ダンまち外伝~悪徳の迷宮都市ロアナプラ   作:37級建築士

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戦闘描写です。銃で冒険者に勝てるかどうか


03 I have no heck idea what you've done

 さんざん飲み明かした飲み会はついに、ようやく終わってくれた。すでに時刻は日付を跨いでいる。

 

 結局支払いは僕も負担し、酔いつぶれたレヴィさんを担いで店をあとにする。帰り際に酒が良く売れて儲かったと、ミアさんは言っていたけど、僕には素直に喜べなかった。

 

「うっぷ、飲みすぎた」

 

「そりゃそうですよ、あんなに……って、あぁもうここで吐かないで、せめてこっちで」

 

 大通りから裏路地に引き込んで、背中をさすりながらふと思う、僕はいったい何をしているのかと。

 

 指に触れるブラの感触、それが背徳感を抱かせるも、すぐに目の前の吐しゃ物で台無しになる。

 

「たく、どんなに飲んでも転ばねえ抱かれねえ、そんで弾も外さねぇ。それがレベッカ姉さんの見どころだってのによぉ。あぁくそ、喉の奥までピスねじ込まれた気分だ。おいベル、ちょっとその辺でライムジュースでも買って来い……て、そんな気の利いた屋台なんかねえよな」

 

「……戻って、お水でも貰ってきますから」

 

「そうしてくれ、あたしはここで待つ」

 

「……」

 

 なんだろう、ここを離れる。それは

 

「あ、どうした?」

 

「……いえ」

 

 

 

  ×  ×  ×

 

 

 

 大通りを歩く。豊穣の酒場に戻って水を貰い、僕は街を行く。ふと一人、ようやく解放された気分で、そんな僕にはある考えが浮かぶ。

 

 あの人の所に戻って、これからどうする。

 

 これまでなら、そのまま関わって付き合って、何事もなく事は運ぶ。けど、どうしてかそうは思えない。

 

「……レヴィさん」

 

 不吉、何よりも異質なのは彼女の持っていた獲物、銃と言ったそれは容易くモンスターを屠り、そしてなによりも、その銃を巧みに操る彼女は、今まであってきた度の女性とも違う、本当の意味で異質な存在。

 

「……」

 

 気づけば、もう少し小道を抜ければレヴィさんの待つ場所へたどり着く。

 

……行くべきか、それとも

 

 少し考えて、立ち止まって、結局

 

「……はぁ、そっちの方が無理だ、僕には」

 

 関わってしまった。それ故に、僕にはどうしようもない

 

 行くしかないと、路地に足を踏み入れる。

 

「……」

 

「!」

 

……誰だ

 

 狭い道、時折大通りから漏れる光が照らす狭い裏通り。顔は見えない、けど確実にその男は迫っている。

 

 ローブを羽織った、味気の無い顔の男、面識はないし、話しかけられる覚えもない。では何か?

 

 ポケットのナイフに手を置き、そのまま大通りを目指す。

 

「!」  

 

……前、からも

 

 ローブを纏う男、微かに一瞬だが、男の手元に金属質の反射が見て取れた。獲物を持っている、ここではダメだ。

 

「……ッ」

 

 ベルは踵を返し、走る。すると、後方でも男たちが自分の後を追う。逃げ場を求め、路地を抜けようとする。だが

 

「!」

 

 また、男がいた。今度は二人。大通りに出ることは叶わず、ベルはまた路地の入り組んだ迷路に放り込まれる。

 

 このあたりはダイダロスどおりほどではないが、無造作な開発に告ぐ開発で道が、建物が、三次元的に入り組んでいる。最悪、行き止まりだってある。 

 

 このままではいずれ囲まれる。であるなら、いっそ

 

「……ッ」

 

 ナイフを抜く、それを待ったとばかりに男たちも武器を抜いた。

 

 抜身の刃は、先端が湾曲した大ぶりのナイフ。あまり手入れが行き届いてないのか、その刃には誰かを殺めたであろう血のぬめりが黒くこびりついている。

 

 不衛生極まりない、穢れた毒の刃。

 

 そんな獲物を使う存在、ベルの脳内にふとその単語がよぎる。

 

