どうも日本総大将と英雄の父で、トレーナーです   作:無課金チャレンジャー

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フジキセキ回


先生、走りたいです

スペシャルウィークとディープインパクトが入学する1週間前。

 

トレセン学園には多くのトレーニング設備が沢山有る。本番さながらの練習が出来る芝生のレース場、同じく本番さながらの感覚でダートを走れるダート場、ウッドチップが沢山敷き詰められたトレーニングコース。走るための設備だけでこの有り様であり、屋内に有る物も含めれば沢山のトレーニング設備が充実してるのだ。

一年中適温で利用する事が出来る屋内プール。ルームランナー等の最新のトレーニング機材が揃ったトレーニングルーム。このお陰か、トレセン学園では今日も多くの学生が様々な設備を利用してトレーニングを行っている。レースで勝つため、純粋に強く速く成るために、苦手を克服するために、自己ベストを更新するために。理由は様々だ。

 

時刻は午後7時。門限まで残り1時間を切った頃だろうか、未だ帰らず1人の少女が黙々と負荷の軽い重りをレッグリフトのマシーンで上げてはリハビリを行っていた。

 

「はぁはぁ…絶対に…レースに復帰するんだ」

 

そのリハビリを行っていたのはフジキセキ。スペシャルウィークやディープインパクトを気に掛けている寮の先輩であり、来年度からは大学部に進学するかトレセン学園を卒業するのか進路の選択を迫られている最高学年だ。

 

フジキセキは優秀な選手だ。いや、だったと言えるだろう。入学早々、最強のチームであるリギルに所属したフジキセキは瞬く間に一流選手の階段を上った。G1でも当たり前のように勝利し、誰もがフジキセキのクラシック制覇を疑わなかった。しかし、フジキセキに突如の悲劇が起こったのだ。

 

フジキセキは脚に大怪我を負い、クラシックでの疾走はかなわなかった。僅か4度のレースしか走れず、されど無敗。多くの医者から2度と走れない、レースには先ず復帰できない。そんな絶望的な言葉を投げ掛けられた。フジキセキの負った怪我は生半可な物ではなく、どの医者から見ても復帰は先ず不可能な物だった。

 

だけど…

 

『良いか?此の世には諦めなければ夢は叶う、不可能さえも可能になる。まあ、かめはめ波撃ちたいとかは叶わないけどな。

何故、俺がそう自信を持って言えるのか?それは俺がその不可能を可能にした証明だからだ。あっ、男のウマ娘って事じゃ無いぞ。俺はガキの頃、病気で医者さえも投げ捨てた程の事態に見舞われた。だけど、俺と俺の養母は不可能を可能にした』

 

中等部の3年間、担任だった恩師の体験と言葉、そしてもう一度走りたいという欲望がフジキセキを動かす。

 

「フジキセキ。もう直ぐ寮の門限よ」

 

その時、トレーニングルームの扉が開いて眼鏡をかけた若い女性が入ってきた。その女性は東条ハナ。最強チームリギルの若きトレーナーであり、データ論を用いて生徒を導く凄腕のトレーナーである。

 

「フジキセキ…」

 

しかし、東条もリハビリを懸命に頑張るフジキセキにかける言葉が見付からない。フジキセキが負った怪我の事は東条も理解しており、復帰は先ず無理だと思っている。勿論、出来るならばフジキセキに再びレースに出て快くまで走って欲しい。それが本心だ。

だから東条はデータや人脈を駆使してはフジキセキ復活の手助けをしようとした。しかし、過去のデータから見てもフジキセキの負った怪我と同じ怪我をして復活した選手は皆無であり、多くの医者が諦めた。

 

「あと…10分だけでも」

 

門限までもうすぐ。それが過ぎれば今度は消灯時間がやって来る。その時だった。

 

「走りたいか?フジキセキ」

 

ふと、男の声が聞こえてきた。このトレセン学園で成人男性は限られており、この声は間違いなくサンデーサイレンスの物である。しかし、フジキセキと東条も周囲を見回すがサンデーサイレンスの姿はない。

 

「ここ、ここにサンデーさんは居るぜ」

 

もう一度、サンデーサイレンスの声が聞こえる。その声の方を見ると不自然にニンジンのダンボール箱が置かれていたのだ。

 

