ダンまち外伝~悪徳の迷宮都市ロアナプラ   作:37級建築士

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今さらですが、サブタイは割と適当です。




04 don't cry , Bunny boy

 レヴィさんは拘束された。ただし、その場所はギルドの収容施設ではなく、アイアムガネーシャの地下牢らしい。

 

 あの日、僕は事件に巻き込まれた関係者として、レヴィさんとは別に連れていかれた。傷の治療、それとファミリアへの連絡の意味もあったのだろう。

 

 治療院に連れていかれ、そこでアミッドさんから施術を受けた後、待っていたのは付き添いのシャクティさんからの詰問だった。

 

 僕はありのまま、助けられたことも、レヴィさんとはその日あったばかりで、イヴィルスに襲われた理由もまったくわからないと、とにかく話せることは全部話した。

 

 懸命に、焦るような姿は、きっとレヴィさんを助けようと、僕は必死になっていた故にと。そう、今は思う。

 

 帰路に着いたのは日が昇る頃に、ホームに帰れば神様たちからさらに質問攻めにあい、結局僕がここに訪れられたのは、二日過ぎた今日昼過ぎになってからだった。

 

 今ここはアイアムガネーシャの正門。ガネーシャ様の像を潜り抜け、そこで待つのは

 

「……シャクティさん」

 

「あぁ、やはり来たのだな」

 

 シャクティ・ヴィルマ。象神の杖(アンクーシャ)の異名を持つ、ガネーシャファミリアの団長。昨日ぶりに会う、取り巻きを連れ、互いに会釈を交わしすぐ本題に入る。

 

「……要件は」

 

「わかっている、そのことだろう。……そういえば、昨日のことは」

 

「ええ、もちろん誰にも」

 

「……ならいい」

 

 シャクティさんの言ったその意味は、僕には昨日の事件について箝口令が敷かれている、そのことの再確認だ。

 

 どうやら、昨日の件は何も始まったばかりのことではないらしく。今、オラリオではああした事件の報告が、それはつまり銃を用いたイヴィルスの活動が危険視されているとのことだ。

 

 突然現れた謎の武器、そしてそれを使いこなす謎の人物、捕縛し、拘束するには十分な理由であった。

 

「ここだ」

 

「……」

 

「なに、心配するな。手荒な真似はしていないし、場所は不満だろうが不自由はさせてないよ。君を助けた、命の恩人という言葉、私は信じているよ……おい、私だ」

 

 戸を開ける。そこはもう一枚の扉で隔てられた空間、中にいる監視役の男が立って敬礼をすまし、すぐにもう一枚の扉も開ける。

 

「……」

 

「レベッカ・リー、君の見舞いだぞ」

 

 格子の壁、一人分の居住スペース、これまた格子付きの窓から覗く日の光。ベッドの上で寝転がる何かがのそりと起き上る。 

 

「……ぁ、なんだよ、お前か」

 

 のろのろと、酔いの毒が抜けきっていないのか、痛そうな頭を抱えながらレヴィさんは近づく。衣服も変わり、今はロングのパンツに黒のワイシャツと、だいぶ大人しめの姿になっている。

 

 けれど、依然その目つきは鋭く、今にもあのカトラス二丁を振り回しそうだ。

 

「たく、調子でねえな。なあ、団長さんよぉ、いつになったらあたしのカトラスは返してくれるんだ?」

 

「あれは危険なものだ。残念だが、そう容易に渡せはしない」

 

「……クソ、ああもう暇だ! なら酒を持ってこい、あとピザ、気の良いジュークでも流しやがれってんだッ」

 

「食事はさっき出しただろうが。まったく、彼とは良いのか、知り合いなんだろ」

 

「ん、あぁ、まあそうだな。よぉベル、わざわざこんなとこまで、お前も暇なんだな」

 

「……レヴィさん、僕は」

 

