ダンまち外伝~悪徳の迷宮都市ロアナプラ 作:37級建築士
後付けですが、ご了承を
牢という名のモーテルで、彼女は今も大人しくしている。
捉えたさいの状況証拠からすれば、どう見ても黒なのだが、ベル・クラネルの証言もある手前扱いは慎重に、しかし礼を失することのないように
だが、こと人間ができていないレヴィ嬢は子供のごとく我がままを飛ばし、ベル・クラネルの手前無下にできないとその要求を呑んできた。
その回あって、あっというまに牢部屋は暮らしやすく快適に、インテリアで明るく照らされた住み心地よい一人部屋に変わっている。小物やら衣類など、欲を言えば不満だらけだが、用意したシャクティの手前あまり文句は言えなかった。上級冒険者、本能から察するその技量と力を察してか、レヴィも過度に舐め切った口は利かないようにしている。
「なああんた、もうそろそろいんじゃねえか?あたしは何もしねえさ。で、どうせならよ、正式に用心棒として雇うとかさ」
めざとく、己の身を立てることに余念がない。肝は太く、しかし短気なのは欠点。
「考えておく、いい加減牢屋も飽き飽きだろう」
「……ッ」
「なんだ、意外か?」
「いや、まあ……存外、お固いだけじゃない見てえだな」
「拍子抜けかな、私だって人の子だ……こうして語り合えば自然に心も開くさ」
「ならよ、弾の方も」
「それは駄目だ。壁に穴をあけられては困る。」
「……くそ、じゃあなんで返したんだよ」
「それもあの子の意思だ。……いい子じゃないか、次に会う時は愛想を振るってやれ」
「……ちっ」
手の中で弄ぶカトラス。弾丸はないが、引き金の重さは心を落ち着かせる。
感謝は言わない、レヴィにとってベルは違う世界の人間。そう理解したから、あの場を決別にした。
……ここは、日向だ。あいつは昔のままのロックだ、クソッタレ
銃を持ち、返り血にまみれた自分を見るめ、その困惑した顔は容易に忘れられない。
「……で、一応聞くが、君はあれらと関係は無いのだな。」
「またそれかよ、あたしは何も知らねえ。そっちの都合だろ、ならそっち側で解決しな」
時折交わす質問、立場としてレヴィは不審者、その場にいた事件関係者。だがそう聞かれても答えられることはほとんどない。だが
「そうだな、けれど仕方ないのだ。君は……あの銃という武器に正通している。手掛かりなんだ、相談には乗ってくれ」
こと、銃器に関する質問は綿密に聞かれた。名ガンナーでこそあるが、レヴィはスミス側の知識はない、あくまで、銃の用途、性能について。今この街で見つかる銃器、それらの管理をするガネーシャファミリアに解説役として働き、対価を貰う、そんな関係が出来ていた。
「……酒、もっと良いの持ってこい」
「いいとも、私のとっておきだ……けど、どうせなら」
……ガチャン
「!」
「たまには外で、気楽にプライベートで飲もうじゃないか。なに、驚いたかな?」
「おい、なんで」
「容疑は晴れた。武器さえ預かれば、君ただの暴れん坊だ。恩恵もないなら、警戒もいらないという私の結論だ」
「……」
「不満かな?……なら、この話は「わかった、わかったっての……っち、あんたの監視を受ければってことだろ。いいさ、だが客人としてもてなしてくれよな」
「……それは、客人の言うセリフではないが、まあいいだろう。……ちょうど、夜更けもいい頃、夜は手すきなんだ。外で一杯、気のいいお店に連れていこう」
〇
「……ここに」
ベルの視線の先、建物の角からこっそりとみるそこは、かつて自分が神様と過ごしていた旧ホームの教会。修繕が成されている途中の、つぎはぎとボロニまみれた文字通りボロ教会。そこに二人の男女が入っていく姿を目撃した。
「……ここに」
ベルの目的は接触、あの二人はきっと関係者だ。ロアナプラという、未知の世界から来たレヴィさん、その知り合いと、彼らの言葉と持ち物が示した。
息を整え、静かに近寄る。
一応、持ち主は依然、僕たちであるのに、要らぬ気を払っている。勘違いしないように言っておくが、向こうの方が不法侵入なのだ。
「……ッ」
耳を立てる。ドアの奥、教会の内部で、会話が
……ガチャ
「!」
「おっと、動いちゃだめだよ坊や」
金属の質感が頭骨にあたる。それはいつかに見た、引き金一つで容易に命を奪える武器、今その切っ先が僕の喉元を食らいついて止まっている。
「なあ、その驚きよう……銃を知っているみたいだね。異世界の現地民なのにさ、一体それはどうして」
「……ッ」
ゆっくりと、撃鉄を起こし、引き金に力が入る。鉄のこすれ合う音、緊張絶えない命を奪う駆動音。
「止めろ、エダ」
「……はいよ、別に本気じゃねえさ」
暗がりの奥から、もう一人の男が表れる。よくある、オラリオでの男性服を纏う。しかしその正体は隣と同じく
「警戒してるじゃないか。……銃は止めよう、話にならない」
