サバイバアルと焼肉をしている。
「おいサンラク、これひっくり返すぞ」
サバイバアルが言いながら武骨な箸を伸ばし、
「了解……イイ感じに焼けてきたな」
俺は言いながら、狙う肉に目星をつけておく。こういう時に
しばし、沈黙が流れる。ビーフオマージュ・レッドボディの切れ目たちが金板の上で踊り狂い、肉の焼ける匂いを海蛇の林檎の店内に漂わせる。
「……」
ちらとサバイバアルの方を見れば、こいつもどの肉を選ぶかなんとなく決めたようだ。彼の視線が向かうゾーンに大体の目星をつけ、その付近の肉は避けることを決めておく。カイザープレットにつけられた段差が、肉たちを華麗に受け止めながら、照明を受けて
―――今だ。
俺は確信した。肉が弾ける瞬間と肉が弾ける瞬間の間に、焼肉の確かな
「……?」
いつの間にか、カイザープレットの上から肉が無くなっていた。
「……」
混乱しつつ、とりあえずサバイバアルの方を見る。サバイバアルも混乱しつつとりあえず俺の方を見てきたので、結果的に顔を見合わせる形になる。しかし……
「…………なるほどね」
とりあえずインベントリアから新たな肉塊を取り出し、肉切り包丁の形にした【
……やってやろうじゃねえか。
俺は肉が食べたかった。
◆
「返すぞ」
「おう」
先ほどと比べて随分簡潔なやり取りを経て、またもや赤色が茶色に塗り返されていく。その淡々とした空間は、言うなれば俺たちの
―――今、
「
だ。
世界が減速する。幼女先生と俺の間に共通しているのは、肉を
(……やっぱりな!)
金髪の幼女が走り来る。俺は当然、彼女を止めねばならないが……クソ、このステータスでもまだ体が相当重い……!覚えているバフスキルを片っ端から発動し、少しでも体を軽くしようとする。
「―――
肉体が逸脱の速度を帯びる。その場で四歩足踏みし、弾丸めいた迅速を己に乗せる。幼女先生も異変に気付いているようだ、肉から視線を放し俺を見据えている。だったら―――俺が取るべき行動は。
「一つだァッ!」
箸をそのまま
「ォラッ!」
肉を一切れ、いよいよ掴み取る。そのまま加速したモーションで口に運ぶ。俺の加速は、世界の減速はもうすぐ終わる。だったら、せめて―――!
「
確かに口の中に入った牛肉が、熱と旨味を撒き散らす。俺は嬉しかった。自分が幼女先生に妨げられず、どうにか肉を食えたことが嬉しかった。まあ……残りの肉は全部回収されてしまったんだが。そんなことは知ったこっちゃない。加速の終わりがいよいよ近い、次第に効果時間を終え始めたスキルたちが、火花が散るようにエフェクトを消していく。ああ―――
「ぬぺぼきゃぷ」
「さ、サンラクーーーっ!」
俺は超高速で肉を一切れ掴み取って口の中に放り込んで咀嚼した後様々な方向に後先考えずに生み出しまくったベクトルによって体中をひねられて死んだ。