「礼ならいらねえ、同情はクソ、関心はクソにも劣る。話がしたいならバカ話でも持ってこい、スーパーボウルでダラスの種馬がハットトリック決めたとか、そういうのじゃねえなら、右向いてゴーホームだバニーボーイ。どぅーゆーあんだすたん?」

 

「!」

 

 やはりというか、依然その眼は突き放す目だ。本心から、僕を遠ざけようとしている。いや、むしろ自分から遠ざかろうとしているような

 

「おい、さすがにそれは「いいです、もう」

 

 やはり、これ以上できることは無い。

 

「お手数をかけました。もう、面会は大丈夫です」

 

「そうか、君がそう言うなら。」

 

「……あの」

 

 少しだけ、これぐらいは気を使いたい

 

 部屋を去る。シャクティさんや他の肩に礼を言って、僕は再びお願いをした。

 

 鍵を閉めた倉庫部屋、そこで

 

……あった

 

 手に取った、それ革製のホルスターに納まったままの、レヴィさんの銃だ。

 

「……えっと、たしか」

 

 見よう見まね、つまみを押し込み、持ち手のそこから中身を抜き取る。弾を詰めたそれを箱に、空になった銃を渡す。

 

「これを、きっと喜びます」

 

「……あぁ、あとで届けよう。君も大変だな」

 

 手に持った銃を渡す。お節介かもしれないが、これぐらいはさせて欲しい。それがせめて、助けられた側の、借りを持つ側の特権だ。

 

 

 

 

 

 

「ベル様、終わったのですね」

 

「うん、もう大丈夫かな」

 

 待ち合わせ、ホームの前の通りでリリが待つ。その様子は安心もあり、ちょっと呆れもある。

 

 僕がみんなに伝えたのは、あくまでイヴィルスの騒ぎに巻き込まれただけ、実はレヴィさんのことは伝えていない。

 

「聞き取り、いったいどんな話をしていたのやら」

 

「いや、あくまで事務的なことしか」

 

「……なら、いいのですが。あそこの団長様、アラフォーーのくせにあのプロポーションと容姿ですから、ベル様が惑わされないかリリは心配です」

 

「別に、シャクティさんとは」

 

「……とは?」

 

「!」

 

 ジト目が痛い。視線から逃げるように僕は足を早める。

 

「ちょっと、本当に何もないんですよね!」

 

「いや、別になにもないから」

 

「いいえ、油断できません。ご自分のお立場をお忘れですか! お姉ちゃんと呼ばれたいランキング10位圏内常連者のベル様に言われたくありません!」

 

 常連とは知らなかった。というか、本当になんなのだろう、時折聞くそのランキングは

 

「ち、違うから……何もぉッ!?」

 

 

 

………むにゅり

 

 

 

「へっ?」

 

 何かにぶつかった。それはわかる。けど、不可解なのはその弾力だ。

 

 張りもあってボリューミーで、形の良いこのかんしょくわぁああああああ!!!?!

 

「べ、ベル様! そこのシスターのお方、本当に申し訳ございません!この子、悪気はなくて、いつもタイミングと頭が至らない子で」

 

 引き剥がし、頭をつかんで何度も謝罪させられる。どうしてか口調と態度が保護者みたいになってるし。あと痛い、自分で謝れるから、首がとれるからッ!

 

 

「……まあ、別に気にしないよ。あたしは神に使える女だけどさ、あの人もハグ程度でヒスは起こさねえさ。ほら、頭上げな坊や。懺悔なんざ週に一度のまとめ払いでいいってもんさ」

 

「はぁ、あのもしかして、神にお仕えとはどこかのファミリアの方、なのですか?」

 

「え、あぁ、まあそんなもんだな。そうだよ、奇跡の男のバイブル大好きなシスターだよ。以後、お見知りおきを」

 

「?」

 

「なに、ただの握手だ。ほら」

 

