベート?」

 

 一応備えとしてシャルルが痺れた腕をほぐすように肩を回しつつ、清姫の近くに控えに行く。

 

 扇子を畳み、その先端で後頭部をつつく清姫。

 そんな行動を続けて数秒。ぴくぴくと少女の頭が動き、竜の角が揺れ出した。

 酷く重そうに頭を上げて、枯れた声を絞り出すエリザベート。

 

「あうぅ……なに、ここ……? アタマ、痛い……アタシ、今まで何やってたの……?」

「―――――」

 

 扇子を引っ込め、何とも言えない顔で立香を見る清姫。

 彼女の態度に嘘が無い、というのはそれで分かった。

 エリザベートは完全に、ここがどこで、なにをしていたのかさえ分かっていない。

 

 メルトリリスが長い袖に覆われた腕を上げ、口元を覆うように触れる。

 

(カズラのid_es、“インセクトイーター”。性能にはBBが制限はかけてるでしょうけど……カズラがKPだけじゃなく、記憶まで持って行ったってこと?

 情報を渡したくないなら、エリザベートを処分してしまえばいいだけ。そもそも発狂したままならこちらも戦うしかない。そうなれば排除されるのは当然の流れ。だっていうのにわざわざ記憶を奪ってまで、生かされるように残しておいたのは―――)

 

 メルトがその解答に至ると同時、立香は声を上げた。

 

「とりあえず、一回戻ろう。清姫とアタランテに状況を説明したいし、エリザベートもこのまま放っておけないし」

(―――時間稼ぎ。排除する必要のないサーヴァントをこちらの手元に残せば、見捨てる判断をしない限り引き返すしかない。

 プロテアの出現がSE.RA.PH全土で好き放題に行われる以上、戦力の分散は悪手中の悪手。最終的に私以外のサクラファイブを同時に相手にしなきゃいけなくなった以上、戦力を各個撃破されかねない探索の仕方は取れないわ。

 効率が悪いと分かっていても、全員纏まってぞろぞろ動き回るしかない)

 

 時間稼ぎを目的としている以上、休息地である教会は壊さないだろう。あそこを壊されるようなことがあれば、こちらはイチかバチかの強行軍を仕掛ける以外になくなる。

 それをBBが望むかどうかというと、そんなことはないだろう。彼女にとってこの布陣は、あくまで時間稼ぎなのだ。

 

(ヴァイオレットとカズラドロップはBBにとっても、土壇場まで隠しておきたいそれなりの一手だったはず。それを使ってまでKPを守ったことといい、次の衛士(センチネル)まで作るつもり? 衛士を作り、相手をさせて、KPを回収して逃げて、こちらに衛士だったサーヴァントを保護させて帰還させる……なんて手間のかかった時間稼ぎかしら)

 

 それでも戦力が増える、というなら受け入れる他にない。相手にカズラ、ヴァイオレットが増えたというならなおさらだ。この形式でBBが時間を稼ごうとしているというのなら、彼女が想定した以上の速度で戦力を集めきるしかないだろう。

 

(BBの掌の上……いえ、殺生院? ううん、この違和感。もっと何か―――)

「メルト、行くよ」

 

 清姫をくっつけたマスターがそう言って振り返る。

 

 ネロから説明を受けているアタランテが、こちらの事を見ていた。どうにも微妙な視線なのは、メルトリリスに彼女が信仰するアルテミスの要素があるからか。

 先頭を行くシャルルマーニュと、エリザベートを担いだガウェイン。マスターたちは彼らに続いていく。その後ろを固めるように、メルトリリスも滑り出した。

 

 

 




 
 立香は観客、ソウゴは同業者。

 立香には特等席を用意する。
 ソウゴに自分の舞台を見せる時は立見席。
 自分がソウゴの舞台を見る時も立見席。

 そんな関係。
 
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