私が征夷大将軍⁉~JK上様と九人の色男たち~   作:阿弥陀乃トンマージ

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救出作戦開始?

                  拾弐

 

「……」

 

 葵たちが洞窟からの脱出に成功した時より、少し時間は遡る。夏祭り会場にほど近い道の脇にある大木にもたれ、秀吾郎は楽し気に祭りへ足を運ぶ人々をぼうっと眺めていた。すると、大木の裏側から声が聞こえる。

 

「黒駆よ……」

 

「特別顧問⁉」

 

「そのままで聞け……」

 

「は……」

 

 尾高が冷静に伝える。

 

「上様を含む十二名の女子生徒が誘拐された」

 

「⁉」

 

「江の島岩屋近辺に連れ去られた模様だ」

 

「き、気が付かなかった……」

 

「相当周到な計画がされた集団的な犯行だ。気が付かないのも無理はない」

 

「と、とはいえ、これは自分の落ち度、上様の身になにかあれば、自分が責任を……」

 

「愚か者! 未来ある者が前時代的なことを言うでない!」

 

「! す、すみません……」

 

 尾高の一喝に秀吾郎は頭を下げる。

 

「今は己のなすべきことが何かを考えろ」

 

「そ、それはもちろん、上様たちの救出です」

 

「その通りだ。我々大人たちも動くが、出来る限り人には知られず、可及的速やかに問題解決を図りたい」

 

「はい……」

 

「現在迅速に動けるのはそなただけだ。よって、第一次救出作戦はそなたに任せる」

 

「! よ、よろしいのですか⁉」

 

「そなたの力量を信頼しているからな。万が一そなたが上手くいかなかった場合も心配はいらん。上様たちをさらった連中の目的は幕府との交渉だ。今すぐ上様をどうこうしようというわけではないだろう」

 

「は、はい……」

 

「要はなにかあったら先輩方が尻ぬぐいしてやるということだ。そなたの差配でやってみるがいい……分かったな?」

 

「分かりました!」

 

「良い返事だ。頼むぞ……」

 

 尾高がその場から離れる。秀吾郎が顎に手をやって考える。

 

「まずは現状把握を優先……しかし、十二人を誘拐したとなると、かなりの数の集団だろうな、自分一人では流石に手が余る……あまり気が進まないが、協力を仰ぐか……」

 

 考えをまとめた秀吾郎はその場から走り出す。そして、宿舎の裏に大和を呼び出す。

 

「……これは黒駆殿! こんな所に呼び出していかがなされた!」

 

「しっ、お静かにお願いしたい……」

 

「……聞こうか」

 

 秀吾郎の真剣な表情に大和も真面目な顔つきになる。

 

「実は……」

 

「なに⁉ 上様たちが誘拐された⁉」

 

「こ、声を抑えて下さい!」

 

 大和の大声に秀吾郎は慌てる。

 

「な、なんだって⁉」

 

「マジかよ!」

 

 弾七や進之助ら七人が顔を出す。秀吾郎が驚く。

 

「な、何故、皆がここに⁉」

 

「某が一応呼んでおいた!」

 

「なっ……そんな勝手なことを……」

 

「それよりさ、黒ちゃん、今の話は本当なの⁉」

 

 北斗らが秀吾郎を取り囲む。秀吾郎はため息まじりに呼びかける。

 

「少人数で進めたかったのだが……致し方ない。場所を移しましょう」

 

 大和ら八人は宿舎の使われていない部屋に移動する。秀吾郎がそこに入ってくる。

 

「斥候役、ご苦労様です……」

 

「いえ、それが仕事ですから……」

 

 光太の言葉に秀吾郎は軽く頭を下げる。大和が尋ねる。

 

「それで現状は⁉」

 

「ご説明します……」

 

 秀吾郎は葵ら誘拐された面々と、葵らが現在いるであろう江の島岩屋近辺の様子の詳細を八人に伝える。弾七が頷き、手を素早く動かす。

 

「つまり、相手はこのように陣取っているってことだな!」

 

 秀吾郎の説明を受けた弾七は江の島の陣形を絵に書き起こしてみせる。

 

「おお、流石は先生、見事な絵ですこと……」

 

「当然だろ、俺様を誰だと思っているんだ?」

 

 弾七は獅源に対して胸を張る。北斗が口を開く。

 

「それも悪くないけどさ……南武」

 

「はい、兄上」

 

「んなっ⁉」

 

 北斗の指示を受けた南武が情報端末の画面を皆に見せる。画面には江の島の様子が上空から鮮明な映像で映っている。南武が説明する。

 

「黒駆さんのお話の間、すぐにドローンを飛ばしました。これで向こうの様子もよく分かるかと思いますが……」

 

「確かによりイメージしやすいですね」

 

 光太が眼鏡を抑えながら頷く。一超が呟く。

 

「芸術も 科学によって 形無しか」

 

「ば、馬鹿野郎! こういうのは絵だから雰囲気が出るんだろうが!」

 

「え、絵筆を顔に近づけないで下さい!」

 

 弾七の八つ当たりに南武は困惑する。獅源が呆れ気味に弾七をたしなめる。

 

「先生、ちょいと静かにして下さいな」

 

「うむ……」

 

 秀吾郎が映像を見つめる。進之助が問う。

 

「どうするんだ⁉ 秀三郎⁉」

 

「秀吾郎だ。それを今考えている……!」

 

「妙案が 浮かびし顔と 見受けらる」

 

 秀吾郎の表情の変化に一超が気付く。

 

「ああ……今から説明する、皆よく聞いて欲しい……」

 

 秀吾郎が説明を始める。それから約数十分後、黒駆と弾七が高い場所から海岸を見下ろす。弾七が呟く。

 

「おーおー、大勢いやがるな……」

 

「海岸沿いの東西の方向から攻めるのは連中も当然警戒しているはずです……よって、上から攻めます!」

 

「相手の虚を突けるってわけだな。だが、そんな上手くいくかね?」

 

「その為に、青臨殿の隊と赤宿の隊に東西から陽動を仕掛けてもらいます……⁉」

 

「うおおっ! 金銀お嬢様!」

 

「雀鈴を返してもらうぜ!」

 

「余の秘書に手を出すとは良い度胸だ!」

 

 秀吾郎たちは将司と飛虎らと光ノ丸たちが攻撃を仕掛ける姿を目にする。

 

「あ~あ、勝手におっぱじめちまったぜ……」

 

 弾七が苦笑気味に呟く。

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