 

……闇派閥(イヴィルス)

 

  

 これまでに幾度か、その手先と刃を交わしたことがある。そんな相手が自分を狙うのは、もしかすればあの時の、イケロスファミリアの怨恨の線もありうる。疑いようはない、ナイフを構え後方に構える。

 

 やるしかない。もう既に戦いの鐘は鳴らされている。

 

 

「ファイアボルト!」

 

 

 放つ、ジグザグに宙を駆け巡り、壁を焼き奴らに飛んで弾けた。ローブが燃え、たじろぐ奴らをあとに僕は逃走する。

 

 走る、挑発するように裏通りへ逃げる。それも望んでたとばかりに、男は自分について来る。これでいい、場所を変え迎え撃つ。それですべてはこともなく

 

 

 

……ズダンッ

 

 

 

「!」

 

 膝が地につく。火にあぶられたような感覚

 

 立てない、立とうとするけど、片足が動いてくれない。

 

……なんだこれ、一体なにが

 

「……ッ」

 

 無事な足で、僕はがむしゃらに跳躍した。

 

 腕を、脇腹を、何かが掠った。傷は浅い、けどようやく理解した。

 

「……ここまでだな」

 

「!」

 

 銃口が向く。男達は笑みを浮かべ、勝利と、その手にした力に酔いしれている。

 

……まだ、チャンスは

 

 手は動く、微かになる鐘の音、チャージは既に始まっている。

 

「……ファイア!」

 

 

……ダァアンッ

 

 

 倒れた。男の一人が、糸の切れた人形のように、静かにこと切れた。誰も攻撃を行ってはいない。引き金を引いたのは

 

「へぇ、なんだよこいつは、匂いがすっから来てみれば、ここも同じ吹き溜まりかよ」

 

 煙を吐く切っ先、シルバーの獲物は二振り、その持ち主は紛れもなく

 

「れ、レヴィさん」

 

「おうベル、遅いから迎えに来たぜ……それもいいタイミングでな」

 

 男たちが構える。左手にはナイフを、右手には銃を。だが、その時点で3人は遅かった。

 

「トカレフ、T30、ノットカスタム、フジヤマギャングじゃあるまいし」

 

 構える。だがレヴィは同じ目線にはいない。

 

 壁の雨どい、パイプ、壁面を蹴り上げ飛翔する。気付いた時には、男達は見上げ、そして拝んだ。

 

 女の抜いた獲物、その切っ先が自分達の喉元に食らいつかんとする光景を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「活きのいいピグレットが3匹、プロシュート(串刺し)でお上がりなベイベ」

 

 

 

 

「……ッ」

 

 一瞬、合計七度の轟声。レヴィが降り立ったのは既にこと切れたむくろの上、そう殺したのだ。ベルの目のまえで、4人の人間が

 

「な、なんで」

 

 殺した、そう聞こうとした僕の上をレヴィさんは走った。

 

 

……ガギンッ!

 

 

「!」

 

「オーケー、ネクストビートだッ。ディレイがクールな奴をリクエストだッ」

 

 背後から迫るククリナイフ、それを受け止め顔面に一発、鮮血が噴き出る。

 

 返り血を浴びるレヴィさんの頭には、いつの間に取り出したのか耳栓のようなものが取り付けられている。

 

「いいねメタリカだ、滾るぜッ」

 

 奪い取ったククリナイフ、現れた敵に投げつけ、射撃。大股で駆け抜け、至近距離で射撃、躍る。止まらない。悲鳴も銃声も慟哭も、全てエレキトーンの爆音に塞がれ届かない。

 

 ベルは茫然と眺めているしかできない。命が消え、歓喜に叫ぶ獣の声だけが響き渡る。

 

……僕は

 

「踊れ踊れ!ブギーマンのお通りだ、食われる前に悲鳴を上げな!」

 

「!」

 

……僕は、一体何を見ているんだ。

 

 理解できない命のやり取り。それは今まで生きて得てきた価値観からは程遠い。

 

「がはッ」

 

「……ッ」

 

 倒れた男が転がった。血で滑り、僕の手元に偶然か、彼らの持つ銃が転がり込んだ。

 

