アタシをボランチしてくれ!~仙台和泉高校女子サッカー部奮戦記~ 作:阿弥陀乃トンマージ
「え~あらためてだが、ご苦労さん……」
試合を終えて、学校に戻り、シャワーを浴びて視聴覚教室に集まってきた私たちに対して監督が声をかけてきます。
「お疲れ様です」
「試合の反省ももちろんだが、今日はこの試合を見てもらおうと思う。お前ら、試合会場からここまで情報はシャットダウンしてきているよな?」
「……」
無言で頷く私たちを見て、監督も頷かれます。
「結構だ……それじゃあ、ジャーマネ……」
「はい」
「まずは双方を確認しようか」
「ええ……」
美花さんが操作すると、モニターにシンプルな緑色のシャツに、白色のショートパンツを着た集団が映し出されます。監督が腕を組んで呟きます。
「『絶対女王』、
「常盤野は春の大会でうちに敗れ、シード権を逃し、1次予選からの参加でしたが、問題なく勝ち上がりました。さらに、昨日の一回戦も快勝しました」
「ふむ……」
「全員調子が良いですが、特に攻撃陣が好調です。中でもやはりこの人……」
画面に髪の長いぼんやりとした雰囲気の女性が映る。
「3トップの中央に位置するのが、
「ちっ、認めたくねえが、一段と凄みを増してきやがったナ……」
映像を見つめながら、ヴァネッサさんが舌打ちします。美花さんが頷きます。
「そうですね、高校サッカーの雰囲気にもすっかり慣れてきたというところでしょうか」
「嫌な慣れだゼ……」
「もちろん他にもパターンはあるが……縦パスをこいつがピタッと収めた瞬間、攻撃が始まるって感じだな……一年で常盤野の中心を担うとは、まったく厄介だぜ……」
監督が腕を組みながら首をすくめます。
「……そんな彼女と3トップを形成する二人……右ウィングはこの方、背番号9の
「……攻撃面ももちろんですが、守備面でも手を抜かないお二人ですね……」
「ええ、そういう意味でも厄介ですね」
真理さんの呟きにキャプテンが反応します。
「この強力な3トップを操るのが、左のインサイドハーフに位置する背番号7のこの方……常磐野学園不動の司令塔、
「こいつも一年時から目立った存在だったが、まさかここまでになるとはな……」
監督が感心したように呟かれます。
「豆さんをフォローするのが、右のインサイドハーフを務める背番号8、
「この二人の補完関係は見事だね……」
「そうだね」
エマちゃんの呟きに私は頷きます。
「こちらはアンカーを務める、背番号6の
「中盤だけじゃなく、こっちのチャンスになりそうなところに顔を出すし……」
「アンタに嫌がられるようなら本物ね」
成実さんの呟きに対し、輝さんがフッと笑います。
「続いて四人で形成されるディフェンスライン。右サイドバックが、背番号2の
「巽さんって本当にしぶといディフェンスをしてくるのよね……」
聖良ちゃんがうんざりした様に呟きます。
「次は、ゴール前に君臨する高く厚い壁……三年の背番号5、
「こちらも補完性の高いコンビ……」
エマちゃんが映像を見て、感心しながら呟きます。
「こちらは背番号1、GKの
「ちっ、絶好調ってわけかよ……」
「流石ですわね」
竜乃ちゃんが舌打ちし、健さんが深々と頷きます。
「……ここ数年一貫して、同じシステムを採用し続けています。4-3-3システムです。加えて就任十五年で多くのタイトルをもたらした名将、この
「まあ、『勝っているチームはいじるな』みたいな言葉は確かにあるわな……」
監督が顎をさすりながら頷く。
「続いてこちらのチームです……」