 ほぼ強引に、目の前の金髪シスター様は僕の手を掴む。女性なのに、大の男みたいな頼りになる力。身長もあるし、もしかすると冒険者かもしれない。

 

「あの、ぶつかってその、すみまっ!?」

 

「な、何しているんですかあなた!」

 

「むぐぅ―ーッ!」

 

 息ができない。何故かこのシスター様はそのふくよかなもので僕を窒息させようとしている。抱きしめる腕は思いのほか強く。手練れの逮捕術にあったような、そんな逃れられない幸福、いや苦痛が

 

「――――ッ!」

 

「あーらら、やっぱ見た目通り、まだママのおっぱいが恋しい年頃だね。ほら、あと一分このままにしてやるから、料金に色付けて払いな」

 

「な、何をかってなことを、不健全です離れてください!」

 

「いやぁ、これがちょっと困ったことでね、あいにく手持ちなしのオケラだからさ、ちょっと助け欲しいのよ本音は。神に仕える使徒だ、罰は当たらないはずだよ」

 

「当たります、どでかい罰が当たります! というか、何が神に仕える使徒ですか! 色情魔、離れなさい!」

 

 リリに腕を引かれ、ようやく拘束から逃れる。けど今度はリリのモノが、先ほどよりかはつつましやかで、心は乱れないけど

 

「……なんだか、不毛なことを思われている気がしますが、ほら行きますよ。こんな不良と相手しては教育に悪いですッ」

 

「なんだい、ノリが悪いねぇ。あ、ちょい待ち……あのさ、じゃあ両替とかしてくんない。ここのバリスってお金、あたし持ってなくてさ」

 

「……何を言って、って、ベル様」

 

「……ッ!?」

 

「ほら、ここに三百……って、どうしたんだい坊や」

 

 手のひらの紙幣、それは以前にも見た。

 

 レヴィさんから貰ったのと同じ絵柄。

 

「……あなた」

 

 サングラス姿のシスター。その奥にある目は、微かに覗く目は調子のいい人の気もあるが、また同じ色を感じる。

 

「もしかして、ロアナ「エダ! 何をかってに」

 

「おう、ロック……なんだいそりゃ、その恰好」

 

「着ていた服が売れたんだ。新調したばかりのがブランドものでよかったよ。ひとまず利ザヤが出たから、今日の飯にはありつけそうだ…………なにか、取り込み中かい?」

 

 走って来た男、僕よりも二回り近い上の大人で、その顔つきは命さんや桜花さん達のような、極東風の色合いが強い。

 

 

……ロック、今この人、エダって人がロックって

 

 

「……ッ」

 

 薄々感じていた、そして今確信に変わった。この人たちはレヴィさんと同じ

 

 

「……どうしたんだい、もしかしてこのお姉さんに悪さでもされたのか? なら悪い、俺の責任だ」

 

「ヘイ、ロック……人を万年生理不順のあいつと一緒にするなっての」

 

「一緒だ、ドンパチ好きで、人でなしで言えば皆同じだ。ほら、そろそろ行こう」

 

「……ッ」

 

「悪いね、ボク、お嬢ちゃん。どうか、騒ぎにしないで欲しいな」

 

 ロックとかいう人はエダさんを連れてその場を離れていく。けど、このままでいいのか

 

……知りたい、あの人が、あの人達がそうなら

 

「ベル様、もう行きま……ベル様?」

 

「……先、リリは帰っていいから」

 

「え、ちょっと、ベル様!」

 

 ごめん、けど僕は

 

 僕は、今から行かないといけないから。

 

 やはり、このまま忘れて傍観なんてできない。関わってしまったのだ、今このオラリオで何が起きているか、彼ら彼女らが一体何なのか。それはきっと、僕の選択でしか切り開けない、知ることのできない答えだ。

 

 

 

 




今回はここまでで、ロックとエダも参戦です。

レヴィもいい、そしてエダもいい。尻とたっぱと胸のでかい女がたまらん。
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