「はいはい、わかったよ参謀殿」
「……はぁ」
銃口が離れる。ひとまず、命の危険が去った。安堵のため息は思った以上に大げさに振舞ってしまった。
「ずいぶん、怖がらせたみたいだね。失礼、俺はロックだ、そっちのシスターはエダ……君は」
手を挿し伸ばす。人畜無害に見える凡庸な大人、直前の脅しからの落差のせいかもしれないが
……良い人、かも……とりあえず、話が通じそうな人だし、悪人には見えない。
「……ベルです。僕はベル・クラネル……あの、あなた達に話があって」
× × ×
「あ、あの」
「……すまない」
「い、いえ、そんな謝ることなんて」
自分のような若者に大人の人が頭を下げる、なんとも罪悪感感じる、後ろめたくなる光景だ。
特に、レヴィさんに飲みに連れていかれ、決行散財したところではなんとも頭が痛そうに抱え出した。
「へいへい、お話の所悪いんだけどさ、あんた14かそこらだろ、どうやって稼いでんだ?ストリートでかっぱらいしてるみたいには見えないんだけどさ」
「はぁ、一応冒険者をやってますから」
「……冒険者、この街にはそういう輩ばっかだが、一体何なんだこの街は」
「えっと、それは……あの、つかぬ事を伺いますが、ロックさん達はいつから」
「昨日の夜から、気が付けばこの街にいた。」
「あたしとこいつもどうしてここにいるかは知らねえ。まさか、ジャパニメーションの世界みたいにさ、魔法だのモンスターだの、頼むから呪われたリングなんざに関わりたくないね」
「……え、あぁ」
「すまない、わからないならスルーしてくれ」
また謝る。なんというか、極東の人らしい腰の低さ。というか、古城さんや士道さんみたいに、この人はニホンジン、という人種なのだろうか。
「あぁ、すまない。話が逸れてしまった。とにかく、俺たちはこの世界に来てまだ日が浅い。とにもかくにも、まずは身を立てる術を模索しているんだ」
「でもさ、なんで売っちゃうかね。ロック、あんたのトレードマークはホワイトカラーだろ?」
「仕方ないだろ、先立つものが必要だったんだ。女の子の身ぐるみをうっぱらうなんて、俺にはできないよ」
「あら、なによそれ、口説いてるな買ってあげようか」
「……やっぱなし、口が滑った」
たわいのない会話、なんとなく二人の仲が見て取れる。不思議と、そこにはもう一人、彼らの間に居ることを感じる。
「あの、レヴィさんのことは」
「うん、それもなんとかしないと。一つ聞きたい、銃の事件で参考人あつかいなんだろうけど、面会はどうだろうか」
「叶うと思います。シャクティさんはいい人ですし、話は分かってくれます」
そうだ、叶うならさっそく
……ぎゅるる
「?」
「……ヘイ、ロック。飯いかねえか?」
サングラスの奥の目が怖い。問答無用というか、その懐に収めた手にはいったい何が握られているか、まあきっと銃なんだろう。
「はぁ、確かにそうだな……正直、昨日から何も食ってない」
続けて、ロックさんのお腹も共鳴するかのように鳴り響く。手持ちもなく、未知の世界で丸一日彷徨っていたのだ。なら無理もないだろう
「手持ち、いくらですか」
ポケットから取り出す金子袋、中には確かにお金はあるが、なんとも成人二人の手持ちとしては頼りない程度。ほんの小遣い程度だ
「……わかりました、じゃあ僕が持ちまンガッ!?」
急に、またあの窒息感が。い、息が
「なんだいなんだい、いい子じゃないか!……さあロック、久々の飯だ!」
「ちょ、それでいいのか本当に……というか、そろそろ話してやったらどうだ。一応それセクハラだぞ」
「何言ってんのさ、たっぱと胸のでかいお姉さんが少年にアガペーをキメさせてるだけだよ。ブラザーのごとく愛情を捧げ、互いにリスペクトしあえってな……12章10節だ」
「……ッ」
また、何かよくわからないことを言っている。香水の突き刺すような、甘美で刺激的な香りで脳が茹で上がりそうだ。
「――ッ!! んん――――ッ!!?」
「もう離してやれ。マッドなピエロじゃないんだ」
「ひどい言いぶりだね。ほら、こんなに喜んでるってのに」
「ふぅ……はぁ、うぁ、なんか、すごかった」
質量というか、発育の暴力を感じた。レヴィさんもそうだが、ロアナプラの女性はみんなこうなのだろうか。だとしたら、僕は耐えられるだろうか
貞操的な意味で
「……もう行こう、完全に日が暮れてしまう」
「それもそだね……酒飲めるところ、あとがっつり飯も入れたいねぇ」
「はぁ……でも、そんなにお店知ってるわけでもないので、よかったらあそこに」
……豊穣の女主人に
今回はここまでで
シャクティの設定ですが、もし間違いの指摘あればどんどんください。若干不安ながら執筆してます
でもね、年上お姉さんキャラを出したい欲求があったんで、しかたなかったんです。