 手に触れて、僕は持った。同じように、握り手になり、けど引き金には指を通さず。剣よりも軽い、金属の用でそうではない、軽いおもちゃじみた道具。けれど、この引き金が剣よりも容易く、人の命を奪えてしまう。

 

「これが、銃なのか」

 

「あぁ、そうだ。それが、あたしらの世界の獲物だ」

 

「!」

 

「片付いたぜ、これで全部、全員ロースト済みだ」

 

 一面に散る、赤いペンキをぶちまけたような景観。思わず、喉の奥からえぐさがこみ上げる。

 

「おい、そこにいるのは誰だ!」

 

 数人の怒声。現れたのは衛兵らしく、統一された装備の男達

 

 ガネーシャファミリア、恐らく音に呼ばれ来たのか、おそろしくまずい。

 

「ち、違う、この人はただ!」

 

「動くな! その返り血、話を聞かせてもらうぞ。拘束しろッ」

 

 槍を構え、男達はレヴィさんを囲む。死体の真ん中に立つ彼女を、彼らは敵視している。

 

 違うと説明しようにも、その行為は紛れもなく黒だ。僕程度の意見で、何も

 

 

……違う、怖いんだ、僕自身が

 

 

 他人が怖い、異なる価値観が気持ち悪い。その引き金一つで軽く命を奪える世界が、レヴィさん越しに見えるもう一つの世界が、僕はこの上なく怖い。

 

「連行する、連れていけ!」

 

「!」

 

 レヴィさんは両手を上げ、囲む槍の先に歩いていく。衛兵たちはおののきながらも、レヴィさんを囲み、その手に縄を縛ろうとする。

 

「ま、待って! その人は「ベル!」

 

 一喝、振り向き見るレヴィさんの目が、ひどく静かで、冷たく僕に刺さる。

 

「なあベル」

 

 縛られたまま、衛兵に囲まれながら、これが最後とばかりに語り掛ける。

 

「ここは、オラリオっていうんだな。酒場で聞いたかぎり、どうやらマジに違う場所みたいだな。ここはロアナプラじゃない、あたしの居場所のやり方は通じない」

 

「……なにを、レヴィさんは僕を」

 

 守ろうとした。やり方は下の道だが、けどの想いは

 

「違うな」

 

「!」

 

「守ってなんかいねえ。銃を向けた、だから撃った。これはその程度、程度で済む話なんだ。何でそう思えるか、教えてやる。あたしは札付き、そこで転がった肉塊と同じだ。……悪党なんだよ、ベル」

 

「……レヴィさん」

 

 同じ、彼らと同じ悪党

 

 飲み込みたくない。僕はその言葉の重みに窒息しそうだ。

 

 だから、何もできず、何もしようとせず、僕はただ見送った。レヴィさんが、連れていかれるのを、その背中を

 

「あなたは、一体」

 

 未知の武器、暗躍、新たな出会い、きっとここで終わることではない。まだ続く、この先の見えない夜が続く。

 

 不思議と、レヴィが最後に言った言葉の、その名称が、か今の奥でとげの用に引っかかる。ここ、オラリオとは違う、その世界の、彼女の居場所の名を

 

「ロアナプラ……それが、あなた・達・の……」

 

 

 

次回に続く




 今回はここまで、なんとも荒らしまくって、そんで歯切れの悪い終わりですが、次回をお楽しみに。レヴィは逮捕されちゃいましたが、まあおそかれはやかれ、住む世界が違うからこうなってもおかしくない。ダンまちとラグーンの交じり合わない世界観を表現していきます。ストブラとか、進撃とかのコラボイベントみたいにうまく混ざり合う展開は想定していません。いかにダンまちが、ブラックラグーンで振り回されていくか、ちょっとしたアストレアレコードぐらいの、ダークテイストな気分で楽しんでもらえれば。


 銃で冒険者が倒せるか、ダンまち世界でロアナプラの住人がどれだけ強いと考えられるか、色々と難しいテーマです。後々、答えを伝えられればと。

 先に言っておきますが、この作品では銃器を使って銃を持たない相手に無双する爽快なチート展開、アンチ・ヘイトは行いません。その上でお楽しみに
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