2021/6/2 名前を訂正しました
2021/6/28 文の一部を修正しました
目を覚ましガバッと起き上がる。深呼吸をして気を落ち着ける、時計を見てみると針は5時をさしていた。
どうやら夢を見ていたようだ、三冠を手にできず故障し、夢破れた時の夢。
加速の業は一瞬姿が見えないほどの速度を出す、いかに頑丈なウマ娘といえど故障するのは必然であったと言えるだろう。むしろ他のウマ娘よりも少しばかり頑丈な体だったせいで慢心していたのかもしれない。
踏み込んだ方の足は骨が折れ、その折れた骨が皮膚を突き破りでてきた。反対の足は速度を殺しきれず、また痛みに気をとられてしまったせいか着地に失敗し、膝がいかれてしまい歩くたびに激痛が走るようになってしまった。結果として足を切断する事態にはならなかったが、走れなくなってしまい、車椅子で生活している。
今日はたづなさんからトレセンに来て欲しいと連絡が来ていたので早起きしたのは都合が良かった。いつも通り薬を飲み、注射を打ってから朝の支度を始めた。
***
トレセン学園には10分ほど前に着いた。
校門の前に1人のウマ娘が立っている。三日月のような白い前髪がトレードマークのウマ娘。
「お久しぶりです、ムーングッドナイト先輩」
「ああ、ルドルフか。随分久しいじゃないか」
立っていたのはシンボリルドルフだ。もっとも、久しいといっても前に会ったのはルドルフが随分と小さい頃、たまたまレースを見に来ていたルドルフにファンサービスをしたのが最初で、いつか戦いたいと宣戦布告を受けた。もっとも、足をやってしまい引退してからは会うことはなかったが。
「君の活躍はよく聞いている、素晴らしいじゃあないか」
「ええ、ですが先輩、貴女ほどではない」
ルドルフは私の後ろに回り、ゆっくりと車椅子を押していく。あそこで待っていたということは私が呼び出された理由も知っているのだろう、私は知らないがそれはたづなもしくは理事長から話されることだろう。
「よしてくれ、私は夢破れ、忘れ去られた老いぼれだよ」
車椅子を押すルドルフから返事はなかった、ただゆっくりと学園内を進んでいく。
***
掻い摘んで話せばトレセン学園にアドバイザーとして就任して欲しいという話だった。理事長室にルドルフとともに入って話もそこそこに、秋川やよい理事長にお願いされた。ぱっと見は可愛らしい少女なのだが、時にウマ娘のためにポケットマネーを投じることさえあるというウマ娘への愛に溢れる人物・・・らしいのだが何が彼女を駆り立てているのか。たづなは近くでニコニコしているだけだし。
「懇願ッ!!!是非とも就任してはくれないだろうか!!貴女が現役時代にした助言のおかげでスターになれたウマ娘も何人もいる!!」
「理事長殿、私はもう走れないし引退してから随分と時間も経った、観察眼も当時と比べて衰えただろう。そんな老いぼれなんぞより優秀な方々を呼んだ方が良いのでは?」
それにここで了承してしまえば心の奥で眠っている炎を抑えるのに多大な労力を払うことになるだろう。強いウマ娘たちと戦う喜び、そしてあの
この後ルドルフも私の説得に参戦しだし、1時間ほど話し合った後アドバイザーとして就任することとなった。
黒い装束
ある古いウマ娘の勝負服
コートに似たそれは防水性に優れている
速さと両立するためにベルトで体と密着させる作りになっている
尤も、雨の中ではその防水性は気休めにしかならないだろうが