「「いや…まさか」」

 

ダンボール箱に良い歳したおっさんが隠れる訳がない。フジキセキと東条も同じことを思ったが、このサンデーサイレンス…まだアメリカンなノリが残っていたのか、こう言うのをやっちゃう男である。

 

「待たせたな!!」

「「マジか!?」」

 

ダンボール箱を脱ぎ捨て、中からサンデーサイレンスが出てきたのだ。なんという事でしょう。サンデーサイレンスはダンボール箱に身を隠しては潜んでいたのだ。

 

「先生なにやってるの!?」

「ダンボールは偉大な英雄の嗜みさ」

「いや…それスネークよ。コジマプロダクションに訴えられるわよ」

 

蛇の名前をしたおじさん宜しく出てきたサンデーサイレンス。彼はダンボールをすみに置くと、フジキセキを見る。

 

「でっ?フジキセキ…走りたいか?」

「走りたいよ…走りたいよ先生!!もう1度、思いっきりターフを駆け抜けたいに決まってるじゃないか」

 

走ることを自分から辞めたいウマ娘は居ない筈だ。フジキセキも出来るならば走りたい。

 

「サンデーさん。フジキセキを走らせたいのは私も同じ…でも無理よ…」

 

東条も悲痛な表情をする。様々なデータ、医者、過去の医療を全て見てもフジキセキが復帰するのは不可能だった。だが…この男は違う。

 

「俺は違うな…」

「でも」

「俺がその存在証明だからだ」

 

※サンデーサイレンスは下痢で死にかけた際に、普通のメンタルをした馬なら間違いなく死んでると言われました。あとサンデーサイレンスは小柄で、当時の関係者からサンデーサイレンスと同じ体格の馬は本来なら競走馬にも成れないと言ってました。そして種馬時代も強靭な精神力と体力で蹄葉炎の発症を3ヶ月遅らせた。

 

「フジキセキ。お前が決めろ。俺達は手伝える事は手伝えるが、最後に奇跡を起こすのはお前だ」

 

そしてフジキセキが選んだ答えは……

 

時は現代。スペシャルウィークとディープインパクトも初日の授業を終えて、部室にやって来た。

 

「「おはようございまーす!!」」

「あっ、スペちゃんとディープ君おはよう」

 

先ず部室に居たのはサイレンススズカであり、スペシャルウィークとディープインパクトは2番目と3番目であった。

 

「スズカさん早いですね!」

「早く走りたくて」

 

すると、再び扉が開いて…

 

「グッドイブニーング」

 

やけにネイティブな発音でこんにちわを言ったゴールドシップがやって来た。そしてゴールドシップに続くように…

 

「「こんにちわ!!」」

 

ダイワスカーレットとウオッカもやって来た。

 

そして…

 

「おっ!俺達が最後か」

 

トレーナーであるサンデーサイレンスがやって来た。しかし、サンデーサイレンスの後ろにはフジキセキが居たのである。

 

「フジキセキ先輩!?」

「なんで!?お前、リギルだっただろ!?」

 

フジキセキがリギルである事を知っているサイレンススズカとゴールドシップは驚く。だが…ニコッとフジキセキは笑みを浮かべた。

 

「あっ!言ってなかったね。私は今日からスピカ預かりに成ったんだ。宜しく」

「「「「えっぇぇぇぇえーーー!?」」」」

 

フジキセキ。奇跡を起こして復活する為にスピカ預かりとなる。色々と聞きたいスペシャルウィーク達であったが、ごほんとサンデーサイレンスか咳払いを行った。

 

「話は今日の練習が終ってからな。そうそう、今月からゴルシとスズカ以外もトゥインクルシリーズに参戦するぞ。

そうだな…2週間後にスペとディープがデビュー戦、それに続くようにスカーレットとウオッカもデビューだな」

「「えっ?2週間後?」」

「おう。俺が考案したトレーニングをティナ(今の奥さん)の監修の元で行ってきたスペとディープなら問題はない。もう、申し込んだから宜しく!!」

 

スペシャルウィークとディープインパクト…デビュー戦が決まる。




なお、ディープ、スズカ、フジキセキ、オルフェは何処かで史実越えします。まあ、フジキセキは復活した瞬間に史実越えなんですけどね

番外編書くとしたら?時系列は無視です

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